瀧羽麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本各地の農場を舞台に、そこで働く悩める女性たちが、農業を通じて心を開いていく過程を描いた8編の短編。
読み始めてまず、畑で心を込めて育て上げた野菜が消費者の元に届くまでの長い道のりに、改めて感動します。
両親の期待に応えようと東京で必死に頑張ってきたOL、有名カフェでバイトする大学生、農家に嫁いだ嫁、シングルマザーなど8人の女性が登場し、どのお話も、小さな誤解がほどけて読んだあと心が浄化されるような、ほんのり優しいものばかりです。
「オリーブの木の下で」は、他とは趣が少し違っていて、ギリシャ人の年上の恋人との昔の思い出を綴った、とても美しい物語でした。
解説にもあったように、読む前に抱 -
Posted by ブクログ
面白かったー。
予想以上によかった。
軽いんだけど、じんわりする。
占い師を父に持つ、男ばかりの四兄弟。
次男が家業を継ぐべく修業中だが、お父さんが絶大な占い師のため、なんだか思うところがある。
勝手に松坂桃李のイメージで読んでいた(笑)
長男、三男、四男も、映像化するなら誰だろうかとか思いながら、読む。
占いがメインではなく、四兄弟それぞれが少しずつ関わり合いながら、紡がれる日常。
それぞれ人間味があって、優しくて、家族とはいえ入っちゃいけない境界線も一応考えていたりして、なんだかんだ彼らの日常が気になって、読んでしまった。
読みながらなんだか、癒された。
四人いるから誰が自分に -
Posted by ブクログ
「目は赤いゼリービーンズ、鼻はレーズンで口がチョコレート。」(p121)ツヤツヤもちもちでこんがり健康小麦肌。私の大好きなうさぎ形のパンを大好きな彼が焼いて手渡ししてくれるーーーああなんという事でしょう。想像するだにときめきが押し寄せすぎてわたしの心の内は鳥獣戯画よろしくうさぎの大群が湧き出てきてマツリダワッショイタッタタラリラ状態になってしまった訳であります。
初読み・瀧羽麻子先生のデビュー作(厳密には初書籍化作?)の表題〈うさぎパン〉とそのスピンオフ作〈はちみつ〉の2話収録。パンの美味しさを引き立てるはちみつの付け合わせ。最高です。
〈うさぎパン〉…高校一年生同士の甘酸っぱい…もとい -
Posted by ブクログ
実家で昔読んだことがあり、最近たまたま古本屋で見つけたので再読してみた。
が、内容を一切覚えておらず、ほぼ初見だった。
最近ふわふわした恋愛を身近に感じられていなかったので、高校生のかわいい、ほっこりする恋愛を読ませていただき温かい気持ちになった。温かい気持ちになると同時に、少しファンタジーが入り混じるところが最高に良かった。ふわふわした話ではあるんだけど、それめちゃくちゃ分かる、リアル、とも思える話。
特に好きだったのは、この文章。
「またいつでも買いに来よう」
買いに来て、ではなく、買いに来よう、と富田くんは言った。
むちゃくちゃ、もうむちゃくちゃわかる。たったの一言なんだけど、