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Posted by ブクログ
2024/08/31
瀧羽さんの本をさらに買ってみた。巻末の書評に「精神疲労時の栄養補給に」という表現が使われていて、まさにその通りの作品だなと思いました。
主人公の優子は単身赴任で父が不在の家に、再婚相手のミドリさんと一緒に暮らす高校生で、ある日、家庭教師で大学院生の美和さん(美和ちゃん?)が来るところから始まる物語です。
これだけだとタイトルのうさぎパンって何?かと思いますが、優子の気になる人である富田くんは、父親がパン屋をやっている人でそこと関係があります、
どう関係してくるかはぜひ読んでみてほしいなって思います。
人が当たり前にしていることが優しい表現とか優しい流れで進んでいくお話で、読んでて本当に心が癒やされていくような気がします。
Posted by ブクログ
「目は赤いゼリービーンズ、鼻はレーズンで口がチョコレート。」(p121)ツヤツヤもちもちでこんがり健康小麦肌。私の大好きなうさぎ形のパンを大好きな彼が焼いて手渡ししてくれるーーーああなんという事でしょう。想像するだにときめきが押し寄せすぎてわたしの心の内は鳥獣戯画よろしくうさぎの大群が湧き出てきてマツリダワッショイタッタタラリラ状態になってしまった訳であります。
初読み・瀧羽麻子先生のデビュー作(厳密には初書籍化作?)の表題〈うさぎパン〉とそのスピンオフ作〈はちみつ〉の2話収録。パンの美味しさを引き立てるはちみつの付け合わせ。最高です。
〈うさぎパン〉…高校一年生同士の甘酸っぱい…もとい、芳醇で香しいパンがつなぐ青春恋愛物語。主人公である高校生カップルその1〈優子〉と〈富田くん〉と、カップルその2として優子の家庭教師である大学院生〈美和〉と美和が通う大学のゼミの先輩〈村上さん〉というふた組の恋人たちが織りなす成長劇を見守るはなし。
メインとしては優子と富田くんの瑞瑞しい恋模様をニヤニヤしつつ羨ましいなと思いながら眺めていく訳であり、歳上の同性である美和が優子に大きく影響を与えるという王道を踏まえつつ、なんと途中で幽霊まで登場するというちょっと不思議な展開を迎える。正直この辺のくだりに関してはさらっと流される感じなので「なぜ幽霊が?え?」と戸惑いを感じるのは確かだが、「細けえこたぁ良いんだよ!」と押し切れるくらいの絶対的な爽やかさと感動が心地良い短編。
徐々に親しくなってきたけどまだ恋人未満の関係時点、いつもよりちょっとだけ遠出した時に富田くんが優子の事を「隊長」(p52)と呼ぶ距離感とかたまんなく好き。
優子の年齢の割に落ち着いた性格を「ラムレーズン」(p26)を選ぶ女子高生と描写しているのも成る程と思うし(ついでに、優子の友達〈早紀〉の活発で社交的な性格を「マンゴーアイス」(p25)を選ぶ子、と対照しているのも上手いと思う)、「美和ちゃんはわたしのことをゆうこ(なぜか、優しいに子供の子の「優子」ではなくて、ひらがなの「ゆうこ」に聞こえる。そこにどういう違いがあるのか、説明はできないけれど)ちゃんと呼ぶ。」(p16)みたいな絶妙な感覚とか、なんかわかる気がするし、美和の声音とかイメージ出来てきてより物語に没入できる一因になっているのかなと感じた。
〈はちみつ〉…1話目と同じように恋にまつわる話でありながら雰囲気は随分と違う。若さや不思議さといった面に替わり、落ち着きやしっとりさをまとったはなし。もしやと思ったけど幽霊は出ません。優子と富田くんはニアミス出演しますが。
大失恋をしたばかりの美和の友人〈桐子〉が主人公。はじめは食事が喉を通らない状態だったが、美和の働きかけと時間がちょっとずつ桐子を前向きにさせ、やがて再びの恋の予感を醸し出しつつのラスト。
理系研究室の様子や人間像が妙に生々しくリアルに描かれているのもポイント。
元気と滋養を得られる、まさに栄養成分たっぷりの一冊。
しかと堪能を致しました。
22刷
2024.2.3
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小説・文芸
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