瀧羽麻子のレビュー一覧
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小樽かな?と思う町にある、オルゴール屋さんのお話。つつましくてささやかで良かった。
第1話 美咲は悠人とオルゴール店に入った。悠人は耳が聞こえないのだ。だがぴったりの曲を選んでくれるというので任せた。悠人は先天性の難聴で手術を勧められている。
第2話 順平はお皿を探していたが、廃盤だと言われる。同棲相手の梨香は故郷でお見合いをしている。
第3話 旅の記念にお揃いの何かを買おうと、水原、萌、歩美は探すがなかなか決まらない。オルゴールにみんなでバンドでやっていた曲を入れてもらうことになった。
第4話 三郎が飛行機を降りたら寒かった。父が亡くなった法要に向かっている。
第5話 香音は幼稚園の教会を訪れていた。十字架が小さくなったような気がする。
第6話 瑞希は喫茶店に勤めていて、お向かいのオルゴール店主をムカイさんと呼んでいる。
第7話 絹子が脳血管障害で入院した。康則は旅行中の義姉に配慮して、帰国してから知らせることにした。 -
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なんかほっこり前を向いて生きていける感じの小説。良かった。
第1話 3週間前に転職した。前の会社は外資系で、上司はインド人、社長はドイツ人だった。
8:45ラジオ体操から仕事は始まる。健康食品の下請けメーカーで、大手の食品メーカーに半完成品を納入している。東京から脱出したくて、田舎に住みたかった。今まで150%で働いていたが、今は30%。
桃子と名乗るおばさんに着いていくと、居酒屋だった。東京から来た女の子としてマークされていたらしい。
東京本社から研修で佐久間がくる。6年間交際した相手が、アルバイトの女性と結婚した。まゆみちゃんは佐久間さんを狙っている。
課長の誕生日ケーキを買いに行ったら、街で唯一のケーキ屋が閉まっていた。なにわでケーキを焼かせてもらう。乗っ取りの噂が流れている。佐久間さんに一緒に東京で働こうと言われる。東京行きは迷ったけど断った。
第2話 お母さんが台所で歌っている。通学のバスは1時間に一本しかない。 -
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読後感が、雨上がりのさわやかな空気のよう。ホコリやチリが洗い清められて網戸をそよ風が抜けて行くみたいな、大昔におじいちゃんおばあちゃんの家で畳に寝っ転がっていた時間を思い出しました。
今の夏は暑過ぎるので閉め切った部屋でクーラーの風を浴びて過ごしたり、あまりにも過剰なゲリラ豪雨に見舞われたりと風情もへったくれも無いのがかなしい。データ上はそんなに変わってないんだよ、みたいな意見も見かけるけど心情的には確実に蒸し暑くなっている気がするのだからしょうがない。
『うさぎパン』(9784344416215)以来2作目の瀧羽麻子先生の作品、本作もとっても良かった。
まず装丁が素敵。雨粒が宝石みたいに見えてた感性はもう私の中には1ミリも残っちゃいないし傘持ってくの面倒くさいなあとか雨ガッパは荷物になるし干すのがまた面倒くさいなあとかそんな事ばっかりが頭をよぎるけれども、日々の中でじっと空を眺めるだけの時間とか絶対必要だと思うんですよね。確かに子どもは「あの雲がまぐろのお寿司に見える」とか話しかけてくれるので、子どもらが自然にそうやって色々な事を感じたりする稀有な時間に大人が習い事だったり小言ばっかり詰め込んで奪ってしまってはならないと思うので、私も接し方を考えなきゃなと思いました。
傘の形の小さなしおりもかわいい。黄色い傘と赤い傘で現在と過去を繋いでいるのかな。
さて物語はといえば、二十四節気の節目を大切に過ごす習慣がある〈藤巻家〉一族の1958年から2022年までの様子を描いた連作小説。藤巻の人が主人公の話もあるし、お隣さんや浮気相手など他者視点から藤巻さんちを捉える章もある。
設定からして丁寧な暮らしを送る人々によるひたすら折り目正しき日々を読むのかなと思っていたら、思いの外に人間味あふれる人物達が登場してきて奥深い。
色々な好人物が登場するのだが、私が惹かれたのは〈藤巻和也〉。タイトルの『博士』である〈藤巻昭彦〉を父に持ちながらも勉強には然程身が入らないのだが絵を描くことが好きで、作中では彼が中3から62歳になるまでの物語が書かれている。結局画家として大成はせず、39歳の時には上述したように妻子がありながら浮気をしてしまう身持ちの悪さ。なんだけど、人間としての魅力は備えており何だか憎めない。
「あのひとは、おれのことなんか興味がない」
「親父があんなに楽しそうにしてるの、はじめて見たよ。いつも家ではたいくつなんだろうね。おれたちじゃ話し相手になれないもんね」(ともにp76)
と語るように、学者である父と自らを較べて引け目を感じている様子がありつつ、「一九九八年、藤巻和也作、「夏至の朝」」(p154)という彼の絵画作品の描写からは決して父を毛嫌いしているだけではなくて父の背中や仕事をしっかりと認めているのだという素直さが伝わってくる。巻末の《藤巻博士一家とともに楽しむ二十四節気》の夏至の項には「早起きして日の出を見る。」(p261)とあるので、和也も早起きして日の出を見る昭彦に付き合っていたのだなぁ、というところが窺い知れる。
62歳になった和也が駅で孫を出迎えるシーンでは「真っ赤なダウンジャケットを着て、ポケットに手をつっこんでいる。」(p216)とあり、なんだか粋を感じるのと、彼も父に似てやっぱり個性的な面があるなと感ぜられて、さり気ないけど良い場面。
子どもが小さい時にどれだけ食卓を一緒に囲めるか。
並んで傘をさしながら散歩をするような時間を過ごせるか。
季節の巡りを祝いながら共に過ごせる時を喜べるか。
そんな事へ思いを馳せた読書でした。素晴らしい家族小説だったなと思います。
1刷
2026.8.5 -
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椅子作りの才能があるのに、地元で修理屋をしている徳井。椅子への情熱を持て余し、都会の大手工房を飛び出した魚住。タイプの違うふたりが、学生時代の約束のもと、小さな工房を始める。不器用な彼らは、友情でも恋でも仕事でもギクシャク……。海沿いの町の小さな椅子工房で夢の続きを見ることにした〝こじらせ男子〟の、胸アツ青春物語。
魚住の純粋さやまっすぐさが羨ましいと思った。
透き通った色とりどりのビー玉みたいだ。
昔、友人が志望していた家具工房に入職することができて、最初に担当したのが椅子だと言っていたっけ。はじめて作成した椅子の写真を見せてもらったことがあった。
たしか、座面が若草色の布張りになった椅子だった。
今はどこで何をしてるかな。物語の二人みたいに、今も夢の続きにいるかな。 -
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人々の心に流れている音楽が聞こえる耳利きの店主のオルゴール店に訪れる様々な人たちの短編小説。
どのお話も心がジワ〜っとあたたかくなる優しくて素敵なお話だったけれど、特に耳の聞こえない少年とお母さんのお話が印象的。
耳が聞こえないのにオルゴール?って思ったけれど、店主はその子の心に流れている音楽をきくことができる。その男の子の心に流れていた音楽がなんなのかやお母さんの気持ちの描写がすごく刺さった。
あと個人的に向かいの喫茶店のアルバイトのおかっぱちゃんの話もよかったなあ、、かわいかった
1番最後の老夫婦の話の中で、あのおかっぱちゃんも一緒に店主について行ったんだなあと数年後の未来を想像できたのも良かった。
あと向かいの喫茶店の店長の人柄が素敵すぎてその喫茶店で働きたい!!アルバイト募集らしいので雇ってもらおう。笑
最初は店内は静かすぎるという描写だったため、なぜありえないほどうるさいオルゴール店?って思ったけれど、読み進めるうちにそういうことか、店主側のねっていう気づきもあり、なんか読み終わってすごく満たされたな〜
そしてもし今後旅行行った時にオルゴール店があったら入ってみようと思える一冊だった
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『ありえないほどうるさいオルゴール店』の続編。舞台は北の運河の街から南の珊瑚礁の小さな島へ。「ガジュマルの店」と呼ばれるオルゴール店の店主はお客様の心に流れる音楽を聞くことが出来る。ここを訪れるお客は、言葉でうまく言い表せないもどかしい気持ちを、心の中の音楽を通して気づき、思いを解きほぐしていく。
店主とお客さんのやりとりが説教くさくなくて自然で優しい。優しく澄んだオルゴールの音色で、大切な思い出の曲が流れてきたら、人生の悲しみや痛みも和らいでいくかもしれない。
私も自分の中にある曲をオルゴールにしてもらいたくなりました。一体何が流れているのか、店主に聞いてもらいたい。ちょっとだけ、タロット占いなどに似てるような気がします。