瀧羽麻子のレビュー一覧

  • 女神のサラダ

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    ネタバレ

    『誰かが収穫し、袋に詰め箱に入れて出荷し、さらに幾人もの手を介して消費者のもとに届く。』p18

    『梨奈のことも、百合香のことも、つぐみのことも、葉月はほんの一部しかわかっていなかったのだ。目立つ果実だけに目がいって、根も葉も枝も見えていなかった。彼女たちのほがらかな笑顔の裏に隠された苦労や覚悟を、知らなかった。知ろうともしていなかった。』p157

    『うずくまっているわが子の体を、母牛がくまなくなめはじめた。胎膜や粘液が舌で拭いとられて毛並みが乾き、血行が良くなるのだ。経験もなく、誰かに教えられたわけでもないのに、子どものためになにをすべきか、なぜわかるのだろう。』p238

    スーパーに並べ

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    2025年02月18日
  • さよなら校長先生

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    ネタバレ

    高村正子さんという方が亡くなった。
    高村さんは主人公ではないが、縁のあった人達の記憶の中の高村さんの話。

    コンパス、連絡帳、うちわ、スーツ、こんぺいとう、深呼吸。
    新任の頃の高村先生、教職年数経た高村先生、アイドルのライブで出会った高村さん、娘から見た母としての正子さん、おばあちゃんの昔の同僚の高村正子さん、高村校長先生と先生の思い出。


    どの高村さんも、素敵な人で先が読みたくてスラスラと読めました。

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    2025年01月21日
  • ありえないほどうるさいオルゴール店

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    タイトルと装丁で衝動買いした本。
    買ってから間が空いたが、もっと早く読めばよかった。
    砕けすぎず、文学的すぎず、平易すぎず、小難しくなく、ちょうどいい語り口。穏やかなストーリー進行が読んでいて心地よかった。好きなのは「よりみち」「おさきに」、感心したのは「おそろい」。極論、どれも好き。

    近年多いカフェもの、ちょっと変わったお店ものってだいたい展開が決まりきっていて、小説によっては退屈にも感じられるが、これは全く飽きない。何度でも読み返したいし、この作家さんを他にも読みたくて、さっそく本屋でお買い上げした。久しぶりに素敵な作家さんに出会えた!

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    2025年01月20日
  • もどかしいほど静かなオルゴール店

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    余韻を残してくれる作品。
    この余韻がまるでメロディのような感じ。
    初めて瀧羽さんの作品を読みました。
    タイトルに引かれて購入。
    優しい作品でした。
    続編と知らず前作も読みたい。

    私の中に流れる曲は何だろうなぁ。
    考えた事もなかったな。

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    2025年01月20日
  • うさぎパン

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    あなたは、『好きなものはなんですか?』と、『突然』訊かれた場合、なんと答えるでしょうか?

    これは答えられるようでなかなか難しい質問だと思います。その答えは時と場合、そして相手にもよると思います。”好きなこと”でもなく、『好きなもの』という設問が答えを難しくしてもいます。また、『突然』という設定も微妙です。人は慌てると何を口走ってしまうか分かりません。

    とは言え、一般的には、その『質問の意図としては趣味・特技あたりが聞きたかったのだ』とは思われますが、確定的なことはその場にいないとなかなか類推も難しいものだと思います。

    さてここに、『好きなもの』を訊かれて、『パンです』と答えた一人の女子高

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    2024年12月21日
  • いろは匂へど

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    2024/12/08
    瀧羽麻子さんの作品は本当に好きで色々と読み漁ってます。
    この本は、着物を染める職人さんの光山という人物と出会った、こじんまりとした食器販売店を営む紫さん(ゆかりさん)の紆余曲折ある人間関係の模様を描いたお話です。
    それぞれの人の雰囲気があるように、着物にもそれぞれの人の良さを際立たせる色があって、それを考えながら着物の染色をする職人さんの人を見る目というのがこの本の描写の中に出てきます。
    人の性格や人間性を見抜いてどんな色が合うかを考える、またその色はどんな植物から得られるのかと言った、普段は考えたこともないような世界が描かれていてとても面白かったです。
    また、舞台が京都

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    2024年12月10日
  • 東家の四兄弟

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    個性的な両親に育てられた とっても個性の強い四兄弟。兄弟の個性が際立ち過ぎて
    人は皆んなそれぞれ自分のペースで行けばいいんだ、他人を気にせずともと思ってしまう。

    月並みだけど面白かった!

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    2024年12月08日
  • うちのレシピ(新潮文庫)

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    改めて家族という存在や食べるということの大切さを感じた。2つの家族の一人ひとりにも様々な思いがあり、意見が家族内ですれ違ったり伝わらなかったりするのはこういうことなんだなと思った。その中で相手のことを思いやりながら料理を作ることあるいは一緒に作ることは言葉で伝えなくても愛情を伝えることができ、感じることができるのものなんだと気づかされた。

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    2024年11月24日
  • 博士の長靴

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    ネタバレ

    気象学専門の学者、藤巻博士を取り巻く家族たちを登場人物にした連作短編。

    いつも空を見て、雨が降ると全身に浴びたがるような藤巻博士は、母親から人との交わりを苦手をしていることを心配されるようなタイプの人なのだが、この博士が掲載1つめと最後の短編でとても良い雰囲気を醸し出すのだ。

    ネタバレになるが、その最初と最後の小道具が長靴。作品の間には55年もの年月が流れていて、その間の家族たちの物語が間に挟まれている(不倫や中間管理職の悲哀など浮世のテーマ作品もある)短編を読んだら、この博士と長靴がガツンの効いてくる。

    伏線を張って…というタイプの連作短編ではないのだが、こういう回収の仕方もあるんだな

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    2024年10月22日
  • ぱりぱり

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    2024/10/05
    菫(すみれ)という1人の女性を中心にしてそれに関係のある人々に視点を移しながら展開していく短編小説。
    詩の才能を見出された菫は、他の人と比べて特徴的なところを持つ部分が多いことが描かれているが、あとがきの解説を読んで、この物語の本筋みたいなものにも納得。
    それぞれの短編がとても暖かい感じで読める話になっている。
    視点人物や時系列が多少前後することはあるが、それも含めてこの小説を読むときの面白いところだと思う。

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    2024年10月06日
  • もどかしいほど静かなオルゴール店

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    前作「ありえないほどうるさいオルゴール店」から楽しみにしていた。
    前作は北の街、今回は南の島へやってきた店主。7つの短編。
    その人の心の中に流れている音楽をオルゴールにしてくれるオルゴール店。
    ひとつひとつの物語の風景とその人の歩んでいる人生の風景を
    丁寧に表現していて その記憶の中にある想いの音楽を思い起こさせてくれる。
    いろんな年代の人たちの歩んできたいろんな人生の中にある音楽。
    堪能しました。。温かかった。。人の温かさが伝わってきた。

    前回のタイトルの「うるさい」から「静かな」へのシフトチェンジになっていた理由が読んでいくうちに垣間見れる。
    最後の物語には ちょっとしたサプライズがあっ

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    2024年10月03日
  • 東家の四兄弟

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    友達おすすめの本。事前情報なしで読んでみたところ、人物設定が秀逸でハマりました。何事も慌てず騒がず、なるようになるのですね。

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    2024年09月30日
  • 左京区恋月橋渡ル

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    2024/09/28
    瀧羽さんの本はとても心が温かくなるものが多いので今回はこの本を読んでみました。
    理系の大学の研究室でエネルギーに関する研究をしながら息抜きに鴨川のデルタで花火をするという奇特な青年の山根が主人公。雨の日に下鴨神社で会った女性(美月さん)に一目惚れして、距離を縮めようとするのだが、緊張のあまり何もできなかったり、オドオドしまくったりしてて読んでいてムズムズするような感じ。
    そうかと思えば、美月さんも、今まで花火すらやったこと無かったりブランコに乗るのをすごく楽しんだりしてて、こんな人現代にいなくない?あざとい系なのか?と思うけどどうやらそうでもないらしい。そんな2人の関係が

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    2024年09月28日
  • うさぎパン

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    ネタバレ

    読みやすいし温かい気持ちになれる。
    登場人物に嫌な人がいない!
    そして読書後に満ち足りた気持ちになれた。幸せ。

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    2024年09月28日
  • うさぎパン

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    2024/08/31
    瀧羽さんの本をさらに買ってみた。巻末の書評に「精神疲労時の栄養補給に」という表現が使われていて、まさにその通りの作品だなと思いました。
    主人公の優子は単身赴任で父が不在の家に、再婚相手のミドリさんと一緒に暮らす高校生で、ある日、家庭教師で大学院生の美和さん(美和ちゃん?)が来るところから始まる物語です。
    これだけだとタイトルのうさぎパンって何?かと思いますが、優子の気になる人である富田くんは、父親がパン屋をやっている人でそこと関係があります、
    どう関係してくるかはぜひ読んでみてほしいなって思います。
    人が当たり前にしていることが優しい表現とか優しい流れで進んでいくお話で、

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    2024年08月31日
  • 虹にすわる

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    2024/08/22
    徳島県の外れの街で仏壇を作る職人仕事を祖父と共にしていた徳井と、徳井の後輩で東京での仕事を辞めて徳井と共に椅子を作る仕事をしたいとやってきた魚住、東京から去っていった際の仕事場の娘で魚住を追っかけて説得しにきた彼女の胡桃と得意の地元での幼馴染の菜摘の織りなす物語。
    徳井と魚住は徐々に椅子を作る仕事も増えてき始めた頃に、椅子を見た大学時代の先生であり建築業界で有名な人に徳井がスカウトされるのだが…。
    椅子職人というジャンルは初めて読む内容でしたが、とても読みやすいし、また良い意味での田舎の人間ある関係性がこの物語の透明度をさらに押し上げているように感じます。
    読後感が爽やか

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    2024年08月22日
  • うさぎパン

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    ネタバレ

    お腹空いた!
    うさぎパンもはちみつもどっちともあったかくなる話でやっぱりこういう話が一番だなと思った。パンがすごく食べたくなった。うさぎパンの優子と富田くんの付き合う前の関係がすごく可愛いと思った。パン好きの男子にあまり出会ったことがないから、富田くんという存在自体が珍しかったけど高校時代にこんな心優しい男子はいなかった。。。

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    2024年08月11日
  • うさぎパン

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    ちょっと疲れている時、余裕がない時に読むと、心が落ち着く小説。
    何気ない日常にちょっとしたスパイス(?)が加わって読みやすく面白い。
    パン屋さんに行きたくなった。週末に行こうかなぁ。

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    2024年07月17日
  • 女神のサラダ

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     農業。現代の斜陽産業の1つだ。衰退の要因はいくつもあるが、担い手不足が特に大きい。
     業務は多岐にわたり、労働時間は長く、収穫は気候等の状況に左右される。日々が自然との格闘に近い。
     それでも手塩にかけた作物が実るのを目にしたとき、手ずから収穫したとき、心は弾み明日への活力となる。

     そんな魅力に気づき、農業に携わりながら自身も成長を遂げていく女性たちの姿を描く短編集。
              ◇
     午前4時前。5月の高原でも夜明け前はまだ肌寒い。畑の脇に停められたトラックのヘッドライトが深い闇の中に鮮やかな緑の畝を浮かび上がらせている。そして、その畝のまわりでは小さな光が動いている。レタスを

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    2024年07月06日
  • うさぎパン

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    古本屋さんで偶然手に取り読みました。
    「うさぎパン」も「はちみつ」どちらも好きでしたが、「はちみつ」の登場人物に年齢が近いので感情移入することが多かったです。
    最後のベンチで2人、食事をする場面からが特に好きでした。

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    2024年07月01日