あらすじ
天気を変えることはできない。
人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかない。
天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を丁寧に描いた傑作連作短編小説。
『うさぎパン』、『左京区』シリーズ、『ありえないほどうるさいオルゴール店』の瀧羽麻子、新たな代表作。
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気象学専門の学者、藤巻博士を取り巻く家族たちを登場人物にした連作短編。
いつも空を見て、雨が降ると全身に浴びたがるような藤巻博士は、母親から人との交わりを苦手をしていることを心配されるようなタイプの人なのだが、この博士が掲載1つめと最後の短編でとても良い雰囲気を醸し出すのだ。
ネタバレになるが、その最初と最後の小道具が長靴。作品の間には55年もの年月が流れていて、その間の家族たちの物語が間に挟まれている(不倫や中間管理職の悲哀など浮世のテーマ作品もある)短編を読んだら、この博士と長靴がガツンの効いてくる。
伏線を張って…というタイプの連作短編ではないのだが、こういう回収の仕方もあるんだなぁと感心する。非常に心地よい小説。
俺もこれからはメモ帳を持って暮らすとしよう。
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特に2022年立春のページが好きです。曾孫に向けた言葉、「自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。残しておかないともったいない」✨さりげなくいい言葉〰️
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何世代にも連なる家族の物語。
前のお話に出てきたあの人が、次のお話でまた登場したり。そういう繋がりだったのかぁと発見する喜びがありました。
世代を越えて受け継がれていく家族の想いっていいなぁ。心温まる場面がたくさんありました。
自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。残しておかないともったいない
メモしておかなくちゃ
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きれいな表紙に惹かれて読んでみた。「往々にして」「矜持」等いろんな言葉がつかわれていて、知的な本‥と思った。およそ80年前の時代から物語が始まるので、聞きなれない言葉や文化がいろいろ出てくる。章によって話し手と時代設定が変わるのはおもしろかった!この2人こうなったんだーとか、読み取りながら相関図を思い描く。
藤巻さんみたいに、気象学を学んで自分でこのあとの天気を予想できたらすてきだな〜。どうして虹はかかるのか?なんで白い雲と黒い雲があるのか?そういうこともちゃんとしれたら、空を見るのももっともっと楽しそうだな。
私も藤巻さん同様散歩は好きだけど、晴れた日にイヤホンをさすことが多い。雨は寒いし濡れるし荷物が多いから…笑
でも雨の日の散歩を好み、わざわざ長靴を履いて散歩する藤巻さん素敵だなと思った。今度雨が降った日、散歩してみよう。そしてたまにはイヤホンをやめてみようかな。雨の音や鳥の声を聴くのもいい。
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天気の研究に生涯をささげた藤巻博士の一家・四世代を中心に、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を描いていて良かった。それぞれのお話で語り手が変わるので、次は誰の視点だろうと楽しんで読める。
天気を変えられないように、人間もあるがままを受け入れるしかないと思えるようになり、少しスッキリ。読み終えた後は天気や四季の変化を感じるのが楽しくなるはず。
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気象学に生涯を捧げた一風変わった大学教授、そこから四世代にわたる物語。
心暖まるようでちょっとチクリとする部分もあり、背景や結論をぼかしながら、余白を読者の想像に委ねて、永い時代の物語がとつとつと進んでいく。
どこかつかみどころのない話だったが、不思議と心地よく読み進めていった。
誰もがどこかで経験しているような、人の営みの物語だった。
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気象学が専門のひい爺さんの若かりし頃の思い出話から、 そのひ孫が1人でひい爺さんの家に泊まりに来るまでの様 々な物語が描かれていますが、特に1999年に人類滅亡 するかもと言う噂がたった頃の話が懐かしく感じました。
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素敵な穏やかな博士の人生。
気象の不思議を知りたい博士の若い頃、その子ども、さらにその子供と、さらにその子供。
章ごとに時代が流れて日常が描かれる。
最後の、長靴のエピソードがグッときました。
天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を丁寧に描いた傑作連作短編小説。
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なんか最後まで行くと、とても筆が達者な作家に、瀧羽さんが成長なさっていることに、しみじみした思いを感じる。左京区の頃と比べたら、小説としての滋味が。
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4世代の藤巻家の物語
かなり風変わりな気象学者が立春にスミさんにに贈った空色の長靴、そして60年以上過ぎた立春に祖孫に青い長靴と手帳を…
1958年から2022年までの長い時間がゆっくり流れるようなほんわかする小説です。
日本に生まれたからこそ
二十四節気をもう少し大切に気にかけていけるような余裕のある生活をしたい
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4世代がつながって、紡がれていく連作集。
この作品を読んでいると12節気を大切にしたくなる。読んでいくと、前の話での登場人物がどう成長したのかを感じられて面白かった。
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小さい頃、少し大きな長靴を履いて、わざわざ水たまりを選んで歩いていた。
そんな思い出が浮かんできた本。
空を見上げるのが好きだけど、もちろん気象学的ではなく、雲ひとつない青空に飛行機を見つけるのが好き。
今度からは、天気と関連させて見てみよう!
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【収録作品】一九五八年 立春/一九七五年 処暑/一九八八年 秋分/一九九九年 夏至/二〇一〇年 穀雨/二〇二二年 立春
純粋に知りたいから研究する。役に立つかどうかは問題ではない。そういう姿勢からこそ何かが生まれるのだろうな。
そういう人が家族だと……
最初と最後の「長靴」が象徴的。
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天気の研究に生涯を捧げた藤巻博士がひ孫と散歩に出かけるまでの60年を描いた物語。親が銀行員、子どもが画家、孫が天気の研究員。孫の子どもがヨチヨチと可愛い年ごろ。人生ってあっという間。
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話は、1人の女性が藤巻家へ家事手伝いに行くところから始まります。二十四節気でお祝いをするのが家族行事であったり、風変わりなお坊ちゃんがいたりと、どこか変わっている藤巻家。そしてその藤巻家を取り囲む人々。
藤巻家はどんな人たちなのだろうか。
語り手が家族もしくはその周りの人たち1人1人から順に移っていくオムニバス形式でした。
『自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。
残しておかないともったいない。』p247
家族が1人、また1人と増えていく中で、ずっと変わらないものだけではありません。変わっていくのが常です。
家族の心が離れかけたかと思いきや、思わずほっこりしてしまうあたたかな結末が待っていて良かったです。
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藤巻家の4世代の短編小説集。
気象学者の曽祖父、画家の祖父、曽祖父と同じ気象の道へ進んだ母、小学2年生の玲へとバトンは繋がれていく。
語り部は本人ではなく、隣人や家庭教師、仕事相手などにその輪郭を語らせる。ゆえに本人の輪郭はとてもクッキリと浮かび上がるが、その分内面は読者各々の想像に委ねられている。各々に委ねられてはいるが、作者の巧さによってきっと似た想像をしているのではないだろうか。
異色なのが藤巻家の人間ではないが、ノストラダムスの予言を本気で信じ込んでいたアラサー女性。じわじわとホラーじみ、一見穏やかそうな藤巻家にさっくりと切れ込みを入れている。家族全員(もしくは和也以外)一生消えない傷。皮膚が再生し傷口がふさがったように見えてもその痕は残る、そんな出来事。ほんとに和也、お前な。
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気象学者の曽祖父から続く、家族とその周りの人々の短編連作。
大きな事件が起こるわけではないが、それぞれの人生のうちに起こる出来事が、ときには淡々と、ときには少し湿度をもって綴られていく。
長靴にまつわるエピソードが素敵だった。
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天気博士とその子供、孫、、、の話。
時代の移り変わりについていけなくて何となく流し読み。誰が誰かわかんなくなった。
人と人との繋がりと気象の話っていう素敵な物語のはずなんだけど、イマイチのめり込めず。
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気象学にしか興味のない変わり者の博士とその一家を描いた連作短編です。
全部で6編有りますが、最初の短編には博士と奥さんの出会いが描かれ、その後、博士、息子、孫娘、ひ孫と対象を変えながら話が進んでいきます。
瀧羽さんは2冊目。最初に読んだ『株式会社ネバーラ北関東支社』の感想には「なかなか楽しい物語です。ただ上のように”既視感”を感じるのは、ストーリーも人物設定も、どこかありふれたものだからでしょう(おデブ課長のカッコ良さはちょっと意外性がありましたが)。テレビドラマにでもしたら面白そうな作品です。」と書いています。とは言え、次の一冊に手が伸びるほどの印象は無く、そのまま放置してきた作家さん。最近、どこかで褒められているのを見て手を出す気になったのですが。。。
やっぱり1冊目と同じような感想ですね。悪い話じゃない。気象学にしか興味のない変わり者の博士を初め、登場人物の設定は良い。でもなんか薄い、あるいは軽い。スルスル読んで、後に何も残らない。やっぱりテレビドラマにしたら良いかも。そんな印象です。
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二十四節気を大事にする藤巻家4世代の物語。
気象博士から、そのひ孫まで。
時代時代の価値観の違いや家族っていろいろあるけどそれでも細く長く繋がっていて、家族で祝う季節を感じる行事があるのがいいなとしみじみとした気持ちになった。
最初と最後の博士の長靴の話が素敵。
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年ごとに四世代が受け継がれていく、ゆったりとした時間が流れていく、天気を変えることはできない、あるがままを受け入れるしかないけど、台風などの災害に備えることはできる。風変わりな祖父は、自分の一生涯を天気の研究に捧げるのだろう、空を見上げて時には雨を浴びてメモを片手に‥
長靴とメモ帳のプレゼントが良かった
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母子2人の藤巻家に奉公することになったスミさん
息子は大学の研究室に勤務し、気象学を研究している
いつも空を見上げて歩いている、空以外に興味がない、ちょっと変わった人だ
藤巻家は、二十四節気ごとに決まった食べ物を食べたり贈り物をしたりする風習がある
立春の日、スミさんは息子の昭彦さんから空色の長靴をもらう
章が移ると十数年の時が経っており、家族の形も変わっている
そんな中でも二十四節気の行事は受け継がれていき、時が流れても世代が移ろっても変わらない核がある
最終章では、昭彦さんからひ孫まで4世代が出てきて、スミさんに贈るはずだった青色の長靴が昭彦さんからひ孫の玲に渡される
こうやって藤巻家の歴史は紡がれていくのだろうなと切なくも温かくなるシーンだった
家族も良いことばかりだけじゃなくて、色々あるし上手くいかないこともある
でも脈々と受け継がれていくものがあり、それはありがたいことで、感謝しなきゃいけないんだなと思った
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瀧羽麻子さんの作品を読むのは「うさぎパン」に続き2冊目です。
今回は気象学者の藤巻昭彦さんから始まり藤巻家の4世代にわたるストーリーが書かれています。
私は、もっと気象学がっつりのお話かと思っていましたが、藤巻家の日常をいろいろな世代で書かれていて、
最初と最後のお話がとてもほんわかして
可愛らしかったです。
世代がどんどん変わってもどこか風変わりな
藤巻昭彦さんの温かさが軸になっているので
心があったかくなりました。
最後のお話の
ひいおじいちゃんになった昭彦さんが、メモをたくさんとりながら、空を見上げているのを不思議そうにひ孫の玲くんが見ていると、
「あなたの頭で考えたことは財産です。残しておかないともったいない」とメモ帳をプレゼントしてくれた場面がとても温かく心に残りました。
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気象学者のいる藤巻家と、その周りの人々の物語。
第一章は、昭彦さんとスミさんの出会い。空を見上げてばかりいる昭彦さんと、足元を見ながら歩いてしまう癖のあるスミさん。実は対照的というのが面白い。
その後、時代や語り手を変えながら、藤巻家を見守っていく。
第一章に出てくる贈り物の長靴、最終章で今度は曾孫に贈られ、亡き曾祖母と曾孫のつながりを感じられて、なんだか温かい。
あまり話す機会のない曾祖父って、何となく謎なところがあるけれど、曾孫の趣味のことを覚えていたという優しい心とか、妻や孫娘を想う気持ちも垣間見えて、最終章はとても温かい気持ちになった。
ノストラダムスの大予言を本気で信じている女の子、その後なんとか生きていけただろうか。あの頃、そんな人って一定数はいたのかな。