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とびきりピュアでキュートな初恋純情小説!
毎朝六時半のラジオ体操ではじまり、「いただきます」の声を合図に、ほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。京都の左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、山根が大学院生になった春からもつづいている。寮には、生物学科の安藤や電気電子工学科の寺田、たまに顔を出す数学科の龍彦も含め、趣味と研究を偏愛しすぎるゆかいな仲間ばかり。山根も例外ではない。工業化学科でエネルギーを研究しつつも、花火をはじめ何かが燃える様子を見ているだけで気持ちがたかぶり、「爆薬担当」とからかわれるほどだ。当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだが――。
糺の森を訪れたその日、突然の雷雨に浮かび上がる満開の山桜の向こうに、白いワンピースを着た女のひとがいた。ずぶ濡れになった山根は熱を出し、熱が下がってからもなにやら調子がおかしい。そして、龍彦のガールフレンドの花にたやすく言い当てられる。「山根くん、もしかして好きなひと、できた?」。花は言う、もう一度“姫”に会いたければ、下鴨神社に毎日参拝すべし――と。
葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、不器用な理系男子のみずみずしい恋のときめきを愛おしく描いた長編、初恋純情小説の決定版!
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Posted by ブクログ
2024/09/28
瀧羽さんの本はとても心が温かくなるものが多いので今回はこの本を読んでみました。
理系の大学の研究室でエネルギーに関する研究をしながら息抜きに鴨川のデルタで花火をするという奇特な青年の山根が主人公。雨の日に下鴨神社で会った女性(美月さん)に一目惚れして、距離を縮めようとするのだが、緊張のあまり何もできなかったり、オドオドしまくったりしてて読んでいてムズムズするような感じ。
そうかと思えば、美月さんも、今まで花火すらやったこと無かったりブランコに乗るのをすごく楽しんだりしてて、こんな人現代にいなくない?あざとい系なのか?と思うけどどうやらそうでもないらしい。そんな2人の関係が進展していくにつれて新しく分かることもあって恋愛初心者をムズムズしながら読みたい場合におすすめなんじゃないかと思います。
あとがきを読んで知ったのですが、この本は3作品のシリーズの2作品目で、この小説には前後となる話があることが発覚したので、前後の作品も揃えて読みたいなと思います。
Posted by ブクログ
左京区シリーズ第二弾は、大学院生になった山根くんが主人公。
相変わらずの寮生活が続いています。
バイオを専攻している、食べ物が大好きな安藤くんに加え、三次元ゲームの開発に携わっている後輩の寺田くんや、ダニを研究している川本くんも登場します。
工学部工業化学科、花火が大好きで、小柄でメガネをかけた艶やかな黒髪のおかっぱ頭の山根くんが、白いワンピースの可憐な乙女に人生初の恋をするのです。
花ちゃんのアドバイスを受け、下鴨神社に毎日参拝したかいあってか、名前も知らない例の姫とようやく再会を果たすのですが、なにしろ女性慣れしていない山根くん。お茶をするにも、デートの待ち合わせやランチをするにも失態続きで、笑っちゃいけないけれど、面白すぎます。
瀧羽さんの文章はクセがなくて読みやすく、一癖も二癖もありそうな理系男子をこんなにも楽しく描き上げて、愛情を注いでくれているところに好感が持てます。
葵祭や五山送り火など、京都ならではの伝統行事が盛り込まれていて、とても読みごたえがありました。
恋のお相手は正真正銘の姫だったけれど、山根くん、「姫」に出会えてよかった。楽しい時間を一緒に過ごせて本当によかったです。
Posted by ブクログ
恐ろしいまでに、読んでいて気恥ずかしくなったり、胸がきゅんきゅんしたのである。
恋愛と縁遠き主人公の悪戦苦闘、苦悩の模様はかつて経験した初恋その他における自分の悪戦苦闘、苦悩とよく似ており(というか、誰しも通る道ではないか)、なんとも主人公が愛おしく、また、楽しき友人たちをうらやましく思った。
女性と初めてお茶したときの不安定な心の浮き沈みをジェットコースターに例えたところがあったが、まさしく私も昔そう感じたものだなあと、過去を思ったものである。
そして、好きな人がいてあれこれ思い悩むことはしんどくとも、実に楽しいと感じさせられた。
これからその戦場に赴く者、その戦いの最中の者、全てにおすすめである。
Posted by ブクログ
この物語は、京都でなければ描けない。
葵祭の斎王代に抱いた山根のはかなく切ない恋心も、歴史ある学生寮の取り壊し計画とその阻止のエピソードも、壮大な送り火も、賀茂川の花火も、この作品にはすべてがなくてはならないものになっている。
積み重ねた歳月に磨かれることでしか生まれない光沢を纏う古都の美しさと気高さが、学問に埋もれる生き方を選ぶしかなく、そうすることでしか輝けない山根をやんわりと拒み、その背中を押す。
このはんなり加減は、京都そのものだ。
ラストシーンはこの切ない恋の終わりを飾るにふさわしく、山根にとっての何よりの救いだったと思う。
古都の恋の終焉には、送り火がよく似合う。
過ぎ去るものへの挽歌に、合掌。
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小説・文芸
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