順番は逆になりましたが
おいしい旅、2作目
「あの日の味は」柴田よしき
学生時代、憧れながら過ごした京都。
同じ下宿で青春を分け合った友人たち。
それぞれの人生を重ねた今、
「あの日の味」をようやく求めて出かける旅。
女子三人の京都旅は、軽やかでありながら、
交わされる会話の一つひとつが胸に迫る。
あの頃の夢、選ばなかった道、
今の自分を肯定するための言葉。
みんな、おんなじだね。
「幸福のレシピ」福田和代
福田さんて、こういう小説も書かれるんですね。
亡くなったパティシエの夫が遺したレシピと出会うための、神戸への旅。
料理に刻まれた記憶と時間
「下戸の街・赤羽」矢崎存美
カフェ開店を目指す旧友と歩く、下戸の街・赤羽。お酒ではなく、スウィーツを求めての食べ歩き。
夢の途中の不安も、日常のくたびれも、
甘いものの前では少しだけ後回し。
美味しいものは、やっぱり正義。
「旅の始まりの天ぷらそば」光原百合
軽快な会話劇を聴いているような一編。
一昔前の駅には、今とは違う趣きが確かにあったなあと思う。
不便ではあったけれど、どこか人の体温が残っていた。
お茶のペットボトルが当たり前になる前、
お弁当には、プラの急須にお湯を注ぐお茶が付いていた気がする。
営業マンたちの出張も、
便利さと引き換えに「泊まり」が減っていったのかもしれない。
旅の始まりに立ち食いそば。
「ゲストハウス」新津きよみ
安定の新津さん。
最近よく耳にする、外国人が営む日本のゲストハウス。舞台は、山あいの古民家。
たった一泊の滞在で、
ここまできちんとした物語を立ち上げてくるところが、やっぱり好きだ。
短い時間に、ちゃんと“物語”がある。
「からくり時計のある町で」秋川滝美
15年の付き合いの友人と、
一年も口喧嘩で断絶してしまう。
後悔ばかりの日々の中、
思い出の土地・ドイツで迎える友情の再出発。
長い付き合いの友人とは不思議なもので、
一年や二年会っていなくても、
話し始めれば何事もなかったかのように言葉が戻る。
知り合った頃の距離感に、立ち返れる。
時間を越えて続く関係の、静かな確かさ。
「横浜アラモード」大崎梢
80歳を過ぎて、生まれ育った横浜への旅をプレゼントされた女性。
けれど彼女が本当に行きたかった場所は、別のところにあった。
登場する行程がよくわかるので、土地の記憶をなぞるように楽しく読めましたねー。
連絡も途絶えていた姪との再会と、思い出の味。
なんだか、いいなあと思った。
けれど同時に、自分には兄弟姉妹がいないから、甥も姪もいないのだわー。
しっかり 全作美味しくいただきました。