松岡圭祐のレビュー一覧
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訳アリ物件に住むことを生業とする藤崎という人物を主人公にした連作4篇。
心理的瑕疵を取り除くための瑕疵借りに焦点を当てた類のなさに、新しい社会派小説をみる。
主人公は藤崎であるが、視点は各編異なる人物で描かれている。
学費捻出のためコンビニで働く女店員、小遣い稼ぎのために保証人になった無職の男、息子に自殺された会社員、パチィシエに憧れる娘。
藤崎が係わることによって、彼らがそれぞれのことに気づかされ、救いが生まれる。各編とも胸打たれる佳作となっている。
なかでも、『保証人のスネップ』での遥香の動画には、涙腺を刺激されざるを得なかった。
特異なキャラクターの主人公で、シリーズ化も期待されるのでは -
Posted by ブクログ
川島芳子、本名は愛新覚羅顯シ(王へんに子)。清朝末期、粛親王善耆の第14王女として生まれながら、日本の養父の元で育てられ、男装の麗人として一世を風靡した。
東洋のマタ・ハリやジャンヌ・ダルクとも呼ばれ、太平洋戦争終結時に中国でとらえられ、スパイとして死刑判決を受けたという彼女の確定した史実は極めて少ない。
映画「ラストエンペラー」や「李香蘭」に登場する芳子は決まって美しく謎の男装の麗人として描かれる。彼女は何故、男性として生きる道を選んだのか、彼女の数奇な人生の幼少期から青春時代にかけてを史実から発想されたフィクションとして描いた物語。
そこには、王女として運命を定められた彼女が、政治に利 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「死神」との対決が終わった玲奈の、そもそもその「死神」を生み出した人物との対決。込み入った内容だが全く飽きさせない。ハイレベルな探偵トリック、ギミックも読み手の好奇心をくすぐる。構成もスピード感が最後まで切れず、凄まじいラストシーンに向かって突き進んで行く。最後は少しハリウッド映画的(ハリソン・フォードの逃亡者などを想わせた)で大げさすぎない?と、言うのと、琴葉との関係がややベタッとGL的すぎない?ってケチもつけたい部分はあったかな。それに、最後の方で特に琴葉がダメージ耐性あり過ぎ?ってとこも。ちょっとした描写の加減だとは思ったけど。そこまで肉体的にやられて、それちょっともう無理っしょ、みたい