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Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズと伊藤博文という、2人の不器用な天才を描ききった作品です。シャーロック・ホームズは言わずと知れたミステリ小説の探偵ですが、この世界一有名な探偵は様々な作家の作品で描かれ、もはや歴史の偉人を語るのと変わらぬ存在感です。名前位しか知らない方は一度彼の性格を検索していただければ、相反する性格を併せ持つ人間臭さが分かると思います。
本作でのシャーロック・ホームズは、乱暴に言えば光と影の部分の描写のバランスが秀逸であり、最終的に受ける彼の印象、つまり読後感も素晴らしいです。一つだけ例を挙げると、知識欲の塊である彼は尊皇攘夷の名のもとに外国人を斬りまくった日本に対してかなり悪い印象を持ちますが、いざ日本の地に立てば、平らな目で観察し、即座に沢山のいい所に気付きます。頭が良すぎるが故の思い込みと、真実に触れる機会があれば瞬時に思いを改める柔軟さを併せ持つという事です。
対する伊藤博文も負けず劣らず人間臭く描かれています。総理大臣として国をまとめる冷静さや広い心を持つ反面、関係を悪くすれば日本が滅びる相手でも、怒りを抑えられないこともあります(2人の共通する魅力はこの“しっかり怒れる”点だと思います)。何より斬って当たり前の時代から一転、国際社会に認められる国作りという転換期の苦悩がよく表現されていました。
人物描写だけでなく、当時のイギリスや日本の風景や生活の様子もイメージしやすく興味をかきたてられます。1つ印象深いシーンとして、ホームズが日本を離れるときの別れが寂しくてまとわりつく娘を窘めた母親が、直後にホームズにお辞儀するのですが、ホームズが「日本人は相手の前で自分の娘を叱った時でさえ、相手に謝罪をするほどの繊細さを持っている」と感じる場面があります。
ミステリとしての出来も良く“ホームズまたやってるよ”とかいうようなことも、しっかり伏線となっています。何でもないようなシーン一つ一つも後に意味を持ったりと無駄がありません。もちろんミステリ的にも読後感良好です。
Posted by ブクログ
ホームズと、実在の伊藤博文とのかけあい、そして実際にあった事件でのホームズの活躍。
言葉はわからずとも、類まれな推理力でホームズが日本と溶け合っていくような感覚がとても面白かった。
伊藤家との触れ合いの中で、ホームズの思考が変化していくのも興味深い。
その流れも不自然ではなく、しっかりとした潮流の中にあったと思うし、全体的に「家族」というものが理念的にあったように思う。
そして、日本がの劇的な変化と建設を背景に繰り広げられる、ホームズの推理と博文の行動力。
テンポや展開も非常に読みやすかった。
2人がしっかり相棒のように噛み合ったり、少々意見が食い違ったりと、物語が絵になって浮かんでくるようであった。
シャーロキアンではないが、シャーロキアンでないからこそと言うべきか、とても楽しめた1冊となった。
そして今の情勢にも通ずるところがあるような気がした。
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小説・文芸
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