松岡圭祐のレビュー一覧
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日本人の気質とは
松岡圭祐さんという作家さんは筆が速い。
今までは現代に起きている事象や事件を盛り込んで、今すぐに書籍化する作家さんというイメージでした。
ここにきて、過去の人物や事件を歴史考証も交えて2作品発表したのは、松岡さんになにか変化があったのかな?
おなじみの軽い文体で書かれている分他の時代作品と違いとても読みやすいですが、他の作品(探偵の探偵、水鏡推理、万能鑑定士Q)などとは違い、自由にキャラを動かせる訳ではなく、実際の事件の考証という制限を受けてはいる感じは多少あります。
が、逆にコレがリアルにあったのかという驚きはフィクションとノンフィクションの間に上手くハマっているなとは感じます。 -
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ネタバレ〇 総合評価
10作目に,最初のエピソードの後日談と,凜田莉子が初めて解決した事件についてのエピソードを持ってくるという設定は,面白い。有機的自問自答と無機的検証というシンプルな思考法で,莉子が論理的な考え方を身に着けていく様も描かれている。
作品としては,レシティアという美容院の経営譲渡をめぐる裁判と,エメラルドの密輸という二つの事件が描かれており,いずれもトリックは小粒。長編というより短編のネタ。しかし,その軽いネタを扱いながら,ハイパーインフレ騒動を起こす前の瀬戸内陸の内面の様子を描き,ハイパーインフレ騒動の後日談がさらっと描かれている。
10作目として,莉子が探偵としての能力を開 -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
万能鑑定士Q,凜田莉子の最大のライバル,万能贋作者の雨森花蓮が登場する。莉子は,鎌倉の豪邸に招かれ,不可思議で目的不明な鑑定の数々を依頼される。万能贋作者である雨森花蓮が手掛ける最新にして,最大の贋作,MNC74とは何か?
〇 総合評価 ★★★★☆
凜田莉子のライバルである雨森花蓮が登場。これまでの作品の犯人とは異なり,莉子にやられっぱなしではなく,莉子を上回る知識と存在感。インパクト抜群。万能贋作家として作り出した贋作が,婦人の信頼を得る鑑定士というアイデアは秀逸。ただし,そのアイデアだけの作品で,やや冗長感はある。短編にしていれば,傑作になりえたかも。
とはいえ,トータル -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
凜田莉子は,お盆休みにパリに旅行することを計画するが,ひょんなことから,高校時代の担任,喜屋武と一緒に旅行をすることになる。パリで料理人として修業をしている高校時代の同級生,楚辺に迎えられるが,楚辺が勤務している一流レストランで,フォアグラの食中毒騒ぎが起こる。莉子は,同級生の危機を救うため,パリを駆け回り捜査を行う。
〇 総合評価 ★★★★☆
フランスを舞台とし,ベランジェールという老舗レストランの食中毒事件を,一観光客に過ぎない莉子と喜屋武が捜査するというインパクトのある展開
謎はそこまで魅力的でないが,捜査はテンポよく進み,誘拐事件も起こる。
バベット精肉のごみ箱から -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
マスコミに本物と全く見分けがつかない偽札が送付されたことをきっかけとして,日本を未曾有のハイパーインフレが襲う。日本経済が混乱に瀕する中,凜田莉子は独自に捜査を続ける。果たして,本物と全く見分けがつかない偽札を作り出し,日本経済を混乱に陥れたのは誰なのか。そしてその動機は?万能鑑定士Qシリーズの最初のエピソードの完結編
〇 総合評価 ★★★★☆
偽札騒動をほったんとするハイパーインフレ騒動がテンポよく描かれている。先が気になって読むのをやめさせない抜群のリーダビリティに,驚きの真相。特に真犯人は,消去法で予想がついてしまうのだが,それでも十分インパクトがある。欠点があるとすれば