松岡圭祐のレビュー一覧
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ネタバレ〇 概要
純金が無価値の合金に変わってしまうという「逆錬金術」の謎と,脱税の容疑を捜査するため,凜田莉子は万能鑑定士Qの店舗を閉め,有名ファッション誌のカリスマ編集長に接近する。小説盗難騒ぎ,5億円のペンダントの紛失などの事件,そして最後に残る逆錬金術の謎とは?
〇 総合評価
プロローグ部分から,ちょっとしたサプライズ。凜田莉子が,万能鑑定士Qの店を閉め,ステファニー出版という出版社のカリスマ社長の秘書になるという,驚きの設定
実は,脱税の疑いがあるステファニー出版を内部から調査するために,国税局から依頼され,同社に就職するという話。その中で,盗作騒ぎ,逆錬金術騒ぎ,ペンダント紛失騒ぎ -
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ネタバレ〇 総合評価
シリーズ3作目は倒叙モノっぽいつくりでサプライズがなかったが,シリーズ4作目は,サプライズを狙った作りだと思われる。エピローグから,「催眠」シリーズの嵯峨が登場!とあおっておいて,莉子と一緒に捜査する嵯峨は偽物。その偽物の嵯峨が犯人という作り。驚けることは驚けるのだが,地の文章でも「嵯峨」と表記していたり,それほどフェアではない。ミスディレクションもなく,犯行ができるのは嵯峨だけなので,消去法で嵯峨が犯人だと分かってしまう。サプライズだけを追求するなら,もう一工夫いる。
ノストラダムスの大予言という幻の映画のポスターを狙って放火する放火犯がいるという魅力的な謎で話をひっぱる。 -
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ネタバレ〇 概要
不気味な「力士シール」を誰が,なぜ貼っているのか。取材をしていた雑誌記者「小笠原」は,万能鑑定士の「凜田莉子」に出会う。凜田莉子がいかにして「万能鑑定士」になったのか。莉子が上京してからの様子と小笠原との出会いなどについて描かれた万能鑑定士シリーズの第1弾
〇 総合評価 ★★★☆☆
万能鑑定士シリーズの第1弾。1と2は二つで一つのエピソードを描いている。メインとなる日本の経済破たんのエピソードは,おおむね2の方で描かれている。1は,その伏線となる莉子と小笠原の出会い,莉子の高校時代と上京直後の頃のエピソード,チープグッズとの出会いなどが描かれている。
氷室拓真もちょっと出てい -
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著者による初のクロスオーバー作品ということで、シリーズのどれか一つでも知っているのならば、ワクワクしてしまう仕掛けがいっぱい。
もちろん初めてでも楽しめるが、シリーズを読み漁ってしまうことは間違いない。
二大ヒロイン、と言いながら、『水鏡推理』『添乗員』のヒロインも出てくるからだ。
まだ読んでいないシリーズもあり、またこれで読む本が増えてしまいそうだ。
それにしてもみんな同じ世界にいたとは。
ちょっと上手く行きすぎな気もするが、よく読んでみるともしかしたらその布石は売ってあったのかもしれない。
物語の始まりは、秘密交際クラブの「バーキン事件」だった。
しかしどうも不穏な空気が流れ始める。
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ネタバレ岬美由紀は元航空自衛隊自衛官だった。
臨床心理士として実績を積み、いまや数え切れないほどの賞を授与され、その能力も高く評価されている。
わずかな筋肉の動きや視線の動きから心理を読み取る。
美由紀の能力が優れている点ははカウンセリングだけでなく、瞬時に何をすべきか判断できる対応力にあるのだと思う。
恒星天球教をまとめる真の黒幕が明らかになったとき、彼女もまた平常心ではいられなくなる。
そんな美由紀を救ったのは、共に行動してきた刑事の蒲生だった。
次々と明らかになる恒星天球教の悪行。
そして、ずっと信じ尊敬してきた人の裏切り。
情け容赦のない身勝手な論理に、美由紀だけでなく蒲生にも強い怒りを覚える -
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映画のポスターをめぐる物語。
映画に関するディテールがすごくて、知らないことばかりでその意味でも楽しめた。
マニアじゃなければ知らないようなことも本当に多くて・・・。
嵯峨の登場には驚いたけれど、結果的にさらに驚かされることになるとは。
名探偵のようにさらっと謎を解くだけではない。
あれも違う、これも違うと、紆余曲折しながら真実に近づいていくようすが好きだ。
しかも、きちんと伏線は回収され、結末に少しも嫌な感じが残らない。
莉子だけでなく、小笠原のキャラクターもいい。
初めて嵯峨の姿を目にしたときの小笠原の反応が、やけにストレートで、それでいて拗ねた少年のようで可愛らしい。
純粋な莉子と純情な -
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ネタバレ催眠療法というと何となく怪しげな感じを持ってしまう。
どんなものにでも人それぞれにイメージがあり、相対したときには無意識にそのイメージがすり込まれたフィルター越しに物事をみている。
あの医師には患者を自殺に追い込んだ過去がある。
もしそんな噂を耳にしたら、まさかと思いながらもそんな医師に診てもらいたいとは思わないだろう。
言葉は生きている。
悪意に操られた言葉は悪意をまきちらし、愛に包まれた言葉は愛を育む。
主人公はまだ若かりし頃の嵯峨敏也。
他にも鹿内や朝日奈も登場し、「催眠」以前の人間関係も垣間見ることができる。
「催眠」ほどのサスペンス色もないし、どちらかといったら一般小説に近いような物 -
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主人公である嵯峨敏也は、臨床心理士としての使命を強く持っているプロである。
テレビで見かけたチャネラーの様子が気になり、つい自分で出かけて行ってしまうところは若さゆえといったところだろう。
完全版しか読んでいないので、以前の物語とどこがどう違うのかはまったくわからない。
内容的に大きく変更があったことだけは、あとがきから察せられたけれども。
いくつもの名前を名乗り、それぞれの記憶は共有されることはない。
入江由香という女性にとって、向き合うことも辛いほどの現実から逃げるための「緊急避難」的な症状だったのだろう。
それでも、自分の知らない自分がいることはきっとものすごく怖いことだ。
記憶がない間