伴名練のレビュー一覧
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伴野練編集のSF9作品収録の「日本SFの臨界点[恋愛編]」。
各短編の前の著者紹介が濃いので、どれだけの熱量でこの本を認めたのかが知れるというものです。好きが高じて、の「高じて」を何度も何度も重ねないと届かないと思います。
「死んだ恋人からの手紙」
シンプルに希望と絶望が混交しているのがつらい。恋愛というテーマで集められた短編集なので、悲恋になるのでしょう。手紙を待つ女性が、あくび金魚姫という呼び方で提示されていますが、恋人の印象でそう呼ばれているので、どんな女性かの最終判断は読者にゆだねられている部分があるのが、余計に残酷さを増していると思います。手紙だけで構成されているので、受け取った感 -
Posted by ブクログ
伊藤計劃氏が亡くなってから16年
この“トリビュート”が出版されてから10年
その間、
大きな地震や災害が続き、パンデミックが現実となる。
理由のよくわからない戦争が続き、ドローンや無人兵器が実戦で用いられる。
SNSを用いた世論誘導、生成AIの実用化やマルウェアなど、目に見えない相手の脅威が現実となる。
現実がSFを超える日、それでも読まれる物語がある。
『虐殺器官』から続く天国と地獄の薄っぺらな境界線上での綱渡り……現代ジャパニーズSFの王道となった感がある。
多少の好き嫌いはあるもののどれも圧巻の出来栄えで、分厚い本の残ページが消えていく。
最終話、長谷敏司『怠惰の大罪』が特に響い -
Posted by ブクログ
濃い…!たいへん楽しく読みました。
サブジャンルも新しめのものが多かったように思いましたが、SF色が強いサブジャンルのお話のほうがなんだか叙情的でした。
特に好みだったのは、
○八島游舷「Final Anchors」
○夜来風音「大江戸しんぐらりてい」
○麦原遼「それはいきなり繋がった」
○琴柱遥「夜警」
でした。短編だけれど世界の広がりがすごい。
破茶滅茶になりそうな、大型ディスカウントストア“サンチョ・パンサ”による世界の終わりのお話は、意外と王道少年マンガみたいだったな〜と。ガチャガチャしてそうでしてない。
編者の伴名練さんが1話ごとの後ろにつけられてるコラムの情報量に圧倒され、こん -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。
なめらかな世界と、その敵
ゼロ年代の臨界点
美亜羽へ贈る拳銃
ホーリーアイアンメイデン
シンギュラリティ・ソヴィエト
ひかりより速く、ゆるやかに
SFど真ん中の作品を初めて読んだ気がする。やはりSF……あまり得意ではないなぁ。と、ミステリー畑の人間は思うのであるが、その私をして悩んだ挙句、評価が星4である。面白かったんかい、というツッコミを自分で自分にしてしまうよな。
というのも、短編集で読みやすいのと、SFを読み慣れていないが故にSF独特の世界設定を把握するのが容易でないため入りにくいものの、物語として綺麗にまとまり何かしらの印象を受けること、それらの総合点から「慣れぬし好みか -
Posted by ブクログ
どの短編も楽しめたが、伊藤計劃トリビュートに収められた「美亜羽へ贈る拳銃」と、別々の人工知能によって支配されたロシアとアメリカの戦いを描いた「シンギュラリティ・ソヴィエト」はとても印象深かった。
特に後者は、人工知能に支配された世界では、国民は人工知能の指示に従わざるを得ないが、その指示の意図は人間の知識では分かりえないという、まさに盤上の駒に成り下がった未来の人間の姿がリアルで、シンギュラリティを推し進める現代人の愚かさが身に染みた。ちなみに、人工知能の指示に従わないと、その人の愛国心の評価が下がり、その国での生活がしにくくなるという設定。 -
購入済み
SF小説入門書
SF小説に詳しくない人におすすめできる1冊。
14のテーマごとに1作品ずつ掲載し、関連する作品の紹介をしてくれる。
普段SF小説を読まないので様々なジャンルに触れて、気に入った作品に類似するものを知れるのは有り難い。
私も何作品かフォローした。
掲載作は初心者にも読みやすいように感じる。
幾度か検索は掛けたが、難しすぎて挫折することはなかった。
短編小説だが14作品もあると読み応えがある。
当然合わない作品も出てくるが、そこは仕方ない。
・Final Anchors
・九月某日の誓い
・夜警
この3作品が特におすすめ。
読み進める手が止まらなかった。