伴名練のレビュー一覧

  • なめらかな世界と、その敵

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    冒頭の作品「なめらかな世界と、その敵」の書き出しから違和感を持ちます。
    「うだるような暑さで目を覚まして、カーテンを開くと、窓から雪景色を見た。
     青々と茂った庭の草木に、今もちらちらと舞い落ちている綿のような雪は、いずれ世界を一面の白に染めるだろう。」

     恐ろしく矛盾に満ちた表現ですが、この小説の登場人物たちからすると当たり前のことなのです。
    なぜなら彼女たちは、並行世界を自由に行き来することができるからです。
     例えば、うだるような暑さの現実から雪が降っている現実に移動し、また、青々と草木が茂る現実に移動してから綿のような雪が降る現実を選んで移動することができるのです。
    彼女たちはそれを「あちらに行く」とか「こちらに帰る」と言います。見たい現実を選んで普通に移動しながら生活しているのです。

     SFってスゴイですね♪
     設定で何でもできる♪
     とても開放的で解放的な不思議な感覚の世界の中に浮かんでいるような気がしてきます。
     ちょっとクセになりそうです♡

     そんな世界である事件が起き、ストーリーが動き始めます。そこから先の展開でもまた作者の技量に唸らされます。荒唐無稽のようで堅実です。

     SFは深い。
     ドボーン!

     常識やしきたりなどをかなぐり捨てて、SFの宇宙に飛び込んでみませんか♡
    (大事なポイントを見落とさないように一行一行シッカリ読んでいきましょう。)

    〔作品紹介・あらすじ〕
    並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作など、ベストSF2019[国内篇]1位に輝いた傑作集がついに文庫化

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    2026年10月06日
  • なめらかな世界と、その敵

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    単行本既読。
    数年前に単行本を読んで以来ですが、面白さに視界が開ける感覚は変わりません。
    自分の中になかったものがインストールされるような、そんな体験です。

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    2026年08月30日
  • なめらかな世界と、その敵

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    SF好きな気持ちを思い出させてくれた大切な作品。久しぶりに読み直したんですが、やっぱり名作ですね。どの作品も本当に面白い。

    当時は「ひかりより速く、ゆるやかに」がダントツで好きだったんですが、あらためて読むと「ゼロ年代の臨界点」「美亜羽へ贈る拳銃」が良かったです。特にゼロ年代の臨界点は異常に刺さりましたね。思い返せば、異常論文に載っていた「最後のレナディアン語通訳」もめっちゃ好きなので、伴名練作品の中では、こういう架空の歴史や事件を論文形式で紐解いていくのが自分の好みなんだなって気づけたのは、新たな発見でした。

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    2026年07月31日
  • なめらかな世界と、その敵

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    最初に置かれている表題作が冒頭から「なんだこの世界観は」と惹き込まれるので、以降の作品も続きが気になってしょうがなくなった。
    主人公が他者に強い感情を持っているために、良くも悪くも思い切った行動をする作品が多くて、それが世界観がぶっ飛んでいても読み手が感情移入できる、興味を持てる理由なのかなと読みながら思った。
    どの作品も読み終わったあとにタイトルを見返すと「なるほど」となる内容だった。

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    2026年06月21日
  • 伊藤計劃トリビュート

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    ネタバレ

    伊藤計劃を追悼する8篇。どれも短編としては濃密な設定で、長編小説としても読んでみたいと思わせるものばかりだった。以下は特に面白かったものを示す。

    藤井大洋「公正的戦闘規範」
    伊藤計劃、「虐殺器官」を彷彿とさせるような重厚な戦闘シーンが魅力。偵判打というゲームが、実際の戦闘ドローンの操縦になっていた、という設定に恐怖した。

    吉上亮「未明の晩餐」
    孤高のシェフと孤児二人、死刑囚の最後の晩餐専門シェフというなんともいいキャラ設定。感動。

    伴名練「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」
    切り裂きジャックの独白。ナイチンゲールがフランケンシュタイン博士に改造された屍者で、なんやらこうやら歴史が交錯するスペクタクル。一番面白かった。

    長谷敏司「怠惰の大罪」
    キューバの麻薬カルテルでのしあがるカルロス・エステベスの半生。クライム・ノベルとしての魅力が沢山でワクワクさせられた。

    非常に楽しめた。

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    2026年04月30日
  • 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

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    SF。短編集。
    ホラー寄りのSF短編を集めた一冊。
    個人短編集未収録作品が中心らしく、隠れた名作的な感じ。
    個人的にかなり好みの作品が多く、非常に満足。
    異形コレクション収録作が2作品あり、解説でもシリーズへの言及があったりと、シリーズのファンとして嬉しい。
    「DECO-CHIN」「大阪ヌル計画」「ぎゅうぎゅう」「地球に磔にされた男」「黄金珊瑚」「貂の女伯爵、万年城を攻略す」と好きな作品揃い。
    個人的ベストは石黒達昌「雪女」。妖怪としてメジャーな雪女をSF的に描いた作品。異形コレクションの『進化論』に収録されてもよさそうな生物学的ビジョンが自分好み。
    編者の解説や編集後記の熱量も含めて、SFファンとしては傑作と言いたい一冊。

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    2026年04月03日
  • なめらかな世界と、その敵

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    短編ごとに読み味が違うSF短編集。

    最初はあまりハマらないかな、と思ったのに、お話ごとにどんどん面白くなっていく感じがしました。個人的な好みの問題かもしれませんが。

    設定が奇抜で面白く、全てのお話で趣向が異なるので1つ1つ新鮮な気持ちで読めます。そこからの展開も単純にはならないので、息つく間もなかった。SFって面白いなと思える小説でした!

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    2026年04月02日
  • なめらかな世界と、その敵

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    短編集だと肩の力を抜いて読んだら見事にやられた。読者の予想を1回、2回と裏切ってくる仕掛けの深さ
    が見事だった。途中で「短編集ならそろそろオチかな」と思ったところから更に話が展開し、何度も驚かされた。

    想像だが、これまでのSFをよく研究されていて、「(古い)SF短編はネタの核心を明かしたら終わり」「感情描写に振った短編では科学的な驚きは無いか、アッサリ」あたりのあるあるをメタっているように感じた。SF短編集を読み慣れている人ほど騙されやすいかも?

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    2026年03月24日
  • 新しい世界を生きるための14のSF

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    どれもこれも秀逸な作品ばかりで本当に素晴らしかった。

    ただ、最後の最後で最高傑作をぶつけてきたのにはやられた。この分厚い本は夜警を読ませるための本だったのか。秀逸な作品は全て脇役になりやがったわ・・・・

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    2026年01月23日
  • 新しい世界を生きるための14のSF

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    まだSF作家として単行本を出していない、新人SF作家だけのアンソロジー。でも全部ハズレがなくて凄い。各テーマごとの編者解説も充実で色々な意味で新しいSを盛り上げるための入門書って感じだ。中でも「大江戸しんぐらりてい」「ショッピングエクスプロージョン」の2作がドンピシャ好み。以下収録作ごとのコメント。

    「Final Anchors」
    テーマはAI。トロッコ問題とAI問題の応用で分析的な筆致と現代性はよし。一方でトロッコ問題を題材にするにはオチが予想の範疇を超えるものではなく佳作といったところか。

    「回樹」
    テーマは愛。死者を吸い込み遺族の感情を操る謎の人型樹木!魅力的なギミックと死別百合の相性が良く世にも奇妙なテイストで結構好き。雰囲気特化ではなくそのような存在がなぜあるのか、社会に表れたら人々はどうするか、という分析要素も手堅く奇想SFの本懐。

    「点対」
    テーマは実験小説。元が同人誌だからこそできた文体ギミックを単行本にした苦しさはちょっとあるけどムードと文体実験は良く出来てる。でも収録作の中では意匠強めでパワーはそこまでかな。

    「もしもぼくらが生まれていたら」
    テーマは宇宙だけど改変歴史に入れてもいい。メッセージ性と小説の馴染ませ方は本書でも一番際立っている。あるイベントが起こらなかった世界を舞台に小惑星衝突に立ち向かう高校生の青春を表にしながら、大災害に対する人類の叡智、一見拍子抜けな結末からは科学というものへの信頼も浮き彫りになっている。将来性は一番感じた作家。最後の1行が鮮やかすぎて脱帽。でもちょっと頭で書きすぎた感じはあるわね。

    「あなたの空が見たくて」
    テーマは異星生物。魅力的な異星生物はその生態系を的確に情景として描くだけでもものになるという自信を感じる。編者解説も言う通りとりたてSFでは珍しい生き物でないのに文章の美しさが飛び抜けてて読ませる。

    「冬眠生物」
    テーマは動物。早い話がケモナー獣人叙情物語だけど、冬眠中熊は他の熊の記憶の世界に繋がっていける、というワンアイディアで切なく美しい失恋小説にしている。着想的に民話や神話の要素も取り込んでるんかな?

    「9月某日の誓い」
    テーマは超能力。すでにミステリ業界では有名な作家なのもあるのか筆の達者さでは本書でもナンバーワン。百合小説としても極めて上質で、繊細な雰囲気と作中異能をめぐる謎と伏線回収の気持ちよさが見事に両立している。といっても真相も能力の正体もそんな意外性のあるものではないのだけど、ストレートで投げてストライクをきちんと取ってくる感じ。あと危機を打開するときに能力の詳細を解説するとこれだけ百合に振っても熱血少年漫画っぽくなるのね。

    「大江戸しんぐらりてい」
    テーマは改変歴史。本書収録作で個人的には最強。徳川光圀や関孝和といった実在人物を出して、算術と和歌研究という突拍子もないものを結びつけながら、神話的スケールのとてつもないビジョンと派手なエンタメを見せてくれる。SFに限らず小説には鮮烈なインパクトとビジョンを求めているのでドンピシャ。

    「くすんだ言語」
    テーマは言語。そのままやね。翻訳ツールの発展による未知の言語の誕生と人々への影響という筋立てはワクワクするし、よくあるネタだからあえてスケールを広げすぎずに父と娘の物語に絞ったのも悪くない。けど虐殺文法以後の小説としてはやっぱ地味かなぁ。期待したほどには届かなかった。

    「ショッピング・エクスプロージョン」
    テーマは環境激変。ドン・キホーテで、ワンピースで、サイバーパンクだ。バカバカしく猥雑で意識が低く、なのに熱い。つまり最高の小説だ。ドン・キホーテをイメージしたであろう自己増殖する激安の殿堂が世界を覆い尽くしたポストアポカリプスで創業者が残した宝物「サンピース」をめぐる冒険が始まる。サンピースとか言うてる時点でアホですね。パロディも多いのにどういうわけか冒険物としてはガッツリ骨格がしっかりしてはる。

    「青い瞳がきこえるうちへ」
    テーマはVR/AR。身体障害者でも脳を使った仮想空間でのスポーツなら感覚を得られるよね?という小技でもおっと確かにそうだなと興味深さが募るけど、本題はスポーツ小説としての爽やかさと熱さにある。漫画化しても向いてる感じのシナリオ。

    「それはいきなり繋がった」
    テーマはポストコロナ。でも実態はコロナ禍をフックにしたパラレルワールドものか。コロナのなかった世界とコロナのあった世界が繋がってしまって、しかもなかった世界にはコロナも映らない、という設定が魅力的。世界観描写と主人公カップルと反転世界の主人公カップルのドラマも両立できているししっかりした技術を感じる。

    「無脊椎動物の想像力と創造性について」
    テーマはバイオテクノロジー。改造によってとんでもない糸による生産力を得た蜘蛛により変貌した世界が舞台だが、パニック映画じみた筋書きに対して「生き物が進化により得た世界に働きかける力は人間の想像力や創造性と変わらないんじゃないか」という問いかけがメイン。思索性豊かだが、きれいな京都が蜘蛛の巣に覆われて焼き払われて大炎上するので……きれいなものが燃えてると楽しい!のも加点ポイント。

    「夜警」
    テーマは想像力。編者解説でも言う通りブラッドベリっぽさのある叙情奇想SF。めちゃくちゃ怖いドラえもん。穏やかな導入から世界観がわかって宇宙的恐怖の片鱗に触れた感覚は気持ちよかった。編者はブラッドベリにも届きうると書いてるけど、わかりやすいものの流石に文章のパワーはブラッドベリには敵わんと思うね。でもかなり面白い。

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    2026年01月20日
  • なめらかな世界と、その敵

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    ネタバレ

    世界観を掴むのに手こずる話ばかりだったけど、1作目と最後が素晴らしかった。

    「なめらかな世界と、その敵」
    並行世界を自分の意思で行き来することが当たり前になった世界。事件により乗覚 障害(並行世界を行き来する能力を失う障害)をもった少女とその友達の話。あまりに滑らかに移動するので物語の構造を掴むまで???だったが、この滑らかさが斬新だし、最後の駆け抜けていく描写は圧巻だった。

    「 ゼロ年代の臨界点」
    架空のSF作家ドキュメンタリー。ある女学校を舞台に3人の作家の人生を綴る。よくも悪くも本当の伝記っぽくて淡々としてる。

    「 美亜羽へ贈る拳銃」
    お互いの脳に拳銃で操作をすることで科学的に保証された愛を得ることができるという発明をした少女。「ハーモニー」の内容忘れてしまったけど、その小説から名前を取ったと言うだけであんまり関係ない。

    「 ホーリーアイアンメイデン」 
    抱擁することで改心させることができる姉へ、その妹が死後送る手紙。とても美しい日本語。段々真実が分かってくる独白もので、「妹を殺したのが姉」というのがわかってなるほどね!となった。

    「 シンギュラリティ・ソヴィエト」
    人工知能に支配されたソ連とアメリカの話。赤ちゃんの行進など独特なディストピア感で世界観を把握するに苦労したけど、最後の全てを理解する感覚の描写が良かった。

    「 ひかりより速く、ゆるやかに 」
    時が少しずつ進む新幹線に囚われたクラスメイトたち。その姿を見てある事ないこと言うネット民たちがさもありなんという感じ。わかりやすいし、はるか未来の描写かと思っていたのが主人公の黒歴史小説だったし、解決方法もしっかりSFでハッピーエンドで素晴らしい。とてもすき。

    そして何よりあとがきから伝わる著者のSF愛が良い。本になってない作品でも、傑作は数多くあるのだろうな。作者の編んだアンソロジーも読んでみよう。

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    2026年01月04日
  • 学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖

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    ネタバレ

    イオ(梨)
    保護対象イオが人間だってのは分かったけど保護してるのは何だろうと思いながら読んでいたら人間がまあまあ解剖されてて怖かった。
    イオはヒトか。そうか。
    トラックの転生は人じゃ無いけど人為的には無理だと思います。死ぬのが終わりじゃ無いから出来る所業。怖。

    CHURCH-恐界-(内藤了)
    悲しいな。お別れが出来なくてデスマスク作って。ヒロム君は地下聖堂に囚われて、お父さん亡くなってどうしようも出来なくなったと思ったらお父さんが悪霊になりかけて。
    ヒロム君、お父さんと一緒に天国行けてるといいな。

    サイコロあそび(藤ダリオ)
    原因の人が生き残ったのか。
    生きてるの宏人君と幼くなった風花ちゃんだけど「帰」が出るまで風花ちゃんもサイコロふらないといけないんですかね。
    「帰」に賭けるよりも死にたくなりそう。

    押し入れの宇宙飛行士(伴名練)
    夢か現実か。知っているのは本人達だけでいいだろう。

    しゃぐらどりの娘(澤村伊智)
    ミイラ取りがミイラに。
    最後、政人君が誰か1人でも一緒に助けれたらいいけど。

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    2025年10月27日
  • なめらかな世界と、その敵

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    今の日本においてSFファンを自認するなら必読でしょう、と人に勧めたくなる作品。歳に差はあっても、日本語環境でSF好きになった人生を歩んできているなら、作者があとがきで書いたSFや作品に少なからず触れてきてるだろうし、それらの経緯があって、日本SFとして見事に結実し表現されてると思える。

    「ひかりより速く、ゆるやかに」が一番良かったかな。身近な人へのルサンチマンがキーになってるお話が好きなんだろうと思う。
    2番目に好きなのは表題作「なめらかな世界と、その敵」。作品世界への引き込み方が秀逸だと思った。

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    2025年03月20日
  • なめらかな世界と、その敵

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    ・全編良すぎる。何だこの作品は。5年前から読みたいと思っていたのだから、もっと早く読んでおけばよかった。
    ・ナイフ投げ師読んだ時も思ったけど、こういう短編SF、どストライクなのかもしれないな。美亜羽に送る拳銃がダントツで好み、次点で「ひかりより速く、ゆるやかに。」ですかね。
    ・印象に残ったセリフ
    人間の心は新しい『私』という波に上書きされ続ける砂の城のように脆いものだから、絶対の『私』はいない。だから、同じように不連続な『あなた』との、『他者』との関係の中に、『私』の幻影を築くんじゃないでしょうか」
    ・赤坂アカ先生!!?!?

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    2025年01月13日
  • なめらかな世界と、その敵

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    なんて凄いものを読んだんだという、途轍もない読書感。
    現実世界に軸足を置きながら、異質な未知の世界を旅する感覚。未知な感情が奮い立つのは恐れか喜びか。ああこれがSF短編小説の魅力なのかと打ち震える。
    SFアンソロジーに言及するあとがきも圧巻。

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    2024年11月14日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    中級クラスな難解SFに属すると思うが「ALICE」が個人的に好きだ。
    出版社の都合で、このような実力のある作家を埋もれさせる現状は本当にやるせない。

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    2024年01月16日
  • 新しい世界を生きるための14のSF

    購入済み

    SF小説入門書

    SF小説に詳しくない人にもおすすめできる1冊。
    14のテーマごとに1作品ずつ掲載し、伴名練による類似作品の紹介もある。

    SFの中でも更に幅広いジャンルに分かれてるので自分の好みのジャンルを知れる。
    また、一冊出せそうな分量と熱量で類似作品を紹介してくれているのが非常に有難い。
    興味深いものばかりだったし、何よりSFがもっと好きになった。

    掲載作は初心者でも読みやすいと思う。
    わからないものは調べたけれど難しすぎて挫折することはなかった。
    短編小説だが14作品もあると読み応えがある。
    当然合わない作品も出てくるが、そこは仕方ない。


    ・Final Anchors
    ・九月某日の誓い
    ・夜警

    この3作品が特におすすめ。
    読み進める手が止まらなかった。

    #タメになる #深い #ドキドキハラハラ

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    2026年09月14日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。

    全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダラダラ無駄に長い長編よりもコンパクトに纏まった短編の方が合っているんじゃないか?感心した!見直した!

    それでは、いつものとおり各作品について簡単なコメントをさせて戴こう。
    〇 石川宗生「うたう蜘蛛」
    最後のどんでん返しでSF登場。それまではどうしてこの作品がSFなんだろうかと思ったが、読み返してみると結構伏線を撒いている。このなかなか巧みな技術に感心した。広義の錬金術師は何でもできる、所謂何でも屋。中にはいかがわしいイカサマ野郎もいただろうに。人を甘利信用し過ぎることは昔も今も危険行為だ。警戒感の薄い偉い人は破滅する。あれ、これってネタバレか?

    〇 宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
    おもしろくない。

    〇 斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
    「詠語」って素晴らしい当て字。これだけでこの作品を最高評価せざるを得ない。それと、時間旅行者(女房)が昔改変させられた歴史を元に戻す地味な歴史改変とも思えるが、違う背景シナリオの可能性もある。主人公の心の動きも考えると百合の要素もある。結果として、かなり盛沢山な作品になり、今後の作品にも期待がかかる。

    〇 小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」
    ちょっと大雑把な展開、更に悪く言うとこじつけの様な気がするが、エンタテインメントの要素もあり、小川作品らしい面も垣間見られた。

    〇 伴名練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
    こちらは石川作品と真逆で、最初からSFの世界、典型的なパラレルワールド、王道ですね。これまで主人公が何回も何回もループする作品はあり、本作品の様に少しずつ良い方向に改変するものはあったが、さすがに20,001回も繰り返すアイディアは凄い。それだけでも伴名作品を十分に評価できる。余談だが、最近の将棋中継では形勢判断にAIが用いられる。AIが読みを深める度に形勢が徐々に変化していく。1万手読むのと1億手読むのとではかなり未来が違ってくる場合がある。まあ、AIほどではないが、この世界も場面を少しずつ変化させることで無数の将来が生じる。勿論、今回は億レベルまでには行かないが、主人公は永遠に繰り返す世界を体感する訳だ。ある意味、凄まじい程のパラレルワールドが折り重なった世界を漂流しているとも言える。素晴らしい作品だ。

    今年突然現れたこのアンソロジー、日本SF界に楔を撃ち込む一冊になる可能性を秘めている。

    藤井竜王、棋王戦挑決敗者復活戦、頑張れ!

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    2022年11月29日
  • なめらかな世界と、その敵

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    SFと愛、あと幸運 短編集なので集中出来るタイミングにドワーっと読み進められる手軽さは助かる。しかもどれも話として綺麗で読みやすく、かつ面白かった。(一部話ではないようなものもあるが……)

    解説にある、隔たり/繋がりというのはSFにおける"フィクション"部分の条件にも感じられるが、全体的に『エモい』というのは同意できる。エモいという言葉ではチープかもしれないけれど、要するに進化した世界規則の則(ノリ)、あるいは矩(ノリ)を越える行動力に必要なのは愛なのだという理解をしておきたい。

    あとがきのところで書いてあった和製SFのリストは疎いので一切わからなかったが、こうして同人誌時代の作品集を自分のようなにわかでも(知人の薦めではあるが…)触れられる機会が在るというのもまた一つの幸運なのだな〜と思った。

    自分としては表題作のなめらかな世界と、その敵がやっぱ一番好みかな〜〜
    ストーリーよりも世界設定の部分が自分にハマった感じ

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    2026年03月10日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

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    表題作、200年以上途絶えたことのない楽曲を演奏し続けてきた楽団の話。
    無駄と思えることの中で前に進む人達の姿に自身の想いを肯定してもらえた。

    どの話も面白く、異世界の中での一生(またはそれ以上の時間)と異文化が頭の中で拡がっていく楽しさに震えました。
    異世界ではなく現代を舞台にし、ホラーの要素が入ったモノも良かった。

    こういう作品が埋もれるのはもったいない。
    「日本SFの臨界点」再発見のための企画はとても良い。

    解説がボリュームがあって、熱い。

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    2022年07月27日