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『なめらかな世界と、その敵』の著者・伴名練が、全力のSF愛を捧げて編んだ傑作アンソロジー。恋人の手紙を通して異星人の思考体系に迫った中井紀夫の表題作、高野史緒の改変歴史SF「G線上のアリア」、円城塔の初期の傑作「ムーンシャイン」など、現在手に入りにくい、短篇集未収録作を中心とした恋愛・家族愛テーマの9本を厳選。それぞれの作品への解説と、これからSFを読みたい読者への完全入門ガイドを併録。
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Posted by ブクログ
9つの短編が収録されている。難解な作品は少なく、どれも楽しく読めた。「恋愛篇」とあるが、恋愛要素は少ない。 『死んだ恋人からの手紙』は異空間の仕様で手紙の時系列がバラバラという設定が面白い。戦争に出ている恋人からの手紙によって、異空間からの司令が時系列がムチャクチャなのでよくわからない行動を起こし...続きを読むてしまっていたり、意思疎通が測れない異星人と不条理な戦争を起こしてしまったりと…。 『人生、信号待ち』は高速道路の下で信号待ちをしている間に、家庭が築かれたり子供ができたりと語り手の気づかない間に時間がぱっと進む不思議な世界観。 "彼はぎょっとして立ち尽くした。「ああ、そやったな…」" 『アトラクタの奏でる音楽』は百合。
短編アンソロジーは、いろんな作家の作品に触れられて、お得感があります。 いずれも面白く読ませてもらいましたが、特に気に入ったのは、藤田雅矢「奇跡の石」と小田雅久仁「人生、信号待ち」です。 難解で理解できてないんだけど、なぜか面白い、というSFの懐の深さを感じました。
伴野練編集のSF9作品収録の「日本SFの臨界点[恋愛編]」。 各短編の前の著者紹介が濃いので、どれだけの熱量でこの本を認めたのかが知れるというものです。好きが高じて、の「高じて」を何度も何度も重ねないと届かないと思います。 「死んだ恋人からの手紙」 シンプルに希望と絶望が混交しているのがつらい。恋...続きを読む愛というテーマで集められた短編集なので、悲恋になるのでしょう。手紙を待つ女性が、あくび金魚姫という呼び方で提示されていますが、恋人の印象でそう呼ばれているので、どんな女性かの最終判断は読者にゆだねられている部分があるのが、余計に残酷さを増していると思います。手紙だけで構成されているので、受け取った感情は自分と金魚姫が同一になってしまうのがよろしくない。いや、いいんだけど感情としてはつらいです。すんなりとこの小説の世界に入り込めてしまった、と気づいた時には金魚姫と同一化してしまっていましたね。 「アトラクタの奏でる音楽」 初出は2013年ですが、2025年の現在でも近未来SFで一番実現性が高いのかな、と思える作品でした。理解不能なものを理解可能に紐解こうとする試みの中で予想外のムーブが巻き起こっていく、というのは何が起こるのかという高揚感とそこに待っているであろう不穏と不安、そして一連の出来事の終着点に落ち着いた時の安堵と脱力感。疾走感でないけど、読ませるスピード感が強かったです。 友情か恋愛かと言われると、そのライン上を行ったりきたりしている雰囲気で、対人間でなく彼女たちが今現在、一番唆られているモノの関してが恋愛みたいなモノなのでしょうね。 心に残った2作品。「劇画・セカイ系」「G戦上のアリア」も好きです。 こういうアンソロジー作品や短編集には必ずといっていいほど名前が上がる円城塔作品。やはり馴染むことができない。 読むたびに「また出会ったな円城塔、今度こそ馴染んでやるページをめくる手が止まらない、という感覚を味わってやるぜ」と意気込んで読むのですが、立ち止まってしまう。相性というものがあるんでしょうな。
科学と論理の、先にあるもの。 それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。 つくづく、ミステリとSFは似ているなぁと思う。 よく考えてみると、ミステリを読み漁っていたらいつの間にかSFを手に取っていたり、その逆もまた何度もある。主に森博嗣と萩尾望都を軸足とし...続きを読むて。 〇〇モノ、って括りがあったりとか、いくつかの定型のなかで多様なバリエーションを見せようとしたりだとか、そういう部分が同じ方向を向いてるのかなと思うんだけれど、やっぱり何より物語そのものよりも作家がきちんと論理に支配されている、というのが大きいんだろうなぁ。 きちんと支配されている、ってなんだかマイナスイメージだけど。 そうそう、ミステリ作家とSF作家に共通して、作家自身がそのジャンルの熱心な読者である印象。 恋愛小説を読んだことのない人間が恋愛小説を書くことは出来ても、 SF、ミステリを読んだことのない人間がそれらを書くことは出来ない。 って、これ誰かの名言じゃなかった? 違う?(笑 作家もそうだし、編集者もそうなんだろうなぁ。だからこそ伝説の編集者、みたいな存在も出てくるわけだ。 あーさてさて! 臨界点、と銘打たれているだけあって、もちろん好みはあるけれど粒揃いのアンソロジーでした。 それぞれの短編に、詳細な著者紹介と他短編の紹介が付いてるのもほんとに、心尽くし。入門書としても良いし、玄人好みでもあります。中間くらいのわたしは勿論楽しんで読みました。 『アトラクタ』とか好み。百合SFにベテランが居るとは… 短編の成り立ち的には『ムーンシャイン』がカッコ良すぎる…いや内容も良いけど(笑 こういうエピソード付いてるとより深みに嵌りやすくて良いですよね。 ちょっと敬遠してたけど円城塔読んでみます。 科学と論理の、先にあるもの。 それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。 その頃には科学はもっと先へ上へ、翼を拡げているのだろうけど。 ぁあ、そうね。 このひとたちは、科学に恋をしてるんだな。
なるほど「臨界点」ね。日本SFが積み上げてきた結晶のようなモノ?ここからどう変化していくのか楽しみではある。 こんなレベルのSF作家がゴロゴロ国内にいるのだなあと思うと、物書きになろうだなんてちょっとでも考えたことのある自分が恥ずかしくなってしまう。 どれも高いレベルの短編で、世界線も文章のタッチ...続きを読むもテーマも多様だし、面白かった。「ムーンサンシャイン」は難解だったけど… 登場人物が日本人じゃなかったり舞台が日本じゃないのは、やはり敢えてだね。分かる。 好みだけで一番を選ぶとすれば「奇跡の石」かな。ファンタジーっぽいのが好きなんだと思う。 「アトラクタの奏でる音楽」もスピード感と読後感が良かった。 次は、編者の方の作品を読んでみよう。
恋愛(だけに限らず人のつながりも)主軸に置いたSF愛の塊とも言えるSFアンソロジー。 怪奇編を随分前に読んだが、恋愛編も良い作品が多く大変楽しめた。 読んでいて思ったのは私自身が歴史改変ものが好きだということ。知る歴史ベースにSFの世界になっていくことで想像がしやすく、私のようなSFはたまに読みます...続きを読むくらいの人にとっつきやすいのかもしれない。選出はマニアックなのだろうが、だからこそ新たな出会いがあるのがこういったアンソロジーの良いところだ。G線上のアリアが私には刺さっていた。 本書の後書きでは怪奇編同様アンソロジーガイドもある。さらなる出会いを求めてそれらを読むのも良さそうだ。
恋愛編? 人と人との繋がりには色々な種類がある。 恋とか愛というのもその中のもの。この本にある物語には、それぞれの繋がりがあり、一括りに恋愛と束ねるのは難しいが、人間同士の関係がメインなので、広義の恋愛、人間讃歌と思っていいかな。
現役SF作家である伴名練氏がアンソロジストとして腕を振るっただけあり、商業流通では入手が困難なマニアックで尖った作品を厳選した、読み応えのあるアンソロジーです。中堅どころから新しめの作家が中心。鴨もこれまで存じ上げなかった作家さんの作品もあり、「へー、こんな作家さんもいるのねー」と楽しく読むことがで...続きを読むきました。円城塔作品が、さすがの貫禄ですねー。 ただですね、ひとつ気になる点もありまして。 これ、「恋愛篇」と銘打っていますけど、その必要ありますか?無理やり「恋愛」にこじつけて収録した作品が多く、わざわざ「恋愛篇」としてまとめる意義が今一つよくわからず。わかりやすく売り出して初心者の心を掴もうという、マーケティングの関係なんですかねぇ・・・(SFに恋愛要素を求める読者層って、どれぐらいいるんだろう・・・)。それだったら、「叙情篇」で全然問題ないと思うんだけどなぁ。各作品の序文で、伴名氏が「何故この作品を恋愛ものと考えるか」頑張って説明しているシーンもちらほらあり、余計気になってしまいました。 収録作品はそれなりに粒揃いですので、読んで損はありませんよー。
恋愛篇と言ってもコテコテのラブストーリーみたいなものはなく、基本はSF。ロマンス要素やほっこり要素があるSF、というものが集められてる。高野史緒と小田雅久仁が好きだった。(アンソロジーを読む時の一番の収穫は、好きな作家を発見すること) 「怪奇篇」より、だいぶ良かったです。 中井紀夫「死んだ恋人から...続きを読むの手紙」★★★★☆ - はるか遠く離れた星にいる主人公が地球にいる恋人に手紙を送る。亜空間通信は送信した順で到着するのは限らない、という設定が面白い。また高次元な観点で見れば、生死も一時の状態で、繰り返しているのではないかという考え方も良い。 藤田雅矢「奇跡の石」★★★★☆ - 超能力を持つ人が多く住むという東欧のロベリア(という架空の国)へ訪れた主人公が出会った姉妹の話。音や味など五感を結晶化させることができる能力。美しい雰囲気が漂うSF (恋愛物語ではない) 和田毅「生まれくる者、死にゆく者」★★☆☆☆ - ホッコリ系。産まれかけの子と死にゆく祖父。 大樹連司「劇画・セカイ系」★☆☆☆☆ - ラノベっぽいラブコメSF。 高野史緒「G線上のアリア」★★★★☆ - 高野史緒作品はいくつか呼んだ短篇はあまりハマらなかったものの『カラマーゾフの妹』で食らった。こちらも歴史改変テイストで、ある意味既存の題材(既存の小説や史実)にフィクションや創作を織り込むのが得意な作家のようだ。 - この物語の世界では12世紀ごろから電話が発明されている。古いタイプの電話機ではあるものの、それはインターネットのように世界をネットワークで繋げていて、更に電気工学なんかもあり、なんなら主人公の一人は元ハッカーだ。史実に登場する人物の名前も多数出て来て面白い。 扇智史「アトラクタの奏でる音楽」 - 百合テイストは得意じゃないためスキップ。 小田雅久仁「人生、信号待ち」★★★★★ - 面白い。小田雅久仁作品を読むのは短篇3本目くらいだけど全て面白い。他2本は怪奇ホラーだったけど、こんなロマンチック系も書けるとは。恋愛色は強すぎずで程よい。 - 2つの横断歩道に挟まれた高速道路の高架下で赤信号に挟まれた男女。ラブコメでも始まるのかという雰囲気の中、なぜか赤信号が異常に長いことに気づく。時間の流れが急激に加速し、赤信号のうちに数十年の人生が繰り広げられ、最後に 無事横断歩道を渡り、(恐らく)人生を閉じる。 円城塔「ムーンシャイン」★★★☆☆ - 数字に対する共感覚を持っている少女の話(だということも伴名練の解説があったからわかった) - 円城塔の作品は理解できないことが多いので低評価にしがちだが、それは自分の読解力や想像力がついて行けてないからという自覚もある。それでも読み飛ばさず頑張ってみたくなる。 新城カズマ「月を買ったご婦人」★★★★☆ - 19世紀、令嬢に5人の男性が求婚する、という竹取物語の展開。「G線上のアリア」同様、時代に似つかわしくない技術 (ロケット開発) が登場するタイプ。 - ラノベ出身なだけあって、文章は読みやすい。
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日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙
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