【感想・ネタバレ】なめらかな世界と、その敵のレビュー

あらすじ

並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作など、ベストSF2019[国内篇]1位に輝いた傑作集がついに文庫化

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Posted by ブクログ

今の日本においてSFファンを自認するなら必読でしょう、と人に勧めたくなる作品。歳に差はあっても、日本語環境でSF好きになった人生を歩んできているなら、作者があとがきで書いたSFや作品に少なからず触れてきてるだろうし、それらの経緯があって、日本SFとして見事に結実し表現されてると思える。

「ひかりより速く、ゆるやかに」が一番良かったかな。身近な人へのルサンチマンがキーになってるお話が好きなんだろうと思う。
2番目に好きなのは表題作「なめらかな世界と、その敵」。作品世界への引き込み方が秀逸だと思った。

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

・全編良すぎる。何だこの作品は。5年前から読みたいと思っていたのだから、もっと早く読んでおけばよかった。
・ナイフ投げ師読んだ時も思ったけど、こういう短編SF、どストライクなのかもしれないな。美亜羽に送る拳銃がダントツで好み、次点で「ひかりより速く、ゆるやかに。」ですかね。
・印象に残ったセリフ
間の心は新しい『私』という波に上書きされ続ける砂の城のように脆いものだから、絶対の『私』はいない。だから、同じように不連続な『あなた』との、『他者』との関係の中に、『私』の幻影を築くんじゃないでしょうか」
・赤坂アカ先生!!?!?

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2025年01月13日

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なんて凄いものを読んだんだという、途轍もない読書感。
現実世界に軸足を置きながら、異質な未知の世界を旅する感覚。未知な感情が奮い立つのは恐れか喜びか。ああこれがSF短編小説の魅力なのかと打ち震える。
SFアンソロジーに言及するあとがきも圧巻。

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2024年11月14日

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SFの重要な側面である今の現実世界と、少し異なる世界との隔たりと繋がりを描くを体現した短編集。SFによるSFのためのSF小説。

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2024年08月12日

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むちゃくちゃ面白かった!並行世界、偽史、脳科学、書簡体、サイキック、歴史改変、AI、時間物…とさまざまなジャンルを使いこなした豪華なSF短編集なんですが、設定が全部絶妙で、その設定の面白さを活かしきる構成力が凄まじい。SFがこれからという人にオススメを聞かれたら『星を継ぐ者』か『夏への扉』を薦めることが多かったんだけど、翻訳物慣れてない方もいるし今後は本書を紹介することが増えそう。がっつりSFしてるけど、SF関係なく現代的な小説としてのエモさが爆発していて圧倒的に面白いので。ということでSF興味はあるけど…という方には激しくオススメ!

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

とても素晴らしかったです。

精緻な設定があって、自分の世界とは一見遠い技術がそこにあるけれど、そのなかで生きてる人間の感情は紛れもなく僕たちのものでした。

遠くにある、自分たちの物語。
SFをあまり読んでこなかったけど、きっとこれが、SFの面白さで、多くの人がSFに魅せられ続ける理由なんじゃないかなと、思えました。

もっとSFを読んでいきたいと思います。
たぶんそれが、著者の願いでもある気がするので。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

ずっと気になって伴名練さんのSF短編集をようやく読んだ。
一話一話がとても印象に残る作品集でした。
その話ごとにある”設定”が、ストーリーにおいて重要な要素となっていて、その設定があることで最大限の面白さを引き出しているなと思いました。
とにかく読んでいて引き込まれるし、中々濃密な世界観だったので読むのに時間はかかりましたがとても楽しめました。
どんどんSFを読もうと思います。

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2024年04月16日

Posted by ブクログ

現代のSFをこれでもかと見せつけてくるのに、比較的読みやすいように思う。
「ちょっとSF読んでみたいんだけど」、と言われたときに勧めやすい一冊。

収録されている短編もハズレがない。
特に気に入った作品について感想を書いておく。

表題作の「なめらかな世界と、その敵」は曖昧でゆらいだ世界とその認識をしっかりと文章で描ききっていてすごい。

伊藤計劃オマージュが多分に含まれているらしい「美亜羽へ贈る拳銃」も面白かったのだけど、伊藤計劃作品を未読なのが悔やまれる。

「ひかりより速く、ゆるやかに」は本当に”今”っぽい作品だった。
作中で起きる出来事の現実への目配せを感じつつも、心理描写や展開など、映像化しても映えるだろうなあ。

著者渾身の1万字のあとがきもSFに向けるじっとりとした愛が垣間見えて、読み物として非常におもしろかった。(これはハヤカワのnoteでも読めるので気になる人は読んでみると良さそう)

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2024年03月07日

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面白かった〜!設定は本格SFの重厚さなのに、登場キャラクターがみんな親しみやすくて逆に話のリアルさをあげているように思います。何も聞かずに読んで欲しい!おすすめ!

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2023年12月31日

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「美亜羽へ贈る拳銃」「ひかりより速く、ゆるやかに」の二篇には本当に心を打たれた。
これまでの読書生活で最高ランクの書でした。

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2023年09月21日

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とても面白かった。
「なめらかな世界と、その敵」と「ひかりより速く、ゆるやかに」がとくに好み。
両作品ともに、序盤中盤の緻密な展開から、ラストの世界や時間が目まぐるしく切り替わるシーンの爽快感がたまらない。
これらのラストは映像的な描写で、映画「メッセージ」のラストを思い出した。

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2023年06月30日

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どの話もとっても面白かった。
特に、表題作「なめらかな世界と、その敵」、「シンギュラリティ・ソヴィエト」、「ひかりより速く、ゆるやかに」がお気に入り。
「美亜羽へ贈る拳銃」は未読。伊藤計劃にトリビュートを捧げているということだが、伊藤計劃を読んでいないので「虐殺器官」と「ハーモニー」を読んだら改めて読んでみようと思う。
あとがきの熱量もすさまじく、伴名練さんのSFへの愛が伝わってくる。伴名練さんの編んだアンソロジーも刊行されているので、そちらも読んでみたくなった。

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2023年06月26日

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SF小説は星新一くらいしか読んだことないSF初心者

1話目から、これがSFか!と必死に設定を理解しながら読んだ。でも苦はなくどんどん惹き込まれる。

特に印象に残ったのは、表題作の『なめらかな世界と、その敵』とラストの『ひかりより速く、ゆるやかに』の2つ。

1話目の『なめらかな世界と、その敵』は、冒頭から何が起こってるのかの理解に必死だったけど、すごく惹き込まれた。
どの話も元になったお話とかがあるのかもしれないけれど、まずこういう世界観を思いつくのがすごいし、そのうえでそこから弾き出された人間の心情を捉えすぎててすごい。
当たり前にみんなが出来ることを自分が出来なくなったことで、それまで見えなかったことが自分だけ見えるようになってしまった孤独。
話の展開もすごくよかったー!青春。

『ひかりより速く、ゆるやかに』は読み終えてからも、語られなかった部分とかその後のこととか妄想しちゃって余韻がすごい。
特に印象的だったのは、低速化が起こってからの世間の流れ。
中の人たちが消費されたりどこかで炎上が起こる様子、物流や人の流れの変化、時が経ち関心が薄れていく空気感、どれもとてもリアルだった。実際に起こったらこうなりそう。
こちらも、話の展開がすごく面白くて好きだったーー。

この本が読めてよかった。
斜線堂有紀さんの解説も、あとがきも、物語への理解や感情を深めてくれた。
そして解説で知ったけど、「日本SFの臨界点」シリーズって伴名練さんが編者だったんだ。次のSF小説はその中からチャレンジしなくては!

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2025年07月29日

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SFの短編集。難解なものもあって少し読みにくかったが、どれもSFの世界観がしっかりしていて読み応えがあった。「美亜羽へ送る拳銃」と「ひかりより速く、ゆるやかに」が面白かった。この2つは映像化しても面白いと思う。

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2025年03月21日

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ネタバレ

短編集。
なめらかな世界と、その敵
ゼロ年代の臨界点
美亜羽へ贈る拳銃
ホーリーアイアンメイデン
シンギュラリティ・ソヴィエト
ひかりより速く、ゆるやかに

SFど真ん中の作品を初めて読んだ気がする。やはりSF……あまり得意ではないなぁ。と、ミステリー畑の人間は思うのであるが、その私をして悩んだ挙句、評価が星4である。面白かったんかい、というツッコミを自分で自分にしてしまうよな。

というのも、短編集で読みやすいのと、SFを読み慣れていないが故にSF独特の世界設定を把握するのが容易でないため入りにくいものの、物語として綺麗にまとまり何かしらの印象を受けること、それらの総合点から「慣れぬし好みかと問われると首を傾げるが面白いと思う」との結論に至ったのである。
元々、ライトノベルだろうが一般文芸だろうがなんだろうが、現実世界の荒唐無稽な設定は違和感が先に立ち受け入れづらい性質なので。現実世界ではないと明らかに明示されていたら比較的理解はしやすい。その点、本書は、馴染んだ日本という国の、歴史やら現実やらが舞台なので、いやSFだから当然そうなのだが、「ええ現実にあり得る?」が先に立ってしまう。諸外国からもとから日常に身近でないのでそこまで違和感もないのだが。

そんなこんないいつつ、個人的なお気に入りは「ひかりより速く、ゆるやかに」である。
ヒーローになり損ねた男の話、とか思ったりもしたのだが、ひとかけらの幸福とは名誉とは無関係なところに生まれるものよな、などと思ったりもしつつ、結局は、抗い難い脅威に抗い難い幸福を掴むちいさな生きものたちの物語が好きなのだ。

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2025年02月09日

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SF小説
世界観に引き込まれましたけど、難しかった。
読み慣れていないジャンルだからでしょうか。

他の作品にも触れてみたいと感じました。

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2024年11月20日

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SFに明るければもっと楽しめただろうなと思いながら、読みました。物語として楽しめたのは最後のひかりより速く。
・並行世界を行き来する事が当たり前の世界で行き来できない病にかかる学生
・3人の女性のSF史
・好意を定着させる技術
・シンギュラリティの訪れた世界
・神童の姉に宛てた手紙
・修学旅行の新幹線が低速化してしまい行けなかった学生の話

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2024年10月13日

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SFタイムトラベル物好きです。伊藤計劃さんの作品は「ハーモニー」を読んだことがありますが、独特の世界観、設定に驚かされます。久しぶりに(いい意味で)込み入ったこちらの作品を読んだので頭がパンクしそうでしたが、短編集で読みやすかったです。最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」がお気に入りでした。

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2024年10月12日

Posted by ブクログ

SFって好きだったなあ。筒井康隆、星新一、小松左京、光瀬龍、眉村卓、平井和正、、、新井素子も、、。この作家さんのあとがきで触れられる膨大な情報に驚く。
6つの短編中編は、それぞれ違ったテーマの作品で、パラレルワールド、脳の改変、超能力、人工知能同士の戦い、時間の流れなど、隔たりと繋がりという解説は言い得て妙だ。中でも最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」はなかなかエモーショナルだった。

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2024年07月30日

Posted by ブクログ

どの短編も楽しめたが、伊藤計劃トリビュートに収められた「美亜羽へ贈る拳銃」と、別々の人工知能によって支配されたロシアとアメリカの戦いを描いた「シンギュラリティ・ソヴィエト」はとても印象深かった。

特に後者は、人工知能に支配された世界では、国民は人工知能の指示に従わざるを得ないが、その指示の意図は人間の知識では分かりえないという、まさに盤上の駒に成り下がった未来の人間の姿がリアルで、シンギュラリティを推し進める現代人の愚かさが身に染みた。ちなみに、人工知能の指示に従わないと、その人の愛国心の評価が下がり、その国での生活がしにくくなるという設定。

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2024年02月09日

Posted by ブクログ

いやー、めちゃめちゃよかった!! 設定がとっつきにくいけど理解してしまえば「これを書きたいならそれしかない」という作り込み。表題作のSF×青春の爽快感は天晴れ。ホーリーアイアンメイデンも張られた伏線をしっかり回収する良作。大変よかった。

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2023年11月05日

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SFを私はあまり読まないので新鮮だった。
日常とは繋がっているけど違う世界なのでとても記憶に残るし、人間の核心に迫るところがあると思う。

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2023年07月25日

Posted by ブクログ

SF短編集
どの作品もその設定や世界観に目を引くのはもちろんのこと、
その世界や起こった現象の外側にいる人を中心にした心理描写が素晴らしく
単なるSFとだけではなく、青春小説や恋愛小説、家族小説としても楽しめる篇も
特に好きなのは「美亜羽へ贈る拳銃」で、オチがとにかくニクい
「光よりも速くゆるやかに」も、現代に生きる我々に置き換えられるようなところもあり面白い

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2023年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初に読んだ時、読むのを断念して
半年ぶりぐらいに再度読んでみました。
SF系はその世界を理解しないと中々話についていけないと自分の中では思っています。
SFを読みたいけどその当たりで読めなくなる。
(理解できないからよくわからなくなる)
この本は短編集なんですが
どの話も冒頭でよく分からなくて
み進めるうちに理解できて面白みが出てくるのですが
そこに行くのに冒頭で躓く印象。
しかし読み進めると面白かったです。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

SF短編集!
全6編の話から構成されていて、どの話も秀逸かつ練り込まれた設定が読んでいて、虜になる程面白かったです。
 並行世界を生きる者たちによるSFドラマや、1600万分の1秒の速さで物語が動き出す話は、とても設定が凝っており、面白すぎてあっという間でした。
 その他の話も面白かったが、自分がまだまだSF小説に慣れてない節もあってか、100%理解できていない物語もありました。
 理解できない悔しい部分も残っているため、SF小説にもっと触れていった上で再読したいと思いました!

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

新聞か何かの書評で気になって買っていたものを漸く読んだ。
普段SFは余り読まないので如何とも言い難いが、面白さを感じつつも、個人的には娯楽色や感情的な面がやや強過ぎるように思われた。
「ゼロ年代の臨界点」は、淡々と虚構の歴史を積み上げるところが気に入った。

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2024年11月22日

Posted by ブクログ

SF小説を始めて読みました
『ウ~ン?!』『どういう事( ・ั﹏・ั)』等、読み出しは、世界観が理解出来ず??がいっぱいでしたが、文章は読みやすくスラスラ読み進む事が出来ました。
結果……凄く良かったです✨始めて読んだSF小説がこの本で本当に良かった!タイトル作品の『ひかりより……』は、気がつけば涙流してました

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2024年08月23日

Posted by ブクログ

面白かったけど、SFが初な自分には少し難解なところがあった。最初に謎が提示され、話が進むにつれて回収される形式

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2024年08月20日

Posted by ブクログ

不慣れなSFで、はじめ設定を理解するまで難しく感じたが、「美亜羽に贈る拳銃」でしっかり世界観にハマり、キャラ立ちも良し、攻防入れ替わりのワクワクもあり、SFの面白さが少しわかった気がした。

「ホーリーアイアンメイデン」も良かった。妹からの手紙のみで進行する設定の中で、ここまで不穏でやな感じが描けるとは。
各短編同じ作者とは思えない、全く異なる語り口や手法でSFへの造詣の深さが伺える。

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2024年08月11日

Posted by ブクログ

たまに題名を目にするので読みたかった。
なめらかな世界とその敵、並行世界もの。短編の中で複雑な設定を齟齬なく読者に簡単に理解させるのって難しいと思ったけどうまくいってる。
シンギュラリティソビエト、高度な人工知能。人の会話が人工知能同士の代理戦争になってる。
全体的に設定がユニークだけど話の膨らませかたがそうくるのかー(ちょっと物足りない)という感じ。あと後書きで膨大なSF小説が羅列してあってこの人はSF小説作家というよりSFオタクなんだなと思った。

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2024年07月30日

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