伴名練のレビュー一覧

  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    歴史に生きる人々の心情を特に焦点が当たっていた話や、SF設定におもむきを置いている話、とアンソロジーの強みを活かした独自の世界観が面白かった。

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    2022年11月27日
  • 新しい世界を生きるための14のSF

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    現代2020年代の新進作家のSFを集めている点が興味深い。「SF初心者にこそ読んでほしい」という意図は伝わるが、SF好きが読んでも難しいものが多い。とても一般的とは言い難い。

    個人的に楽しく読めたのは、以下4編。
    ・八島游舷『Final Anchors』
     王道SFど真ん中直球。AI同士の論理対決が熱い
    ・斜線堂有紀『回樹』
     SFはシナリオと設定重視のものが多いがこれは人間の心理と心の機微が描けている恋愛もの
    ・高橋文樹『あなたの空が見たくて』
     最初の数ページで特徴的な異星人が登場し、その世界観が想像される。物語には絡まないがワクワクする
    ・坂永雄一『無脊椎動物の想像力と創造性について』

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    2022年09月05日
  • 新しい世界を生きるための14のSF

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    圧倒的ボリュームにまずは驚く。なんなら、同じボリュームでもう一冊出しかねない、編者の情熱には拍手だが、SFを巡る出版状況がよほど良くなったようで、これも嬉しい。少し前まで、SFは売れない、と断定口調で語る「識者」がいたものだけれどね。肝心の収録作だが、玉石混交などとは言うまい。とはいえ、作品の傾向がバラバラなので、好みははっきりと出るようだ。息を呑むレベルの傑作もあれば、何が書いてあるか分からないなどと思わないが、物語としての勘所がさっぱり掴めない作も多かった。個人的には「九月某日の誓い」、「大江戸しんぐらりてい」、「くすんだ言語」あたりが好き。「もしもぼくらが生まれていたら」は完全に技巧で、

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    2022年07月02日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    現在(皮膚感覚としての)日本SFはある程度の需要があり、こういう作品集が出ることが出来ているのだと思う。
    個人的には、冬至草の後味の悪さが好きだ。
    事実をなぞったような、ある種のとっちらかりが、判断を読者に委ねる事が出来ている。作者の職業柄、理系用語はリアルだが、そのリアルさを、小説として、どう判断するか、というのは、また違う目線もあるかも知れないとは感じた。
    正確である事が、必要である場合と必然である場合は違うからだ。

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    2022年04月14日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    医師として、活躍されているので、余計な事だが、作家として活躍して欲しいと…。才能って、ある人には、幾つもあると認識。

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    2022年01月10日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    なんというか、とてもユニークな筆致と世界観を有する作家です。
    作家自身の個性や情念や熱量、「この作品で何を表現したいのか」といった想い、そうした通常の小説なら当然表出されているものが、この作品群からは全く感じません。徹底的に冷静で冷徹で、まるで科学者のリポートを読むかのような硬質で冷たい作品ばかりです。その突き放したようなスタンスが逆に強烈な個性になっているという、余人を持って変えがたい作家だな、と思いました。

    どの作品も、気持ち的に盛り上がる展開はほぼないです(^_^; 本当にレポートのような文体で、起こっている事象や事件について客観的に確認できることのみを淡々と描写し、だいたいは観察対象

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    2021年12月05日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    これは、理系SFとして傑作と思います。ストーリーとしても、不思議な哀しさがあります。長編が読みたい!

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    2021年11月25日
  • 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

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    短編集の各話が選りすぐりであるが故に、読むことに非常にカロリーを使った。というより連続して複数話読むと胃もたれした。
    怪奇編とはいえ単純に怖いものではなく、どこかおかしな、奇妙な、ちょっとゾワっとするSF短編がまとめられている。
    どれも面白いのだが、個人的には雪女が好きだった。

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    2021年11月12日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

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    ネタバレ

    どの短編も素晴らしかったが、特に好みだったのは「花のなかであたしを殺して」。異民族の習慣、女性は死で妊娠するという生態の村、そこに滞在する人類学者の不死の男。幻想的でめちゃくちゃよかった。あとは表題作「山の上の交響楽」と「見果てぬ風」も面白かったし、伴名練氏の解説も相変わらず凄まじかった…。

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    2022年01月16日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    「希望ホヤ」「冬至草」「雪女」は既読。著者の淡々とした文章が良い。科学者の不正を書いた「アブサルティに関する評伝」と数多の死を書いた「或る一日」が印象的な作品だった。

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    2021年10月17日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    学術論文を思わせる(あるいは擬した)硬質な文体で、疑似科学的幻想を、突き放した視点で描く、研究者作家の短編集。近年は作品の発表がなく、忘れらた作家の印象だが、本業が忙しくなって執筆時間が取れなくなったかららしく、作品に理解者を得られなかったわけではないようだ。
    やはり読後感は重い。いわゆる架空論文は「平成3年――」の一本だけだが、論文を思わせる硬質な文体と、情緒を排して対象を突き放すような筆致は、ほとんどの作品に共通する。これは癖になるかも知れない。

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    2021年08月29日
  • 日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人

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    ネタバレ

    ――



     SFはここまでできる。


     楽しく読むためにはこんなにも注意深くならなくてはいけないのか、という恐ろしさもあるけれど、まぁそれはなんでもか…。
     ほんとにひとことで云えば、情報過多作家である。短編から掌編まで、どんな細かな設定にもタグがぶら下がっていてそこからどこへでも飛べるような。そして飛んでいるうちにここが何処か解らなくなって、着地したら別の短編に居るような。まさにトラベラー。夏だしもう一回読むか。

     本編もそうだけれど、伴名練による解説…解説と云うには膨大な新城カズマ論も情報過多。しかしこういうのがあると、不真面目な読み手である私のような人間は非常に助かります。


     

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    2021年08月13日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

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    『山の上の交響楽』
    『見果てぬ風』
    『死んだ恋人からの手紙』
    は再読。
    結構印象深い作品が多いがやはり上記3作品は良いな。

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    2021年07月24日
  • 日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人

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    「月を買った貴婦人」以外は初読。多彩な作風ゆえに、個人的には好き嫌いが分かれるところ。「ギルガメッシュ叙事詩を読みすぎた男」はショートショートでありながら、はちゃめちゃな展開に強烈な印象を受けた。1番面白かったのは、SFではない「ジェラルド・L・エアーズ、最後の犯行」。作品を埋もれさせないために、SF傑作選にあえてSFでない作品を収録した編者の判断は素晴らしいと思う。

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    2021年07月22日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

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    「山の上の交響楽」「見果てぬ風」「死んだ恋人からの手紙」は既読。「暴走バス」は既視感があると思えば、解説で伴名練の「ひかりより速く、ゆるやかに」に影響を与えた作品と知って、こういった形で編者に影響を与えた作品を読めるとは大変面白い趣向だと思う。個人的にはコミカルな「殴り合い」がとても好きだが、「花のなかであたしを殺して」がタイトルの通り切なくてとても印象に残る作品だった。できるなら、奇想度高めの次なる傑作選もぜひ読みたい。

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    2021年07月13日
  • 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙

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    ネタバレ

    恋愛篇と言ってもコテコテのラブストーリーみたいなものはなく、基本はSF。ロマンス要素やほっこり要素があるSF、というものが集められてる。高野史緒と小田雅久仁が好きだった。(アンソロジーを読む時の一番の収穫は、好きな作家を発見すること)
    「怪奇篇」より、だいぶ良かったです。

    中井紀夫「死んだ恋人からの手紙」★★★★☆
    - はるか遠く離れた星にいる主人公が地球にいる恋人に手紙を送る。亜空間通信は送信した順で到着するのは限らない、という設定が面白い。また高次元な観点で見れば、生死も一時の状態で、繰り返しているのではないかという考え方も良い。

    藤田雅矢「奇跡の石」★★★★☆
    - 超能力を持つ人が多

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    2020年11月04日
  • 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

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    ネタバレ

    伴名練編の短編集、怪奇篇。初めのDECO-CHINから狂気的、文字通りデコチンで笑った。一番良かったのは「地球に磔にされた男」、少しずつ違う世界にタイムトラベル(世界線移動)する男の話。あとは「笑う宇宙」も良かった。狂気塗れの配役を演じる擬似家族、何が本当で何が嘘か。 伴名練氏の著書は短編の「彼岸花」しか読んだことないが、それも良かったので他の著書も読みたい…時間が足りない…

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    2022年01月16日
  • 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

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    かなりディープなSF短編集
    それぞれの短編の切り口もさふことながら気合の入った編者のコメントも見所あり
    SF読み、も極めればもはや学問と感じた

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    2020年10月11日
  • 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙

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     科学と論理の、先にあるもの。
     それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。



     つくづく、ミステリとSFは似ているなぁと思う。
     よく考えてみると、ミステリを読み漁っていたらいつの間にかSFを手に取っていたり、その逆もまた何度もある。主に森博嗣と萩尾望都を軸足として。

     〇〇モノ、って括りがあったりとか、いくつかの定型のなかで多様なバリエーションを見せようとしたりだとか、そういう部分が同じ方向を向いてるのかなと思うんだけれど、やっぱり何より物語そのものよりも作家がきちんと論理に支配されている、というのが大きいんだろうなぁ。
     きちんと支配されている、ってな

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    2020年09月01日
  • 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

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    ホントSF好きなんだろうなぁ、判名さん。
    この解説の熱さはすごい!
    ある意味、本編より目立つ!
    その更に上をいくDECO-CHINのインパクトはエグい!

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    2020年08月31日