堂場瞬一のレビュー一覧
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神奈川県警が誤認逮捕した事実が大きく報道されることとなり、警察庁は神奈川県警そのものを捜査する特命チームを編成した。
真っ直ぐな気質から暴走してしまいある事件をきっかけに左遷されていた神谷警部補は、元々は警視庁敏腕刑事。40の声を聞き、離婚もし、もう戻ることはないと投げやりになっていたある日、その特命チームに呼ばれた。
そこには全国から年齢も経歴も様々な4人が集められていた。
ぎこちなく始まる特命チームによる検証捜査。反発し合い探り合いながらも次第にチームになっていく。また、神谷は避けていた左遷のきっかけの事件と向き合うことにもなるのだった。そして意外な繋がりと組織の中の暗闇にたどり着く!
あれ?この人おかしいなーと思っていたんですよね。やっぱりねー。
また、自然な流れでの神谷の大人な恋もなかなかよいのです。チームのキャラクターもマル。 -
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単純かと思えた窃盗事件の、取り調べに駆り出された大友。
家族に見放され、半ぐれ集団に居場所を見出した犯人。そんな愚者が完全黙秘するのは何故か。
アナザーフェイス7は、シリーズの中でも上位にランクされる傑作といっていい。
失踪課シリーズが一気読みに適しているのの対し、このシリーズは大友のリハビリに対応して、一冊づつゆっくり読む方があっているかも(個人的意見)。
この巻では、長男優斗も中学生に成長し、大友の食事の手助けさえしている。優斗に手がかからなくなれば、大友も元の部署に・・・
福原に続いて、大友の後ろ盾となっている後山の退職に、このシリーズも終わりに近いかも、との予感。 -
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『20[ニジュウ]』というその小説は、設定が凄い。
歴史あるプロ野球チーム“スターズ”に入団した有原。かつては人気と実力を誇るチームだったが、低迷を極めて売却が決定。来期にはオーナーが替わり、首脳陣も一新されてしまうのです。今のメンバーでは最後になるだろう本拠地での試合で、先発を任されたのは有原。高卒ルーキー、プロ初先発の彼は、なんと8回終了までノーヒットノーラン。スターズが1点リードして迎えた9回、このわずか1回の20球について、350頁をかけて描かれるのですから、なんと面白い。
20球を1球ずつ、20人から見た1球毎に描いています。有原本人、それを受ける捕手、守る野手、有原に対する打者。両チーム監督に高校時代の監督、現オーナー、新オーナー、球場のビールの売り子、新聞記者と、さまざまな立場の者にとっての1球。上記の『プロ野球解説者を解説する』を読んだあとだから、これは誰タイプかななどと解説にも興味を惹かれます。
球は速いけれど、制球力皆無の有原は、四球か三振か。投球のリズムが悪くて、守備についている野手は辟易。あり得ないほど汚いスコアブックで、もしも達成されれば史上最低のノーヒットノーラン劇になるだろう、そんな試合。
「野球は、人の心や生き様を変えることもあるんだぜ。お前の今の一球で、人生が変わったと感じた人間は、俺以外にも何人もいるはずだ」。この台詞に、伊坂幸太郎の『あるキング』を思い出しました。 -
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前作の「牽制」で描かれた警察官の失踪事件。
自殺の理由も謎のままで、遺書も謎めいた短い文のみだった。
えらく中途半端な描き方で、「牽制」のストーリー展開に必要だったのか?という疑問さえあった。
まさかこの「闇夜」にエピソードが繋がってくるとは!
思いもよらない展開に驚き、堂場さんの伏線の巧妙さに感心した。
綾奈と同じ年代の少女が犠牲者となったことで、高城の中にも犯人に対する強い気持ちが生まれる。
先へ進むための原動力に悲劇的な事件がなってしまったのは哀しいけれど、高城にとってはまた一歩前に進むことが出来たのではないだろうか。
それにしても、田口の持っている「運」は何だろう。
ここぞというときに当りくじを引いてくるような、持ってうまれたものかもしれないけれど・・・。
失踪課の戦力としては普段はあまり使えない田口だけれど、その分「運」を使って貢献している?と考えると何だか面白い。
捜査本部で捜査員たちを前に話す高城の姿は、切なくて胸が熱くなった。
犯人を捕まえたい!
もう犠牲者は出したくない!
その場にいた捜査官は、きっと全員が同じ思いをより強くしたことだろう。
被害にあった我が子は守りたい。
もうこれ以上傷つけたくはない。
そんな親の気持ちと、犯人を捕まえたいという警察側の気持ち。
どちらも正しくて、だからどちらも譲ることが出来ない。
犯罪被害者家族の辛さは、その立場にならなければきっと誰にも理解できない。
高城をや同じ被害者家族だからこそ通じる何かが、被害にあった少女たちの両親の心を動かせたのだと思う。
綾奈の命を奪った犯人は誰なのか。
いよいよ事件の核心に迫る次作の「献心」。
楽しみにしている。 -
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失踪課ではあまり戦力になっているとは言えない六条舞。
彼女の父親が失踪し、高城たちは捜査のために六条家を訪れる。
しかし、妻も舞も、どこか捜査には非協力的な態度で高城たちに接する。
事件性は薄い失踪かと思われたが、身代金が要求されたことで一気に営利誘拐では?との疑いが浮上し、捜査の中心は失踪課の手を離れた。
これまで失踪課で見せていたキャラは、舞が警察で過ごすための仮面だったのでは?と思ってしまうほどだ。
父親の失踪、そして誘拐。
母親とのぎくしゃくした関係。
何もなかったかのように戻ってくる父親。
家族として、娘として、警察官として。
舞もまた辛い時間を過ごすことになる。
すっかりやる気をなくしていた阿比留も、今回の事件では積極的に動きだす。
直属の部下である舞の父親が関わる事案。
失踪課を守るためにも、部下である舞を守るためにも、阿比留は本来の姿を取り戻していく。
しばらくやる気のまったくない阿比留を見慣れていたので、この復活はちょっとうれしかった。
高城がひとりでまとめていくには失踪課の面々は個性的すぎる。
高城への負担が減れば、それだけ捜査に集中できるのだから。
ずっとこのシリーズを読んできたけれど、今回はちょっと事件性が薄い分読みごたえはなかったかもしれない。
失踪した人間が戻ってきたとしても、何も語らず、協力もしない。
無事に帰ってきたのだからもうそれでいいだろう。
そんな六条の思いが高城たちの捜査を難しいものにしてしまう。
窮地に陥るとなかなか周囲が見えなくなってしまうものだ。
だが、使命を感じて政治の世界に行こうとしていた人のわりには周囲への、特に家族への気遣いがなさすぎた。
事情が事情なだけに難しかったのはわかるのだけれど。
高城の娘である綾奈の失踪を解明する前に置かれた小休止のような物語。
舞を通して家族の在り方をとりあげることで、この先に確実に描かれるだろう綾奈の失踪にまつわる物語への序章のような気もしてきた。 -
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少しずつではあったけれどチームワークらしさが出てきていた失踪課だったが、阿比留の一件以来、最初の頃にも増してぎくしゃくとした空気が漂っていた。
本来なら阿比留に代わって失踪課をまとめなければならない立場の高城だったが、わかってはいても人間には向き不向きがある。
焦る気持ちはあるもののどうにも出来ずにいた高城に、法月はある失踪届の調査を引き継ぐよう依頼する。
失踪から5年。
人探しをするにはあまりにも時間が経ちすぎていた。
事故現場から怪我をしながらも姿を消した野崎。
背景には何が隠されているのか。
野崎の元勤務先への脅迫状。
そして爆破事件。
会社経営をめぐる本家と分家の争い。
綾奈がいなくなってからの年月と、野崎の失踪を重ね合わせて高城は複雑な思いを抱く。
ときおり姿を現す…高城にしか見えない幻なのだけれど…綾奈と高城の会話が切ないながらもあたたかさを感じる。
当たり前のように過ごしていた日常から突然姿を消した娘。
理由もわからない。
生きているかどうかもわからない。
宙ぶらりんの状態では、高城の気持ちに決着がつくはずもない。
これだけ長い間見つからないのだから、当然警察官としては最悪の事態も予想できてしまう。
だから余計に積極的に綾奈の行方を追うことが出来ない。
高城が感じている漠然とした恐怖は、わかるような気がする。
愛美の言い方は遠慮がなく厳しいけれど、たぶん現実を高城に認識してくれとつきつけているだけなのだろう。
1%の可能性があるということは、1%しか可能性がないということだ。
ようやく前に一歩進む決意をした高城を応援したくなる。
結果がどうなるにしても、辛さを乗り越えて進むしかないのだから。
このシリーズを読むようになって、あらためて日本でもある日突然いなくなってしまう人間が少なくないことを知った。
理由はいろいろあるだろう。
自ら姿を消した者。
事件などに巻き込まれてしまった者。
失踪の原因は様々だろう。
高城は、その原因を突き止めることが失踪者を探すためには一番重要だと考えている。
人ひとりの痕跡を完全に消してしまうのは簡単なようで難しい。 -
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アナザーフェイスシリーズ8作目。
人は日々成長する。
小さかった優斗もこの物語では中学生になっている。
優斗のためにと捜査の第一線を退いた大友にも、本格的に復帰する時期が近づいている。
そんな中で事件は起きた。
愛する人のために自分が出来ること。
どうにもならない状況の中で、どんなことをしてでも手助けをしたいと純粋に願うことは美しいのかもしれない。
でも、人として踏み越えてはならない一線は守らなくてはならないと思う。
もしもそのために罪を犯したとしたら、あまりにも哀しい。
悪いことだと知っていて法を犯す者も、そのことを察していても頼らざるを得ない者も、結局のところ傷ついてしまうのがわかっているから。
ずっとシリーズを読み続けてきた。
もう少し優斗の成長が遅ければよかったのに・・・などと思ってしまった。
順調に成長する優斗は、歳相応のよそよそしさはあるものの大友の手をわずらわせるほどのことはない。
聖子さんとの関係も相変わらずだ。
良き理解者でもあり後ろ盾でもあった後山の離職と、ちらりと見える敦美の恋の行方。
大友自身を縛るものはなくなりつつあるが、同時に厳しい現実もすぐそこまで来ている。
家庭での父親という顔、仕事場での警察官としての顔。
その中で見せる大友の葛藤が好きだったので、手のかからなくなった優斗に少しだけ寂しさも感じている。
本格的に復帰してしまったら、はたして大友に魅力を感じることが出来るだろうか。
わずかな不安をかかえつつ、次のアナザーフェイスを待ちたい。 -
Posted by ブクログ
このところ、失踪課シリーズをまとめて読んできたが、10冊を数えこのシリーズ。高城の娘の事件も決着がつき、ついに最終巻。
思いのほかあっけない終わり方、そしてまだ続くような・・・
人気テレビドラマが終了すると、〇〇ロスという言葉が語られる。このシリーズもこれで完結だと思うと、そんな気が生じないでもない。
ここまで読んでくると、高城、愛美、醍醐たちそれぞれが、すぐ近くにいるような現実感で、読み手の頭の中でまだ躍動している。
このシリーズでも、大友鉄や城戸検事、あるいは追跡調査係の西川と沖田たちが出てきたように、現在続いている他のシリーズに、失踪課のメンバーを登場させ、その活躍する姿を見てみたいと思うし、できれば続編も期待したい。