【感想・ネタバレ】裂壊 警視庁失踪課・高城賢吾のレビュー

あらすじ

半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した! 自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれない。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。緊迫の書き下ろし長篇第五弾

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Posted by ブクログ

警視庁の架空の部署である失踪課に所属して活動する高城警部が主要視点人物となり、一人称の語りのように綴られているこのシリーズである。シリーズ各作品には、探偵が活躍する所謂“ハードボイルド”を想起させる雰囲気も漂う。
身に降りかかった事件を乗り越え難く、酒浸りのようになってしまい、何年も無為に過ごした感の高城警部が失踪課に異動したという辺りから始まったシリーズであるが、本作はこのシリーズの第5作ということになる。
本作の物語は梅雨時の或る月曜日から木曜日という感じの物語になっている。
高城警部は頭が上がらない存在である元上司に呼ばれて会食をする。席上、高城警部が渋谷中央署に間借りする失踪課第三方面分室に異動して以来、様々な事件の捜査で実績を挙げていて、第三方面分室は評価を上げているというような話しを聴かされる。
そういうことが在った後、渋谷中央署の失踪課第三方面分室に出勤してみれば「課長査察」という事案が待ち受けていた。半年に一度、普段は本庁に在る課長がやって来て色々と確認するという査察で、事前の準備書類が膨大なものになってしまう。室長の阿比留真弓警視と相談しながら取組まなければならないと高城警部は考えた。
そういうことで高城警部は阿比留室長に相談しようとするのだが阿比留室長の姿が見えない。何かの会議に出るということや、「庁内政治」というのか上昇志向の強い阿比留室長は色々な人に会いに行くことが多く、席を外しているという場合も少なくはない。が、行先を誰かが聞いているというのが普通である。今般は誰も知らない。面倒な作業が生じる査察対応準備を放り出して姿を眩ませてしまっている形だ。
高城警部は、とりあえず「時季外れのインフルエンザで高熱が出て休んでいる」という「ことにする」として阿比留室長を探してみようとする。が、阿比留室長は住まいのこと、家族のことというような個人的な事柄を全然話さない人物だった。第三方面分室の中では誰も聞いたことが無かった。世代が近い同性ということで連れ立って昼食を摂るような場面が無いでもない事務職員の小杉公子も、阿比留室長の個人的な事柄は聞いた記憶がないという様子だった。
阿比留室長の件で活動をしようとした矢先、失踪課第三方面分室に相談者が現れた。やって来た若い男性は大学生で、同じ大学に在る交際中の女子学生の行方がよく判らないのだと申し出る。土曜日に会った後、月曜日に相談をしている。少し性急であると思いながら話しを聴けば、訪ねてみた女子学生のアパートは施錠されておらず、扉を開けて中を覗くと誰かが家探しをしたような荒れた状態であったのだという。そこで警察に相談と思い立ったのだという。何かの事件を感じさせる状況であることから、この女子大生の事案にも取組むということになった。
やがて査察に向けて拳銃の保管庫を見ると、阿比留室長の拳銃が持ち出されていることが判った。阿比留室長は拳銃を持ち出して行方を眩ませてしまったということなのかと、高城警部達は危機感を強める。
高城警部を先頭に失踪課第三方面分室の面々は奔走する。「査察」は木曜日の午後3時に予定されていることから、それまでに阿比留室長の事情を探って、本人を見付け出す必要が在った。他方で女子大生の件も気懸りな話しが出て来る。懸命の捜査の果てに辿り着くことの真相は如何に。
という感じなのだが、本作は失踪課第三方面分室の面々が各々に全力を絞り出して奮闘する。そういう様に夢中になってしまう。頻繁に雨が交じる中で駆け回るが、次々と色々なことが起こり、やがて緊迫する展開になって行く。
本作の題名である「裂壊」だが、これは「破れてしまう」というような意味合いだ。「破れてしまう」のは何なのか。色々な意味合いが込められているようにも思う。
高城警部は「訳アリ」だが、阿比留室長も「訳アリ」であり、そこから拡がる波紋が本作の核心かもしれない。そういうような部分の他方、失踪課第三方面分室の面々が力を合せて難しい事態に立ち向かうというような感じが育まれている。益々、目が離せないような感じになって来たシリーズだ。
何本もの警視庁の警察官達が活躍するシリーズを手掛ける作者は、或るシリーズで別のシリーズに登場する部署や主要人物の名を出すようなことをする場合が多く在る。そんな中で「失踪課の高城」というのが在る程度頻繁に出る。そんなことからこのシリーズに関心を寄せたのだったが、出逢えて善かったシリーズである。

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2025年04月03日

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失踪課の査察の日が迫る中、主人公の上司が失踪してしまいます。

同時に、女子大学生の失踪届も出され、自分の上司とその女子大生の繋がりがあきらかになり、上司と女子大学生の探索が始まります。

上司のプライバシーを全然知らず。(この事件で少しずつ明らかになっていく感じです)そして、査察までに何とか上司を探し出さないといけないという期限付き。

はたして、探し出せるかどうか?

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2022年03月26日

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冒頭からハラハラ・ドキドキ。
前置きみたいなダラダラ感がなく、これまで読んだシリーズの中では一番だった気がする。

母と娘の亀裂の原因がちょっと弱かったかな。
それ以外は文句なしでした。

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2015年02月07日

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素晴らしいメンバーに出会った感じ。
高城警部もいいけど最高です!
明神愛美
早くこのメンバーに再会したいものです。
とりあえず残りの4冊を読みます。

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2010年08月13日

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久しぶりにこのシリーズを読んだので登場人物のキャラクターを大分忘れてすんなり作品にはいれませんでした。只作品は面白く読めました。次作も楽しみにしてます。

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2024年07月31日

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ネタバレ

【警視庁失踪課シリーズ第5作目】
課長査察の直前になぜか室長の真弓が失踪する。しかも拳銃を所持したまま。
その時に女子大生が失踪したから探してほしいと恋人が失踪課を訪れる。
高城は自分の娘が失踪中ということもあり、真弓とはお互いの私生活は明かさないし、お互い詮索していなかったが、今回の事件で真弓のことを調べ始める。
真弓は娘からの情報で事件を明るみにだし、今の地位にのし上がった。自分のために娘をも使って、と言われても。
失踪した女子大生は真弓の娘で、真弓がのしあがった事件の犯人がかかわっていた。
またしても森田の射撃の腕がみれて、失踪課のメンバーのバランスがよくていい。

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2023年05月22日

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普段役に立たない森田、六条も含めて、失踪課のメンバーがまとまって、いいチームだ!と思ったのに、ラストでは課内がぎすぎすしているとは…。
そんな状態で、次回事件はどうなるのか気になる。

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2020年11月29日

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失踪課の室長が突然失踪。そして女子大生の捜索願が出され、二つの出来事の関連性が見えてきますが、捜査課存続をかけた(?)査察までになんとかしなければならないという時間との闘い。所属員たち皆がそれぞれの場所で奮闘します。家族を失った高城と家族関係を失った阿比留との会話が切ないです。特に高城さんの行方不明になった娘の死を確信する哀しさ、あまりにも重いです。

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2020年10月14日

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タイムリミットものはありがちだが、上司の査察というのが何とも日本ぽい。まぁ、警察組織で生き抜くというのがテーマだからある意味自然なわけだが。

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2018年06月02日

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また高城賢吾シリーズ。続き物としては、今まで秘密にされてた同僚の私生活が明かされるあたりが面白い。お荷物すぎて読んでイライラしてた森田と六条が活躍したりやる気を見せたりするのも良い。阿比留の秘密に迫る方がメインで、事件はなんかはあそうですか、って感じですけども。まあ面白かったよ。

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2018年05月01日

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失踪課の阿比留室長が失踪?!
そんなとんでもない事態の発生に、査察をまじかに控える失踪課は、そのタイムリミットにむけて、翻弄される。
同時発生の、女子大生失踪も絡み、事態は混迷の一途をたどる。徐々に明らかにされる室長のプライベートの一面。
失踪課の存亡がかかった事件に、お荷物扱いだった森田と舞も組織の一員と動き始める。
このシリーズ、ますます目が離せない。続けて第六弾へ。

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2017年03月23日

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警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ第5作。

失踪課の室長・阿比留真由美が失踪!? 半年に一度の査察を目前に控え、室長の不在は大問題になる。高城警部たちは行方を探しだそうとするが……。

なぞめいていた真由美の人となりと過去があぶり出されていく過程がスリリングに描かれている。女性が社会的に成功するために負う覚悟と悲哀が胸に迫る。

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2017年01月31日

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2016/02/22 - 2016/02/26

半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した!自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれない。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。

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2016年03月06日

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ネタバレ

堂場瞬一にハズレ無し、無事更新。

やっぱり堂場さんは、安心して読める。

今回、最後まで引っ張った謎(上司の、過去の事件の秘密)は、以外と想像の範囲内だったのには、多少がっかりしたが………。

阿比留さんの、頑な過ぎるほどの上昇思考の根拠が明かされるのかとの期待は肩透かしを食らったが………。

めの甘い犯人、ということであっけない程あっさりと真相が判明した点、少々のご都合主義を感じはしたが………。

主人公たちのドラマには、引き込まれた。
クライマックスの息詰まる展開には、心が踊った。

さて、シリーズを貫く“物語”も、動きを見せてきた。次作が楽しみ。

………行方不明の娘、シリーズ最後には、無事な姿を見せてくれちゃう………のを期待してしまうのは、甘い考えかな。実際にそうなったら、“ありえねぇ~”と鼻白むことになるのかな。

それでも、それはそれで、読後感は悪くはなさそう。


………“日本のコロンバス校事件”って、なんとなく聞き覚えがある気がするのだが、実在事件が元になっているのだろうか。

★4つの、8ポイント。

2012.06.13.了。

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2015年08月21日

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阿比留がただの嫌な女なところに納得。

高城に最後ちくりと。
ごもっとも。
元妻の登場を期待します。

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2012年05月05日

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1昨目の蝕罪から読んでます。間違って6作目の波紋から読んでしまったので、???で何があったの?って感じだったんですけど、ようやく納得がいきました。個人的には愛美の高城を突き放したようで、信頼してる関係が好きです。阿比留室長がどう決着をつけて、話に折り合いがついていくのか楽しみです。

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2011年08月31日

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ネタバレ

室長の阿比留が忽然と姿を消した。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。
●タイトルに納得かなり「裂壊」。シリーズ終わるときにはちゃんと回復するんだろうか。。阿比留が娘を使って昇進したという具体的理由が伸ばしたクセにちょっとチープだったかなとか犯人をつかまえるとき以外とアッサリしてたかなとか思ったけど全体的には面白かったです。

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2011年08月22日

Posted by ブクログ

半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した!自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方はとしてしれない。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。(中公文庫より

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2011年06月27日

Posted by ブクログ

警視庁失踪人捜査課。厄介者が集められた窓際部署で高城賢吾が
奮闘するシリーズ第5弾。

査察を間近に控え室長の阿比留真弓が失踪という事態に
失踪課存続の為、真弓の為、自分達の為に限られた時間の中で
奔走し続ける失踪課はおもしろかった

シリーズを重ねるごとに高城や失踪捜査課の成長が見られるのも
楽しみでしたが、今回のストーリーはこのシリーズの
分岐点になるような感じがしました。

自分の行動を正当化するのはたやすい事だけど家族は・・・
職場の仲間たちは・・・・
またひと波乱ありそうでうす。

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2017年09月20日

Posted by ブクログ

堂場瞬一が描く警視庁失踪人課三方面分室刑事・高城賢吾シリーズ第5作。失踪人課課長の査察を前にして、分室長の阿比留真弓が姿を消す。三方面分室の面々は室長の行方を追う。ちょうどその折、女子大生の捜索願いが出される。やがて二つの事件が交錯し、明らかになった事実とは・・・。失踪人を扱う部署の長が「失踪」するのが今回の肝。最後の最後までスリリングな展開で読ませます。

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2011年08月03日

Posted by ブクログ

まずまず面白かったです。

失踪課シリーズも第5弾。
なんとなく読み続けてます。

今回、話の中で『鳴沢 了』が出てきました。
やはり失踪課でも鳴沢は有名だったんだ(笑)

なんか今回は暗い終わり方でした・・・

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2010年10月21日

Posted by ブクログ

失踪課の色々な意味で個性豊かというか、キャラのたった面々が、それぞれの個性を活かして、事件の解決に向かっていく、テンポの良いストーリー展開は良かったが、母と娘の関係は中々重いテーマ。
父と息子は良くあるけど、母と娘は一度作られた壁を崩すのはより大変そうだ。

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2021年01月22日

Posted by ブクログ

半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した!自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれない。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。

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2018年06月14日

Posted by ブクログ

鳴沢シリーズと同様に、この失踪課シリーズも主人公の訳あり刑事が自己葛藤と闘いながら事件に立ち向かうストーリーです。
毎回事件は解決するものの、ハッピーエンドとは言い難いすっきりしない終わり方で、読後感は決して爽快ではない。でも一作ごとに微妙に登場人物間の関係が変化し、少しずつ主人公の開放に向っていく。シリーズを続けて読まなければ、本当のj魅力は分かりにくいシリーズですね。
今回のキーは阿比留室長の意外な一面でした。

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2012年09月30日

Posted by ブクログ

失踪課室長が失踪。査察を間近に控えたことだった。
捜査一課に帰り咲くことにを一番に考えていた女子室長がとうしてこの時期に失踪したのか?
失踪課のメンバーはなんとか事態を隠しながら捜査を続ける。
室長を信じて、仲間を信じて。
だが、失踪の真実が明らかになったその時、仲間との関係は…
捜査の進捗に色々な思いを馳せながら読んだ。

2012.9.6

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2012年09月06日

Posted by ブクログ

失踪課の室長が銃持って失踪したのを失踪課が追いかける話。
前半進展がトロくて、ムダに長い印象。最終的にはわりと綺麗にまとまってるけど、何もかも綺麗に解決ってわけじゃないところが、ちょっと切ない。

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2012年01月15日

Posted by ブクログ

こじれた家族の問題を抱える失踪者捜査担当刑事の上司が失踪。内密に解決すべく、チーム内たけで奔走。やがて見えてくる上司の家族の問題、過去の爆弾事件とのかかわり。
女性かめだつ物語。著者お得意の警察小説。これも面白い。

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2011年10月27日

Posted by ブクログ

半年に1度の内部査察を目前に室長が失踪!?

2つの失踪事件がつながるという、いつものパターンでしが、これまでのものに比べるとつながりは早い段階で見え見えでした。しかし、それだけに失踪の理由が見えてくるまでのイライラ感はいつもに増して大でした。

「裂壊」というのは完璧に壊れちゃった・・・ということで、色んな人間関係が。それでもまだ続編はあるようなんですが、どうなることやら・・・

(2011/5/20)

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2011年06月04日

Posted by ブクログ

いつもは何でこのタイトルなんだろうと思う高城シリーズ
5作目にして
あー今回は「裂壊」だわと納得

人と人ってなかなか分かりあえないのよね
価値観も色々だし
分かり合えなくても相手を認めるのは大事なんだろうなぁと
思いましたっと

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2010年10月30日

Posted by ブクログ

いままで伏線だけだった阿比留室長の過去に纏わる事件がつにい勃発!
ようやく本格的に社会復帰してきた高城に相反して、家族、というより過去の過ちの為に自分の立場を投げ捨てる覚悟の阿比留室長。そして、それぞれの家族に対する想いや考え方の違いからくる確執。高城を中心にまとまり始めた失踪課の行方を含め、シリーズとしての本筋が色々と転がりだした感がある本作。恐らく、今後の展開へのターニングポイントとなる作品なのかと。。。

ちなみに、前作で「新キャラ登場?」と思わせた井形は全く登場せず、、、ってか、完全にカットアウト。。まぁ、前作に引き続いて森田に見せ場があったり、六条にも少しながらスポットが当たったりと、影の薄かったレギュラーキャラクターたちの存在感が出てきたので、その意味では井形の続投よりはこの方が良かったかと。。お陰で前作に感じた消化不良も少しは解消傾向。
そして再び鳴沢了が名前だけで登場。これは後々の伏線なんだろうか?とは言え、立て続いて出す事もなかったように思うのだが…。。確かに高城とのクロスオーバーを見てみたい気はするけど、失踪課だけで完結させてほしい気もするので、この思わせぶりにはちょっと複雑。。。

とにかく、ようやくシリーズとして盛り上がり始めたので、これからの展開に期待!!

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2010年09月02日

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