あらすじ
五輪代表は誰の手に? 衝撃のマラソン・サスペンス! 大学の陸上部で同級生だった三人が、オリンピック男子マラソン代表・最後の一枠選考レースに出場する。三十歳の彼らにとって、おそらくこれは五輪へのラストチャンスだった。日本最高記録を持ちながら故障に泣かされ続け、「ガラスのエース」とも称された天才ランナー・須田は、最高の練習環境に身を置いて復活を賭ける。陸連批判をして表舞台から去り、四年ぶりに走る武藤は「俺が勝つ」と豪語。そして、優勝経験がなく、“勝ち方を知らない”青山の前には、ドーピングを勧める正体不明の男が接触してきた。青山は卑劣な手段を一旦は拒むが……。スポーツ小説の名手が手がけた、ランナーたちの人生を賭した勝負を活写する、ロングセラー『チーム』の原点ともいうべき傑作長編!
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Posted by ブクログ
2003年発表の作品で、著者のスポーツ小説の中でも初期の一作です。マラソン観戦が好きなこともあって、最後までハラハラドキドキしながら楽しめました。「なぜ走るのか」という問いが、「どう生きるのか」というテーマと重なり合っていて、胸にじんとくる切なさがありました。
Posted by ブクログ
「チーム」長距離陸上シリーズのスピンオフ。
「ヒート」では山城の所属するチームのコーチ,「チームII」では監督となっていた須田真二郎が,現役陸上選手だったころを舞台に書かれた小説。
実業団でランナーとして走る青山晋。大学のころに徐々に力をつけ,箱根駅伝にも三年,四年のときに続けて出場している。だが,マラソンランナーとしては,怪我がないということだけが取り柄の,平均的な成績。
大学のときのチームメイトで,類稀なるスピードを持ち,日本最高記録を持つ須田真二郎。
しか期待されながらも度重なる怪我に泣かされ,五輪に出場することはできなかった。ガラスのエース。
また同じ大学のチームメイトであった武藤憲次。
四年前のオリンピックの選考レースで優勝し代表候補となったのだが,日頃からの陸連に対する批判的な言動が遠因となったのか,代表からは漏れ,結果的に会社を辞めて行方をくらましていた。
その三人が,そろって代表選考レースである五輪記念マラソンに出場し,そこからオリンピック代表を目指す。
五輪記念マラソンに向けてそれぞれのやり方で仕上げていくランナーたち。
不安に付け入るように,薗田という謎の男からのドーピングへの誘い。
ランナーとしてはベテランの青山。
走りで上を目指すことだけではいられない年齢になってきている。
走り続けたい思いと,その後の第二の人生のことも考えなければならないという葛藤。
ドーピングなど,禁じられているものに手を出すのは絶対にありえないと思う気持ちと,ドーピングすればもしかしたら勝てるのではないかという思いのせめぎあい。
これは青山の心の葛藤として描かれている。だがしかし,陸上,ひいてはスポーツ界のドーピング問題に一石を投じるものではないかと思う。
陸上,特にトレーニングを積んでいくときとレースシーンの選手の心理描写は圧巻。さらに陸上界を取り巻く社会にも問題を投げかけているのではないかと感じた。
非常に個人的ですが須田の「やあやあ」っていう力の抜けた挨拶が好きです。
Posted by ブクログ
「チーム」シリーズを読み終えて、この作者のマラソンものも読んでみた。
ドーピングをテーマに学生時代の同期3人の対決が描かれる。駅伝小説の前の作品であるが、終盤のマラソンの場面は引き込まれてしまう。
その分、大会後のエピローグが若干物足りなく感じた。
Posted by ブクログ
【再読】チーム、チームII等に出てくる須田監督が現役時代の話。そしてドーピング問題。同シリーズのヒートだったと思うが、須田の仲間がレース後に亡くなった旨の記憶があり、恐らく武藤が亡くなるのだと思った。途中、まさか青山?とも思い不安になった。
もちろん武藤がドーピングをしていた証拠はない。ただ無念なのが、ドーピングをしていただけでは勝てない。彼は辛い練習も努力もした、苦い過去もある。ドーピングをしていたかもしれないきっかけを作ったのは本人だけでなく周囲の環境もあったように思う。スポーツの世界に性格の良さも必要なのか。
そして青山はコーチに向いている。
このシリーズは何度読んでも面白い。
Posted by ブクログ
ガラスのエース天才・須田と
優勝経験がなく"万年三位"の青山、
そして問題児の武藤。
オリンピックの最期の枠をめぐってかつてのチームメイトである三人の
それぞれの戦いについて青山視点で描かれている。
金持ちの須田、陸上界から抹殺状態の武藤、
オリンピック出場を目指している二人の狂気を見て
だんだんと変わっていく青山の心情。
そこに現れる、謎の男。
ドーピングという重たいテーマを含め
ランナーの心情にフィクションではあるがリアリティが感じられる。
堂場さんのこのシリーズは
本番のレースの時のランナーの心情が
本当に臨場感が感じられやめられない。
最期は衝撃的な終わり方となってしまうが・・・。
エピローグのほっこりで救われた。
Posted by ブクログ
勝ったことがないランナー・青山にドーピングを勧める謎の男。アスリートはみんな勝ちたいって想いを持っているだろうし、どの人物が言っていたことも否定は出来ない、揺れる青山の気持ちも理解は出来る。リアルだった。武藤がそうだったのかは謎だし、検出されなくても青山の気持ちは晴れない。結局代表は辞退、母校のコーチになるけど、やっぱりそういう想いにさせてしまう薬なのて、飲まない方がいい。
Posted by ブクログ
オリンピック代表をかけたレースに挑む主人公と2人の因縁のライバル。主人公にドーピングの誘いがあって。。
いつもながらラストのレースシーンに向けて、しっかりと盛り上げてくれる。レースシーンがとてもリアルなのは、「チーム」や「ヒート」と同じ。ランニング好きにはたまらない小説です。
Posted by ブクログ
最初から最後までやきもきさせられたせいか、走り終えただけで解放感!しかし改めてよくよく考えると、なんとも中途半端な結果なんだろう。青山は煮え切らない男だまったく。
Posted by ブクログ
読んだ気がすると思いながらも、最後まで飽きずに読めました。個人対個人の長時間のレースに勝つには何が必要なのかと思いつつ、それぞれが必要な事を、必要と思えることをして行くんだなという感じがします。(やっぱり読んでると思う)
Posted by ブクログ
チーム→ヒート→チームⅡと読んできて、須田さんの話があることを知り手に取ったキング。
うーん、ヒートやチームⅡの須田さんのイメージとはかけ離れてて同一人物とは思えなかった。笑
といっても本作の主人公は青山。
いろいろと優柔不断な青山にちょっとイライラしたけど彼の選択は間違ってなかったと思う。
サスペンス色が強めだったけどエピローグの須田さんにほっこり。笑
Posted by ブクログ
大学時代を共に過ごした30歳を超えた3人の長距離ランナー。
日本記録保持者だが、怪我が多くガラスのエースと呼ばれながら、
コーチ、メンタルコーチ、栄養士などのチームを作ってボルダーで
合宿をする者。
陸連ともめ、姿を消すが、大学に戻り1人で練習する者
丈夫だけがとりえで、リタイヤした事はないが、勝った事もない者
そんな3人のマラソンにかけるストーリー
俺としてはドーピングの話はあまりなくてもいいのではないかと
感じた。
(恐らく)ランナーではない作者が一流ランナーに取材した書いた
心理状態と一流ではないがちょっとは走っているランナーの俺の心理とでは
だいぶ感覚が違う。
一流ランナーは本当にあんな気持、感覚で走っているのだろうか?
Posted by ブクログ
これ、以前に読んだことがあった気がする。内容も覚えていた。でも、記録がないみたいだなぁ・・・?
内容的には、堂場瞬一のスポーツシリーズ一般に言えることだけど、読みやすく、一気に最後まで言ってしまいます。著者自身が、それぞれ様々なスポーツを経験しているわけではないと思うんだけど、上手く選手の心情を描写しているのも素晴らしいです。