青木薫のレビュー一覧

  • 暗号解読(下)

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    上巻では数学、下巻では科学→物理学という感じ。
    暗号が出来たての頃は生々しい理由からだったけど、今や情報ツールとして私たちが利用しているのも暗号化されているものが身近に沢山ある事を知った。
    量子暗号や量子力学、または量子コンピューターなどこれについて初心者だった為もあり分かりやすく纏められていて助かった。
    量子力学の本も積んでいるので予習できて良かったと思う。
    様々な天才たちが暗号を作成、解読しているドラマチックでロマン溢れるこの行為は現在も続いてるとなると胸が熱くなりわくわくする。
    最後が読み手によって合うか合わないか別れそう。
    私は進化という意味で楽しめた。
    暗号関連ちょっと追ってみたくなりました。

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    2025年08月13日
  • 暗号解読(上)

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    暗号の歴史について、科学史の大家、現代のカール・セーガンともいうべきサイモン・シンが紐解いた本。
    上巻はスコットランド女王メアリーからエニグマ解読まで。相変わらずドラマチックだし、メアリー女王は勿論、ヴィジュネルやバベッジ、チューリングなど題材に魅力的登場人物が多いのも良い。エニグマの解説はどうしてもややっこしいので一般本だとこの本の解説が限界かなぁ。
    とはいえ元の情報を巧みにデタラメな文字列にする暗号発明者と、デタラメな文字列から巧みに法則性を見出す暗号解読者。この2つの視点で書くことで従来の解説本よりも暗号の面白さが際立ってる。こうしてみると暗号技術は理論と職人芸の切磋琢磨により成長してきた事がわかる。

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    2025年08月09日
  • 暗号解読(上)

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    暗号と共に時代の歴史が知れた。
    暗号解読の挑戦状もあり解いてみたけど、読んでて胸が熱くなる。
    いつの時代の戦争にも数学者や科学者が犠牲になることがはっきりと分かる。
    映画だとオッペンハイマーとか。
    上巻は陰謀からの暗号の歴史から量子暗号までがテーマになり、量子暗号のところは読んでいて本当に面白かった。
    量子暗号VS明晰な頭脳。
    人間はここまでできるんだ!?という驚きもあった。

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    2025年06月28日
  • 令嬢だって自分で幸せを掴みとりますわ!アンソロジーコミック

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    全4話。
    絵はまあまあ綺麗な方。
    1話目は鉄板ですが面白かった。
    でも、2話目は???
    自分で幸せを掴みとる?主役は誰?
    4話目は心にわだかまりは残らなかったのだろうか。

    ちょい悩ましいアンソロジーだった気がします。

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    2025年02月09日
  • 暗号解読(上)

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    ゆるコンピュータ科学ラジオというポッドキャストで紹介され、興味を持って読み始めました。過去に、サイモン・シン氏の「フェルマーの最終定理」を読んだことがありましたが、本書も期待を裏切らない内容だと思います。ただ、作品そのものはすばらしいのですが、ラジオで概要と面白ポイントを聞いてしまっていたので、ほとんどの情報は新鮮さを欠いてしまった点が残念でした。良書は前情報なしで読むに限る。

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    2024年11月10日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    優生学は、理論的根拠として遺伝学を取り込み、間違った考えや歴史を生み出した。いまだに私たちの無意識にも、そのような悪しき優生思想の片鱗が存在しているかもしれない。

    自己責任という言葉もそう言った優生学の考えが下敷きにあるからこそ、出てきて、物事の本質を見ないで責任をその人自身の責任にすり替える言葉だと思う。

    この本は、遺伝学をニセ科学の優生学から取り戻すための、挑戦の書である。

    親ガチャの呪いから我々は脱却することができるのだろうか?そのヒントがこの書には丁寧に記述されていました。

    人はこの世に誕生する時、2種類のくじを引かされる。「社会くじ」と「遺伝くじ」だ。

    社会くじは、格差や不平等に結びついている。一方、遺伝くじが、優劣や格差と結びついている根拠を丁寧に紐解く。遺伝子の違いは、能力の優劣ではなくて、能力の違いにすぎない。能力が違うからこそ、それらを受け入れ、包括的思考で公平な世界を作る提案をしているように思った。


    この本では、遺伝的な違いを活用して人生を変える可能性について述べている。具体的には、遺伝学の成果を利用して個人の生まれつきの特性を理解し、それを武器にすることで、教育や社会的機会を最大限に活用できるとしています。これにより、遺伝がもたらす不平等を是正し、「新しい平等」を目指すことが可能になると主張しています。

    読んでよかった。

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    2024年09月28日
  • 宇宙創成(上)

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    サイモンシンの宇宙に関する人類の知識や考えの歴史をドラマチックに描いている。難しい数学が分からなくても、面白いと思える。

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    2024年09月28日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    子どもが育つ社会的環境的条件と、子どもの人生には関係があることは前提=社会くじ。
    遺伝子の偶然も子どもに影響するか。遺伝子の影響も子どもは選べない=遺伝くじ。
    遺伝子の影響を議論すると優生学的とみなされる。
    人種間に遺伝的な違いは無い=人種とは、人類が分類したモノに過ぎず、遺伝子的には広汎な選択肢がある。

    遺伝子は多様正がある。ふたりの親から生まれる子どもの遺伝型は70兆以上の組み合わせがある。一つの特徴的な遺伝情報は、プールの中の一滴のインクのようなもの。エンドウ豆のように単純ではない。
    遺伝子はたんぱく質をつくるレシピ=レシピが同じでも同じ料理はできない。GWAS(ジーワス)=ゲノムワイド関連解析で遺伝子を調べても、遺伝的多様性のほんの一部しか分からない=ポリジェニック性がある。身長を決める可能性のある遺伝子だけでも10万以上ある。
    人間の特性が遺伝的な人種間の違いがある、というのはあり得ない。

    祖先は、遡ると広がる。しかし、数千年も遡ると全員は同じ祖先になる。その祖先の遺伝子が紛れ込んでいる可能性は低い。
    人種は、政治的に差別するために人為的に作られたもの=血の一滴ルールなど。
    アフリカの住民の祖先はアフリカ系遺伝子を持っているが、ヨーロッパ系の祖先も持っている。遺伝子はそれぞれがいろいろな祖先を持っていることを示している。

    統計学の生態学的誤謬=平均としての違いをグループの平均と捉えること。遺伝子の違いを人種の違いと考えることは間違い。
    人種に生物学的な根拠はない。しかし人種集団ごとに遺伝子が違うことは確か。

    ルーマニアの里子実験。ルーマニアの孤児たちを里親に出すか、出さないかで後のIQを調べた実験。30ヶ月を超えると変わらないが、30ヶ月まででは、早い時期に里親に出した方がIQが高かった。
    里親は、IQの原因か?原因と断定するには「反事実」性が必要=第1の対象がおこらなかったとしたら、第2の現象は起こらないこと、が必要=科学的思考の基礎。
    ランダムに振り分けることはその一つの方法。薄い因果関係のモデル。染色体異常でダウン症になることは濃い因果関係。
    遺伝子は兄弟間でも共有率にばらつきがある。50%前後。遺伝子が異なれば人生は異なるものになる。

    高い方を削って全体を均し、格差を小さくする=最悪の環境をつくると格差は小さくなる。悪い環境より良い環境のほうが遺伝率は高い=遺伝的差異を発揮しやすい。
    豊かな環境下での教育は格差が広がる。
    遺伝的な運による不平等も憂慮すべき。
    機会均等はごまかし、不平等を言い訳する方法。

    マタイ効果=マタイの福音書による、持っている人はさらに与えられ、持っていない人は取り上げられる、=介入プログラムはこの傾向にある。最も恩恵を受けるのは中流家庭の子どもたち。

    遺伝情報が間違った方向に利用されないか。
    遺伝学を正しい方向に使うべき。
    遺伝を無視するのは、暗黙の共謀。
    遺伝情報を得るコストは下がっている。

    犯罪行為に対する遺伝情報は受け入れられないだろうが、うつ病や肥満はどうか。遺伝的性質が元々備わっている、とすると対処を必要とするのではないか。

    発話障害の遺伝率は90%以上。
    鉛中毒の測定にIQテストが使われた。
    SATの特典はIQと0.8の相関がある。

    優生学、ゲノムブラインド、アンチ優生学、どの道を選ぶか。遺伝データを活用して適切な介入をすべき。
    数学のポリジェニックスコアが低い生徒は高校から数学をドロップアウトする。その時点で救う介入は成り立つだろう。機会の平等だけでは不公平。

    アメリカはメリトクラシーの国=メリットとアリストクラシーを合わせた造語。社会のエリートは、メリット故に選ばれた人であるべきという考え方。カースト制よりはいい。
    アメリカの絶望死=自殺、薬物過剰摂取、アルコール依存症、による死。
    ロールズの無知のヴェールをかぶって考えれば、遺伝的性質を考慮した社会を作るべきと考えるだろう。

    優生思想と戦うのは、遺伝的に平等だと考える方法だけではない。遺伝子を無視すると、環境因子を変える努力も無駄になりかねない。

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    2024年09月17日
  • 暗号解読(下)

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    マニアックな内容だけど、わかりやすく書いてくれている。暗号ってあまり一般には意識しないけど、実は凄く身近なものだとわかる。

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    2024年09月14日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    三代遡れば8人分。我々は先祖代々受け継がれるものをランダムに配置されてきた。人は生まれながらにして違う。それを認めなければ格差はなくならない。得手不得手は遺伝子が決める。機会均等にしても結果には運が左右する。何が優位かは時代で変化する。バリエーションの多さは種の存続のため。更に、自由主義経済では消費が生産を促す。富の独占では生まれる価値に偏りが出る。優勢思想は今この時代をも衰退させる。苦手なことは補完されて、得意なことは活かされる。出来も不出来も受け入れて、素の姿を尊重する。そんな社会を目指していきたい。

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    2024年08月13日
  • ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

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    ★★★★☆やっと読み終わりました。過酷な運命にも負けずに研究者としてものの仕組みを明らかにする仕事を続けてきた。どのテーマも興味深い内容でした。今話題のAIについては、今後どうなっていくのかちょっと怖くなる内容でした。

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    2024年07月14日
  • 代替医療解剖

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     様々な医療がある現代で、医療効果の厳密な評価の重要さを説いた一冊。コクランレビューの存在を知れただけで価値があったと思う。
     どの医療に対しても適切な認識プロセスを経るべきという著者の意見はとても納得できる。効果が有効と科学的に立証されたものが評価され、投資費用に見合った対価を受け取ることのできる社会であってほしい。
     医療だけでなく、健康効果を謳う商品についても、エビデンスの強固さがどの程度か判断できる基準を学びたいと思った。

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    2024年07月09日
  • 時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙

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    熱力学第二法則の説明にも軽い興奮を覚えたけど、それが宇宙の成り立ちのストーリーにまで発展することに本当にワクワクさせられた。頭の良い人にありがちな、話の論理展開が飛び過ぎてて追えないということがなく、同じことを様々な角度から適切な比喩を持って解き明かしてくれるので、素人にもリーダブル。
    他方、専門外と思われる分野への言及は少し説得力に欠けていたかも。

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    2024年06月19日
  • 暗号解読(下)

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    暗号ってこんなに社会に根ざしているけど、日の目を浴びてない領域ってなかなかないのでは?
    これからもっと大切になっていくと思うので、自分の情報を守ることに対して、少しは意識を持とうという気持ちになった。
    最近はサイバー攻撃もあるので、日本の暗号技術というか、サイバー防衛スキルを高めていって欲しい。今はめちゃくちゃ弱いらしいので。

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    2024年06月11日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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     著者はテキサス大学の心理学教授。本作が処女作ということになるようだ。訳者は「フェルマーの定理」の訳で有名な青木薫氏、最近ではブライアン・グリーンの大著「時間の終わりまで」などがあり、科学啓蒙書の翻訳には定評がある。本書もそれらの例に漏れず訳がこなれていて読みやすい。
     
     著者の主張は本書で幾度となく言及されているように、政治哲学者ジョン・ロールズの思想の強い影響下にある。ロールズによれば、「遺伝子セット(自然的偶発性)」と「社会的環境(社会的偶発性)」は、内在的であるか構築的であるかの違いはあれど、どちらも人間の表現型(実際に発現し測定可能な特質)に作用し、人生の広範な局面に影響を与えるのであり、道徳的見地から甘受すべからざる不平等の原因であることには変わりない。

     従って、前者は絶対的で後者は相対的だとする〈優生学〉の立場は、遺伝の存在を理由にそこから生ずる社会的不平等を放置する無責任なニヒリズムだということになる。また、本来価値中立的な遺伝的情報の差異を即座に社会構築的な(主に西洋白人種を中心とする)価値のヒエラルキーに還元してしまう伝統的な価値基準についても、遺伝子が社会的「価値」に与える影響を吟味せず、生得的なものに盲目的に価値を割り振ろうとする硬直的な価値判断基準であると批判する。
     さらに、そもそも不平等の原因を炙り出すような遺伝子セットの研究自体を不道徳であるとして忌避しようとする〈ゲノムブラインド〉の立場も、不平等と「暗黙の共謀」関係に立っているとして強い批判の対象とする。個体差に遺伝の影響が存在することを認めることと、遺伝の結果生じる不平等を放置することは全く異なるというわけだ。
     上記2つのアプローチを批判した上で、著者は〈アンチ優生学〉の立場に立って公平性に関する政策を遂行すべきだと説く。

     双子研究の成果によれば、現在各国で用いられているゲノムブラインドなアプローチは、貧困世帯における認知能力の遺伝率(=遺伝子の表現型に対する影響度合)を低める、いわば優秀な遺伝子の発現率を阻害するように作用しているという。著者はそのように「高い方を削って全体を均す」のではなく、社会にとって遺伝的に最も不利な因子を持つ人々を遺伝子検査によって特定した上で、それらの人々が幸福な生を生きるために必要なリソースを割り振ろう、と主張する。このように本書には、「構築的であるにすぎない現代社会の価値観に照らして、生得的に有利な因子を持って生まれてきた幸運な個人は、その恩恵を社会に還元すべきである」という、ノブレス・オブリージュ的な発想が根底にある。

     先述のロールズの提唱した有名な概念に「無知のヴェール」があるが、遺伝子検査にはこれと同じような機能があるのだ、というのが本書の梗概なのだと思う。無知のヴェールを被れば個々の前提条件が取り除かれ、最も不利な立場に立って公平とはなにかが考察できるようになる。同様に、遺伝子検査によってどのような遺伝子型が最も不利な表現型につながるのかがわかれば、その遺伝子と表現型の間の長い因果の鎖のどこにどのように介入すべきかを判断する際の不確定要素が取り除かれる事になるのだ。「遺伝子研究の歩みを止めるな、なぜならそれは単に功利的ではない公共の福祉、真に道徳的な公平性につながるのだから」という力強いメッセージを感じた。

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    2024年06月11日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    宇宙にたいする見方がどのように変わってきたかがまとめられている

    これまで、人間原理のことを狭義の観測バイアスとしてしか認識していなかったため何でそんなに論争が起きているのか疑問だったが、科学、宗教的背景の違いによる違いや、多宇宙のより詳細な議論がされていることなどを知り色々と合点がいった。

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    2024年06月01日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    ヒトゲノムが解読された時に「全ての人間は99.99%同一だ」と言ったクリントン大統領の発言は間違っているし、間違いの上に社会基盤を構築しようとするのも間違っている。遺伝による違いは歴然と存在しており、学業の達成度や社会的な成功に関係している。ただし、それは優劣という比較の対象になるようなものではなく、運良くたまたま受け継がれたにすぎず、次の世代に受け継がれていくという保証もない。

    必要なことは機会の均等(全ての人に同じ教育機会を与える)ではなく、個別化、最適化された教育である。ろうやアスペルガーが障害でなく特性だ、というのはやや言い過ぎのように思うが、公平と平等の違いなと、遺伝的な差異と社会制度について考えさせられるとことも多い。

    著者には二人の子供がおり、一人は普通でもう一人は発話障害があるという。このことからも行動遺伝学には馴染があったらしい。全般に翻訳が素晴らしく、出版社のサイトにも詳細な脚注が載せられていて出典にも当たりやすい

    ・過去の優生学への反省から、学業に関する研究は遺伝を一切無視したゲノムブラインドの立場をとる研究者も多いが、ここに遺伝が関与していることは明白で、無視すべきではない。

    ・GWASの結果、個人のポリジェニックスコアは計算されるし、それが学習の達成度などを説明はできる。ただし、GWASは個人の環境などは一切考慮していない

    ・遺伝子があるから結果が怒る、など因果というものについて、ヒュームは
    1)AがあればBが起きる
    2)AがなければBはない
    の二点が必要と考えたが、1はともかく、2は通常の科学的な検証には乗りにくい。

    ・遺伝学は、比較的よく似た環境に生まれ育った人たちが、異なる人生を送ることになるのはなぜかを理解するためには役立つ方法だ。しかし、明らかに異なる出発点にたった人たちが、同じような人生を送らない理由を理解するためには役に立たない。

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    2024年03月24日
  • 暗号解読(上)

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    アラン・チューリングは現代のコンピュータの基礎を作った人なので、もっと多くの人に知られるべきだと思った。チューリングのように活躍した人でも、その社会の中で差別されてしまうと、生きてきけないことに恐ろしさを感じた。そういう人たちがいることで今があることを再認識させられた。

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    2024年03月05日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    遺伝と「平等」と言うと、優生学とか過去の色んな犯罪学とか絡んできて若干引くところがある。

    筆者も、それは否定しないし、実際過去にはそれが利用されて来たのも事実。

    だが、社会的成功や人生に、「遺伝」が絡んでいることは、否めない事実であり、それに目を瞑ることもまた、誤りにつながると論ずる。

    前半は、様々な遺伝に関わる研究の成果、手法の進歩、問題点について触れ、遺伝の影響を排除は出来ないことを述べ、後半でそれを前提にした上で、では、どう言う社会を作っていくのが望ましいのかを説明していく。

    いい内容だと思う。

    環境ガチャと遺伝ガチャは事実であるが、いくつかの特定の遺伝子に起因する病例などを除くと、極めてたくさんの因子が絡んでくる為、簡単にこの遺伝子が決定的とは言えない。あくまで統計と確率の問題ではあるが、それでも確実に、傾向はある。

    遠くから見ればはっきりするが、近づくほどぼやけると言う言葉もいいな。

    そうして、そうして「不平等」を一番背負った人が幸せになるための適切な介入はなされるべき。

    生まれ持ったものを「手柄」には出来ない。
    自分が何であるか、何になるのかが不明な状況で社会は設計されるべき。

    感謝と謙虚と援助だな。

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    2024年02月20日
  • 暗号解読(下)

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    下巻冒頭は太平洋戦争でのナヴァホ暗号から始まった。ネイティブでなければ聞き取れないことを考えると、ある意味最強の音声伝達方法だ。間に古代文字の解読が話題となる。ロゼッタ石のように手がかりがあるものは暗号解読と同じだが、未だ解読されないものがある。そして、いよいよインターネット時代に、非軍事目的で個人情報を守るための暗号の話だ。国家と個人の利益が相反する問題が……。公開鍵、暗号鍵は初級シスアドの参考書で読んだ記憶があるが、暗号のかけ方の理屈は驚くばかり。量子コンピュータによる解読不能の暗号は登場するのか?

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    2023年11月25日