青木薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
既に海外ノンフィクション部門のゴールデンコンビとなっているサイモン・シンと青木薫のタッグは宇宙論という分野にも確かな爪痕を残しました。
うまい安い早いが吉牛なら、うまい、わかりやすい、ためになるがこのコンビの特徴です。
サイモン・シンの展開する科学的な知見をスムーズに理解するには、読んでいてストレスを感じさせない日本語訳があってこそです。
その内容は、科学者や天文学者、さらには物理学者や数学者などを総動員した知の格闘による新たな発見のアウフヘーベン(ある解釈を否定して、さらに高みを目指す思考方法)の蓄積の歴史です。
そして天文学とは我々の存在理由をも決定するという科学的な哲学だということがよく -
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、「いいと思う」「効くと思う」「効くはずだ」といった主観的な判断だけで価値があるとされてきた代替医療にメスを当てて、通常医療と同じ土俵に載せた評価を整理した資料である。
現在認められている通常医療は、もはや二重盲検という医者も患者も目隠しした上で行う臨床試験で効果を示した者のみが認められている。この臨床試験は、きびすぎるがゆえに高コストであることが問題になっているぐらいである。
一方、それ以外のいわゆるヘルスケア(日本では医療という訳語は不適と思うのでヘルスケアとした)は、自主的な試験は行なっているが、科学的な評価を経ることなく、効能がうたわれている実態がある。
そのため、およそ -
Posted by ブクログ
サイモン・シンさん。
とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。
それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑
文中の、
「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれているものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。
胸に残り -
Posted by ブクログ
本書では、宇宙創成の謎に挑戦してきた人類史、科学史にスポットを当てる。古代ギリシャに始まった天文学。地球、月、太陽の大きさや距離を推定した古代天文学者に始まり、暗黒の中世での停滞を乗り越え、天動説を覆したコペルニクス、ガリレオ。初期地動説が生み出す誤差を解消する理論を打ち出したケプラー。ニュートン力学を超え、相対性理論を生み出したアインシュタイン。彼の生涯2つの誤りの一つである静的宇宙モデルを覆したビッグバン宇宙モデルの設立まで、事細かに解説する。 さすがサイモン・シンと思わせる見事な描写は、読むものを引き付けて離さない。本書で書かれていることは、すべて良く知られた事実であるにもかかわらず、そ
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Posted by ブクログ
代替医療というこれも逃れ難い誘惑を持つジャンルに切り込んだ本。
思惑が絡み合う業界なので、自分が病に伏せる前にこういう本を読んでおかないと冷静な判断ができないでしょうね。
鍼やカイロプラクティック、ホメオパシーなどを分析しているが、鍼についてプラセボ効果しかないことは、日本でここまで広まっているために受け入れ難いのでは(海外におけるホメオパシーと同じなのだろうか)。
巻末にはサプリメントやデトックスといった、誰でもやってそうなことにも少し触れられている。
代替医療に引っかかる心理まで解説されており、傑作です。しかし、著者のサイモンシンさんはこの本のせいでカイロプラクティック協会から訴えられてし -
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Posted by ブクログ
物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。
時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。
カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。
次は「フェ