現代数学は現在、多岐にわたり同じ分野の専門家同士でさえ、互いの研究内容を理解することが困難であることが多々あるという。
数学の本質はその自由性にある、という言葉は有名であるがその自由性とはどこから来るのであろうか。
実は、この問題亜は数学だけの問題ではない、正確にいうならば数学だけの問題ではなかっ
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20世紀の物理学も同様の問題に直面していた。
この世界を記述できそうなモデルがたくさんあるように見えたからだ。
ある物理現象を記述する方程式は、うまくその現象を予測したが、まったく別のように見える方程式もまた、その現象を正確に予想することができた。ただし、どちらも正しくないことは明らかだった。なぜならば、ある方程式はある場合(例えば、高エネルギー場)では方程式が破たんし、別の式では高エネルギー場はうまく記述できるが、別のある場合では同様に破たんが生じる。
全体として、この場合ではこの方程式、この場合ではこの方程式とその場その場で適合しそうな方程式を選ぶ必要があった。
当時の物理学者はこの問題にかなり頭を悩ませたらしい。
自然は、このようにたくさんの方式からその都度形を変えて成り立っているのだろうか?
Einsteinが主張したように、重力を支配する方程式はただ一つで、それはどのような状況にも成り立つべきだ、というのが本来あるべき姿のように思えた。
(ここらへんの詳しい話はBrian Greenのエレガントな宇宙を読むとよくわかる)
が、一人の天才がこの状況を解決した。
名はEdward Witten。
彼はその別々の理論が実は、まったく同じ数式でかかれて、各々の方程式が違って見えたのは、そのMaster Equationを違った方法で近似していたためであるということを証明した。
衝撃だった。
今までまったく違って見えた物が、急に見方を変えるとだた一つの式に還元できたのだ!
(余談であるが、この方程式は重力場を組み込んでいないので究極の理論とまではいかないのだ・・・。
これらの統合理論がいわゆる超ひも理論)
前置きが長くなったが、実は本書の主題は上もストーリと似ている。
数学も代数学、幾何学、群論、数論、集合論etc.たくさんの分野に分かれているが、実はそれらは言葉は違うけれども、(数学で書かれた)辞書さえあれば、翻訳できるというのだ。
これのどこが素晴らしいかというと、たとえば代数学の言葉で書かれた難問は難攻不落で、いままでのアイデアではどうにも解けない、しかし上記の事象を使って違う分野の数学に翻訳する。するとその分野ではおなじみの問題として知られて、すでに解法が見つかっているということが起こり得るのだ。
このように、ある理論とある理論がまるで鏡に映したように一方が他方と同じ関係になることを「双対性」と呼ぶ。
この双対性を調べる研究分野が、本書のテーマであるLanglandsプログラムである。
内容は少し専門的なところも出てくるが、理解できなくとも話の流れはつかむことができる。実際、何を言っているのかわからないところを多々あった。。。
本書の最後の数章の愛の方程式は蛇足。これ、いるか?笑
数学者が映画を創るという試みは興味あるし、ぜひ観てみたいような気がするが。。。
あと、著者がかなりイケメン。