青木薫のレビュー一覧
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サイモン・シンさん。
とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。
それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑
文中の、
「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれているものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。
胸に残りました。 -
Posted by ブクログ
本書では、宇宙創成の謎に挑戦してきた人類史、科学史にスポットを当てる。古代ギリシャに始まった天文学。地球、月、太陽の大きさや距離を推定した古代天文学者に始まり、暗黒の中世での停滞を乗り越え、天動説を覆したコペルニクス、ガリレオ。初期地動説が生み出す誤差を解消する理論を打ち出したケプラー。ニュートン力学を超え、相対性理論を生み出したアインシュタイン。彼の生涯2つの誤りの一つである静的宇宙モデルを覆したビッグバン宇宙モデルの設立まで、事細かに解説する。 さすがサイモン・シンと思わせる見事な描写は、読むものを引き付けて離さない。本書で書かれていることは、すべて良く知られた事実であるにもかかわらず、それを一同に系統立てて説明する手法は流れるような心地よいリズムを生み出し、一気に読まずには入られない。すばらしい。
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Posted by ブクログ
代替医療というこれも逃れ難い誘惑を持つジャンルに切り込んだ本。
思惑が絡み合う業界なので、自分が病に伏せる前にこういう本を読んでおかないと冷静な判断ができないでしょうね。
鍼やカイロプラクティック、ホメオパシーなどを分析しているが、鍼についてプラセボ効果しかないことは、日本でここまで広まっているために受け入れ難いのでは(海外におけるホメオパシーと同じなのだろうか)。
巻末にはサプリメントやデトックスといった、誰でもやってそうなことにも少し触れられている。
代替医療に引っかかる心理まで解説されており、傑作です。しかし、著者のサイモンシンさんはこの本のせいでカイロプラクティック協会から訴えられてしまい、最終的に勝訴したものの、2年の歳月と多額の金銭を失ったらしい。著作がこういうことで減るのは残念です。
ムカジーの「がん」といい、医療の歴史には傑作が多いですね。 -
Posted by ブクログ
物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。
時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。
カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。
次は「フェルマーの最終定理」を読んでみたい。
宇宙とは関係ないがバイアグラのくだりは面白かった。 -
Posted by ブクログ
宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。
本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。
本書は、(出版された時点での)最有力の理論、すなわち宇宙は137億年に誕生し、30万年後に現れたゆがみから銀河が誕生したという説に至るまでをスリリングに描く。宇宙論の本では「僕らは星のかけら」が一番面白かったが、本書はそれ以上の面白さ。
特にややっこしいビッグバンモデルと定常宇宙モデルの論点を表にして、一つずつ潰してゆくという展開は、リンカーン・ライムシリーズのサスペンス小説並のワクワク感がある。
宇宙論の中で、我々一般人がピンと来ないのは重力と光の関係と思うが、本書は必要最小限な事項を優しく解説してくれている。したがい、宇宙論の本を初めて読む人もストレスなしに読破できるはずだ。
ただし、本書のオリジナルが出版されたのは2004年。したがい、ヒッグス粒子や重力波の話は、直接には出てこない。しかし、それについては、他の本を読めばいい。
とにかく、本当に本当に面白い本。星6つでも足りない。 -
Posted by ブクログ
本書では、宇宙論の歴史について、その中で人間中心主義がどのように扱われてきたかを軸に描かれている。
古代から、コペルニクス、ニュートンなど多数の科学者の長年の研究を経て、宇宙はあらゆる物理定数が今のような値でなければ存在しえないことが明らかにされるに至り、アインシュタインが究極のテーマと位置付けたのは「神が宇宙を作ったとき、ほかに選択肢はあったのだろうか?」、即ち「宇宙はなぜこのような宇宙なのか?」ということであった。
それに対して20世紀半ばに出てきたのが、「宇宙が人間に適しているのは、そうでなければ人間は宇宙を観測し得ないからである」という、一見科学的ではない「人間原理」と言われる考え方であった。
そして、その後の研究で、「インフレーション・モデル」、「ひも理論」いずれからも、宇宙は無数に存在するという「多宇宙ヴィジョン」が導かれ、アインシュタインの究極のテーマは、「われわれは存在可能な宇宙に存在しているだけであって、この宇宙がこのような宇宙なのはたまたまなのである」という答えが得られそうなのだと言う。
しかし、この結論は、人間中心主義を排除することによって進歩を遂げてきた現代科学において、「未来永劫観測することのできない多宇宙ヴィジョンは、科学と呼べるのか?」という、科学についての究極とも言える争点を提示しているのだとも言う。
この論争にいつか決着のつく日は来るのだろうか。
(2014年5月了) -
Posted by ブクログ
宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。
天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論であっても、その時代に可能であった観測範囲においては、現象を説明するのに適していた。その多くが覆されてきたのは、観測の技術の進歩とともに、新たな科学の分野の登場があったからこそだ。
ラザフォードが原子構造から核融合を導き出し、星の誕生プロセスの解明から元素分布の謎が解き明かされ、宇宙の年齢は新たな多数の観測結果により訂正され、二次大戦における電波技術の発達の結果、電波天文学が誕生し、遠方のみに存在する若い電波銀河やクエーサーからの電波が観測され、ついては宇宙誕生の証ともいえる、宇宙背景放射が観測された。
かくして宇宙創生の物語は、神話と宗教の領域から科学へと至った。だが、そこで明らかになったのは、ビッグバンにより時間と空間が誕生したということだった。では、時間と空間が存在しない領域とは一体なんであるというのか。ベビーユニバース、パラレルユニバース、マルチバース。未だ創造の域を出ない領域であり、その端緒を現実世界で掴むことは論理的に不可能といったことすらあり得るだろう。だが、現時点においては、やるべきことは失われてはいない。宇宙の膨張を加速する暗黒エネルギー、銀河の星々の離散を押しとどめる暗黒物質。力の統一理論、ボース粒子、ヒッグス粒子、冥王星探査機。科学技術の進歩の限界は、論理的に証明されていない。 -
Posted by ブクログ
現代数学は現在、多岐にわたり同じ分野の専門家同士でさえ、互いの研究内容を理解することが困難であることが多々あるという。
数学の本質はその自由性にある、という言葉は有名であるがその自由性とはどこから来るのであろうか。
実は、この問題亜は数学だけの問題ではない、正確にいうならば数学だけの問題ではなかった。
20世紀の物理学も同様の問題に直面していた。
この世界を記述できそうなモデルがたくさんあるように見えたからだ。
ある物理現象を記述する方程式は、うまくその現象を予測したが、まったく別のように見える方程式もまた、その現象を正確に予想することができた。ただし、どちらも正しくないことは明らかだった。なぜならば、ある方程式はある場合(例えば、高エネルギー場)では方程式が破たんし、別の式では高エネルギー場はうまく記述できるが、別のある場合では同様に破たんが生じる。
全体として、この場合ではこの方程式、この場合ではこの方程式とその場その場で適合しそうな方程式を選ぶ必要があった。
当時の物理学者はこの問題にかなり頭を悩ませたらしい。
自然は、このようにたくさんの方式からその都度形を変えて成り立っているのだろうか?
Einsteinが主張したように、重力を支配する方程式はただ一つで、それはどのような状況にも成り立つべきだ、というのが本来あるべき姿のように思えた。
(ここらへんの詳しい話はBrian Greenのエレガントな宇宙を読むとよくわかる)
が、一人の天才がこの状況を解決した。
名はEdward Witten。
彼はその別々の理論が実は、まったく同じ数式でかかれて、各々の方程式が違って見えたのは、そのMaster Equationを違った方法で近似していたためであるということを証明した。
衝撃だった。
今までまったく違って見えた物が、急に見方を変えるとだた一つの式に還元できたのだ!
(余談であるが、この方程式は重力場を組み込んでいないので究極の理論とまではいかないのだ・・・。
これらの統合理論がいわゆる超ひも理論)
前置きが長くなったが、実は本書の主題は上もストーリと似ている。
数学も代数学、幾何学、群論、数論、集合論etc.たくさんの分野に分かれているが、実はそれらは言葉は違うけれども、(数学で書かれた)辞書さえあれば、翻訳できるというのだ。
これのどこが素晴らしいかというと、たとえば代数学の言葉で書かれた難問は難攻不落で、いままでのアイデアではどうにも解けない、しかし上記の事象を使って違う分野の数学に翻訳する。するとその分野ではおなじみの問題として知られて、すでに解法が見つかっているということが起こり得るのだ。
このように、ある理論とある理論がまるで鏡に映したように一方が他方と同じ関係になることを「双対性」と呼ぶ。
この双対性を調べる研究分野が、本書のテーマであるLanglandsプログラムである。
内容は少し専門的なところも出てくるが、理解できなくとも話の流れはつかむことができる。実際、何を言っているのかわからないところを多々あった。。。
本書の最後の数章の愛の方程式は蛇足。これ、いるか?笑
数学者が映画を創るという試みは興味あるし、ぜひ観てみたいような気がするが。。。
あと、著者がかなりイケメン。