青木薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
パラダイムとかパラダイムシフトという言葉はクーンの名前と一緒に知ってはいたけれど、
実際この本を読んでみて、思っていた内容とけっこう違った。
教科書で習うような古典を読んでみる良さはこういうところにもあると思う。
通常科学は、理論や価値観、模範例など(パラダイム)を共有する科学コミュニティにおいて、パズルを解くように、理論の確認を行っていて、本質的に新しい発見を目指すものではないが、
理論に合わないことが発見され、危機におちいることがある。
そうした中で革命のように、世界観を変えるような新たなアイデアが打ち出され、パラダイムの変化がおこる。
そうして、科学は累積的でない形で進歩していく。
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Posted by ブクログ
下巻はビッグ・バン宇宙モデルと定常宇宙モデルのどちらが正しいのかを巡り、多くの個性的な人達が究明に乗り出す。
ビッグ・バン宇宙モデルは、今日の我々の中では一般的となっている理論であるが、ビッグ・バンが発生して現在の宇宙が形作られるにあたり、多数の評価基準に対して裏付けとなる証拠が見つからず、つい最近まで定常宇宙モデルとしのぎを削る争いが行われていた。
観測機器の精度が上がっていくにつれて、徐々にビッグ・バン宇宙モデルが予測していたことが明らかになっていくが、ここまで予測の的中率が高いのにも驚かされる。今後の検証によってどのように理論が発展するのか、また、別のモデルに取って代わられるのかも気 -
Posted by ブクログ
フェルマーの最終定理が非常に面白かったので、同じ著者のこちらも購入。
相変わらずの難解な内容を分かりやすく伝える文章力と、謎が解明されていくプロセスをドラマティックに描き出す演出に感心させながら一気に読ませてくれた。
上巻は紀元前の古代ギリシャの哲学者が宇宙という天上世界の解明に足を踏み入れたところから始まり、コペルニクス、ガリレオによる地動説、アインシュタインの相対性理論、ハッブルによる赤方偏移による宇宙膨張の観測までが描かれる。
ここに至るまでも様々な議論や、長年真とされている価値観を変えたくない保守層の妨害を経た上で、実験、理論、観測等による検証を繰り返しながら、今当たり前とされて -
Posted by ブクログ
「半導体戦争」という本が、現代を理解する上で大事だと思っていたが、その少し前の時代は物理学が大事だったのだと気付かされる本
アインシュタインは数学の勉強をしていなかったことを後悔していたのも面白い(一般人に比べたら死ぬほどできるけど)。職がなくて、特許局で働かせてもらって、その片手間で相対性理論を作り上げたことを歴史としてみるのも刺激的なストーリーだった
近代ドイツの工業発展手段としての物理学研究や、ナチスがノーベル賞保持者に対して原爆の開発を依頼したが科学者たちは正義の名の下に断ったこと、ユダヤ人としてのアインシュタインなど、物理学の歴史を俯瞰できる -
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Posted by ブクログ
### 上巻
歴史において長い間、暗号作成者と暗号解読者の戦いは、暗号解読者優位が続いていた。(多くの暗号は解読方法が発見されてきた)というのが、現代とギャップがあって面白いポイント。
暗号史において、エニグマ解読にまつわるエピソードがやはり上巻の中で一番の読みどころ。
### 下巻
暗号解読ではないが、類似のものとして古代文字の解読が取り上げられている(古代エジプトのヒエログリフ、古代ギリシャの線文字B)。また、誰も理解できない言語を操るアメリカ先住民ナヴァホ族を暗号通信担当として軍に迎え入れたアメリカ軍の話も面白い。
そして、暗号というものが生まれてからずっと付きまとってきた「鍵 -
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Posted by ブクログ
単アルファベット暗号から量子暗号まで、非常にわかりやすい文体で書かれており、暗号・数学に無知な素人でも最後まで楽しく読むことができた。
量子力学に簡単に触れている部分では、多少頭が混乱したが、そう言うものだと思って割り切って読めば案外なんとかなった。
汎用的な量子コンピュータが開発されるのはまだまだ先のことかもしれないが、量子コンピュータ≠既存のコンピュータということを理解するためだけでも、この本を読む価値はあったと思う。
もちろん、難攻不落とされる量子暗号の解説も非常にわかりやすく、量子コンピュータの可能性についても大いに考えさせられた(取らぬ狸の皮算用かもしれないが…)。 -
Posted by ブクログ
サイモン・シンの『暗号解読』を一気に読んだ。
これまでにサイモン・シンは『ビッグバン宇宙論』と『数学者の楽園』と『フェルマーの最終定理』を読んだ。サイモン・シンはハズレはないが、その中でも今回の『暗号解読』は最高に面白かった。
紀元前のオリエンタルの古代の単純な暗号から、最新の量子暗号まで、時代を追って色々な暗号技術の歴史が語られている。
しかも基礎知識のない素人でもその暗号の技術がよく理解できるだけでなく、新しい暗号技術の開発とそれの解読に挑戦した科学者たちのドラマと歴史に及ぼした影響を目の前の出来事のように楽しめる。
特に最終章の量子コンピューターと量子暗号に関しては、たった1章が割かれた -
Posted by ブクログ
サイモン・シンの『暗号解読』を一気に読んだ。
これまでにサイモン・シンは『ビッグバン宇宙論』と『数学者の楽園』と『フェルマーの最終定理』を読んだ。サイモン・シンはハズレはないが、その中でも今回の『暗号解読』は最高に面白かった。
紀元前のオリエンタルの古代の単純な暗号から、最新の量子暗号まで、時代を追って色々な暗号技術の歴史が語られている。
しかも基礎知識のない素人でもその暗号の技術がよく理解できるだけでなく、新しい暗号技術の開発とそれの解読に挑戦した科学者たちのドラマと歴史に及ぼした影響を目の前の出来事のように楽しめる。
特に最終章の量子コンピューターと量子暗号に関しては、たった1章が割かれた -
Posted by ブクログ
ネタバレ古代文字は結構、当てはめてみたらたまたま当たってたことによって解読されたものが多く、言語学の知識に加えて優れた勘も必要だということにびっくり。しかしトマス・ヤングやジャン=フランソワ・シャンポリオンの言語に関するエピソードは強烈すぎる。
最終章の量子暗号は複雑で難しかった。本を読み進める中で暗号作成と暗号解読はいたちごっこなんだなと感じていたが、量子暗号を使うと絶対に破れない暗号を作れるという事実には驚いた。
この本を読む前はアランチューリングしか知らなかったが、他にも生前には認知されることのなかった暗号専門家は沢山いて、国や軍のために重要な仕事をしているのにも関わらず機密であるため当時の情報