青木薫のレビュー一覧
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「昨日のない日」
ジョルジュ・ルメートルは、アインシュタインに「あなたの数学は正しいが、あなたの物理学は忌まわしい」と否定されながらも、宇宙の始まりの時をこう名付けたのだった。
137億2000万歳
WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射から得られた宇宙の年齢。
突然、宇宙の膨張を加速させる何かが起こったわけではなく、膨張にブレーキをかける力(物質のエネルギー密度)が膨張によって弱まり、ダークエネルギー(空っぽの空間のエネルギー)の方が上回ったために、膨張が加速した。
ダークエネルギーが宇宙の膨張を支配するようになったのが、過去50億年かそこらの比較的最近。p163
第七章がこの本の真骨頂 -
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素粒子物理学に関する一般向け書籍としては珍しく、実験屋さん(と言ってもアメリカの大御所であり著名なノーベル物理学賞受賞者)による物理の本。翻訳本の名前が「量子物理学の発見」となっているのは誤解を招くと思う(現代は「神の粒子(=ヒッグス粒子)を超えて(Beyond the God Particle)。あくまで”素粒子物理学”、それも実験を中心とした話なので何を観測しているのか、という話。2012年のヒッグス粒子の発見という発表を受けて、ヒッグス粒子とは何なのか、ヒッグス粒子が質量の起源とはどう言う意味なのか、そもそも”質量”とは何なのか、ということを量子力学や相対論の歴史と初歩的な説明を行いなが
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「新しいアイディアにたどりつくためには、長時間とてつもない集中力で問題にむかわなければいけならない。ただそれだけを考える、それから集中をとく。すると、ふっとリラックスした瞬間、潜在意識が働いて、新しい洞察が得られる」(P323) これは天才物理学者の思考作業の方法らしい。わたしも熱帯魚の水槽をボーと眺めれるとふっと・・・無駄な考えを思いつきますもの(笑
17世紀に生まれたこの謎を解くために、20世紀の手法に頼らざるをえなかったワイルズだが、確かフェルマーは答の式はこの余白には書けないって書いていたはず、彼がその答えを持っていたのかいなかったのか永遠の謎である。 -
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著者の一人であるノーベル賞受賞者のレーダーマンは、これまでも一般向けの量子論の本を幾つも書いているようで、研究者であると同時に著述家・解説者としても一流のようだ。超ミクロから超マクロまでのスケール感を、もの凄く大きい(小さい)というのではなく、分かりやすくて理解しやすい数字を使って解説している。
本書のタイトルからは、量子論の歴史の本かと思っていたが、必ずしもそうではなく、最近話題になったヒッグス粒子というか、物質(究極的には素粒子)が質量を持つ仕組みを解説している。その際、粒子のスピンと対象性の破れという重要な概念を取り扱うが、残念ながら、ここが十分には理解できなかった。もう少し色々な本で経 -
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ネタバレフェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。
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ネタバレフェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。
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下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知識についても自然と得ることができる。
宇宙という深遠な世界について、その誕生の謎を解くために様々な分野の科学者たちが仮説的な理論構築と観測による検証を繰り返す様は大変生々しく、ドラマとしても素晴らしく面白い。なおかつ、科学的な思考プロセス(これはそのまま論理的な思考プロセスと置き換えても良い)を学べる点で、やはり稀有 -
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あまりの面白さに連続で読み続けているサイモン・シンによる宇宙の謎を巡るドキュメンタリー。
本書を読むまで、自身が宇宙に関して抱いていた興味は「なぜ、ブラックミュージックは宇宙へと接近するのか?Sun RaやFunkadelic/Parliament,etc」というもので、この点については野田努の労作『ブラックマシンミュージック ディスコ、ハウス、デトロイトテクノ』を読むことですっきりしたのだが、全く別の角度から(当たり前だが)、宇宙について知ることができた。
上巻では古代ギリシャの天文学から、コペルニクス、ケプラー、ガリレオらによる地動説の誕生、ニュートン~アインシュタインによる物理学と宇 -
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「DJの首を吊し上げろ、奴らの音楽は俺の人生に何の役にもたっていない」(The Smith 「Panic」)
優れた科学ジャーナリストであるサイモン・シンが、代替医療の学術的研究を行うエツァート・エルンストとの共同作業により、鍼治療、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法等のいわゆる「代替療法」について、数多の先行研究を踏まえて科学的なプロセスによる効果検証を行い、その結果をまとめ上げた一冊。
検証にあたってのスタンスは決して「代替医療は効果がある/ない」というどちらかの立場に与するものでもなく、また生理学的な効用をもたらすメカニズムがわからないとしても、それが実際に効果があるのか -
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数学の系統を統一するラングランス・プログラムを牽引してきた数学者の半自伝のような数学本。
全問正解したのにMGUに入学させてもらえない(口頭試問で数時間に渡り拷問に近い質問を繰り返され、入学願いの取り下げを余儀なくされる。)旧ソ連でユダヤ人が受けていた迫害のひとつ。15,6で数学への夢を一度粉々にされた少年がバークレー大の教授になるまでのノンフィクションがひとつの軸。数学の系統を統一するラングランスプログラムと物理学への架け橋がもうひとつの軸。
数1で挫折したわたしには後者はほとんどSFだったけど、「難しいけどがまんして」とか「専門家でもわかっている人は少ないから安心して」など、笑える章題 -