青木薫のレビュー一覧

  • 宇宙創成(下)

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    古代、人類が太陽や月の大きさ、そこまでの距離を計算で明らかにするところから、やがて現代のビッグバン理論につながるまでの知の歴史を綴った物語。
    そこには理論の積み重ねだけでなく、偶然の生んだドラマ、科学者達の人間臭さ(ここが一番面白かったです)が詰まっていました。
    “科学にとって言語”であるところの数式が全く無く、文系脳の私にも内容が頭に入ってくるのは驚きです。
    夜、頭上に光る星を眺めながら、つらつらと思いを馳せたくなりました。

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    2017年06月29日
  • 宇宙が始まる前には何があったのか?

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    「昨日のない日」
    ジョルジュ・ルメートルは、アインシュタインに「あなたの数学は正しいが、あなたの物理学は忌まわしい」と否定されながらも、宇宙の始まりの時をこう名付けたのだった。

    137億2000万歳
    WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射から得られた宇宙の年齢。

    突然、宇宙の膨張を加速させる何かが起こったわけではなく、膨張にブレーキをかける力(物質のエネルギー密度)が膨張によって弱まり、ダークエネルギー(空っぽの空間のエネルギー)の方が上回ったために、膨張が加速した。
    ダークエネルギーが宇宙の膨張を支配するようになったのが、過去50億年かそこらの比較的最近。p163

    第七章がこの本の真骨頂

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    2017年06月11日
  • 量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語

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    ヒッグス粒子について、これまでいくつか本を読んだが、存在の明確な予言とどうして質量が生まれるのかをここまで明確にしたものはなかった。弱荷が保存されることで質量が発生するということで、メディアが発信しているヒッグス場の表現が多少なりとも正確性に欠けることがわかった。

    また、科学への投資に対して必要以上の干渉はやめて欲しい。それは科学の発展を妨げるだけではなく、将来の経済への影響も大きいのだから。特に資源の乏しい日本に於いてはなおさらである。

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    2017年09月26日
  • 量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語

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    素粒子物理学に関する一般向け書籍としては珍しく、実験屋さん(と言ってもアメリカの大御所であり著名なノーベル物理学賞受賞者)による物理の本。翻訳本の名前が「量子物理学の発見」となっているのは誤解を招くと思う(現代は「神の粒子(=ヒッグス粒子)を超えて(Beyond the God Particle)。あくまで”素粒子物理学”、それも実験を中心とした話なので何を観測しているのか、という話。2012年のヒッグス粒子の発見という発表を受けて、ヒッグス粒子とは何なのか、ヒッグス粒子が質量の起源とはどう言う意味なのか、そもそも”質量”とは何なのか、ということを量子力学や相対論の歴史と初歩的な説明を行いなが

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    2017年03月14日
  • フェルマーの最終定理

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    「新しいアイディアにたどりつくためには、長時間とてつもない集中力で問題にむかわなければいけならない。ただそれだけを考える、それから集中をとく。すると、ふっとリラックスした瞬間、潜在意識が働いて、新しい洞察が得られる」(P323) これは天才物理学者の思考作業の方法らしい。わたしも熱帯魚の水槽をボーと眺めれるとふっと・・・無駄な考えを思いつきますもの(笑 

     17世紀に生まれたこの謎を解くために、20世紀の手法に頼らざるをえなかったワイルズだが、確かフェルマーは答の式はこの余白には書けないって書いていたはず、彼がその答えを持っていたのかいなかったのか永遠の謎である。

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    2025年08月25日
  • 量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語

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    著者の一人であるノーベル賞受賞者のレーダーマンは、これまでも一般向けの量子論の本を幾つも書いているようで、研究者であると同時に著述家・解説者としても一流のようだ。超ミクロから超マクロまでのスケール感を、もの凄く大きい(小さい)というのではなく、分かりやすくて理解しやすい数字を使って解説している。
    本書のタイトルからは、量子論の歴史の本かと思っていたが、必ずしもそうではなく、最近話題になったヒッグス粒子というか、物質(究極的には素粒子)が質量を持つ仕組みを解説している。その際、粒子のスピンと対象性の破れという重要な概念を取り扱うが、残念ながら、ここが十分には理解できなかった。もう少し色々な本で経

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    2017年02月15日
  • 宇宙が始まる前には何があったのか?

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    最先端の現代科学によって解明されている、宇宙の謎の最新のお話。

    難しい話を、一般人でも理解できるようになるべく平易な内容で解説を試みています。・・・ですが、やっぱり難しい(苦笑)

    日本人の場合、宇宙の成り立ちが宗教に結びつくことはあまりありませんが、欧米では、やっぱり“神”の存在との関連を指摘されてしまうようです。著者は科学者であり、『反神論者』。宇宙の成り立ちの謎を“神”の存在に逃げようとする姿勢はなく、あくまでも科学的にアプローチしていっています。当たり前ですが。

    NHKの白熱教室で、著者の授業があった様です。見たかったなあ。

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    2017年02月01日
  • 世界でもっとも美しい10の科学実験

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    世界でもっとも美しい10の化学実験とのタイトル通り、私でも知っているメジャーな実験があげられている。ここでの美しさとは個人個人の主観での美ではなく、結果がとても綺麗に決まる、パーフェクトな事象のことをいうのかな。超文系なので、なかなか読むのに苦労した。

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    2016年10月06日
  • 世界でもっとも美しい10の科学実験

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    題名に惹かれて読んだ。

    本書で取り上げられている「美しい実験」は次の10の実験。

    興味をまずもったのは、最初の「エラトステネスによる地球の外周の長さの測定」というもの。紀元前3世紀に、地球のサイズをほぼ正確に測定したという実験。
    紀元前3世紀、である。すごいなぁと感心しきり。

    物理学の実験がほとんどで、物理学に疎い自分には難しいと感じる部分の方が多かったが、哲学的な内容を含んでおり、それはそれで楽しめた。

    ちなみに。訳者は、『フェルマーの最終定理』を翻訳された青木薫さん。
    そのことも、ある種、物理学に疎い自分の一助になったのもある。

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    2016年09月23日
  • 宇宙創成(下)

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    ネタバレ

    フェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。

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    2016年04月26日
  • 宇宙創成(上)

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    ネタバレ

    フェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。

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    2016年04月26日
  • 宇宙創成(下)

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    下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知識についても自然と得ることができる。

    宇宙という深遠な世界について、その誕生の謎を解くために様々な分野の科学者たちが仮説的な理論構築と観測による検証を繰り返す様は大変生々しく、ドラマとしても素晴らしく面白い。なおかつ、科学的な思考プロセス(これはそのまま論理的な思考プロセスと置き換えても良い)を学べる点で、やはり稀有

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    2016年02月27日
  • 宇宙創成(上)

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    あまりの面白さに連続で読み続けているサイモン・シンによる宇宙の謎を巡るドキュメンタリー。

    本書を読むまで、自身が宇宙に関して抱いていた興味は「なぜ、ブラックミュージックは宇宙へと接近するのか?Sun RaやFunkadelic/Parliament,etc」というもので、この点については野田努の労作『ブラックマシンミュージック ディスコ、ハウス、デトロイトテクノ』を読むことですっきりしたのだが、全く別の角度から(当たり前だが)、宇宙について知ることができた。

    上巻では古代ギリシャの天文学から、コペルニクス、ケプラー、ガリレオらによる地動説の誕生、ニュートン~アインシュタインによる物理学と宇

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    2016年02月27日
  • 代替医療解剖

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    「DJの首を吊し上げろ、奴らの音楽は俺の人生に何の役にもたっていない」(The Smith 「Panic」)

    優れた科学ジャーナリストであるサイモン・シンが、代替医療の学術的研究を行うエツァート・エルンストとの共同作業により、鍼治療、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法等のいわゆる「代替療法」について、数多の先行研究を踏まえて科学的なプロセスによる効果検証を行い、その結果をまとめ上げた一冊。

    検証にあたってのスタンスは決して「代替医療は効果がある/ない」というどちらかの立場に与するものでもなく、また生理学的な効用をもたらすメカニズムがわからないとしても、それが実際に効果があるのか

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    2016年01月17日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    以前に同じような本を読んだことがあるが、その簡易版。むしろ、人間性原理の歴史的意義の流れに結構、紙面を割いている。マルチバースの考え方と、人間性原理の考え方のつながりが、まだしっくりこない。

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    2015年12月31日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    ズバリ『人間原理』をテーマにした本。
    この宇宙のあらゆる物理定数は、われわれ人間(観測者)が存在するために都合よくできている。なぜか?
    それは、人間のために宇宙ができたという「目的論」を示すものでは決してなく、ひとつの問題提起である。その問題に対し、今日有力視されている回答がマルチバース(メガバース)である。宇宙が無数に存在しているのであれば、われわれの宇宙が現在の物理定数を有するのは「たまたま」であり、われわれは存在できる宇宙に存在しているに過ぎないという「観察選択効果」で説明できる。

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    2015年11月12日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    面白く読めた。人類が紀元前の昔から現在に至る迄、世界は、物質は、宇宙はどうなっているのかを説き明かして来た歴史を、こんな薄い新書に平易に、飽きさせること無く書かれています。

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    2015年11月15日
  • 数学の大統一に挑む

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    数学の系統を統一するラングランス・プログラムを牽引してきた数学者の半自伝のような数学本。

    全問正解したのにMGUに入学させてもらえない(口頭試問で数時間に渡り拷問に近い質問を繰り返され、入学願いの取り下げを余儀なくされる。)旧ソ連でユダヤ人が受けていた迫害のひとつ。15,6で数学への夢を一度粉々にされた少年がバークレー大の教授になるまでのノンフィクションがひとつの軸。数学の系統を統一するラングランスプログラムと物理学への架け橋がもうひとつの軸。

    数1で挫折したわたしには後者はほとんどSFだったけど、「難しいけどがまんして」とか「専門家でもわかっている人は少ないから安心して」など、笑える章題

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    2015年11月09日
  • 数学の大統一に挑む

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    これは久々刺激的な書。
    もともと読者には理解的ないことを前提に イメージを伝えることに専念しているのが良かった。
    突如として「愛の方程式」の映画の話になるところも おもろい。
    いろいろな勉強意欲をそそられる良書でした。

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    2015年10月23日
  • 暗号解読(上)

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    スコットランド女王メアリーの処刑など暗号解読にまつわるエピソードに絡めて暗号を解説。エニグマの仕組みの概要がわかるので映画イミテーションゲームの暗号解読機がガチャガチャ回転しているのが、何をやっているのか理解できる。チューリングのエニグマ解読の背景にポーランド人の貢献があったのを初めて知った。
    (2015年6月)

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    2020年03月24日