青木薫のレビュー一覧

  • ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

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    ネタバレ

    ホーキング博士のチャームポイントはその率直さにある。自らを世界一コネクテッドな人間と表現し、世界で最初に宇宙旅行に行く人間の一人になるといい、神=自然法則、シンギュラリティ=ある、核融合エネルギー待望・・等々、少しもウェットなところがなく原理に則りいともあっさり述べているところが大変面白かった。

    P29 収縮するブラックホールから放出され、ブラックホールが消滅した後に残された放射が、いったいどうすればブラックホールを作り上げたものに関する情報を運べるのかということだ。私が発見したのは、情報は失われないが、役立つような形では取り戻せないということだった。それはちょうど、百科事典を燃やしてしまい

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    2019年10月13日
  • ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する

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    実験室で宇宙を作ろう、という話で、その理論と少し無謀な挑戦の話かと思ったら、どうも主旨が若干違っていた。

    宇宙物理学者が創造主をどう考えるのか。多くの科学者は、素粒子物理学の統一理論を構築したノーベル賞物理学者のワインバーグのように、完全合理主義者であり、そのことを標榜もしている。アインシュタインが神はサイコロを振らないと言ったとき、もちろん彼は必ずしも人格神を信じていたわけではない。リチャード・ドーキンスは、宗教が生む非合理的でときに危険な行動を批判したアンチ宗教の立場で有名である。学問の世界では、創造論への信仰をほのめかすのは、明らかにその人の研究者としての評価には大きなマイナスであるら

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    2019年10月13日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    科学本の質の高い翻訳で知られる著者が人間原理を平易に解説。多宇宙論につながるという私の理解は間違っていないとわかった。人間原理を受け入れるまでの科学者たちの驚きやとまどいがわかって興味深い。最後の方に展開される著者の科学観は勉強になった。

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    2019年09月10日
  • 暗号解読(下)

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    当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号……。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。

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    2019年09月01日
  • 暗号解読(上)

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    文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読され処刑された女王。莫大な宝をいまも守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話……。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、豊富なエピソードとともに描き出す

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    2019年09月01日
  • ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

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    宇宙は、なにも無いところからひょっこり誕生する。
    したがって宇宙の始まる前や後を考えることは意味がない?

    「人間原理」…30年ほど前、わたしが『時間とはなにか』HPを書いたとき、同じようなことに辿り着いた。

    「コンピュータの知性」…上記HPで人の脳について触れた。ただの科学物質の作用が⦅十分に複雑化》すると心が生じる。同様に複雑な電子回路が知的な、まるで心があるかのようなふるまいを示すことは起こりうると思う。

    「AI」…人類を超えるAIの到来。本当の危険性はAIに悪意があるかどうかではないという。AIの目標が人類の目標と整合しないかもしれない。核戦争や地球温暖化を防ぐためには人類がいない

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    2019年07月20日
  • 暗号解読(上)

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    古代ギリシアからWW2まで。信書から有線通信、そして無線通信が普及する時代における暗号作成者と暗号解読者の知恵比べの物語。本書の半分以上はナチスドイツの暗号機械「エニグマ」の機構と、ポーランド軍とイギリス軍による解読プロセスについて。エニグマの機械そのものではなく、「鍵」こそが解読にとって重要であったというのはなるほど!だった。

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    2019年05月01日
  • 宇宙創成(下)

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    天文を特集した上巻に比べ、物理に着目した下巻でさらに面白さが加速。とはいえ最新のところまで来るので、読んでて面白いエピソードは少な目。
    ビッグバンって1992年にCMBゆらぎを観測してから勝利を勝ち取っていたとは、そんなに最近なんだという驚きがあった。あとは相変わらず訳者あとがきが秀逸。ここから読んでもいいかも。

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    2019年01月07日
  • 宇宙創成(上)

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    ビッグバン理論についての本。科学は間違うということが壮大なテーマとなっており,いつものサイモンシンのように人物が生き生きと描かれている。
    科学的素養がなくても身近な比喩で説明を進めているのすごい。

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    2019年01月07日
  • 暗号解読(下)

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    蜀?ョケ縺後h繧企ォ伜コヲ縺ォ縺ェ繧翫?∵囓蜿キ縺ョ莉慕オ?∩縺昴?繧ゅ?縺ッ繧医¥逅?ァ」縺ァ縺阪↑縺九▲縺溘′縲∬ソ台サ」縺ォ縺翫¢繧区囓蜿キ縺ョ鬮伜コヲ蛹悶??幕逋コ閠?◆縺。縺ョ繧ケ繝医?繝ェ繝シ?亥性謔イ蜉?シ峨?∵囓蜿キ繧定ェ阪a繧九°?亥クょ?エ縺ォ蟋斐?繧具シ峨°縲√さ繝ウ繝医Ο繝シ繝ォ縺吶k縺具シ域帆蠎懊↓蟋斐?繧具シ峨°縲∫ュ峨???∬?蜻ウ豺ア縺?ゥア縺梧コ?霈峨?

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    2018年12月31日
  • 世界でもっとも美しい10の科学実験

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    "自然界のあらゆる現象を解き明かしてきた科学者。数々の実験をして、世に証明してきた。その中から選りすぐりの「美しい」実験の数々を紹介している。
    その実験を実現するに至る経緯、その人物の生い立ち~人間的な側面からもアプローチしている。"

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    2018年10月28日
  • 世界でもっとも美しい10の科学実験

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    「地球の周囲を測る」、「地球の重さを量る」、「地球が自転していることを証明する」、「物質の落下速度は、その質量とは無関係であること」、「太陽光が、多くの波長の光からできていることを証明する」、「原子の形状を明らかにする」、「1つの電子は、自分自身に干渉(波のように振舞う)する」等々の、実験当時はエッポックメーキング且つエレガントな実験の解説集。どの実験も、しょぼい機材で凄い精度を達成しており、先人の知恵、技量が感じられる。原因究明をすぐにギブアップするエンジニアよ、このくらいやってから、「ギブ」と言ってくれ。

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    2018年10月23日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    今までは科学者に危険視されていた人間原理が宇宙論の世界で話題になってきた。なぜ人間原理が復権しつつあるのかを述べる。多宇宙(マルチバース)ビジョンにより人間原理が観測選択効果であるかもしれないと思われてきた。たまたま人間は多くの世界のうちで生存可能なこの世界に存在するという解釈である。古代メソポタミアのカルデア人の世界観から最新物理学のひも理論まで。

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    2018年10月20日
  • 代替医療解剖

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    読んでよかったと言える本。皆にもお勧めしたい。

    この著者のシリーズは興味深い話が多い。

    現代医療の臨床検査による医療の効果の測定について、今では当たり前になっているけど、思ったよりも最近になってから定着したのだという印象を受けた。
    自分が歳をとったので、100年前というのが、古いとは思うが、以前よりも近いと感じるためだと思う。

    また、私も鍼には効果があるのでは?ってなんとなく考えていたけど。まったく効果がないとは、そこはちょっと意外だった。

    海外の話だが、ホメオパシーのようないかにもいい加減に聞こえるものが大手を振って医療行為としてなされているかと思うと怖くなった。

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    2018年06月01日
  • 暗号解読(下)

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    古代からの暗号技術の発展の歴史を辿り、20世紀の大戦の行方を左右したエニグマ暗号を巡る攻防を転回点にして、現代のデジタル暗号、果ては量子暗号までを解説する上下2巻にわたる本書。欲張りとも言える内容の豊富さだが、時代々々の技術に暗号作成者/解読者として関わった人物たちの生き様に十分に光を当てつつ、なおかつ(量子暗号のような難解なはずのものまで)どの技術の説明も要所を押さえて読み手に分かった気にさせてくれる。さすがというべきか。

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    2018年05月06日
  • 量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突―(新潮文庫)

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    アインシュタインvsボーアを軸にした量子論史。この対決が凄まじく、また面白い。
    SFで飽きるほど見た猫だのテレポートだの宇宙の分裂だのが、どういう流れから産まれたのか分かるのも楽しい。
    が、やはり文章から量子論をイメージするのは難しすぎる。訳者は量子論解説本の決定版のように褒めるが、とてもついていけない。「波」と言われて私が想像するものと、量子論でいう「波」は似ているようで全く違う。そんなイメージのズレが至る所に現れるのだから、当然量子論の全体像は群盲像を撫でるが如くである。
    私のような盲が理解に近づくには、象を撫で倒すしかないらしい…

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    2018年02月11日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    かなりレベルの高い現代物理学における宇宙論の解説書

    物理学者たちが、我々の宇宙の物理定数が、なぜこのような数値になっているのかについて、必然性はなく、多数の宇宙のうちたまたまこのような数値にをとった宇宙に我々が存在しているという見解に至る歴史を描いている。

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    2019年05月21日
  • 代替医療解剖

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     二千年以上前にヒポクラテスは警告した。
    「科学と意見という、二つのものがある。
     前者は知識を生み、後者は無知を生む」

     本書は一言で言うと、怪しい代替医療手段に手を出すのはやめましょう、という点に尽きる。
     なぜならば、通常医療はコストのかかる臨床試験を経て効用と安全性が実証されているのに対し、代替医療は無法地帯のように効能ばかりが強調されているが科学的に立証されていない。
     代替医療はプラセボ効果以上のものはないという結論である。

     「フェルマーの最終定理」などの著書で有名な科学ルポライター、サイモン・シンと、自らホメオパシーを施術する代替医療分野における世界初の大学教授絵エツァート

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    2017年10月07日
  • 量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語

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    レーダーマン著,青木薫訳ということで,これは読まなくちゃと思ってた。
    冒頭,目次裏に“本書を、税金で基礎研究を支えてくださっている国民のみなさんに捧げる。”とある。著者が伝えたかったのは,「加速器は強力な顕微鏡」という大変シンプルな主張。超ひも理論だ何だじゃなくて,「加速器は凄い顕微鏡!」ってシンプルに報道してくれさえすれば,SSCのときのように納税者から無用な反発はないはずだ,とのこと。
    実際はそんな単純な納税者ばかりではなくて,やはり金かかるのに実用性ないって嫌がられるような気もするが,実験素粒子物理学者としての矜持が感じられる本だった。
    一貫してアメリカの基礎研究への投資が少ないことに警

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    2017年08月09日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    人間原理の本。多宇宙になってないとおかしいと思う派の京大出身の科学ライター?
    そういう気はします
    ・COBEのグループによる「ゆらぎ発見」の報道に接し、物理学者の中には、あらためてこう感じた人が大勢いたのではないだろうか。「これ(宇宙の誕生)が、一度きりの出来事であるはずがない」と。
    私自身、そう感じた者のひとりだった。「二度あることは三度ある」と世間ではいうけれど、物理学者から言わせれば、「起こりうることはかならず起こる、何度でも起こる」のである。
    物理学者は、この「起こりうることはかならず起こる、何度も起こる」という考え方を、空気のように吸い込んで物理学者になっている。それは言わば物理の世

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    2017年07月14日