【感想・ネタバレ】宇宙創成(下)のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

歴史小説であり、科学小説。

歴史的な部分で読者を引き込むので、毎日読み続けてしまう。

難解な部分は上巻だけで、下巻はドンドン読み進めて行ける。

アインシュタインからビックバン確定まで、物理学者の活躍が眼前に現れるかのような。

面白かったです

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Posted by ブクログ 2023年09月16日

下巻はビッグ・バン宇宙モデルと定常宇宙モデルのどちらが正しいのかを巡り、多くの個性的な人達が究明に乗り出す。

ビッグ・バン宇宙モデルは、今日の我々の中では一般的となっている理論であるが、ビッグ・バンが発生して現在の宇宙が形作られるにあたり、多数の評価基準に対して裏付けとなる証拠が見つからず、つい最...続きを読む近まで定常宇宙モデルとしのぎを削る争いが行われていた。

観測機器の精度が上がっていくにつれて、徐々にビッグ・バン宇宙モデルが予測していたことが明らかになっていくが、ここまで予測の的中率が高いのにも驚かされる。今後の検証によってどのように理論が発展するのか、また、別のモデルに取って代わられるのかも気になるところである。

残された謎として、ビッグ・バン以前はどうなっていたのか、また、宇宙の膨張は最終的に重力により収束して、最初の状態に戻るビッグ・クランチは起こりうるのか、ロマンはつきない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月18日

神が作った宇宙という考えからはじまり、ビックバンに至るまでの、科学者たちの研究の成果と人間模様が活き活きと書かれていて、内容も自分のような素人がわかった気になれる絶妙なものだと感じた。
あとがきの、人は間違えながらも理論を発展させてきた歴史あるという記載も、本書から不思議と試行意欲を得る理由なのだと...続きを読む感じた。

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Posted by ブクログ 2022年10月12日

 上巻では、天体の動き方や並びの発見を主に描いていた。下巻では、ビックバンモデルと静的な宇宙を比較して、どちらが正しいのかを検証するまでのストーリーを展開している。

 上下巻を通して、非常に読み応えのある作品だった。少々難解な説明がでてくることがあったが、人類が地道にそのような問題を解決してきたと...続きを読むいう実績を理解するためには、分かりやすすぎるより良いことだと思う。

 個人的には、ホイルによる「人間原理」を利用して元素の合成の問題を解決するエピソードが印象的だった。誰もが「なぜ?」を繰り返したときに、一度は考えそうなことを学問にしっかりと応用させることに頭の柔軟さが垣間見える。

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Posted by ブクログ 2021年11月14日

量子の世界から始まり、ミクロの世界を解き明かすことが宇宙の神秘を探ることに繋がることが説明される。そして宇宙の始まりであるビッグバン理論がどのように形作られていったか宇宙マイクロ波背景放射を主役に語られる。

上下一気に読んだが、何世紀にもわたる科学者の努力や天才的な能力を見せつけられ圧倒された。そ...続きを読むれでもまだ分からないことがある。話はまだまだ続くのだろう。

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Posted by ブクログ 2021年09月18日

元々宇宙に興味を持っており、ビッグバンまでの様々な重要な発見を行なった科学者、数学者にスポットを当てている。そのエピソードがいちいちカッコよい!!
フェルマーの最終定理も、数学者のヒラメキのかっこよさ、生きかたの真摯さに感動したが、宇宙創生のほうが自分にはわかりやすく登場人物も多く、面白かった。
...続きを読む当に「サイモンシン」にハズレなしである。

アインシュタインの異常な凄さがわかり、そのアインシュタインでさえ致命的に間違った理論を表明し、それを検証により修正していく物理学者が描かれている。我々は常に巨人の肩に乗っており、また乗るべきである。

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Posted by ブクログ 2021年06月24日

(上下巻合わせてのレビューです。)

大好きなノンフィクション・ライター、サイモン・シンの最新作。
今回のテーマは「宇宙」。

地球の大きさの測り方とか天動説v.s.地動説の話から、
相対性理論、ビックバンまで、歴史に基づいて書かれています。
そこには、やっぱりドラマがありました。

...続きを読むまで天体って難しくてとっつきにくいイメージがあったけれど、
そこはさすがサイモン・シン。
初心者にも理解できるように最大限の配慮がなされています。
初めは何も知らなかった人間が
いかにして今の知識を得るに至ったのか、
科学の歴史をハイライトで追うことで、
読者は「宇宙」について理解を深めることができます。
これはサイモン・シンの得意技ですね。

とはいえ、簡単にスラスラ読める類の本ではありません。
腰をすえて、じっくり読んで少しずつ理解を進めていく本です。
読み切った後には、知的好奇心が満たされた充実感、
科学の神秘をちょっぴり理解できた優越感、
ドラマを疑似体験できたスリル感を味わうことができる一冊!

どうやら次回作もあるようなので、とっても楽しみです。

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Posted by ブクログ 2021年03月04日

何千年の時間をかけて尚、完成を見ない統合理論に取り組む科学者達の大河ドキュメント。

宇宙の真理究明に向けた科学者達のバトンリレーは、アベンジャーズの様でもあり、ケプラーやアインシュタインの登場にはワクワクした。
この様に、科学者の群像大河とも読めるし、文庫版訳者あとがきが言及している通り、「科学的...続きを読む手法」を主人公とした物語ともよめる。いずれにせよ、「その時代において最高の思想と想像の力を持つ人物」達が、何世代も紡いで描いてきた事の偉大さと、尚、描き切れない自然界の巨大さに目眩する。

完成されたと思われた体制的理論に立ち向かう科学者(特に、フリードマンや、コペルニクス)の姿が、特に印象的だった。(往々にして、反体制的な声は大きく響かない)。
宇宙の面白さ、それに取り組む科学者達の面白さ(アインシュタインの宇宙項に関するエピソードや、ビックバンの名付けの親、宇宙背景放射初観測のエピソード等)に加え、科学的手法の面白さが楽しめた。
「科学者とは正しい答えを与える者でなく、正しい問を発する者」だとすると、アインシュタインが宇宙項で「正しそうな答え」にまとめてしまった事は、後悔が残る事だろう。

こりゃ大傑作や!!

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Posted by ブクログ 2020年08月27日

読み応えのある良書。科学のみならず、宗教との関係性についても書かれており、当時の状況をより深く理解することが出来る。科学に疎いため、すべてを理解することは出来なかったが、それでも非常に楽しんで読めた。

以下、お気に入りの箇所を抜粋。
「私はこの晴れの場に、自分の身なりを外側から飾るものではなく、私...続きを読むそのものを表すような礼服を着てきたかったのです。」アーノ・ペンジアス

「まったくのゼロからアップルパイを作りたければ、まずは宇宙を作らなければならない。」カール・セーガン

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Posted by ブクログ 2018年12月22日

宇宙マイクロ波背景放射の検出〜その揺らぎの検出のあたりが最も興奮した。ビッグバンの名残りの中で生きているというのはなんと感動的でしょう。
終盤のSix Number の話は初見ではないけれど、実に不思議なお話だと思う。マルチユニバース論を信じたくなります。

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Posted by ブクログ 2018年09月07日

読後に高揚がのこる。
インフレーション理論がエピローグなのは実証がまだだだから。
王道中の王道といったテーマだがさすがにサイモン・シン。説明の見事さは言うまでもないも

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Posted by ブクログ 2018年07月15日

暗号解読、フェルマーの最終定理、代替医療と、これまで私の知的好奇心をくすぐりつづけてきた筆者による、宇宙創成に関する物語。

数々の専門家が、遥かなる宇宙に挑んできたその姿は、少々専門用語が理解できなくても、充分に堪能できる。

著者•サイモンシン、訳者•青木薫両氏も、遥かなる宇宙を巡る壮大な物語の...続きを読む登場人物として必須であると思えるほど、濃密な記載と丁寧な翻訳も、この本の魅力。

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Posted by ブクログ 2018年06月16日

最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違い...続きを読むはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

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Posted by ブクログ 2017年06月02日

文庫版訳者あとがきにある通り、この本の主人公は「科学的方法」なのだと思います。「宇宙はどうやって出来たのか」という問いに対する、何世紀もの間にわたる科学者の挑戦が描かれていてとても感銘を受けました。

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Posted by ブクログ 2017年06月04日

物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。
時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は...続きを読む感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。
カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。
次は「フェルマーの最終定理」を読んでみたい。

宇宙とは関係ないがバイアグラのくだりは面白かった。

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Posted by ブクログ 2016年04月24日

宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。

本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り...続きを読む組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。

本書は、(出版された時点での)最有力の理論、すなわち宇宙は137億年に誕生し、30万年後に現れたゆがみから銀河が誕生したという説に至るまでをスリリングに描く。宇宙論の本では「僕らは星のかけら」が一番面白かったが、本書はそれ以上の面白さ。
特にややっこしいビッグバンモデルと定常宇宙モデルの論点を表にして、一つずつ潰してゆくという展開は、リンカーン・ライムシリーズのサスペンス小説並のワクワク感がある。
宇宙論の中で、我々一般人がピンと来ないのは重力と光の関係と思うが、本書は必要最小限な事項を優しく解説してくれている。したがい、宇宙論の本を初めて読む人もストレスなしに読破できるはずだ。

ただし、本書のオリジナルが出版されたのは2004年。したがい、ヒッグス粒子や重力波の話は、直接には出てこない。しかし、それについては、他の本を読めばいい。
とにかく、本当に本当に面白い本。星6つでも足りない。

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Posted by ブクログ 2016年04月23日

非常に面白い。ビックバンを題材に科学とは何かを考えるための良い題材となる。

理論のモデルと実験での検証の両輪が如何に我々の世界観を塗り替えていくかを体感できる。

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Posted by ブクログ 2018年10月20日

宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため...続きを読む、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。

天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論であっても、その時代に可能であった観測範囲においては、現象を説明するのに適していた。その多くが覆されてきたのは、観測の技術の進歩とともに、新たな科学の分野の登場があったからこそだ。
ラザフォードが原子構造から核融合を導き出し、星の誕生プロセスの解明から元素分布の謎が解き明かされ、宇宙の年齢は新たな多数の観測結果により訂正され、二次大戦における電波技術の発達の結果、電波天文学が誕生し、遠方のみに存在する若い電波銀河やクエーサーからの電波が観測され、ついては宇宙誕生の証ともいえる、宇宙背景放射が観測された。

かくして宇宙創生の物語は、神話と宗教の領域から科学へと至った。だが、そこで明らかになったのは、ビッグバンにより時間と空間が誕生したということだった。では、時間と空間が存在しない領域とは一体なんであるというのか。ベビーユニバース、パラレルユニバース、マルチバース。未だ創造の域を出ない領域であり、その端緒を現実世界で掴むことは論理的に不可能といったことすらあり得るだろう。だが、現時点においては、やるべきことは失われてはいない。宇宙の膨張を加速する暗黒エネルギー、銀河の星々の離散を押しとどめる暗黒物質。力の統一理論、ボース粒子、ヒッグス粒子、冥王星探査機。科学技術の進歩の限界は、論理的に証明されていない。

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Posted by ブクログ 2015年06月06日

宇宙論の面白さというのは未知の塊である事だと思う。
青木氏もあとがきで書かれているが、その未知に対して人類が科学的方法によって一歩一歩前進していく過程が本書に描かれている。
その仮説、検証、考察の繰り返しの過程は宇宙のみならず未知に対する取り組みとして普段の生活における教訓ともいえる。
毎回思う事だ...続きを読むが改めてサイモンシン氏の知識、取材力、表現力と青木氏の意訳の上手さに感服した。

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Posted by ブクログ 2022年01月20日

特殊相対性理論、ハッブルによる観測結果から、宇宙はビックバンにより誕生したと提唱された。この説の信憑性が原子物理学や電波天文学の進歩により少しづつ証明されていった過程を、ドラマティックに描いている。セレンディピティをモノにできる科学者になりたい。

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Posted by ブクログ 2020年11月02日

下巻は、ビックバン宇宙論vs静的宇宙論である。
現代はビックバンから宇宙が始まったということは小学生でも知っていることかもしれないが、1950~1960年代は論争としてどちらが正しい(観測と合う)か競い合っていた。

若い銀河がどこでも見られるのであれば、静的宇宙論のほうが有利な証拠となるし、遠くに...続きを読むしか見られなければビックバン宇宙論が有利な証拠となる。

また、宇宙には水素がほぼ93%を占めてヘリウム6.5%でその他の原子が残りである。なぜこの比率なのか。

という観測と理論上の成果。しかし、これらは後知恵でモデルを現実に適合するように修正を加えることができる。
とするならば、純粋に理論から予測される事項を観測によって裏付けることが必要となる。
これは宇宙マイクロ波背景放射の観測に利用された。
もしビックバンが正しいのであれば、なぜ銀河が生成されるのか?空間的に一様にビックバンが発生するのであればどこも均一な空間になっていたと推測できる。宇宙は明らかにそうなっていない。
これはビックバン時にゆらぎがあったからであるとビックバン宇宙論は予想する。
この場合に宇宙マイクロ波背景放射に小さいがゆらぎがあるはずだ。理論的には予想できたが、観測精度の問題があった。宇宙に漂う宇宙マイクロ波背景放射の波長の10万分の1の精度で観測する必要があったのだ。
この精度を保証するには地上の観測では誤差が乗ってしまうので宇宙で観測する必要があった。
ついに1960年に観測ができ、しかも理論的な予想の範囲と一致した!
これこそ物理学の勝利である。

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Posted by ブクログ 2020年05月29日

上は宇宙のまだごく小さい範囲(天の川銀河内)などを考えていたが、下では宇宙の本当の始まりのビックバンVS色々な説についてを中心に書かれていた。
この本の作者、サイモンシンさんはその説などだけを数式などでややこしく解説していくのではなく、このような分野の本を初めて読む人でも分かりやすく、また出てくる人...続きを読む物一人一人の心理状況などについても書かれており、とても面白かった。
それにしても自分たち人間、生物がいる確率は限りなく小さく、偶然に生まれたのだとしたら本当に奇跡だなと思った。

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Posted by ブクログ 2019年01月07日

天文を特集した上巻に比べ、物理に着目した下巻でさらに面白さが加速。とはいえ最新のところまで来るので、読んでて面白いエピソードは少な目。
ビッグバンって1992年にCMBゆらぎを観測してから勝利を勝ち取っていたとは、そんなに最近なんだという驚きがあった。あとは相変わらず訳者あとがきが秀逸。ここから読ん...続きを読むでもいいかも。

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Posted by ブクログ 2017年06月29日

古代、人類が太陽や月の大きさ、そこまでの距離を計算で明らかにするところから、やがて現代のビッグバン理論につながるまでの知の歴史を綴った物語。
そこには理論の積み重ねだけでなく、偶然の生んだドラマ、科学者達の人間臭さ(ここが一番面白かったです)が詰まっていました。
“科学にとって言語”であるところの数...続きを読む式が全く無く、文系脳の私にも内容が頭に入ってくるのは驚きです。
夜、頭上に光る星を眺めながら、つらつらと思いを馳せたくなりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年04月26日

フェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこな...続きを読むいので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。

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Posted by ブクログ 2016年02月27日

下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知識についても自然と得...続きを読むることができる。

宇宙という深遠な世界について、その誕生の謎を解くために様々な分野の科学者たちが仮説的な理論構築と観測による検証を繰り返す様は大変生々しく、ドラマとしても素晴らしく面白い。なおかつ、科学的な思考プロセス(これはそのまま論理的な思考プロセスと置き換えても良い)を学べる点で、やはり稀有な一冊。何を読んでもサイモン・シンの作品に外れはなく、一級の知的興奮を与えてくれる。こんな作家はそうそういない。

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Posted by ブクログ 2015年12月23日

下巻は、ビッグバンの裏づけのための話と対案となった定常宇宙モデルの論争をポイントに話が進み、ビッグバンが現時点の結論として確からしいというところで話のピークをもってきている。エピローグとしては、ビッグバン直後のインフレーション理論や宇宙の構造等にも触れているが、その証明については、将来ということにな...続きを読むる。

概要としては、元素の話から始まり、ガモフ、アルファー、ハーマンらの原子物理学により、初期宇宙は、陽子、中性子、電子からなる高密度のスープだったと考え、宇宙創造の瞬間から30万年後に光が自由に進めるようになり、その光のこだまは今も検出できるはずと予測された。 
フレッド・ホイルらは、宇宙はある一点から開始したのではなく、永遠の過去から存在し、膨張はするが、希薄化した宇宙には新たな物質が補充されるという定常宇宙モデルを提示する。

1960年代に光のこだまが発見されたものの詳細なデータを取れるようになったのは、1992年に衛星を使っての観測から。そして、これがビックバンの証拠として認知され、定常宇宙モデルよりビッグバンが正しいという証明となった。

ビッグバン論争に一応の終止符が打たれたあと、宇宙が平坦に見えるのはなぜか?という疑問からインフレーション理論が出てきたり、銀河内部の星の重さが与える重力の研究から、なんか足りないねということで、暗黒物質の存在が認識されてたり、暗黒エネルギーとか。。

”2001年に亡くなったフレッド・ホイルは、準定常宇宙モデルは正しく、ビックバンモデルは間違っているという固い信念を墓場まで持っていったが、彼は自伝の中でこう述べた。「多くのビックバン支持者がやっているように、自分たちは正しい理論に到達したのだと主張することは、ほとんど傲慢に等しい行いであろう。もしも私自身が過去においてそうした傲慢の罠に陥ったとすれば、ひとときの思い上がりの後には必ず罰が下されたに違いない」こういう健全な反抗の精神は、本来的に科学がもっているはずのものであり、ゆめゆめ否定的に捉えてはならない。”

この書籍全般を通じて、宇宙についての論理と観測の両面からの追求が紹介されてきた。多くの研究者たちが、命をかけて、探求してきたものを感じることができた。

ビッグバンの名付け親にして、その対案の支持者であったフレッド・ホイルの自伝の引用では、これまでの宇宙探求の歴史をそのまま言い当てているようで、現在の観測データからビッグバンが正しいとは言えるが、遠い将来、別の観測結果が出てきたら、それもひっくり返ることを示していて興味深かった。

宇宙物理学が観測上の限界に達したことが、ウォール街そしてSNS企業への人材流出とつながってたりするのか?とか思ってみたり。

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Posted by ブクログ 2015年08月23日

上巻ほどの勢いは無かったけど、上下巻通じて大変に読み応えのあるサイエンスノンフィクションでした。自分が生きている間に、どこまで人類は真理を突き詰められるのだろうかと、その先を知ることができない寂しさを感じる読後感。

■メモ
Ⅳ:宇宙論の群雄割拠
①ビッグバン宇宙VS静的で永遠な宇宙
 ・惑星の年齢...続きを読むよりも宇宙の年齢が若くなってしまう矛盾
 ・原子物理学にその論証のバトンが渡された。軽い元素が重い元素よりはるかに多い理由を説明できるか?
 ・ラザフォードは核融合を解き明かし、太陽の輝きが核融合によるものであることを示した
 ・1940年台、ガモフ、アルファー、ハーマンらは初期宇宙を電子、中性子、陽子からなる高密度のスープと考えた
 ・ビッグバン直後の高温度の中で核融合が進む→軽い元素についてはこれで説明ができたが、思い元素については説明がつかないまま
 ・宇宙創造の約30万年後から光が自由に進めるように成った、その時の光のこだま(宇宙マイクロ波背景放射)は今も観測できるはず
 ・同じ頃ホイル、ゴールド、ボンディが定常宇宙論を展開

Ⅴ:パラダイムシフト
①矛盾の解消
 ・バーデ、サンディッジが銀河までの距離を修正し、宇宙の年齢が正された
 ・ホイルが重い元素の創生を解明、死にゆく星の中で生まれていた
 ・その後電波天文学により銀河の分布が明らかに、定常宇宙論との矛盾が起きた
 ・セレンディピティによりCMB放射を偶然発見→論争はビッグバン中心に
 ・1992年、COBE衛生によりCMB放射のゆらぎを観測、ビッグバンの証拠が発見された

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Posted by ブクログ 2015年06月11日

下巻はビッグバン宇宙論が定説となるまでの歴史を一通り。宇宙背景放射とかその辺が証拠になって今に至る、と。今まで読んだ3つのサイモンシンの中では一番、一般向け科学史って感じの内容だった。非常に面白かったのだけれど、ブラックホールとかダークマター的な粒子の話とかまではいかなかった。今日新聞でたまたまニュ...続きを読むートラリノ?とかいう知らない粒子の話を読んだのだけれど、CERNで実験して探す予定らしい。ダークマターの候補らしく、本著の後も宇宙、素粒子物理は日々進化しているようだ。エーテルとヒッグス粒子の違いも分からない自分には、もうお話としてもついていけなくなりつつある…

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Posted by ブクログ 2017年04月29日

 上下巻二冊を集約している下巻のエピローグには「宇宙の構造を詳しく調べていけばいくほど、宇宙は我々の登場をあらかじめ知っていたに違いないという証拠がみつかる」らしい、やはりこの世界はバーチャルリアリティー、仮想現実だった、なんてことが真実味を帯びてくる。これを恐怖ととらえるか、だからどうしたってとら...続きを読むえるかはあなた次第である。知識が増えると悩みが多くなるっていう理由はそこにある(笑

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