【感想・ネタバレ】代替医療解剖のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月17日

代替医療そのものを信じるかどうかよりも、
そのために受けられる治療を遠ざけてしまうことが怖い。

ジェット浪越が懐かしい。

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Posted by ブクログ 2023年06月24日

鍼やお灸、整体など普段の生活に溶け込んでいるものから、ホメオパシーなどのそれっぽいものにちぃて、科学的見地から見て、医療としての効果があるものなのかどうかという検証をまとめた本。

とても面白かった。

どれも薬効という面での効果はなく、プラシーボ効果がほとんどというのはある意味痛快でもある。

...続きを読むさに「病は気から」ということが証明されたとも言えるのではないかと思う。

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Posted by ブクログ 2021年05月19日

「代替医療解剖」という、なかなかおもしろい本を読みました。

ここで言う「代替医療」とは、通常治療以外の民間治療のこと。その中でも特に、「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」に多くのページが割かれていました。

原書はイギリスで2008年に出版されたもので、原題は「Trick ...続きを読むor Treatment?」。なかなか洒落た題名ですよね。ハロウィンのときの子どもたちの言葉「Trick or Treat」をもじって、「トリックなの?治療なの?(ホントのところはどっち?)」ってことですよね。

最初のページに書かれている言葉は、「チャールズ皇太子に捧ぐ」。
最初は意味がわからなかったけど、本書の最後の方に書かれていたのですが、どうやら、チャールズ皇太子が、(治療効果のない)代替医療を支援しているらしく、治療効果があるかどうか調査しよう、と言いつつも、バイアスをかけた発表を取り上げて養護しているのだそうだ。それに対しての「返答」として、この本を執筆したのだそう。


本書では、最初に「治療効果があるかどうか見極める」ことについての解説。

数世紀前までは、医者、と呼ばれる人たちが、自分の「経験」から、瀉血を信じ、多くの人々を失血死させていた事実に気がついていなかったことや、科学的な視点を持たなかったために衛生管理を怠っていたことなどの例を出してから、現在の「標準治療」が厳密な「臨床試験」に基づいていることを解説。

そして、いくつかの「代替医療」について、「臨床試験」※に近い、きちんとした比較に基づいて「効果があるかどうか」を論じている。

※「治療群」と「対照群」に分けてブラインドテストを行い、明らかに効果が出たものを《科学的根拠に基づく医療》と認めるというもの。また、副作用に関しては、治療効果に対して、副作用のリスクの程度が十分小さいもの。

大きく取り上げた4つの代替医療である「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」について、1章ずつ割いて、その結果が書かれていました。

結果は、大雑把にまとめると

・効果はほぼ「プラセボ効果」と言える
・時には、直接的な危険性もある(臓器を傷つける、中毒症状を起こす、感染症、など)
・そして、標準医療に比べて費用がかかる
・代替医療を信じたことによって通常医療を否定することによる病状悪化の危険性

要するに、民間治療には、ほとんど効果がないということがデータからわかった、という結論でした。


文庫版になったときの訳者のあとがきを読むと、この本が出版されたたことで、著者の1人であるサイモン・シンさんが、英国カイロプラクティック協会に名誉毀損で訴えられたとのこと。一審ではシンが敗訴したものの、科学者、ジャーナリスト、著名な司会者などがシンの応援に立ち上がり、危険なカイロプラクターの摘発キャンペーンなどを行った結果、英国カイロプラクティック協会が訴えを退け、シンが勝利したとのこと。

そして、「プラセボ効果」の研究がアメリカの研究者によって始められたとのこと。
怪しげな民間治療で得られるプラセボ効果ではなく、標準の医療でも、プラセボ効果を効率的に利用していけるようになれば、さらに患者の利益は大きくなりますね。きっと。



結構な分量のある書籍なので、読むのは大変でしたが、科学的な根拠を持たずに行われてきた、過去の医療行為や、代替医療の詳細などを知ることができて、ためになる本でした。

「自然」「伝統的」「全体論的」などの、いかにも「良さげ」な言葉には注意しなくては、ですね。そして、最後の方には、患者が代替医療に走ってしまう理由の1つに、医師が代替医療に目をつぶっていることや、患者に対して時間を割けないことなども列挙されていました。なかなか難しい問題ですね。


最後に、煙草のパッケージに注意書きを載せるように、それぞれの治療法に注意書きを載せるなら…ということで、著者が書いた「注意書き」が面白かったので、引用しておきます。

ーーー引用ーーー
・鍼
注意:この治療法については、いくつかのタイプの痛みや吐き気には効果があるという、僅かな科学的根拠が得られているのみです。それらの症状に効いた場合も、効き目は長く続かず、非常に小さなものとなるでしょう。通常医療の治療にくらべて費用がかかり、効果は小さいとみてまず間違いありません。この治療法の主な効果はおそらく、痛みや吐き気に対するプラセボ効果でしょう。それ以外のすべての病気に対して、鍼にはプラセボを上回る効果はありません。鍼は、訓練を受けた施療者に打ってもらえば、かなり安全な治療法と言えます。

・ホメオパシー
注意:この製品にはプラセボ効果しかありません。ホメオパシーを信じていて、症状が痛みや抑うつなどである人にのみ効果があります。その場合でも、通常医療の薬のような強い効果は得られないでしょう。通常医療の薬よりも副作用は起こりにくいですが、効果も少ないでしょう。

・カイロプラクティック
注意:この治療法は、首に脊椎マニピュレーションが行われた場合、脳卒中を起こし死亡する危険があります。それ以外の背骨に対して行われるなら、カイロプラクティックは比較的安全です。腰痛に効果があるという多少の科学的根拠はありますが、たいていは通常医療の治療にも同様の効果があり、料金ははるかに安くすみます。他のすべての病気に対し、カイロプラクティックにはプラセボを上回る効果はありません。

・ハーブ薬ーイブニングプリムローズ(メマツヨイグサ)オイル
注意:この製品にはプラセボ効果しかありません。あなたが信じなければ効果はなく、また、プラセボ効果による治療に反応するある種の病状にしか効果がありません。その場合でも、プラセボ効果は予測不可能で、通常医療の薬と同程度の効き目はないとみられます。通常医療の薬よりも有害な副作用は少ないかもしれませんが、効果も少ないでしょう。

・ハーブ薬ーセントジョンズワート
注意:この製品は、他の薬と干渉することがありませす。セントジョンズワートを服用する前に、一般医に相談しましょう。軽いか、または中程度の抑うつ状態に効果があるとの科学的根拠があります。こうした病状に対しては、同様に効果のある通常医療の薬があります。
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Posted by ブクログ 2020年09月01日

原書名「Trick or Treatment?」とは、なんとも秀逸なタイトルだ。サイモン・シン氏の過去の著書と今回の内容を比較すると、方向性が異なるため落胆する人も少なくないだろうが、本書では彼のジャーナリストらしい一面を見ることが出来て、大変興味深く楽しめる1冊である。青木薫氏の翻訳も相変わらず読...続きを読むみやすく、特に文庫版訳者あとがきは必読だ。本書刊行後、シン氏は英国カイロプラクティック協会から名誉毀損で訴えられている。本来罰すべきはシン氏ではないだろうと疑問に思うところだが、これにより本書も注目され、代替医療の有効性と危険性について、より多くの人々に知ってもらえる機会になったのではないだろうか。シン氏が次にどんな本を書かれるのか、青木氏の翻訳とともに非常に楽しみである。

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Posted by ブクログ 2020年03月21日

それぞれの代替医療の成り立ち、理論が説明され、更に臨床試験の結果が示され、結論づけられる。非常に論理的で説得力のある内容だった。厳格な臨床試験(二重盲検法)等に関する解説も興味深い。プラセボ効果について詳述した第6章は必読。代替医療をめぐる現代社会への警鐘と提言に、著者の熱い思いを感じた。

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Posted by ブクログ 2020年02月22日

代替医療が本当に医療効果があり、費用と見合ったものなのかを、正しい臨床評価を基に検証したものです。正しい評価とは、「科学的根拠にもとづく医療」の事で、通常ランダム化臨床試験で得られた根拠の事です。

医療の歴史を紐解きながら、医療の素人でもわかりやすく理解できるよう努められており、そこからも筆者達の...続きを読む誠実な姿勢を感じます。また歴史の部分は読み物としても優れており、楽しませてくれました。

巷に溢れる代替医療のうち、その規模や浸透度の大きさから、下記の4つについて、多くのページが割かれています。
①鍼
②ホメオパシー
③カイロプラクティック
④ハーブ療法
結論から言うと、プラセボ効果以上のものは殆ど確認出来ないのが実情です。特にホメオパシーについては、治療ではなく信仰と言い換えたくなりました。
それでも人は効果のない代替医療に多額の費用をかけるのか、そこにも言及しています。
最初に訳者あとがき(文庫本版訳者あとがきではない)を読まれると、全体のサマリーになっている事が分かります。その後本文を読み始めてもいいかと思います。

医療に限らず、事実にもとづいて判断をしていく事の大切さと難しさを感じました。事実を事実として受け入れながら、批判精神を持ち続ける柔軟な態度を持ちたいと思いました。

作者はイギリスの医師と医療ジャーナリストによる共著で、最後までとても読みやすく非常に為になりました。

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Posted by ブクログ 2019年08月04日

 本書は、「いいと思う」「効くと思う」「効くはずだ」といった主観的な判断だけで価値があるとされてきた代替医療にメスを当てて、通常医療と同じ土俵に載せた評価を整理した資料である。
 現在認められている通常医療は、もはや二重盲検という医者も患者も目隠しした上で行う臨床試験で効果を示した者のみが認められて...続きを読むいる。この臨床試験は、きびすぎるがゆえに高コストであることが問題になっているぐらいである。
 一方、それ以外のいわゆるヘルスケア(日本では医療という訳語は不適と思うのでヘルスケアとした)は、自主的な試験は行なっているが、科学的な評価を経ることなく、効能がうたわれている実態がある。
 そのため、およそほとんどの代替医療においては、通常医療と同じ次元で評価すると効果がない、という結論になってしまった。では、なぜ代替医療はなくならないのだろうか?
 1つは、絶対的に正しいこと、というのは、あまり面白くない事による。マーケティングの世界でも、物事を理解する上で背景情報、いわゆるストーリーが大切と問われている。絶対的な正しさはストーリーの入る余地がない。科学的に効くということは、商品を売る世界では基本的に受け付けられないのである。
 また、代替医療の存在には、歴史的文化的背景があることも忘れてはならない。もはや生活に溶け込んでしまっているものもある。これらを科学的に証明できないという言葉だけで駆逐しようとすれば、反発を招くだけであろう。
 代替医療は、あくまで治療というよりも生き方、生き様を表すものともいえよう。消費者は自分で正しい、信じられる情報を集め、考えて生きていくことが求められているということだと思う。

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Posted by ブクログ 2019年03月07日

サイモン・シンさん。
とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。
それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑

文中の、
「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれて...続きを読むいるものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。

胸に残りました。

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Posted by ブクログ 2018年08月21日

代替医療というこれも逃れ難い誘惑を持つジャンルに切り込んだ本。
思惑が絡み合う業界なので、自分が病に伏せる前にこういう本を読んでおかないと冷静な判断ができないでしょうね。
鍼やカイロプラクティック、ホメオパシーなどを分析しているが、鍼についてプラセボ効果しかないことは、日本でここまで広まっているため...続きを読むに受け入れ難いのでは(海外におけるホメオパシーと同じなのだろうか)。
巻末にはサプリメントやデトックスといった、誰でもやってそうなことにも少し触れられている。
代替医療に引っかかる心理まで解説されており、傑作です。しかし、著者のサイモンシンさんはこの本のせいでカイロプラクティック協会から訴えられてしまい、最終的に勝訴したものの、2年の歳月と多額の金銭を失ったらしい。著作がこういうことで減るのは残念です。
ムカジーの「がん」といい、医療の歴史には傑作が多いですね。

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Posted by ブクログ 2017年07月18日

ホメオパシーやカイロプラクティックなどの代替医療について、施術者が謳う効果があるかどうかを科学的に分析する。
第1章でレモン果汁をとることで壊血病の発生率が劇的に改善された例等をあげて、「機能のメカニズムは不明でも対照実験を行い、統計的に有意な結果が出ればその治療方法は効果がある」を明確にした上で、...続きを読むメジャーどころの代替医療を分析。
結論としてはほとんどの代替医療はプラセボ効果以上のものはない。だが、それが今や大きなマーケットになってしまっている現状とそれを手助けした「犯人」についての言及はきびしい。

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Posted by ブクログ 2015年01月02日

前作に比べて、代替医療に対する批判色が強い作品ではあったが、いつもながら読者を引き込む作りである。主流医学が幾つもの臨床試験を重ね、科学的根拠に基づいて発展してきたのに比べて、巷の多くの代替医療は、謳っている効能のほとんどが科学的根拠も乏しく、プラシーボ効果以上の効力を持たないことが臨床試験から既に...続きを読む明らかにされている。また、主流医学では、ある一つの治療法が特定の疾病・疾患にターゲットを絞っているのに対し、代替医療では、あれもこれもみんな効きますという万能性を謳っているものが多く、これらも冷静に考えれば、そんな都合のいい話はないと思えるだろう。こういった科学的リテラシーを養うには最適な1冊であった。最後にシン氏が述べていることが印象的だったが、何故効かないと分かっていてもなおこういった代替医療が生き延びるのか?それは問診にほとんど時間をかけず患者の声に耳を傾けない「冷たい主流医学」になりがちな現代ではむしろ、じっくりと話を聞いてくれる代替医療セラピストにすがる患者が増えるのではないか、という意見に賛成である。

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Posted by ブクログ 2014年11月03日

学生実験や計測工学で学んだアプローチが、このような問題にも使われていたとは…。とはいえ、まっとうな研究者よりもマスコミや詐欺師の声の方が、一般人に数多く届くように世の中はできている。まずは疑問を持つことが唯一の防衛策なのかなぁ。

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Posted by ブクログ 2014年10月16日

代替医療って、何? タイトルはずばり「民間療法のトリック」とすべきだったと思うが。
鍼(はり)、ホメオパシー(毒を超希釈して服用)、カイロプラクティック、ハーブ(漢方薬以外)の効果の検証の話。一部の限定的な効果を除けば、プラセボ効果、自然治癒でしかないとの結論。プラセボで良くなるならそれでもいいので...続きを読むは、という考えに対しては、適切な医療を受ける機会を逸することの危険性を指摘。医療行為が長期間の検証を経るのに対し、代替医療は自身の成功体験のみでOKなわけで、しかもそれを盲信するだけに始末が悪い。
翻訳者のあとがきにあるように、医療崩壊で医師は患者と十分に向き合えない。それに対して患者と十分に向き合う代替医療に患者が惹かれ、そこに強いプラセボ効果が表れるのは当然なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2022年05月31日

医療分野に格段興味があるわけではない私でも新しい知識、知らないことを知るのはいいものだと思わせてくれる本でした。
結構ボリュームはありますが、読みやすいと思います。

ライミーの話に始まり
臨床試験がどれだけ画期的か
「瀉血」とは何かすら知らない私からしたら
全ての知識が新しく感じました。

究極の...続きを読む問い、プラシーボ(プラセボ)効果を
発揮する(そして実際症状が良くなる)のであればその効果のみでも薦めていいのではないかというところまで突き詰めてある所がよかったです。

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Posted by ブクログ 2021年09月26日

科学的思考の素朴な重要性を改めて突きつけてくる。自然科学の高等教育を受けて、分かっているつもりでも、ふとした瞬間に非科学的な思考に陥ってしまう。ことが健康に及ぶと尚更である。漠然と「そうかもしれない」と思っていた具体的言説についてもバッサリ目を覚まさせてくれる。
カール・ポパーの「客観的知識」にくど...続きを読むくどと分かりにくく書いてあった科学の在り方について、具体例を交えて非常に分かりやすく理解することができる書とも言えないだろうか

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Posted by ブクログ 2021年05月30日

鍼、カイロプラクティック、吸い玉療法、磁気療法…様々な代替医療に科学的な根拠がほぼ無いのには驚いた。聞いたこともない療法もあり動画で確認した。健康なときに読んでおいて良かった。

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Posted by ブクログ 2020年07月29日

ホメオパシーを信頼する気になる人が少なくない事が不思議
googleって手遅れにならない程度に医者に行くべきか

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Posted by ブクログ 2020年06月28日

サイエンスノンフィクションの大御所サイモン・シン氏が今回取り上げるテーマは「代替医療」。通常医療と比べて代替医療は効果があるのか、皆が抱く疑問を科学的アプローチで検証・解明する。鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法をメインとし付録として51の代替医療が取り上げられている。

代替医療に...続きを読む治癒効果があるか否かは本文を読んでいただくとして、通常医療(すなわち西洋医学)への不信感が代替医療(東洋医学もある)の活況を許している側面がある。近代まで行われていた瀉血は何故効果が有ると言えるのか何故効果が無いと言えるのかの代表例であろう。そうした点から一定勢力かつ既成権力にありつつある代替医療を検証・批評するには相当勇気ある行為である。ランダム化臨床試験を用いた効果測定、プラセボ効果と害の対比など極めて理路整然と客観的に分析されており著者らの問題意識の高さが窺える。

例えば444ページのDHMO(一酸化二水素)はなぜ依然として放置され全く問題視されないのか大きく疑問である(内容は読んでのお楽しみ)。医学が発達し我々の健康寿命が伸び続けるからこそ本書で語られるような内容の啓蒙活動は益々必要であろう。

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Posted by ブクログ 2018年06月01日

読んでよかったと言える本。皆にもお勧めしたい。

この著者のシリーズは興味深い話が多い。

現代医療の臨床検査による医療の効果の測定について、今では当たり前になっているけど、思ったよりも最近になってから定着したのだという印象を受けた。
自分が歳をとったので、100年前というのが、古いとは思うが、以前...続きを読むよりも近いと感じるためだと思う。

また、私も鍼には効果があるのでは?ってなんとなく考えていたけど。まったく効果がないとは、そこはちょっと意外だった。

海外の話だが、ホメオパシーのようないかにもいい加減に聞こえるものが大手を振って医療行為としてなされているかと思うと怖くなった。

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Posted by ブクログ 2017年10月07日

 二千年以上前にヒポクラテスは警告した。
「科学と意見という、二つのものがある。
 前者は知識を生み、後者は無知を生む」

 本書は一言で言うと、怪しい代替医療手段に手を出すのはやめましょう、という点に尽きる。
 なぜならば、通常医療はコストのかかる臨床試験を経て効用と安全性が実証されているのに対し...続きを読む、代替医療は無法地帯のように効能ばかりが強調されているが科学的に立証されていない。
 代替医療はプラセボ効果以上のものはないという結論である。

 「フェルマーの最終定理」などの著書で有名な科学ルポライター、サイモン・シンと、自らホメオパシーを施術する代替医療分野における世界初の大学教授絵エツァート・エルンストによる共著である。

 本書では鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の成立から現在に至るまでを詳細に検証し、それら代替医療の効果について論じている。
 そして、付録には上記以外の三十以上にものぼる代替医療についても言及されている。

 代替医療が危険なのは、代替医療が有効だと信じ込み、通常医療に影響がある、もしくは通常医療を中止してしまうことで取り返しのつかないほど病状が進行してしまう可能性がある。

 本書が冒頭で「チャールズ皇太子に捧ぐ」と書かれているのは、最大の皮肉である。

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Posted by ブクログ 2016年01月17日

「DJの首を吊し上げろ、奴らの音楽は俺の人生に何の役にもたっていない」(The Smith 「Panic」)

優れた科学ジャーナリストであるサイモン・シンが、代替医療の学術的研究を行うエツァート・エルンストとの共同作業により、鍼治療、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法等のいわゆる「代替...続きを読む療法」について、数多の先行研究を踏まえて科学的なプロセスによる効果検証を行い、その結果をまとめ上げた一冊。

検証にあたってのスタンスは決して「代替医療は効果がある/ない」というどちらかの立場に与するものでもなく、また生理学的な効用をもたらすメカニズムがわからないとしても、それが実際に効果があるのか、もしくはないのかという面だけのフォーカスを置いた点で極めて公正なものである。また、冒頭では医療の効果を検証するために先人が生み出した様々な科学的プロセスの解説が置かれ、本書の検証もまた同様のプロセスを踏んでいることが示される。

さて、結論としての代替医療の効果は概ね否定的なものとなっている。何も治療を施さない場合と比べて、明示的な効果がない、ということもさることながら、代替医療の問題の一つは副作用、通常医療に比べて高額になりやすい費用面、代替医療よりも効果のある通常医療を中止してしまうことによる症例悪化リスク、等が説明される。

何よりも問題なのは、様々な研究によりその効果が疑わしい代替医療がここまで大きなマーケットとして成立してしまっている背景、つまりなぜ人々は代替医療に入れ込んでしまうのか、という心理面の問題である。その仮説として挙げられるのは、通常医療の主体である医師があまりの多忙さ故に一人一人の患者にじっくりと向き合うことが難しく、患者が通常医療の科学的な効果やエビデンスを理解することができないからではないか、という点である。

なお、末尾ではこうした代替医療の問題点にも関わらず、疑わしい代替医療を広めた責任者として、セレブリティ、大学、政府機関、WHO等の10のプレーヤーが明示されている。首を吊らすべきなのは誰か、考えなければいけない。

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Posted by ブクログ 2015年07月20日

とりあえず、自分や身近な人を殺してしまわないためにも、すべての人に読んで欲しい本。
代替医療を科学的アプローチから、有効かどうかを判断して行く本です。
無害ならまだしも、施術から数年後に悪影響の出る可能性のある治療法があったりして、ちょっとぞっとします。
癌は治療するなとか、肉は食うなとか、そういっ...続きを読むた情報を受けたときに、実践に移る前にちゃんと考えてみるための参考になります。
ただし、これ読んだら、ブラシーボ効果が効きづらくなる可能性があるので、そこら辺は覚悟の上で。(^^;

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Posted by ブクログ 2018年10月20日

ホメオパシーは怪しいと気付いている人でも、鍼灸、カイロプラクティック、漢方を疑いなく信じている人は多い。
科学は今の時代でも万能ではなく、推論の積み重ねであり、原因が完全に解明されないまま利用されているものは多数ある。だが、本書が軸としているのは科学的根拠の究明ではなく、臨床試験とその結果を収集した...続きを読む系統的レビュー。ランダムで選ばれた患者に対し、二重盲検法によって試験担当者も対象者も本物の薬かどうか知らされないまま検証し、プラシーボの効果を排除してその効果を測定する。
正規の医薬品だろうと鍼治療だろうと霊感診療だろうとその理論はさておき、同じ検証プロセスを通してこそ何が有用で何が有害であるのかが正しく判定される。その結果、ほとんどの代替医療にプラシーボ以上の効果がないことが明確にされるが、代替医療の信奉者にこの事実を明らかにしたところで、恐らくほとんどが聞く耳を持たないだろう。

いくら正しいデータを並べようが、科学者が言葉を尽くそうが、人の信仰というものは簡単に破れるものではない。一般的に信仰のきっかけとは日常への不安や絶望からくるものだが、代替医療にハマるきっかけは現代医療に対する失望にある。医療制度が整った日本であっても、病院に不信感を抱くシチュエーションは簡単に想像できる。長時間待たされ、たらい回しにされた挙句、数分の会話で薬を処方されて終わり。こんな流れ作業では患者が一番必要とする『安心感』が得られず、プラシーボの効果が薄まることさえあるだろう。それは「医者なんだからこの苦しみを完璧に取り除いてくれるのが当然だ」と完全性を期待してしまう患者の無理解と相まって、優しいだけだが優しさがある代替医療という甘い罠に誘い込ませる。

斯様に未だもって現代は信仰が支配する時代であるが、これは代替医療に限ったことではない。政治・経済にとどまらず、科学の分野においてさえ、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話に根拠のない確信を持つ人は多い。自覚のない信仰に自ら気付く術はあるのだろうか。せめて、自分自身にも未だ見えない信仰があるのだろうということを覚えておき、信じ難い意見にも心を開けるようにしたい。

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Posted by ブクログ 2014年11月06日

代替医療について、科学的に突き詰めて考察できる。
おかげで、いろんなものが怪しく見えてくることになるが、逆にこれまでいろいろなことを信じすぎていたということか。
とりあえず、首に着けていた磁気ネックレスは外した。

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Posted by ブクログ 2014年09月14日

鍼も代替医療とは知らなかった。しかもプラセボ効果以上の効果がないとは。
きちんとした通常医療には副作用の説明があるため、
代替医療は緩やかに効果があり、副作用がないのではとぼんやり感じことから、
惹かれていたんだと思った。
この本には載っていない代替医療に挑戦したことがあるけど、全く効果がなかったの...続きを読むは、信じていなかったからだな。
信じたい人は、信じていればいい。ただ効果のないものに税金を使うことだけはやめてもらいたい。(チャールズ皇太子、しっかりして…)

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Posted by ブクログ 2014年09月12日

鍼・ホメオパシー・カイロプラクティックなどの代替医療をそれぞれの治療の発祥から紹介し、果たして効果があるのか?を実験や調査から徹底的に評価を行ったもの。そこで得られた結果はほとんどプラセボであるというものでしたが、十分な根拠、そしてなぜプラセボがだめなのか?まで丁寧に示されていると思いました。著者た...続きを読むちは最初から代替医療に否定的な目線で始めず、効果が出るなら受け入れるという態度であるのも信頼性がもてます。この本に載っているようなことをもっと多くの人が知るべきではないかと思いました。

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Posted by ブクログ 2014年08月05日

サイモン・シンが誰かと共著で本を書いているというのは知っておりました。
で、楽しみにしておりました。
ようやく読んだー。
次作が楽しみ。

ただね、一アジア人として、
東洋医学に関連したものはもうちょっと信じたい。
鍼はまあいい。
西洋におけるカイロプラクティックもまあいい。
指圧とかはさー、
まあ...続きを読む経絡とかは非科学的にしろ、
血流はよくなると思うのよね。
で、自分の経験はプラセボ以上だと思うのよね。
まあ最後の一覧には部分的に有効ってあったけどさー。
うーん。
西洋の東洋医学者って胡散臭い人ばっかりなのかなー。
うーん。

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Posted by ブクログ 2014年07月01日

サイモン・シンの著作は「宇宙創成」、「フェルマーの最終定理」に続き3作目。代替医療?とピンと来ないながらも手に取りました。
代替医療は一言で言うと「民間伝統療法」です。主に扱っているテーマは瀉血、鍼(及び経穴(ツボ)に刺激を与えるお灸、指圧、磁力・電力刺激)、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハー...続きを読むブ療法などですが、結局「どれも医療には及ばない、むしろ危険を孕んでいる」ということでした。まあ、そうでしょうね。

話の展開の仕方はこれまでの著作と異なり、各論に終始ししているところはあります。各章の結論だけ読めば「なんだ、結局そんなことか」と思うのですが、それに至るまでの論理展開はやはりサイモン・シンらしいというか、徹底して客観的でロジカルです。こうやって事象を分析すれば自分で正しい判断ができるという、考え方のテンプレートを身につけられた気がします。
前作までのワクワク感はありませんが、読んですっきりすることは間違いないです。もうカイロプラクティックには行きません。

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Posted by ブクログ 2019年12月24日

まず、作者の題材の選び方が素晴らしい。数学、暗号、宇宙ときて次は代替医療。代替医療と一口に言ってもその数はかなりあります。

鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法、この4大医療のほかにもアーユルヴェーダ、アレクサンダー法、アロマセラピー、イヤーキャンドル、オステオパシー、キレーションセ...続きを読むラピー、クラニオサクラルセラピー、クリスタルセラピー、結腸洗浄、催眠療法、サプリメント、酸素療法、指圧、人智学医療、カッピング、スピリチュアルヒーリング、セルラーセラピー、デトックス、伝統中国医療、ナチュロパシー、ニューラルセラピー、パッチフラワーレメディ、ヒル療法、風水、フェルデンクライシス法、分子矯正医学、マグネットセラピー、マッサージ療法、瞑想、リフレクソロジー、リラクセーション、霊気など中にはこれも?というものも含まれていますが、科学的に有意なエビデンスがなければ検討の俎上に上がるという徹底ぶりです。

初めて聞く名前も多かったのですが、有名どころでは例えば、マグネットセラピーはピップエレキバンみたいなもの、カッピングはアントニオ猪木がやっていたが背中に丸いアザがでる、サプリメントでは魚油だけが特別扱い・・

まず最初の4大医療方法の結論から言えば、ハーブ療法は例外はあるが効果を誇張しすぎ、カイロプラクティックは腰痛だけには効果がある、鍼も同様、ホメオパシーに至っては効果ゼロ、あるのはプラシーボ効果だけ。

もちろん、プラシーボ効果にも考慮すべき側面はあるが、それなら医者が処方した薬も同様ということで、プラシーボ効果だけしか期待できないホメオパシーはやる意味がない。そして、こうした代替医療に傾斜することで、もっと効果の高い医療がなされず手遅れになるという弊害も出てくる。
このプラシーボ効果については、医師の安易な推奨についても著者は厳しく断罪する。
患者への気休めでホメオパシーを推奨すれば、それは医師がホメオパシーの効果を追認したことになるから、医療に詐欺文化が蔓延することになる。(P407)

最近、日本でも血液クレンジングという効果のないものを芸能人が拡散したことが問題になっていましたが、代替医療の分野でも同じことが起こっています。有名なところでは、ホメオパシー愛好家はシンディ・クロフォード、シェール、アーユルヴェーダはゴールディ・ホーン・・(P414)

本書では、代替医療をひろめた首謀者をリストアップしていますが、上のセレブ以外にも、医療研究者、大学、グル、メディア(この項で取り上げられた謎の化学物質の危険性を告発した記事・・センセーショナルに真実のみを誇張して書いたが、この物質とは単なる水だった、という1文は必読(P444)、医師、代替医療協会、政府と規制担当当局(多くの国ではサプリメントの安全性は保障されていないどころか、市場から回収するためには規制当局が有害であることを証明しなければならない)、WHO(過去にも鍼にお墨付きを与え、ホメオパシーも・・)などこのまま放置しておくと、代替医療天国になってしまいそうな状況です。

一方では、医薬品に関しては厳しい規制があり、研究段階だけで、前臨床試験(5年)、第1段階臨床試験(1年)、第2段階臨床試験(2年)、第3段階臨床試験(3年)、FDAレビュー(1年)など最短でも12年販売開始までに必要でさらに莫大な費用も掛かる。
ナチュラル、ホーリスティック、トラディショナルという言葉を使えば安心安全を担保しているかのように錯覚してしまう代替医療の世界とは異質です。

文庫本の訳者あとがきで、本書のサイモンシンが英国カイロプラクティック協会に名誉棄損で訴えられた顛末も書かれていますので本当にお得な1冊となっています。

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Posted by ブクログ 2019年09月01日

ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと――。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とと...続きを読むもに語られる、代替医療の真実。

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