あらすじ
ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと──。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。
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Posted by ブクログ
鍼やお灸、整体など普段の生活に溶け込んでいるものから、ホメオパシーなどのそれっぽいものにちぃて、科学的見地から見て、医療としての効果があるものなのかどうかという検証をまとめた本。
とても面白かった。
どれも薬効という面での効果はなく、プラシーボ効果がほとんどというのはある意味痛快でもある。
まさに「病は気から」ということが証明されたとも言えるのではないかと思う。
Posted by ブクログ
原書名「Trick or Treatment?」とは、なんとも秀逸なタイトルだ。サイモン・シン氏の過去の著書と今回の内容を比較すると、方向性が異なるため落胆する人も少なくないだろうが、本書では彼のジャーナリストらしい一面を見ることが出来て、大変興味深く楽しめる1冊である。青木薫氏の翻訳も相変わらず読みやすく、特に文庫版訳者あとがきは必読だ。本書刊行後、シン氏は英国カイロプラクティック協会から名誉毀損で訴えられている。本来罰すべきはシン氏ではないだろうと疑問に思うところだが、これにより本書も注目され、代替医療の有効性と危険性について、より多くの人々に知ってもらえる機会になったのではないだろうか。シン氏が次にどんな本を書かれるのか、青木氏の翻訳とともに非常に楽しみである。
Posted by ブクログ
本書は、「いいと思う」「効くと思う」「効くはずだ」といった主観的な判断だけで価値があるとされてきた代替医療にメスを当てて、通常医療と同じ土俵に載せた評価を整理した資料である。
現在認められている通常医療は、もはや二重盲検という医者も患者も目隠しした上で行う臨床試験で効果を示した者のみが認められている。この臨床試験は、きびすぎるがゆえに高コストであることが問題になっているぐらいである。
一方、それ以外のいわゆるヘルスケア(日本では医療という訳語は不適と思うのでヘルスケアとした)は、自主的な試験は行なっているが、科学的な評価を経ることなく、効能がうたわれている実態がある。
そのため、およそほとんどの代替医療においては、通常医療と同じ次元で評価すると効果がない、という結論になってしまった。では、なぜ代替医療はなくならないのだろうか?
1つは、絶対的に正しいこと、というのは、あまり面白くない事による。マーケティングの世界でも、物事を理解する上で背景情報、いわゆるストーリーが大切と問われている。絶対的な正しさはストーリーの入る余地がない。科学的に効くということは、商品を売る世界では基本的に受け付けられないのである。
また、代替医療の存在には、歴史的文化的背景があることも忘れてはならない。もはや生活に溶け込んでしまっているものもある。これらを科学的に証明できないという言葉だけで駆逐しようとすれば、反発を招くだけであろう。
代替医療は、あくまで治療というよりも生き方、生き様を表すものともいえよう。消費者は自分で正しい、信じられる情報を集め、考えて生きていくことが求められているということだと思う。