青木薫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ニュートン、ガリレオ、フーコー、キャベンディッシュなど、科学会の歴史の中で、もっとも美しい10の実験について描かれたもの。単に実験の中身ではなく、どのような背景や苦労があったのか、人物像や社会の情勢なども解説されていてとても興味深い。ここでいう美しさの定義は、実験がシンプルであること、その実験の前と後では世界が変わってしまっていること、誰でも再現できることなどが挙げられている。確かに、フーコーの振り子で地球の自転を確認できたり、太陽と影の長さで地球の長さを測ったりなんて、シンプルだけど世界の見方が変わる。物理学・宇宙・化学にはあまり縁のない分野を学んできたが、やはり憧れる。
-
Posted by ブクログ
暗号解読の下巻。本書では戦中から現代まで。直近で多少システムをかじるようになってから、暗号化の仕様でtripleDESを求められたが、本書ではDESの創られた経緯が紹介されていて興味深かった。
「コンピューターによる暗号化とはいっても、その手続きの大半は従来の方法と変わらない。実際、コンピューターによる暗号化と、エニグマのような機械による暗号化との大きな違いは、次の三点だけである。第一に、機械式の暗号機では、その機械を実際に作れなければ話にならないのに対し、コンピューターは、恐ろしく複雑な仮想暗号機をまねることができるという点である。…
第二の違いは、単純に速度の問題である。…
第三の、そしておそらく最大の違いは、コンピューターがスクランブルをかける対象はアルファベットの文字ではなく、数だという点である。」
「鍵配送がそれほどの大問題になるのは、まさに八方ふさがりの状況だからである。二人の人間が秘密文書を電話で送信したいとき、送信者はその文書を暗号化する。暗号化するためには、送信者は鍵を使わなければならない。鍵はそれ自体として秘密だから、秘密文書を送るためには秘密の鍵を送信しなければならない。つまり、あらかじめ秘密(鍵)を共有していなければ、秘密(暗号文書)はやりとりできないというジレンマに陥ってしまうのだ。」
-
Posted by ブクログ
前半は初心者にも優しい口調で話しかけてくれてとても嬉しかったが、後半に行くにしたがって理解できない専門用語が多くなり、そのうちには初心者への説明を放棄してしまったように感じた。しかも最後には研究費削減への恨み節。
政治も科学も経済も、もっと一般人に興味を持たせるような伝え方ができないのだろうか。もっと分かりやすく説明をすることはできないのだろうか。と、自分の頭が悪いのを棚にあげて言ってみた。
内容が理解できたとはとても言えないけれど、量子論は本当に興味が尽きない。まだまだ挑戦するぞ!
で、結局は、ヒッグス粒子がプラトンの言うエーテルだった。てことじゃないんですかね? -
Posted by ブクログ
宇宙の平均密度を計算してみると、地球1000個分の体積にわずか1グラムというものだった。宇宙の大部分はからっぽの空間なのである。惑星、恒星、銀河などは例外的に多くの物質が集中しているところであって、極めて異例な場所ってことになる。
下記の話は『人類が知っていることすべての短い歴史(上) 』のレビュー
「原子のサイズを理解するために、原子の幅を1ミリと仮定してみる、そうすると一枚の紙の厚さがエンパアステートビルに相当する。その極めて極小の原子を大聖堂の大きさまで拡大してみる、すると原子核はハエほどの大きさにしかならないらしい」って同じこと言ってる気がする。 -
Posted by ブクログ
数学の様々な最先端分野の知見を橋渡しして研究しようとするラングランズプログラムに関わっている著者が、自分の研究者としての生い立ちと、そのプロジェクトの概要を伝える本。正直なところ、数学の先端分野を理解するには専門書を何冊も読んでも一般読者には厳しいです。著者もそこは割り切っていて、相当かみ砕いて解説していますが、それでも何のことかチンプンカンプンなページはいっぱいありました。ただ全く異なる分野を突き詰めると、何故か共通する概念に辿り着くという体験を何とか伝えようとする著者の熱意や、「もしかしたら数学のすべての分野を律する概念があるんじゃないか。細分化された先端分野を統一して記述できるのではないか」という著者が研究に賭けるモチベーションは伝わってきます。
ユダヤ人をルーツに持つ著者が旧ソ連で酷い差別を受けて研究の道を絶たれようとした体験の記述は生々しく、当時の旧ソ連の人権意識の低さを物語っています。
理解できない部分は割り切って読み飛ばしても結構なボリュームの本でした。 -
Posted by ブクログ
数学好きに言わせると数式とはとてもエレガントで美しいものらしい。そんな筋金入りの数学好き、エドワード・フレンケル氏の著書、数学界の一大事業といわれるラングランズ・プログラムにおいて、中心的な役割を果たしているメンバーの一人である。
もともと物理に興味があった少年時代のフレンケル氏が、数学者を目指すようになったきっかけや、大学入試の際に受けた人種差別、ソ連からアメリカに移り住むこととなった経緯、そして現在取り組んでいるラングランズ・プログラムについてなど、特に数学に興味がある人には盛りだくさんな内容となっている。
今まで何冊か数学に関するノンフィクションは読んだが、それらに比べて本作は現役の数学者が執筆しているだけあって、数学の概念や数式が随所に描かれている。残念ながらその辺の記述はサッパリ理解できなったが、もし少しでも理解することが出来れば、フレンケル氏が言うように人生が豊かになるのかもしれないと思った。 -
Posted by ブクログ
青木薫氏の初の著書ということで話題になっているようだ.本格的な内容は最近の新書の中ではかなり硬派な部類に属するだろう.
カーターの強い人間原理(p.155)とは
宇宙は(それゆえ宇宙の性質を決めている物理定数は),
ある時点で観測者を想像することを見込むような性質を持っていなければならない.デカルトをもじって言えば,
『我思う.ゆえに世界はかくの如く存在する』のである.
ということ.ストア学派の目的論の再生のように考えられた人間原理が,ビッグバン・インフレーションモデルから多宇宙ヴィジョンの誕生という宇宙像の変遷の中で,観測選択効果として受け入れられるようになっている.
というのが内容.
前半のギリシャ以来の宇宙観の解説が長い,そして少々退屈.先に進むと必要だというのはわかってくるのだが.人間原理が登場するのは半ばより後で,それ以後の展開ははやい.そしてゆっくり読まないと難しい.
こうなると物理と哲学の距離はかなり近そうだ.大変だろうな. -
Posted by ブクログ
さくさくよめたし、おもしろかった。期待したほど重量級じゃなかったけど、バンタム級のチャンピオンがヘビー級よりも劣るというわけじゃないだろうし。
「世界を変えた」ではなく「世界でもっとも美しい」であることに注意。いちおう古い順に並べてはあるが、網羅的でもないし、つながりもあるようなないような。むしろ「美しさ」をもうすこしワキにおいて、つながりを重視してくれたほうがわかりやすかっただろうとは思う。
実験における美しさとは何か。まとめるとしたら、「自然について深い事柄を明らかにすること」「実験を構成する個々の要素が効率的に組み合わされていること」そして「さらなる推論や考察を必要とすることなく、その実験によって結果が決定的に示されること」だと、本書序文には書いてある。深くて、ムダが無くて、決定的であること。なんか納得できるような気もする。
個人的にもっとも美しいと感じたのは、最初の「エラトステネスによる地球の外周の長さの測定」。紀元前3世紀に、地球のサイズをほぼ正確に測定したという実験だ。しかも使った道具は日時計のみ。この実験の仮定とした3つの要素……地球と太陽がおなじ三次元空間に存在し、地球は球体であり、太陽ははるか彼方にあること……だけでもギリシャ人はえらかったなぁと思う。
実験の美しさというところにフォーカスが絞られている分、小粒ではあるが、まとまっている。ポピュラーサイエンスの読み物が好きな人なら、間違いなく退屈はしないと思う。 -
Posted by ブクログ
化学は物事を明らかにする。事象に光を照らす。そういうものだと思っていた。
しかしながらこの本で描かれるのは、薄暮の世界。
少しずつ角度を変えて世界を照らしていく、そういった科学の歴史。
めまぐるしく化学が進化してきているように感じるけれど、論理のみでは化学は進まず、観測機器や社会情勢の変化による意識の変化も必要で、ほんとにゆっくりである。
そもそも私自身ビッグバンってなんなの? え? 多次元宇宙ってSFの世界じゃないの?というレベルなので何度も読み返さないと理解はできないのだけれど、ゆっくりと一歩一歩仮説を重ねて研究を進めていく世界なんだなあ……と面白く感じた。
もっと科学的教養があれば楽しいんだろうけれどね!
少なくとも、あと5回くらいは読み直し、読んで驚ける自信がある。それくらい理解できてない。 -
Posted by ブクログ
一番美しい科学実験。私はアインシュタインの一般相対性理論を実証した、日食時の光の歪みの測定が世界で一番美しいと思っていたが、それはこの本には書かれていなかったのでちょっとしょんぼりした。アレは測定ってだけで実験には含まれないの?そんなアホな…。でも、フーコーの振り子やヤングの干渉など、実証こそが科学の真骨頂!と思わせる実験が沢山出てきて、読むだけでわくわくした一冊だった。
文章や言葉選びがとても優美でいい。鮮やかなファンタジー映画を描くような魅力的な文章で、科学の美しさがよく伝わる。
これからも、整然とした物に対する美も、曖昧で不明瞭な物に対する美も、両方とも美しいと思える自分でいたい。 -
Posted by ブクログ
科学史上美しい実験のアンケートをとり、それを元に著者が選んだ10の科学実験
この特集を組んだのが物理系ジャーナルだったのと、おそらく歴史の流れ的に、物理実験が多いです。
重力や光の干渉とか・・・
一番印象的だったのは、地球が自転している事を示した「フーコーの振り子」
地球が自転しているなら、振り子は時間経過とともに少しずつその軌跡がずれていく、というもの。
振り子の先に尖った芯のような物を付け、振り子を揺らし、下に砂を敷いて軌跡を見ると確かにずれていく。
それを見た瞬間に、動いている振り子のずれから、地球の自転まで考えが及ぶのだろうか・・・
実際にその実験を是非見てみたい。
有名なものからあまり聞き慣れないものまで様々(といっても10個だけど)
昔の実験については特に、科学史上重大な発見をした人って偶然ある現象を見たり、ひらめいたりして新たな原理を発見する、というイメージがあったけど決してそうじゃないと分かった。
それはあくまで「なぜ」の段階であり、そこからつき詰めていくための過程、それを証明するための方法。
そういった事をクリアできた人だけが新たな発見をしている。
今は生物系の発展が騒がれているが、生物系の実験ってインパクトはあるけど美しさはなぁ・・・
あ、でも、美しさ、っていう言葉の定義とそれを科学実験とどう繋げるか、というのはそれだけで一つの問題なんですね〜
その事については本書の章間のコラムを参照してください!