【感想・ネタバレ】暗号解読(下)のレビュー

あらすじ

当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号……。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。

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Posted by ブクログ

### 上巻

歴史において長い間、暗号作成者と暗号解読者の戦いは、暗号解読者優位が続いていた。(多くの暗号は解読方法が発見されてきた)というのが、現代とギャップがあって面白いポイント。

暗号史において、エニグマ解読にまつわるエピソードがやはり上巻の中で一番の読みどころ。

### 下巻

暗号解読ではないが、類似のものとして古代文字の解読が取り上げられている(古代エジプトのヒエログリフ、古代ギリシャの線文字B)。また、誰も理解できない言語を操るアメリカ先住民ナヴァホ族を暗号通信担当として軍に迎え入れたアメリカ軍の話も面白い。

そして、暗号というものが生まれてからずっと付きまとってきた「鍵配送問題」をついに解決した、RSA暗号の話が暗号史におけるクライマックス。

最後の章では、RSA暗号を解読する可能性を持つ量子コンピュータを紹介する一方、量子コンピュータが更なる強固な暗号を生み出す可能性についても触れている。

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2024年11月18日

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単アルファベット暗号から量子暗号まで、非常にわかりやすい文体で書かれており、暗号・数学に無知な素人でも最後まで楽しく読むことができた。

量子力学に簡単に触れている部分では、多少頭が混乱したが、そう言うものだと思って割り切って読めば案外なんとかなった。
汎用的な量子コンピュータが開発されるのはまだまだ先のことかもしれないが、量子コンピュータ≠既存のコンピュータということを理解するためだけでも、この本を読む価値はあったと思う。
もちろん、難攻不落とされる量子暗号の解説も非常にわかりやすく、量子コンピュータの可能性についても大いに考えさせられた(取らぬ狸の皮算用かもしれないが…)。

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2023年05月14日

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サイモン・シンの『暗号解読』を一気に読んだ。
これまでにサイモン・シンは『ビッグバン宇宙論』と『数学者の楽園』と『フェルマーの最終定理』を読んだ。サイモン・シンはハズレはないが、その中でも今回の『暗号解読』は最高に面白かった。
紀元前のオリエンタルの古代の単純な暗号から、最新の量子暗号まで、時代を追って色々な暗号技術の歴史が語られている。
しかも基礎知識のない素人でもその暗号の技術がよく理解できるだけでなく、新しい暗号技術の開発とそれの解読に挑戦した科学者たちのドラマと歴史に及ぼした影響を目の前の出来事のように楽しめる。
特に最終章の量子コンピューターと量子暗号に関しては、たった1章が割かれただけなのに、これまで読んだ色々な本と比べても面白くてわかりやすかった。

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2023年05月07日

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ネタバレ

古代文字は結構、当てはめてみたらたまたま当たってたことによって解読されたものが多く、言語学の知識に加えて優れた勘も必要だということにびっくり。しかしトマス・ヤングやジャン=フランソワ・シャンポリオンの言語に関するエピソードは強烈すぎる。
最終章の量子暗号は複雑で難しかった。本を読み進める中で暗号作成と暗号解読はいたちごっこなんだなと感じていたが、量子暗号を使うと絶対に破れない暗号を作れるという事実には驚いた。
この本を読む前はアランチューリングしか知らなかったが、他にも生前には認知されることのなかった暗号専門家は沢山いて、国や軍のために重要な仕事をしているのにも関わらず機密であるため当時の情報が残っていなくて辛い思いをした人が数多くいたことが分かった。

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2023年03月03日

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中世から現代までの暗号の考案と解読の歴史を綴った一冊。技術とヒューマンドラマが絶妙にバランスされていて、知的好奇心をくすぐられる。訳文も読みやすい。
下巻では、アメリカ先住民のナヴァホ族の言葉があまりに聞き分けづらくて、世界対戦でも暗号として利用されていたエピソードが好き。

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2022年04月16日

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線文字Bの解読、公開鍵を持つ暗号の開発、そして実用化されつつある量子コンピューターと量子暗号について解説されている。

技術的(数学及び量子力学)なことにも踏み込んで説明されており、読み応えがあるが、丁寧に読んでいけば十分に理解できる。

これだけ調べ上げ、わかりやすく表現した著者に脱帽である。また、訳者もわかりやすい日本語に翻訳することに注意を払っていることがわかる。

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2022年01月23日

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暗号技術についてはもちろんのこと、歴史、数学、軍事、政治、計算機技術等々、多様な分野への興味を掻き立てられた。

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2021年06月27日

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暗号とは何か、暗号と解読の歴史、暗号の現在、暗号の課題をこれ1冊で掴むことができる名著。古代ローマから、エリザベス1世、第一次世界大戦、量子コンピュータの時代までを暗号という視座から追う。

単なる解説本ではなく、暗号にまつわる人間ドラマや外交のダイナミズムから暗号の全容を浮き彫りにしている。さらに、伝記や陰謀史で終わるわけではなく、暗号の仕組みや解読に至るまでの思考経路を数学も言語学も分からない素人に分かるように解き明かしてくれる。
プライバシーと治安維持、外交政策と民主主義といった視点から、暗号技術を誰がどう扱うか今後も議論が続くのだと思う。自分はどちらの立場なのか決めきれない。「犯罪組織は治安党局で監視してほしいけど、一般市民のプライバシーは侵害しないでほしい。自国の不利益は困るけど、外交は公明正大に、国民の目が届くように行ってほしい」というのが本音だけど、犯罪組織の定義すら恣意的に決めうる社会にあって途方に暮れてしまう。


ITパスポートの勉強をした際、「公開鍵」「秘密鍵」と当然なようにテキストに出てきて何のことか分からなかったが、本書を読んで理解できた。どんなに画期的な手法だったかということも分かった。
ITパスポートのような資格試験の勉強をするよりも、サイモン・シンやブルーバックスを読んだ方がITに対する理解が深まると思う。

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2021年06月14日

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傑作『フェルマーの最終定理』の著者サイモン・シン氏による暗号解読に関するドキュメンタリー。

暗号発生の歴史から現代の暗号の状況まで数々のエピソードがちりばめられている。
上巻は暗号の歴史から第二次世界大戦中、最強の暗号作成機として名高かったドイツの『エニグマ』を解読した連合軍の苦労話が秀逸。

ンピューターの先駆けを作った英国のチューリング博士の話が興味深い。

下巻は、コンピューター時代の暗号の話。
今我々がコンピューターを使うとき、例えばメールを送ったり、ネットショッピングをしたりという時には、自然と暗号化がされているが、その暗号とはどういったものなのかが説明されている。

『フェルマーの最終定理』でもそうであったが、本書の文系読者にも非常にわかりやすく描かれている。
ここまで理系の本であるのに多くの読者をひきつけるのは、サイモン・シン氏が多くの人々の苦労の道筋を本として書いているからなのだろう。

非常に知的好奇心を満足させる本である。

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2021年01月16日

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安定のサイモン・シン、非常に面白かったし勉強にもなった。ネットセキュリティの暗号など身近な問題ながら難解で、ほとんどの人は詳細を知らないでいることかと思う。 素因数分解が使われてるってことぐらいは聞いたことがあったが・・
最後に歴代の暗号を使った検証問題が出てくる試みも非常に面白かった。この10問を後書きにしっかり残した編集部の執念も脱帽もの

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2020年03月05日

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近代の暗号、それから古代の文字の解読。
特に興味を引いたのは、やはり今どういった暗号が用いられているか、それから今後どういった暗号が用いられうるのか。素数を使った暗号が強いというのは、なんとなく耳にしたことがあったが、実際に分かりやすく理解できたのは素晴らしい。それに量子世界の一端に触れられたのが本当に良かった。今度、量子力学をかじってみようかという気持ちにさせてくれた。

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2020年03月04日

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米軍がナヴァホ族の言葉を使って、秘密を守った話が面白すぎた。いや、たしかに知らない言葉は暗号になり得るよな。
あとは、剰余を使った一方向関数の着想から、RSAに到り、それを破るかも知れない量子コンピュータの話と、さらに強力な量子暗号の話と続いていきます。
暗号解読のクイズもあるので、自分はやる気ないけど、興味ある方はどうぞ。

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2018年08月07日

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上巻でエニグマまで辿り着いたので、暗号の歴史的にはRSAしか残っていないのだが、ナバホ族のコードトーカーから線文字bの翻訳まで説明するとは恐れ入った。とはいえ古代文字翻訳も暗号解読みたいなもんだし、統計と勘によって翻訳できないものはないことを知るのは重要で、例えば暗号のために新しい言語を作るのはあまり効果がないという実例だろう。
またRSAの説明も恐ろしくわかりやすく、最後に量子コンピューティングの話を持ってくるのも心憎い。訳者の後書きにある通り、暗号本の中で傑出した出来だった。

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2025年08月19日

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上巻では数学、下巻では科学→物理学という感じ。
暗号が出来たての頃は生々しい理由からだったけど、今や情報ツールとして私たちが利用しているのも暗号化されているものが身近に沢山ある事を知った。
量子暗号や量子力学、または量子コンピューターなどこれについて初心者だった為もあり分かりやすく纏められていて助かった。
量子力学の本も積んでいるので予習できて良かったと思う。
様々な天才たちが暗号を作成、解読しているドラマチックでロマン溢れるこの行為は現在も続いてるとなると胸が熱くなりわくわくする。
最後が読み手によって合うか合わないか別れそう。
私は進化という意味で楽しめた。
暗号関連ちょっと追ってみたくなりました。

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2025年08月13日

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マニアックな内容だけど、わかりやすく書いてくれている。暗号ってあまり一般には意識しないけど、実は凄く身近なものだとわかる。

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2024年09月14日

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暗号ってこんなに社会に根ざしているけど、日の目を浴びてない領域ってなかなかないのでは?
これからもっと大切になっていくと思うので、自分の情報を守ることに対して、少しは意識を持とうという気持ちになった。
最近はサイバー攻撃もあるので、日本の暗号技術というか、サイバー防衛スキルを高めていって欲しい。今はめちゃくちゃ弱いらしいので。

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2024年06月11日

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下巻冒頭は太平洋戦争でのナヴァホ暗号から始まった。ネイティブでなければ聞き取れないことを考えると、ある意味最強の音声伝達方法だ。間に古代文字の解読が話題となる。ロゼッタ石のように手がかりがあるものは暗号解読と同じだが、未だ解読されないものがある。そして、いよいよインターネット時代に、非軍事目的で個人情報を守るための暗号の話だ。国家と個人の利益が相反する問題が……。公開鍵、暗号鍵は初級シスアドの参考書で読んだ記憶があるが、暗号のかけ方の理屈は驚くばかり。量子コンピュータによる解読不能の暗号は登場するのか?

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2023年11月25日

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下巻の「鍵の配送」問題は、こういうことだったのか!と目からウロコでした。RSAとか公開鍵とか、知ってたけどその仕組みが必要となる理由が上巻から来てお腹の底に響きました。

最後の量子のあたりはもうちんぷんかんぷんだったんですが、数学弱い私がよくぞここまで楽しめたな、と思える本でした

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2023年07月12日

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暗号って漠然としたイメージしか湧かなかったけど、奥が深いし、そもそも紛争や戦争において、情報伝達と敵陣による情報傍受阻止は、負けないためには必須だったので、歴史はかなり古い。
第二次世界大戦中は、当時圧倒的な軍事力と科学技術力を誇っていたドイツ軍が、かの有名なエニグマを用いていた。しかしポーランド、イギリス、アメリカの数学者たちは、その解読に邁進しついには解読し戦争を優位に進めることに成功する。
今は誰でも使っている、インターネットや電子メールだが、盗み見されないようにどんな仕組みで暗号化されているのか、また受信者だけが中身を見ることが出来るのか、イメージを掴むことができた。
今は量子コンピュータの実用化が近いと言う記事も見られるようになってきたが、その時にはどんな世界になっているのだろう。
期待半分、犯罪については心配でな面でもある。

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2021年11月26日

Posted by ブクログ

下巻も期待通りの面白さ。一度読んでわからないところがたくさんあるので、何度も読み返して理解する、の繰り返し。でも、これが苦痛にならないのは、シンさんの展開力と青木さんの翻訳力のおかげかな。今後も、繰り返しゆっくりゆっくりと読みたい。

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2020年10月20日

Posted by ブクログ

暗号にまつわる紀元前から21世紀以降までの壮大な物語。
言語学、数学、コンピュータ科学などさまざまなジャンルの知識が盛り込まれていて面白かった。
線文字Bの解読など、暗号ではないが読解不能な言語を蘇らせるストーリーも非常に興味深かった。

暗号というと軍事用途などの機密保持のイメージが強かったが、数千年昔の単換字式暗号から現代のRSAに至るまで一般市民にとってもプライバシー保護に重要な役割を果たしてきたことを改めて認識した。
暗号技術は、ブレッチレーパークの例のように、その軍事上の有用性から新技術が公表されず、開発者や技術が一般的に認知されない場合もある。今現在も秘密裏に新たな暗号技術が開発されているかもしれない。

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2020年01月11日

Posted by ブクログ

当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号……。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。

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2019年09月01日

Posted by ブクログ

蜀?ョケ縺後h繧企ォ伜コヲ縺ォ縺ェ繧翫?∵囓蜿キ縺ョ莉慕オ?∩縺昴?繧ゅ?縺ッ繧医¥逅?ァ」縺ァ縺阪↑縺九▲縺溘′縲∬ソ台サ」縺ォ縺翫¢繧区囓蜿キ縺ョ鬮伜コヲ蛹悶??幕逋コ閠?◆縺。縺ョ繧ケ繝医?繝ェ繝シ?亥性謔イ蜉?シ峨?∵囓蜿キ繧定ェ阪a繧九°?亥クょ?エ縺ォ蟋斐?繧具シ峨°縲√さ繝ウ繝医Ο繝シ繝ォ縺吶k縺具シ域帆蠎懊↓蟋斐?繧具シ峨°縲∫ュ峨???∬?蜻ウ豺ア縺?ゥア縺梧コ?霈峨?

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2018年12月31日

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古代からの暗号技術の発展の歴史を辿り、20世紀の大戦の行方を左右したエニグマ暗号を巡る攻防を転回点にして、現代のデジタル暗号、果ては量子暗号までを解説する上下2巻にわたる本書。欲張りとも言える内容の豊富さだが、時代々々の技術に暗号作成者/解読者として関わった人物たちの生き様に十分に光を当てつつ、なおかつ(量子暗号のような難解なはずのものまで)どの技術の説明も要所を押さえて読み手に分かった気にさせてくれる。さすがというべきか。

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2018年05月06日

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暗号の歴史を綴ったノンフィクションの下巻。
内容は、第二次大戦で暗号として用いられたネイティヴ・アメリカンの言語、古代言語の解読、コンピュータ時代の暗号、次世代の量子暗号など。特に公開鍵暗号に関しては一般に知られている発明者以前に、英国の暗号班が同等のものを開発していたという話は興味深い。
巻末には著者からの読者への暗号解読の問題が記載されている。この問題はスウェーデンのチームにより既に解読済みだが、解読プロセスを再現した訳者ら"チーム暗号猫"の活動についても記されている。

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2019年01月04日

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戦争と暗号あたりまではまだ何者か分かりやすかったけど
一方向関数や量子暗号はブラックボックスに投げ込まれたみたいな感覚でほんとうに難しい
言ってることはわかるけど、これを考えついて実践まで落とし込める頭は中身どうなってるんだって感じる

言ってることはわかる、まで噛み砕いて書けるサイモン・シンが凄いのか
量子コンピュータも手が届くところまで来ていそうだし、現代までのその後版も書いて欲しい

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

上巻をだいぶ前に読んで、ようやく下巻読破。仕事で馴染のあるDES、RSA、Diffie-Hellman、PGP等の暗号技術を作り上げた人々の様子はすごく興味深いものだった。暗号技術はいつも政治的な影響を受けていて、そのあたりの戦いも面白く、また恐ろしさを感じる。技術は良きにも悪きにも平等に機会を与え、使うものの道徳観人間性はいつも問われることは、歴史をみても明らか。いろいろ難しくはあるが、テクノロジの進化はどうやったって止められない。だって、やりたいんだもの。
好奇心は止められんよ。
#技術論のところは、正直厳しかった、読み飛ばしてしまいました。ごめんなさい。

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2024年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

先住民族の言葉を暗号に使った話では、ナヴォホ語は、言語体系が英語やドイツ語(もちろん日本語とも)と全く異なっていることや、ドイツの学生がこの20年入っていないことから暗号としての使用が決められたとのこと。日本軍でも薩摩弁を暗号として使ったと聞いたことがあるが、言語体系も同じで、薩摩弁に明るいアメリカ人がいないとも限らないとなれば、突破されるのは時間の問題(実際には2ヶ月かかったらしい)だったろうなという感想を抱いた。

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2023年06月20日

Posted by ブクログ

暗号作成、解読の歴史、それに関わる人物たちの生い立ちや取り組み方、発見に至る経緯までも平易に書いた著作。暗号技術者の悲哀や戦争との関連など物語も記載され歴史の流れとともに暗号の推移を理解することができる。気分転換におすすめの著作。同著者のフェルマーの最終定理、の本もなかなか良い。

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2021年05月16日

Posted by ブクログ

暗号解読の下巻。本書では戦中から現代まで。直近で多少システムをかじるようになってから、暗号化の仕様でtripleDESを求められたが、本書ではDESの創られた経緯が紹介されていて興味深かった。
「コンピューターによる暗号化とはいっても、その手続きの大半は従来の方法と変わらない。実際、コンピューターによる暗号化と、エニグマのような機械による暗号化との大きな違いは、次の三点だけである。第一に、機械式の暗号機では、その機械を実際に作れなければ話にならないのに対し、コンピューターは、恐ろしく複雑な仮想暗号機をまねることができるという点である。…
 第二の違いは、単純に速度の問題である。…
 第三の、そしておそらく最大の違いは、コンピューターがスクランブルをかける対象はアルファベットの文字ではなく、数だという点である。」
「鍵配送がそれほどの大問題になるのは、まさに八方ふさがりの状況だからである。二人の人間が秘密文書を電話で送信したいとき、送信者はその文書を暗号化する。暗号化するためには、送信者は鍵を使わなければならない。鍵はそれ自体として秘密だから、秘密文書を送るためには秘密の鍵を送信しなければならない。つまり、あらかじめ秘密(鍵)を共有していなければ、秘密(暗号文書)はやりとりできないというジレンマに陥ってしまうのだ。」

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2021年08月08日

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