【感想・ネタバレ】科学革命の構造 新版のレビュー

あらすじ

待望の日本語版新版(原著第IV版、50周年記念版の全訳)。科学とは何か、知識の進歩とは何かについての固定観念を抜本的に塗り替え、「20世紀の最も影響力の偉大な本」に数えられる名著である。新版は半世紀ぶりの〈新訳〉であり、クーンの論述が細部まで丹念に掬い上げられた。また、新しい読者への案内としてI・ハッキングによる「序説━━五十周年記念版に寄せて」が巻頭に加わっている。「通常科学」から「危機」へ、そして新しい「パラダイム」へ──世界観の変わり方をダイナミックかつ周到に語って世界を変えたクーンのヴィジョンが、21世紀的な解像度の訳文でよみがえる。

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Posted by ブクログ

パラダイムとかパラダイムシフトという言葉はクーンの名前と一緒に知ってはいたけれど、
実際この本を読んでみて、思っていた内容とけっこう違った。
教科書で習うような古典を読んでみる良さはこういうところにもあると思う。

通常科学は、理論や価値観、模範例など(パラダイム)を共有する科学コミュニティにおいて、パズルを解くように、理論の確認を行っていて、本質的に新しい発見を目指すものではないが、
理論に合わないことが発見され、危機におちいることがある。
そうした中で革命のように、世界観を変えるような新たなアイデアが打ち出され、パラダイムの変化がおこる。
そうして、科学は累積的でない形で進歩していく。

科学ときくとだんだんに進歩してきたものというイメージがあるが、実際には、とびとびにというか、連続的でない形で進化してきたものといえるのかもしれない。

また時間をおいて読み返してみると発見のありそうな本だと思った。

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2024年02月14日

Posted by ブクログ

頻繁に用いられる「パラダイム・シフト」という言葉の出元はトマス・クーン氏の本書から。どのように科学革命が起こり、現代から振り替えると何故その構造が見えなくなるのかを考察している。
その構造を彼は通常科学のアノマリーに対する執着に起因するとしている。まず通常科学の語彙・装置・実験が「パラダイム」として存在し、そこに存在する「例外」が無視し難いものとなり、危機が生まれ、パラダイム・シフトし、革命が起こる。そしてシフト前後の通約不可能性を説き、(完全に類似ではないとしながらも)ゲシュタルト演出を例にしている。
改めて読むと「イノベーションのジレンマ」もほぼ本書を源流としている。ニュートンやコペルニクスやアインシュタインなど従前の常識を不可逆的に一遍させてしまう理論があるが、当時でも諸手を挙げて受け入れられたわけではなく様々な検証や揺り戻しがあり、受け入れられる以前には数多の理論があった(そして一掃され、それゆえに我々の目には映らない)という歴史的審判の重みを感じさせてくれる一冊。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

有名なパラダイムシフトについて書かれたものの新訳。とはいえ、原文なので、中身を理解するのはなかなか骨が折れた。科学の歴史は単線的な発展ではないこと、パラダイムの入れ替えによって進化してきたことが分かった。捨てられたパラダイムも科学的でないかと言われれば決してそうではないというのは興味深い点だった。

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2024年04月19日

Posted by ブクログ

科学は連続的・累積的に進歩するのではない。革命と呼べるような世界観の変化が、不連続に発生することで、未解決のまま残されていた問題の捉え方が変わる。パラダイム変換で進歩するのである。

自然を教師として自分の信念をも変えることができる、科学者という人たちは偉いと改めて思いました。

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2024年01月02日

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