青木薫のレビュー一覧

  • フェルマーの最終定理

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    思っていたよりもだいぶ面白かった。面白いけど、寝る前に読むとすぐ眠くなり、睡眠導入剤代わりとして最適な本だった。

    フェルマーの最終定理に関する話だけでなく、古代からの数学史が分かりやすく書かれていたのが良かった。訳者のあとがきにもあったが、日本人数学者や女性数学者の活躍貢献についてきちんと紹介しているのも素晴らしい。

    学生時代に読んでいたらもっと数学が面白くなったんじゃないかと思う。いつだったかガウス記号を習ったが、習った時にはガウスが人の名前という認識はなかった。17年ゼミの話は素数を習う小学生の時に一緒に習うべきだと思う。

    フェルマーの最終定理が証明されたあとのくだりは少し長かったが

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    2025年01月26日
  • ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

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    エネルギー=空間

    もの凄く単純に解釈すると私の頭ではこうなるのだが。本書は、2018年に亡くなったホーキング博士の一般向けに質疑回答された読み物であり、他の博士の本より非常に分かりやすく書かれている。それでいて、死生観、宗教観、宇宙の始まりなどの原初的、哲学的な難問に触れる内容でもあり、もしかしたら、大きくあなたの価値観を変えるかも知れない。それ位のビッグ・クエスチョンを扱う内容だ。

    冒頭の式に戻ろう。無から宇宙が誕生した時の等式だ。ビッグバンで正のエネルギーが大量に生じたとき、それと同じだけの負のエネルギーも生じた、という事を示した。正のエネルギーと負のエネルギーで差し引きはゼロで、エネ

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    2024年11月17日
  • 暗号解読(上)

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    ゆるコンピュータ科学ラジオというポッドキャストで紹介され、興味を持って読み始めました。過去に、サイモン・シン氏の「フェルマーの最終定理」を読んだことがありましたが、本書も期待を裏切らない内容だと思います。ただ、作品そのものはすばらしいのですが、ラジオで概要と面白ポイントを聞いてしまっていたので、ほとんどの情報は新鮮さを欠いてしまった点が残念でした。良書は前情報なしで読むに限る。

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    2024年11月10日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    優生学は、理論的根拠として遺伝学を取り込み、間違った考えや歴史を生み出した。いまだに私たちの無意識にも、そのような悪しき優生思想の片鱗が存在しているかもしれない。

    自己責任という言葉もそう言った優生学の考えが下敷きにあるからこそ、出てきて、物事の本質を見ないで責任をその人自身の責任にすり替える言葉だと思う。

    この本は、遺伝学をニセ科学の優生学から取り戻すための、挑戦の書である。

    親ガチャの呪いから我々は脱却することができるのだろうか?そのヒントがこの書には丁寧に記述されていました。

    人はこの世に誕生する時、2種類のくじを引かされる。「社会くじ」と「遺伝くじ」だ。

    社会くじは、格差や不

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    2024年09月28日
  • 宇宙創成(上)

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    サイモンシンの宇宙に関する人類の知識や考えの歴史をドラマチックに描いている。難しい数学が分からなくても、面白いと思える。

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    2024年09月28日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    子どもが育つ社会的環境的条件と、子どもの人生には関係があることは前提=社会くじ。
    遺伝子の偶然も子どもに影響するか。遺伝子の影響も子どもは選べない=遺伝くじ。
    遺伝子の影響を議論すると優生学的とみなされる。
    人種間に遺伝的な違いは無い=人種とは、人類が分類したモノに過ぎず、遺伝子的には広汎な選択肢がある。

    遺伝子は多様正がある。ふたりの親から生まれる子どもの遺伝型は70兆以上の組み合わせがある。一つの特徴的な遺伝情報は、プールの中の一滴のインクのようなもの。エンドウ豆のように単純ではない。
    遺伝子はたんぱく質をつくるレシピ=レシピが同じでも同じ料理はできない。GWAS(ジーワス)=ゲノムワイ

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    2024年09月17日
  • 暗号解読(下)

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    マニアックな内容だけど、わかりやすく書いてくれている。暗号ってあまり一般には意識しないけど、実は凄く身近なものだとわかる。

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    2024年09月14日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    三代遡れば8人分。我々は先祖代々受け継がれるものをランダムに配置されてきた。人は生まれながらにして違う。それを認めなければ格差はなくならない。得手不得手は遺伝子が決める。機会均等にしても結果には運が左右する。何が優位かは時代で変化する。バリエーションの多さは種の存続のため。更に、自由主義経済では消費が生産を促す。富の独占では生まれる価値に偏りが出る。優勢思想は今この時代をも衰退させる。苦手なことは補完されて、得意なことは活かされる。出来も不出来も受け入れて、素の姿を尊重する。そんな社会を目指していきたい。

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    2024年08月13日
  • ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

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    ★★★★☆やっと読み終わりました。過酷な運命にも負けずに研究者としてものの仕組みを明らかにする仕事を続けてきた。どのテーマも興味深い内容でした。今話題のAIについては、今後どうなっていくのかちょっと怖くなる内容でした。

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    2024年07月14日
  • 代替医療解剖

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     様々な医療がある現代で、医療効果の厳密な評価の重要さを説いた一冊。コクランレビューの存在を知れただけで価値があったと思う。
     どの医療に対しても適切な認識プロセスを経るべきという著者の意見はとても納得できる。効果が有効と科学的に立証されたものが評価され、投資費用に見合った対価を受け取ることのできる社会であってほしい。
     医療だけでなく、健康効果を謳う商品についても、エビデンスの強固さがどの程度か判断できる基準を学びたいと思った。

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    2024年07月09日
  • 時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙

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    熱力学第二法則の説明にも軽い興奮を覚えたけど、それが宇宙の成り立ちのストーリーにまで発展することに本当にワクワクさせられた。頭の良い人にありがちな、話の論理展開が飛び過ぎてて追えないということがなく、同じことを様々な角度から適切な比喩を持って解き明かしてくれるので、素人にもリーダブル。
    他方、専門外と思われる分野への言及は少し説得力に欠けていたかも。

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    2024年06月19日
  • 暗号解読(下)

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    暗号ってこんなに社会に根ざしているけど、日の目を浴びてない領域ってなかなかないのでは?
    これからもっと大切になっていくと思うので、自分の情報を守ることに対して、少しは意識を持とうという気持ちになった。
    最近はサイバー攻撃もあるので、日本の暗号技術というか、サイバー防衛スキルを高めていって欲しい。今はめちゃくちゃ弱いらしいので。

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    2024年06月11日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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     著者はテキサス大学の心理学教授。本作が処女作ということになるようだ。訳者は「フェルマーの定理」の訳で有名な青木薫氏、最近ではブライアン・グリーンの大著「時間の終わりまで」などがあり、科学啓蒙書の翻訳には定評がある。本書もそれらの例に漏れず訳がこなれていて読みやすい。
     
     著者の主張は本書で幾度となく言及されているように、政治哲学者ジョン・ロールズの思想の強い影響下にある。ロールズによれば、「遺伝子セット(自然的偶発性)」と「社会的環境(社会的偶発性)」は、内在的であるか構築的であるかの違いはあれど、どちらも人間の表現型(実際に発現し測定可能な特質)に作用し、人生の広範な局面に影響を与えるの

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    2024年06月11日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    宇宙にたいする見方がどのように変わってきたかがまとめられている

    これまで、人間原理のことを狭義の観測バイアスとしてしか認識していなかったため何でそんなに論争が起きているのか疑問だったが、科学、宗教的背景の違いによる違いや、多宇宙のより詳細な議論がされていることなどを知り色々と合点がいった。

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    2024年06月01日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    ヒトゲノムが解読された時に「全ての人間は99.99%同一だ」と言ったクリントン大統領の発言は間違っているし、間違いの上に社会基盤を構築しようとするのも間違っている。遺伝による違いは歴然と存在しており、学業の達成度や社会的な成功に関係している。ただし、それは優劣という比較の対象になるようなものではなく、運良くたまたま受け継がれたにすぎず、次の世代に受け継がれていくという保証もない。

    必要なことは機会の均等(全ての人に同じ教育機会を与える)ではなく、個別化、最適化された教育である。ろうやアスペルガーが障害でなく特性だ、というのはやや言い過ぎのように思うが、公平と平等の違いなと、遺伝的な差異と社会

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    2024年03月24日
  • 暗号解読(上)

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    アラン・チューリングは現代のコンピュータの基礎を作った人なので、もっと多くの人に知られるべきだと思った。チューリングのように活躍した人でも、その社会の中で差別されてしまうと、生きてきけないことに恐ろしさを感じた。そういう人たちがいることで今があることを再認識させられた。

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    2024年03月05日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    遺伝と「平等」と言うと、優生学とか過去の色んな犯罪学とか絡んできて若干引くところがある。

    筆者も、それは否定しないし、実際過去にはそれが利用されて来たのも事実。

    だが、社会的成功や人生に、「遺伝」が絡んでいることは、否めない事実であり、それに目を瞑ることもまた、誤りにつながると論ずる。

    前半は、様々な遺伝に関わる研究の成果、手法の進歩、問題点について触れ、遺伝の影響を排除は出来ないことを述べ、後半でそれを前提にした上で、では、どう言う社会を作っていくのが望ましいのかを説明していく。

    いい内容だと思う。

    環境ガチャと遺伝ガチャは事実であるが、いくつかの特定の遺伝子に起因する病例などを除

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    2024年02月20日
  • 暗号解読(下)

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    下巻冒頭は太平洋戦争でのナヴァホ暗号から始まった。ネイティブでなければ聞き取れないことを考えると、ある意味最強の音声伝達方法だ。間に古代文字の解読が話題となる。ロゼッタ石のように手がかりがあるものは暗号解読と同じだが、未だ解読されないものがある。そして、いよいよインターネット時代に、非軍事目的で個人情報を守るための暗号の話だ。国家と個人の利益が相反する問題が……。公開鍵、暗号鍵は初級シスアドの参考書で読んだ記憶があるが、暗号のかけ方の理屈は驚くばかり。量子コンピュータによる解読不能の暗号は登場するのか?

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    2023年11月25日
  • 時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙

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    理論物理学者のグリーンが描く宇宙の誕生から死への旅路。生命は必ず死滅する。生命だけでなく原子も電子も素粒子も死滅する。そんな膨大な時間の未来を描いてくれる。宇宙の誕生や生命の誕生は読んでいてワクワクするけど、死に向かっていく宇宙や心の話は、ちょっと重かったな。本も560ページもの厚さだった。疲れた。

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    2023年08月24日
  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

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    本書で出てくるワードをネットで検索しながら何とか読み終えました。
    人間原理、コインシデンス、ひも理論、多元宇宙論、その単語の意味や概要はわかりましたが、その論理展開や発見された方法は難しくて、正直半分も理解出来ませんでした、、

    これからは私立文系らしく、理系の新書には手を出さないようにします、、、

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    2023年08月22日