榎田尤利のレビュー一覧
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ネタバレ完読しました。
文庫全5巻が、ハードカバーで上下巻になってます。
喪失に重なる喪失で、自分を無意識に追い込んできた魚住と、
それを支えることもしない、出来ない久留米との不器用な恋。
魚住たちを取り巻く人物が本当に魅力的で、誰一人として
ご都合主義的役回りを演じない。
マリにサリーム、響子に濱田、其々が其々に沢山の物を抱え、悩み、
それでも誰に依存するでもなく淡々と物語が進む。
ストーリーの随所に泣きどころがあり、それは読む人間によって、
其々全く異なる場所であると思う。
本当に些細な一言で、ぼろりとくる。
御涙頂戴的展開なら、きっと上巻の『夏の塩』の方がぼろ泣きできると
思うが、私は幸福感が生まれて来た下巻『夏の子供』の方で沢山
涙した。
そして今回の復刻にあたり書き下ろされた話で物語が締められて
いたが、これがまた涙腺直撃。 -
Posted by ブクログ
マンガVer.では町屋センセが淳平×英のヤングcpを展開していて、小説Ver.では橘高×サガンのアダルトcp中心で展開。要所要所でマンガと小説の話がシンクロしているのが面白い、ここの出版社らしい企画。
内容はとてもビターテイストで地味。恋愛なんてキラキラした綺麗事ばかりじゃないよ、と恋して苦しんだり悩んだりする辛い気持ちからアプローチしてくるので。
何といっても、橘高もサガンも経験値高めの大人なので、その辛さに説得力があります。背負っているものも年月の分いっぱいで重そうです。
橘高は女にモテて地位でも財産でも何でも持ってる男なのに、ただ一つままならないサガンの心を手に入れようと本気になります。その必死さが、世慣れた大人の男だからこそ切なくなるというか。守りに入ったり、めんどくさくなったりしない肉食系なのが、前半ありえないし暑苦しいと思ったけど、だんだん肯定的になってきました。遊びなれたオトコが柄にもなく振り回される姿にきゅーんとさせられます。
なんて思えるのは、サガンのあまりにも頑なな態度のせい。クールとかツンとかを飛び越えた素気無さ。普通だったらあれほど邪険にされたらへこみそうなものだけど、橘高は学生時代の慣れがあるせいか打たれ強くめげたりしません。二人のやりとりは何気ないところに毒があったり本音があったりして本当に読み応えがあります。
サガンは素直じゃない上に防御心もハンパなく、しかも橘高にとっては魔性の男。酔ったフリで誘い、寝たら寝たでさっと冷たくなってしまう。それがサガンが抱えるものの重さからだとしても自己中に見えてしまうのですが、本当は優しくて傷つきやすいんだってわかってくると不憫になります。強がってるけどかなり弱くて繊細です。心理学者なのに、自分の心理には疎いのが残念。
相容れない相手とわかっていて惹かれあう関係です。大人の恋ってやっかいですね。これからも、かなり波乱がありそう。
切ない成分が大量なので、救いはやきのりちゃんだけ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレpet lover's シリーズの中でもダントツで好き!
最初、犬?首輪?SM?とかって思ったら、全然違いました!
もっと精神的な主従関係、そして純愛でした。
愛する者を失った轡田と愛されたことの無い倖生…ご主人様と犬という関係で、二人の孤独は埋められていきます。一見歪んだ関係に見えますが、そこにお互いの存在価値を見出していました。でもその関係性を超えてお互いを求めるようになってしまい…愛に臆病な轡田と愛に飢えている倖生が葛藤しながら真実の愛を知る、ストーリーです。
題材の割りに、後半までいたしているシーンはありません。
なのに、今時の若者の倖生が犬として従順に躾けられていく様子にすっごい萌えますvv
これドラマCDになってないと思うのですが、志水ゆきさんの絵柄からして轡田が森川さんの声に聞こえて仕方ないです…CD化しないかな。 -
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ネタバレこれは・・・・・・感動したー! 一気読み。
おもわずファンブックも買ってしまった・・・・・・
これでもかというくらいの不幸を背負った主人公、魚住。
過去のみならず、同時進行でもこれでもかという出来事が襲う。
(読み進めながら、そこまで負わせないであげて! と懇願したくなるくらいの不幸っぷり。)
本巻の最後なんて、思わず本を握りしめながらひぃっと叫んでしまったほどだ。
それでも読むのが嫌にならないのは、魚住その人が感情を強く押し出さず(まあ出せないんだけど)淡々としていることと、自覚なしでその包容力を披露する久留米があっけらかんとしていることが大きい。
それに、二人を取り巻く主要登場人物たちの折り重ねる群像劇的ストーリーが明るみを与えて本編が暗くなりすぎないのを助けている。
そして、最後にはちゃんと救いが待っている。
シリーズ完結までに7年をかけたというだけあって、最初はちょっと読みづらいかな、と文章に違和感を覚えたのだけど、それも後半になるにつれて滑らかになっていった。
それにしても、免疫、ゲイ、男の娘、HIVなど飽きさせない、関心深い要素がわんさかでてくる。作者はアンテナの広い人なんだなあ、と感心した。それに対する(登場人物たちを通じての)考えも公平で、好感を持てた。
一般向けじゃないのがもったいないくらいだけれど・・・・・・世間一般ではまだまだ受け容れられにくいジャンルなんだろうなあ。残念。 -
Posted by ブクログ
「交渉人」シリーズのスピンオフ。長身で無口で日本人離れした容姿の紀宵と、ちっちゃくてかわいいのにそう言われると激怒する「狂犬チワワ」智紀です。
本編読んでるときには、じゃれてるままでずっと行くんだろうなぁと思ってたら、まさかのcp成立。この二人をどうやってくっつけるのかな?と興味津々でかぶりつきました。
本編の大人な兵頭×芽吹とは違って、若さとエネルギーあふれるキヨ×トモのラブストーリーです。
二人に降りかかる難事件や恋愛に対して真正面からぶつかっていって、時に暴走して、ハラハラしてしまうけど、目が離せないかんじですごくよかった。
二人の生い立ちや過去が仔細に描かれていて、それが現在の生き方につながっているんだなと納得させられます。
本編の芽吹の過去も重くてやりきれないものがあったけど、この二人もかなり重いです。特にキヨ。本職の特殊清掃業が仔細に描かれていて、無縁社会を彷彿とさせます。なぜ、この職を続けているのかその訳がが心にじーんと迫ってきました。それでも、失った人よりももっと大切な人を手に入れたことに安堵です。
総じて軽いタッチで描かれてるけど、痛いシーンもかなりあります。ま、それを乗り越えて晴れて結ばれるわけなので必然性はあるんですが。事件絡みのせいか、決して甘くはないシリアス寄りのストーリーです。
トモ視点だと一人称、キヨ視線だと三人称で交互に構成されています。それもちょっと新鮮で読みやすかった。相変わらず洒脱な文章で惚れ惚れですね~!
兵頭と芽吹もちゃんと登場して、特に兵頭はおいしい役どころ!ちょっとうれしいです。
奈良絵師のイラストも、私的に今回に限っては違和感ナシでした。