高橋源一郎のレビュー一覧
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例えば「カレンの台所」を読んで、この本に似たものをどこかで読んだことがあるぞ、と感じ、谷崎潤一郎の「美食倶楽部」だと発見する。
そして「これ」は「アレ」だ、という理由を述べるという本。
なのですが、私にとっては読んだことのない本が多くて、「これ」も「アレ」も両方知らないものばかりであまり楽しめなかった。
「鬼滅の刃」はグリム童話の「兄と妹」だ、と言われてもピンとこなくて脳内 ??? ですから。
「これ」とか「アレ」とかの作品の説明に、少しだけ興味を引かれたのは、吉本ばななのデビュー作「キッチン」で、
文中では「キッチン」でなく「台所」が使われ、最後に1回だけ唐突に「夢のキッチン」と出てくるらしい。
台所とキッチンの違いをいろいろと考えたりしている。
「これはアレ」という類似性には全く関係なく読みたいと思ったのは「将棋の渡辺くん」。
この本は最近気になっていたのだが、作者(伊奈めぐみ)が渡辺名人の奥様と知って読むことに決めた。 -
Posted by ブクログ
年取ってくると、何か新しいものを見ても「これはあれに似てるな」と思うことはよくあり、そしてこれとあれをつい比べてしまう。若い人は全く新しいと感動するけど、本当に斬新であることはほとんどないんだよなあ。こういうのが長生きのつまらなさかもしれない。
しかし、それを逆手に取って面白い文章にできるというのが素人とプロの違いですね。
「飛ぶ教室」聴いてるので既に知っていたり読んだりした本も多かったのだけど、同じ本の紹介でも切り口が違えばまた違った魅力を感じる。一粒で二度美味しいってやつ。高橋さんがヘビーな読書家を長年続けているので比較対象する作品にも事欠かないね。
ご本人は書くのは大変とおっしゃっていたが、読者は読むのが楽しいので、ぜひ第二弾もお願いしたい。 -
Posted by ブクログ
凄い訳業だと思う。
自身を孔子の門下に入門した弟子であると夢想して、論語を先生が弟子に語った血肉の通った言葉として現代語訳する。
言葉は、その言葉が発せられた背景にある時代背景や、誰に向かってどんな場面で言った言葉かを踏まえていないと正しく理解できない。考えてみれば当たり前のことである。
そうして理解した論語の内容を現代語訳に落とし込んでいる。
なんて書いてもちっとも伝わらないのだが、とにかく一読すればこの翻訳に傾けた著者の情熱がすぐに伝わってくる。
ただ悲しいかな。
未熟な私には、4章まで読んでも殆ど孔子の言葉はピンとこずに、投了となった。
私には論語が染みるほどの器量がまだないようだ。
もっと歳を取ったら、論語が心にしみるようになる日がくるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(2021-07-25 30min)
たいせつなひとに贈りたいと思う、そんな本。
高橋源一郎氏がNHKで配信している「飛ぶ教室」というラジオ番組が好きで、著書を調べたところ、本書が気になりずっとリストの中にあったものを、今日になって引き出してきた。
少し複雑な悩みを持つ友人などに手渡すと、孤独感を和らげる視野の広がりの助けになるのでは。質問の幅が非常に広い。表紙も可愛い。中の薄い和紙のような紙に描かれたイラストも、フォントも可愛らしい。
毎日新聞における1コーナーであったということで、著者自身嘆いているように全文ではないことや、回答も500字の制限で限られてしまうということが無念。質問は書籍化にあたって全文載せてもよかったのではと思うところもあるが、短く簡潔だからこそ、すんなり沁みるような回答があったりする。受け取り手の現状に大きく左右されるものが多いかも。
肩肘張らない寛容な雰囲気で、和やかに回答していく。強烈に刺さるものはなかったものの、安定感を感じるので、身近にいたら話を聞いてほしくなる。
質問者によって、ここは強く言うべきところ、受け止めるべきところというのを判断して回答しているであろう雰囲気を感じて、心強い。
自身の家庭環境が芳しくなかったこと。離婚歴が5回もあるということ(最近放送されていた坂元脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』の大豆田にも驚かされたけれど、5回はすごい)。それぞれを生かして回答されていた。
章で7つに分けられているけれど、4章以降はあまり内容と関連はないかな。曲のタイトルをアルバム名にするみたいな…。すべて章の一番初めに来る質問タイトルをそのまま持ってきているようです。
100もの質問がありますが
・夫の心変わりで前向きな気持ちになれない(p.62)
・70歳の夫 同居が辛い(p.64)
・姉と比べられコンプレックス(p.90)
・自分の文章が恥ずかしい(p.184)
・進学の機会を逃しニートに(p.186)
・14年間ひきこもりの自分が嫌(p.188)
・あめをもらってもいいですか(p.198)
・孤独なパート事務 仕事や職場に不満(p.204)
が好きです -
Posted by ブクログ
著者の比較的初期のエッセイなどを収録している本です。
本について書かれた文章が多いのですが、ときには音楽やマンガ、テレビCMにも触れられています。どこまで本気で書かれているのか判別しがたいエッセイですが、現代詩の直面している困難に触れたり、橋本治と吉本隆明の共通性を指摘したりと、ときおり示される鋭い著者の批評眼に目を開かされます。
「わからない方の現代詩が、世界と自分との関係のわかりにくさを表現していることがわかるのに、わかる方の俳句が、そんなにも直ぐわかってしまう作者の心像がわからない」という鋭い指摘に一瞬虚を突かれたようになってしまいますが、そのあとに「俳句を詠む人口が凄まじい勢いで増えているという話を聞く時(詩や小説などものの数ではなく)、ぼくが思いうかべるのは、無数の無名の作者たちによって清算される膨大な句の左側にある筈の(見えない)鑑賞文の存在である」と解説がなされているのを目にして、桑原武夫の「第二芸術論」以来の例の批判か、と安心させられたのもつかのま、「それはどこか、全ての軍人の魂が休むことになっている靖国神社を連想させる」という危険な言辞がつづけられるところなど、著者の面目躍如といった感じがします。