高橋源一郎のレビュー一覧
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凄い訳業だと思う。
自身を孔子の門下に入門した弟子であると夢想して、論語を先生が弟子に語った血肉の通った言葉として現代語訳する。
言葉は、その言葉が発せられた背景にある時代背景や、誰に向かってどんな場面で言った言葉かを踏まえていないと正しく理解できない。考えてみれば当たり前のことである。
そうして理解した論語の内容を現代語訳に落とし込んでいる。
なんて書いてもちっとも伝わらないのだが、とにかく一読すればこの翻訳に傾けた著者の情熱がすぐに伝わってくる。
ただ悲しいかな。
未熟な私には、4章まで読んでも殆ど孔子の言葉はピンとこずに、投了となった。
私には論語が染みるほどの器量がまだないようだ。
もっと歳を取ったら、論語が心にしみるようになる日がくるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(2021-07-25 30min)
たいせつなひとに贈りたいと思う、そんな本。
高橋源一郎氏がNHKで配信している「飛ぶ教室」というラジオ番組が好きで、著書を調べたところ、本書が気になりずっとリストの中にあったものを、今日になって引き出してきた。
少し複雑な悩みを持つ友人などに手渡すと、孤独感を和らげる視野の広がりの助けになるのでは。質問の幅が非常に広い。表紙も可愛い。中の薄い和紙のような紙に描かれたイラストも、フォントも可愛らしい。
毎日新聞における1コーナーであったということで、著者自身嘆いているように全文ではないことや、回答も500字の制限で限られてしまうということが無念。質問は書籍化にあたって全文載せてもよかったのではと思うところもあるが、短く簡潔だからこそ、すんなり沁みるような回答があったりする。受け取り手の現状に大きく左右されるものが多いかも。
肩肘張らない寛容な雰囲気で、和やかに回答していく。強烈に刺さるものはなかったものの、安定感を感じるので、身近にいたら話を聞いてほしくなる。
質問者によって、ここは強く言うべきところ、受け止めるべきところというのを判断して回答しているであろう雰囲気を感じて、心強い。
自身の家庭環境が芳しくなかったこと。離婚歴が5回もあるということ(最近放送されていた坂元脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』の大豆田にも驚かされたけれど、5回はすごい)。それぞれを生かして回答されていた。
章で7つに分けられているけれど、4章以降はあまり内容と関連はないかな。曲のタイトルをアルバム名にするみたいな…。すべて章の一番初めに来る質問タイトルをそのまま持ってきているようです。
100もの質問がありますが
・夫の心変わりで前向きな気持ちになれない(p.62)
・70歳の夫 同居が辛い(p.64)
・姉と比べられコンプレックス(p.90)
・自分の文章が恥ずかしい(p.184)
・進学の機会を逃しニートに(p.186)
・14年間ひきこもりの自分が嫌(p.188)
・あめをもらってもいいですか(p.198)
・孤独なパート事務 仕事や職場に不満(p.204)
が好きです -
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著者の比較的初期のエッセイなどを収録している本です。
本について書かれた文章が多いのですが、ときには音楽やマンガ、テレビCMにも触れられています。どこまで本気で書かれているのか判別しがたいエッセイですが、現代詩の直面している困難に触れたり、橋本治と吉本隆明の共通性を指摘したりと、ときおり示される鋭い著者の批評眼に目を開かされます。
「わからない方の現代詩が、世界と自分との関係のわかりにくさを表現していることがわかるのに、わかる方の俳句が、そんなにも直ぐわかってしまう作者の心像がわからない」という鋭い指摘に一瞬虚を突かれたようになってしまいますが、そのあとに「俳句を詠む人口が凄まじい勢いで増えているという話を聞く時(詩や小説などものの数ではなく)、ぼくが思いうかべるのは、無数の無名の作者たちによって清算される膨大な句の左側にある筈の(見えない)鑑賞文の存在である」と解説がなされているのを目にして、桑原武夫の「第二芸術論」以来の例の批判か、と安心させられたのもつかのま、「それはどこか、全ての軍人の魂が休むことになっている靖国神社を連想させる」という危険な言辞がつづけられるところなど、著者の面目躍如といった感じがします。 -
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新聞の連載だから仕方がないとは思うけど、相談も回答も短くて残念。せっかく高橋源一郎さんなんだから、もっとたっぷり読ませてほしいなあ。子育てや家族について、そうだよね~と思うことが多かっただけに、物足りなさがつのる。
源一郎さんは離婚4回結婚5回、真面目なのか不真面目なのかわからないが、なんとなく大したもんだという気がする。今も子育て中なだけに、子供について語る言葉に説得力がある。「幼児期に重視したことは」という相談への回答が心に残った。
「わたしにとって子育ては、自分に愛する能力があると子どもたちに教えてもらったことです。愛してあげてください。それだけでいいじゃないですか。他のことなんかどうでも」 -
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ネタバレ普通の評論もしくはエッセイなのかと思っていたら小説だった!だって新書だし!
あ、いやこれは小説なのかな。違う気もするけど。まあいいや。そういうのは気にしないことにします。と、ランちゃん風です。
「くに」を作ることにしたランちゃんたちは、なんとほんとに「くに」を作ったよ!作れるんだよ。くに。英国女王から国交樹立のお願いのお手紙には泣いちゃったよ。あとアイちゃんとそのご家族たちの優しさとかねー。くにを背負ってる人たちのせきにんっていうのかな。それの重さがしみじみと深いよね。せいじ家とは違う意味の背負ってる人たちね。くにのことを多分誰よりも深く理解しようと努力しているんだよね。見えないとこで。
ところで理想先生と肝太先生って変な名前と思ってたけど、最後の最後に気づいた笑
キャラメルの裸のおじさんは・・・。あー。そうなんだ。
難しいよ源一郎さん! -
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高橋源一郎が論語を翻訳した一冊。翻訳とはいっても直訳ではなく、現代風に、というか現代に生きている我々日本人にもわかりやすいように意訳も含めての翻訳、といったところか。
全499本、すべてを訳しているので、500ページを超える厚い本になっているが、僕なんかは原文をスルーして翻訳のパートのみを読み進めたので、思ったよりも早く読み終えた。それでもかなり時間はかかったけれど。
先にも書いたように「現代風に、というか現代に生きている我々日本人にもわかりやすい」ように訳されており、それはそれで興味深いし、なるほど、と思えることも多かったのだが、「現在の政治家に言い聞かせたい教えだ」的な、今の政府、政治界を揶揄、あるいは批判するような高橋氏の私情が挟まれる部分が必要だったのかどうか。
論語の教えを現行の政府や政治システム等になぞる行為は実は高橋氏がやることではなくて、読み手である僕ら自身がやることのように思える。「有難迷惑」とまでは言わないけれど、もう少し含みを持たせて読者諸氏のイメージを膨らませるような内容だったら、もっと良かったように思う。 -
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作家の高橋源一郎氏がとある企画のテーマとして本を出すことになり読み始めた論語。
その企画は没になり、本も流れてしまったが、読み始めた論語の魅力にハマり、20年にわたって少しずつ論語の、孔子の言葉の意味を探り続けた。
そしてその集大成が本書。超訳でも抄訳でもなく、論語の初めから終わりまで、すべての節を載せ、それについての現代語訳を載せる。
論語に限った話ではないが、高橋氏によれば、論語も他の古文書の例に漏れず、その読み方、内容の解釈については一筋縄でいかない難解さがあり、研究者の中でも解釈が分かれる部分が多数あるらしい。そういう難解な点も含め、20年と言う期間の中で氏が考え抜いた高橋源一郎氏の解釈で本書は構成されている。
まさに温故知新の一冊。 -
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作家・高橋源一郎による「文章読本」というべき内容の本ですが、たんに文章のつづりかたにかんする指南書ではなく、いわばことばを紡ぐことによって世界に対峙する方法を学ぶための本というべき内容になっています。
本書では、いわゆる文豪たちの名文がとりあげられるのではなく、遺書を書くために文字を学んだ一人の農婦のことばや、餓死することになった女性ののこしたノート、スティーヴ・ジョブズのスピーチなど、一般的な文章読本では見られることのない文章からの引用がおこなわれており、それらのことばを記したひとたちが、世間的な基準ではけっして名文といいがたいことばを用いることで、読者になにをとどけようとしていたのかということを、読者に考えさせます。
そんななかで個人的に印象深く感じられたのは、本書にとりあげられている鶴見俊輔の文章です。鶴見はいうまでもなく戦後日本の代表的な思想家の一人であり、平明なことばで深い思想を語った人物であることはわたくしも知っていましたが、彼の骨太の思想がもつ力強さの秘密がどこにあるのかということが、上に示したような「文章読本」としてはかなり特異なセレクションのうちに置いてみることによって、はっきりとさせられているように感じました。 -
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『沈む日本を愛せますか?』(文春文庫)の続編で、東日本大震災を挟む2010年9月から2012年3月までの日本の政治状況について、内田樹と高橋源一郎が論じあっています。
内田の身体性に根ざした他者論にもとづいて、民主党政権を担った政治家たちのことばの軽さとそれを許しつづけてきた日本の政治的風土が小気味よく批判されています。一方、橋下徹については、その背景に彼の身体性と骨がらみになっているルサンチマンが存在することを指摘し、とくに高橋は興味をそそられているようですが、橋下の推し進めようとしている政治のありかたに対しては厳しい批判をおこなっています。こちらは、内田の著作である『呪いの時代』(新潮文庫)のテーマにかかわってくるようにも感じられます。
ただ個人的には、身体への回帰という内田の主張には危うさを感じており、おもしろく読めただけに困ってしまうところも多々ありました。「ぼくたち日本の味方です」というタイトルは、ネットの論壇などを中心に「反日」と罵倒されることの多い内田と高橋のアイロニカルなスタンスを示していると受け取られるのかもしれませんが、もちろん二人は本気でもあるのでしょう。こうした絶妙のバランス感覚が身体的な知によって維持されているところに、内田のたぐいまれな知性が示されているわけですが、どうにも危なっかしいと感じてしまいます。 -
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子猫を台風から守ってやろうと砂を掘って入れたのに、翌日埋められて死んでいた、という話が一番心に残った。
というのも私も子供ながらに優しさの気持ちから、金魚に餌をたくさんあげて一気に殺してしまったという似たようなことがあるから。
作者は、実は殺そうと思ってやったんじゃなくて優しさのつもりだったの!と誰かに伝えたい気持ちもあるんだろうなぁ、と思った。
ぶっとんで不思議な話はなかったけど、楽しく読めた。
アメリカのオリジナルの方にも興味が沸いた。
日本人の書く文章に格差(個も)がないっていうのには、面白い考察だなぁと思いました。いいことなんでしょうね。