高橋源一郎のレビュー一覧

  • 銀河鉄道の彼方に

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    高橋源一郎さんといえば私にとっては何と言っても『さようらなら、ギャングたち』で、その後の数作も読んでいたが、以降はエッセイ類の著作が多くなり、しばらく読んでなかった。この長編小説は私にとって久々の、高橋源一郎の本である。
    『さようなら、ギャングたち』で駆使されていた現代詩の書法は、ここでは極めて平易な物語へと置換されている。これは氏の書法の経年の進歩による変化なのか、単に本書が宮沢賢治の童話的物語のパロディだからなのか、私は知らない。
     さて平易ではあるが、冒頭から書かれていく内容はなかなかに深い。事象とは何か、人間とは何か、といった哲学命題が明確に打ち立てられている。「この身の回りに見える世

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    2017年10月01日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    もうこういった言説にほとんど共感を感じなくなってしまったなー。「現状は危機的だ」「政府はこんなにあくどい」みたいなのって、「ほんとにそうなの?それを示す証拠は?」とまず思ってしまう。

    まあ内田センセイの七色のロジックを楽しめるという点では面白い。

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    2017年09月08日
  • 読んじゃいなよ! 明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ

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    志高く、学ぼうと集まった、高橋源一郎のゼミ生達の熱気が凄い。
    岩波新書を学生と熟読し、作者と対話するという形式も面白い。
    先生として呼んでいる方々がどの方もさすがにオリジナリティーが高い。

    ところどころに、私自身が学生時代に感じた、サークル活動等で熱く狂信的な人たちのナルシスティックな雰囲気も思い出してしまった。少し排他的というか、のんびり他者を受け入れられないというか。まあ、志高いとそうなりがちなのかもしれないけど。

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    2017年09月03日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    これからを生きていく人へ贈るメッセージ。

    日本の現状に危機感を抱いた内田樹が,中高生へとメッセージを送るために様々な人へ文章を書いてくれるよう依頼をした。統一感はあるような,ないような。しかし,皆,日本の現状に(というか,現政権に)危機感を覚えている人たちである。出版されたのは2016年7月なので,書かれたのはその少し前とすると,その後,イギリスEU離脱が国民投票で決まり,トランプ大統領が誕生し,また日本は重要法案を急いで通そうとしている。危機は加速しているのでは。

    戦後の,戦後すぐの平和主義がそろそろ機能しなくなっている,そう感じる。軍隊を持たない,平和を守る国でありたい,でも,他国に攻

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    2017年05月28日
  • 一億三千万人のための小説教室

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    小説家として有名な著者が、古今東西の様々な文学を通して、小背を書くことを指南した一冊。

    著者自体、様々な文学に精通しており、それぞれの作家にそれぞれのスタイルがあることがよく分かった。

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    2017年05月17日
  • ジョン・レノン対火星人

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    さよならギャングの高橋源一郎の作品。ひさびさに触れたが文節では理解できるがトータルでは実験小説のよう。奇しくもビートルズのレボルーションNo.9のような小説。

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    2017年05月23日
  • 読んじゃいなよ! 明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ

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    昨年12月11日から、延々読んでいたもの。つまらないと感じていたのかな。岩波新書に著作がある三賢人(鷲田清一さん・長谷部恭男さん・伊藤比呂美さん)に基調となる話をしてもらったあとで、質疑応答が進むという体裁。
    鷲田さんでは「アートが、生活が立ち上がるのに際してどうかかわるのかを見ていきたい」、長谷部さんの「戦争は、負けた方の社会契約が破棄されてしまうというもの」が心に残った。
    途中で挟まれている、大学生による「私と岩波新書」は、気恥ずかしくて読めなかった。

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    2017年02月02日
  • 読んじゃいなよ! 明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ

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    いつの時代にも言われてきたのだろうが、大学生ってこんな幼かったっけ、と年増はつい思ってしまう。

    こんなゼミだったら今の学生も楽しいだろうなとは思うけれど、そして、戦前戦後の世代のように岩波新書に知の権威の幻想も持ってはいないつもりだが、このくらいの感想文で岩波新書にしてもらえるのはどう考えても高橋源一郎の人徳?ネームバリュー?だよね。。。ゼミの報告レポートのようなもので岩波新書にする必要があったのか、という一抹の疑問は拭い切れない。

    伊藤比呂美が私は好きではなかったのだが、ここでの「人生相談教室」は面白かった。
    奥付のそのまたあとにおまけとは、画期的。

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    2016年12月21日
  • 丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ(2)

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    政治に「専門家」なんて必要あるのか?
    ホントは政治家は「丘の上のバカ」でなくてはいけないのではないか?
    なぜ政治の専門家の親分が右向け右と言ったら、全員が右を向くような政治になってしまったのか? 私たちにも責任があるんだろうな、こんな政治を行なっているのに内閣支持率は高止まり。
    我々も政治的無関心の「専門家」になってしまっている。

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    2016年12月19日
  • 民主主義ってなんだ?

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    SEALDsの主張にあまり共感はしないし、デモに参加しようともまったく思わないが、同世代の子たちがやっているSEALDsのような活動に敬意は表したいし、その意気は買いたいと思う。第一部のSEALDsメンバーの生い立ちやSEALDsの来歴について語られている部分はなかなか興味深かった。第二部の民主主義論については、民主主義という概念が多義的だということはわかったが、全体的にふわふわした議論がされている気がして、あまりピンとこなかった。あと、議論のまとめ役(?)の高橋源一郎氏は、たまに若者言葉を使うなど、変にSEALDsの若者たちに阿っているような雰囲気を感じ、ちょっとうさんくささを感じた。

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    2016年11月05日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    目もくらむようなスーパー秀才エリートだった人たちが、声をそろえてもはや反対することができない空気があったと言っている。ドイツ語で日記を書けるような、言葉を自由自在にあやつることができるエリートたちが、一億人の運命を左右するような決めごとを、最後には言葉でなく空気を読んで身を委ねたと語っている。

    福島の原発事故直後の危機を回避するための政府首脳の重大会議、40年以上も続いた政府の憲法解釈を内閣の形式的合議だけで大きく変えてしまった経緯、いずれも議事録が残っていない。それが僕たちの国の致命的な欠陥だ。これはもう病気と呼んでもさしつかえないと思う。かつて有名な政治学者はこれを壮大なる無責任体制と呼

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    2016年10月11日
  • 民主主義ってなんだ?

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    多分誤解を受けるし、何だよおっさんって言われるだろうけど、強烈に青春を感じて、純粋に羨ましい。思想がどうとか以前に、こういうことがあったってことを読めるようにしてくれたことに感謝したい。

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    2016年10月14日
  • ぼくらの民主主義なんだぜ

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    高橋源一郎が熱く、考えている本。
    学生運動やってた人なんだなというのがわかる。

    普通に生きる 映画
    立候補 映画

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    2016年09月10日
  • ぼくらの民主主義なんだぜ

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    朝日新聞に掲載されていた時から考えさせられたが、ちょうど朝日を読んでない時の掲載分だったので新鮮に読めた。ひとつひとつが納得出来て、参考資料も読もうとおもうが、膨大すぎるか。

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    2016年08月17日
  • ぼくらの民主主義なんだぜ

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    これは、あとがきに書いてあるように「あなたの生きた時代ではなにがあったのですか」と尋ねられたら「こんなことがあったんだよ」と答えたいと思ったことを朝日新聞に連載したものを一冊にまとめたものである。

    とりあげられたテーマは多岐にわたります。
    その中でも、「心の中では気にかけていながら、結局、何もしなかった。そのツケが若い世代に回される」という一文には、頷かざるをえない。

    じゃ、どうすれば・・・
    お上に任せちゃいられない。自分たちの社会は自分で作るさという「エンパワーメント」
    これは、国や公の組織ではなく、個人やある特定の目的のために自発的に生まれた集団が、公正で公平な世界を実現しようとして、

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    2016年07月14日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    「事実は小説よりも奇なり」をそのまま編集した一冊。
    アメリカでの事例がベースにあって、それを日本でも…
    ということであるらしい。
    それぞれの話はそれそれとして楽しませてもらった。
    一番興味深かったのが[巻末対談]の柴田元幸さんと内田樹とのお話。
    同じ手法で、同じように集まった「物語」から
    日本人とはなにだろう、を考察している章。
    比較文化論とでも言うのでしょうか。
    江戸から明治にかけて、「浮世絵」がヨーロッパに渡り
    かの地の絵描きたちが、日本の浮世絵風の作品を残している。
    そんなことを、なんとなく思い出してしまいました。

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    2016年05月19日
  • さようなら、ギャングたち

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    当時の文壇という観点から見れば、新しい精鋭の一人がまた登場したといった具合か。大学紛争を境に、ジャズが学生の間では流行り、アメリカ文化なんかの影響を受け、旧来には無かった前衛的な作風の作家が多く輩出された(村上春樹や笙野頼子や島田雅彦あたりがそうだろうか)。
    高橋源一郎もその一人で、突飛した内容が酷評され、吉本隆明の鶴の一声もあり、刊行され、ポストモダンの第一人者と呼ばれるまでになった――。という前評判を聞き、未だに読んだことが無かったため、手に取った運び。強烈な一冊。

    発想がどこから来ているのか、滅茶苦茶な世界、理解出来ない構造、詩として綴られる文体。絶版になったのも仕方ないと思えてしまう

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    2016年05月17日
  • 民主主義ってなんだ?

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    ネタバレ

    安倍政権の暴走に対して若者が立ち上がった! SEALDsという学生たちの組織、運動、彼らが取り組んでいる問題の根っこにあること、民主主義というものについて、高橋源一郎とメンバーの対談形式で紹介する。

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    2016年02月21日
  • さよならクリストファー・ロビン

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    くまのプーさんにクリストファー・ロビン、アトムに天馬博士とお茶の水博士…。
    作者によって一度嚥下され、新たな物語の形を得て綴られる。
    ファンタジックで、綿菓子のような読み心地です。
    誰かとなりにいてほしいときに読む本。

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    2016年02月24日
  • ぼくたち日本の味方です

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     おじさん二人の対談集。東日本大震災が起きる前と、起きたあと。日本は何が変わって何が変わらないのか。

     この中で、原発に30年反対し続ける瀬戸内海の小島、祝島の話がよかった。

     毎日デモやっているといっても、ほとんど世間話しながら島の決まった場所を歩きつつ、たまに思い出したかのように「原発反対」と声を上げる。

     それに、飯を作ってたからとか、飯作りにとかで途中参加したり離脱したりして、それを30年間続けている。

     高齢化率が高止まりして限界集落になり、やがて人がいなくなるのが確実になっているのに、老人たちはやめない。

     そういう地域の繋がりというもの、今は日本のどこにあるだろう。

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    2015年12月23日