高橋源一郎のレビュー一覧
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62点。読み終わってみてまったく面白くなかったので、半ば言い訳的に「読んだ時代が悪かったな」と時代のせいにした。
リオタール的に言えば、ポストモダンとは近代を支える「大きな物語」や「深さ」が消え、「小さな物語」や「表層の戯れ」が優位になるモダン後期だ。
まさにこの本が出た80年代の日本はポストモダンや現代思想ブーム。しかし、そもそもモダンがなかったのもあって90年代後半からどんどん廃れて今や「現代思想ってなんだったの?」みたいな。ただのフランス趣味かよ、みたいな。
この作品を支持してた人ってまさに新左翼からポストモダンへ的な知識人層じゃないかと思う。近代的な人間観の終焉とかデカルト的な理性中 -
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タイトル通り、オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」の日本版。
当然様々な人が寄せた体験談が集まっているので、それぞれが短く、細切れの時間にパラパラっと読むのにピッタリ。
ハラを抱えて笑えるものあり、背筋がスーッと寒くなるものあり、ほのぼのとさせられるものあり、短い中に人間の本質が現れているような深い話あり、正直、どこかで聞いたような…という話もありですが、肩ひじ張らずに楽しめる。
最後の柴田氏と内田氏の対談の日本人論みたいなのが面白かった。
アメリカ人との精神性の違い、っていうのよくわかるな~。国民性というか、環境や文化が違う中で生きるってこういうことだよね。 -
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書店で内田樹、高橋源一郎、という名前と題名をみて、「おお、オースターの日本版だね!」と思って購入。
読んだ感想としては、ううん、面白いんだけど、なんだかどこかで読んだことがあるような感触。よくある読者の体験談を集めた本の一つみたいな感じ?もちろんそこに、内田センセイの解説(?)や、柴田元幸との対談があったりするのはいいんだけど、、、
日本人の文章はとても均質だ、ということを内田先生はおっしゃっていて、その通りだろうとは思います。社会階級や地域による話し方の違いは、日本では例えばイギリスなどに比べるとすごく小さいし、とくに書き言葉になるとその差はさらに縮まるでしょう。でも、Web雑誌ではなく -
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単行本の設定になっていますが、文庫本で読みました。
この本には題名から推測されるとおりあの宮沢賢治の同名の作品と同じ題名の作品が24編載っています。賢治の作品はジャンルが分類できないような独特の世界が展開されますが、この本の作品もそういう意味では賢治の作品のエキスを注入してできあがった感がします。
そうはいっても、賢治の作品を全部読んだわけではないので一部しか比べることはできないのですが、内容はほとんど似ても似つかない現代の世相を風刺する場面が登場します。ですから宮沢賢治の童話がお好きといった方にはええ!なにこれって!と呆れられそうなのでご注意なさるようあらかじめ申し添えます。 -
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内田センセイがいっていたように、「本文を読んでいる限り、性別も、年齢も、職業も、居住地も、よくわからない。」「共感を呼ぶ物語」が多かった。にナットク。短歌を読んでいるような、シンパシーとワンダーが同居します。アメリカ版(未読ですが)は私の人生に起こったことという印象が残るそうですが、日本版は誰にでも起こりうることと思わせる、みんな同じだねという話を投稿する傾向にあるということを読後に感じます。源一郎さんからは本当のお話をテクニカルに書くことをたしなめるようなコメントに受け取りました。活字にしても本当のお話自体にあるパワーをそのまま伝える!ことの難しさが読後に残ります。
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Posted by ブクログ
この作者が私の大学に特別講義に来ていた時、私は食堂でパイタンラーメンを食べていた。
パイタンラーメンを食べながら「なぜにパイタンラーメンは夏の間はお休みなのであろうか、こんなに旨いのに」と考えていた。
パイタンラーメンのスープは豚骨ベースなので別メニューの「豚骨醤油ラーメン」に似通った味ではあるのだが、パイタンラーメンにはそれとは異なる謎のこってり感があり、ラー油をたらした時にはもうとても旨いんです。その謎のこってり感の正体が夏には向かない素材なのだろうか、一体何なんだろうかと考えていた。私はその頃高橋源一郎は名前しか知らなかったので、講義よりもパイタンラーメンの謎に夢中であった。後日講義に集