【感想・ネタバレ】丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ(2)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2020年10月16日

圧倒的な「正しさ」を前にして、「でも、ひょっとしたら」と、ちょっと立ち止まって、自分の心の中の声に耳を傾けてみること。そして、必要ならばそのことに関する資料なり文献などを読みながら、徹底的に自分の頭で考えてみること。「知性」とは、そんな地道な行いの中から立ち上がってくるものなのである。

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Posted by ブクログ 2018年01月04日

 副題が「ぼくらの民主主義なんだぜ2」となっている通り、昨年発売された「ぼくらの民主主義なんだぜ」の続編という体裁を取っている。
 前作が2011年4月28日から2015年3月26にかけて朝日新聞に掲載された「論壇時評」をまとめたものだったのに対し、本作はその続きである2015年4月30日から20...続きを読む16年3月31日までを第一部として、また2011年以降に政治・社会について書かれたものを第二部、第三部にまとめてある。
 前作同様に幅広いジャンルの書籍から様々な文章や言葉を引用し、引用するだけでなくそれらの文章や言葉を解説し、さらにそこに著者自身の考えや主張を加えている。
 第一部の「論壇時評」をまとめたものは、枚数や文字数の制限もあり、短い中で全てを書き尽くせてはいないような印象を受けるが、だからといってそれらが欠点になっているようには思えず、むしろここに書ききれなかったことは読者一人ひとりが考えてください、と言われているようでもある。
 第二部、第三部は第一部よりも多くの枚数を割くことが出来ているので、第一部以上に内容の濃いものになっているように思える。
 読んでいて「なんでこうもスイスイと彼の考えが読み手に伝わってくるのだろう」と自問しながら読んでいたのだが、一つには彼の文章にその答えがあるのかな、と思った。
 彼の文章はとても簡単なのだ。
 例えば彼ほどの知識人であれば、読んでいてウンザリするほどに専門用語を使用して、判りづらい言い回しをして、堅苦しくて小難しい論文的な(あるいは衒学的な)文章だって書けるはず。
 ところがここで彼が書いているのは、「小さな子供にでもわかるような」簡単な言葉と簡単な言い回しを使用した文章なのだ。
 そんな簡素な文章でとても深くて広い内容を書いているのだ。
 それと他の書籍からの引用が多いのだが、決してその引用に頼っている訳ではなく、あくまでも「高橋源一郎」の言葉として書かれているように受け取れるのだ。
 かなり赤裸々で、もしかしたら少しショッキングな彼自身の告白も本作には収められているが、そういう箇所も含めて覚悟の座った自分自身の言葉で書かれていると感じられるのだ。
 単純な読み物としても面白く(百田尚樹氏への批判なんて、絶妙でトリッキーで思わず笑ってしまった)、彼の考えに同意出来るにしても、出来ないにしても、いま自分の住んでいる社会、そして政治、最終的には自分自身の生き方に対して、再度思考を巡らす機会を与えてくれる、僕にとってはそんな内容の本であった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年08月17日

ぼくらの民主主義なんだぜ2
私は考える事が大変苦手ですが、今後の日本の事を思うなら、考えることを止めてはいけないんだと思いました。声を出せるかどうかはわからないけれど、考える事は続けます。

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復活希望

2017年05月08日

朝日新聞の論壇時評をリアルタイムで読んでいたが、改めて読んでみて、高橋源一郎氏の論壇時評が今も続いていれば良かったと思えてならなかった。

(降板の理由は『小説を書くため』だったと思うので、本人がこのコメントを読んでいたら『勘弁してくれ』と思うでしょうが)
2016年3月で終了しているけど、そ...続きを読むの後に起こった英国のEU離脱やトランプ米国大統領誕生のことも論壇時評で扱って欲しかった。

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Posted by ブクログ 2016年12月19日

前作が素晴らしかったから、当然のごとく入手した続編。今回は、前回よりも引用が減っていて、その分、筆者の言葉が強く響いてくる。といっても、大声でただ主張している訳ではなく、どちらかというと控え目に、でも徹底的に思慮深く紡がれる言葉の数々は、いちいちが瞠目に値する。タイトルも、最初は”何のこっちゃ?”っ...続きを読むて思ったけど、民主主義の本質を表すものだったんですね。って、そういう一面的な理解を、恐らく筆者は望まないのでしょうけど。

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Posted by ブクログ 2016年11月25日

自分自身、丘の上のバカのひとりであること。
呼び込むつもりがないものでも、ある環境が整えば産み出される。民主主義とは本当に生き物だ。しかも、最も質の悪い生き物と思える、人間が産み出した生き物だ。この先、どこに行き着くのだろうか。終焉へのスイッチ、もう押されてしまったような気がする。

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Posted by ブクログ 2017年01月09日

昨年発売された「ぼくらの民主主義なんだぜ」の続編、朝日新聞の論壇時評で書かれたものとその他雑誌などで発表された文章に加筆・修正されたものがまとめられています。

前作に続けて、たくさんのメッセージが読者に投げかけられていました。
中でも僕が印象に残ったのは、「オバマさんのことば」。昨年、5月ヒロシマ...続きを読むを訪れた際のオバマ演説を聞いてひっかりを感じた高橋さんが、演説の中で使われた「私」という言葉の回数を数えた(私たち…75個、私…4個)ところから内容に関する分析をおこなったところ(「私(オバマ氏)は思う」と触れられたのはたった1か所だけ)。政治で使われる「私たち」は、抽象的な囁きで「私」を見失わせていくという指摘はとても考えさせられました。「私たち」といった瞬間にそこに入らないと感じる人たちをつくり、また無意識の内に作り分けてしまう面があることは、社会運動においてもきちんと考えておかないといけないですね。

障害者運動は、権利条約の策定過程で使われた「Nothing About Us Without Us」(私たちぬきに私たちのことを決めないで)ということをこの間の運動のスローガンにしてきましたが、そのことの意味を深く考えたいと思いました。

「オバマさんのことば」と対比する形で、本では「美智子妃のことば」が取り上げられています。ほとんど触れたことのなかった僕としては、その内容もとても印象的でした。

ぜひたくさんの人に読んでほしい一冊です。

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Posted by ブクログ 2016年12月19日

政治に「専門家」なんて必要あるのか?
ホントは政治家は「丘の上のバカ」でなくてはいけないのではないか?
なぜ政治の専門家の親分が右向け右と言ったら、全員が右を向くような政治になってしまったのか? 私たちにも責任があるんだろうな、こんな政治を行なっているのに内閣支持率は高止まり。
我々も政治的無関心...続きを読むの「専門家」になってしまっている。

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