佐々木譲のレビュー一覧
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長らく絶版となっていた佐々木譲のデビュー作が復刊とな。読み終えて30年前の作品と知るが、そんな古めかしさを感じさせないのが流石。
短編5編の中にバイクを主題にして3編。
凝縮したレースの描写がゴールに近づくに従ってどんどん加速する標題作。カワサキの男のニヒルさが渋い「246グランプリ」。ここいらは今に続く佐々木譲の文章や読者に結論を委ねる短編の締め方にもそのまま続いているような。
3つ目の「パッシング・ポイント」は主人公のぼくの甘さが残念。次にある大学のボート競技を題材にしてストレートな青春を切り取った「ロウアウト」の慎一の潔さと比べると差が歴然(余談ながら、この前、朝日レガッタ見たけど、ボート競技って確かに見ててもちっとも面白くないんだな、これが)。
最後に置かれた「雪辱戦」だけは少し毛色が変わって二組の夫婦の物語。幾分時代を感じさせる山中湖畔のテニスコートでの賭けの結末は思わぬ形で戦慄を呼ぶ。ここもまたミステリー作家としての面目躍如といったところ。 -
Posted by ブクログ
新潮文庫の新刊で「警官の血」が出たので早速買ってきたけれど、そちらにかかる前に、まずは未読のこの本から。
「笑う警官」に出てきた“稲葉事件”を背景に、不祥事の再発防止を目指す北海道警の方針で15年勤めた札幌の刑事課から十勝地方の駐在所に配置換えになった川久保巡査部長。
事件も無い平和な佇まいとは裏腹に、閉鎖的で保守的な町の有力者たちと物言わぬ住民たちの中で、盗犯係や強行犯係を歴任したベテランが、捜査が出来ない制服警官の立場で辛抱強く向き合う5つの事件。
土地に根付いた事件を炙り出す、駐在の立場での聞き込みと事件を俯瞰する目が冴え渡るが、どの事件もスッキリした解決は見ず、読み味は暗く苦い。 -
Posted by ブクログ
犯罪被害者の男性と、刑事の夫のDVから逃れる女性と、両者とあるきっかけで知り合い支援する工務店社長が「良い主役」。で、無期懲役を7年で仮出所してきた殺人犯の元少年と、とてつもなく自己中の刑事が「悪い主役」。この人物たちの視点で描かれるストーリー。良いモンと悪モンが、とてもわかりやすい構図になってます。悪モンはとことん悪印象な表現に終始してます。「ユニット」も、良い方と悪い方が出てくるのですが、悪い方のユニットは偶然にしても都合よすぎというか、なんか出木杉君なカンジです。っていうか、ユニットという言葉を文中に登場させるのも、なんか唐突なかんじで若干違和感あります。タイトルが先にありきだったのか・・・。あと、佐々木作品はまだあんまり読んでないのですが、人物造形というか、その辺がちょっと物足りない・・・。なんか感情移入しにくいですね。しかしながら、長編なのに一気に読める作品ではありました。そのへんは、善と悪の構図が分かりやすいという点も大きいのでしょうが。おぉ、思いがけず長文になってしまった。
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元商社マンが自分の会社を解散させて
実家のガラス工場の社長になる。
当初の目的は工場を売却することだったが、
ガラス工芸家の野見山透子にであって、気持ちが変わる。
というもの。
やり手の商社マンなので、やはり工場の切り盛りも
うまくやっていく。
その中で恋や、トラブルなどがあって話は進んでいく。
先ず思ったのは、
男性の不倫は結構当たり前のように、美しく描かれているけど、
もし女性の不倫話だと話がどろどろしちゃうだろうなぁということ。
小説の本題とは関係ないけど。
結構はらはらドキドキしておもしろかった。
一気に読んでしまったし。
小説中に出てくるガラスの性質や、技術の話なども
わかりやすく書かれていて、
興味深い。
こういう細部をおざなりにしないことが小説の楽しみ方に
幅を持たせるコツなのかなと考えた。 -
Posted by ブクログ
本屋でよく平積みされている作者なのでどれか読んでみようかな、と思い購入しました。面白かったです。
冷戦の時代、自分は子供だったのであまり政治的な問題などに興味もなく過ごしておりましたがあの頃のアメリカやソ連の緊張した雰囲気は覚えております。一歩間違えれば核戦争突入などと言われていたあの時代。それが高校時代にベルリンの壁がなくなり、ソビエト連邦もなくなりそして今アメリカでは黒人のオバマ氏が次の大統領に選ばれました。時代は動いているんだなあ、世界は変化していくんだなあとしみじみ思います。
恥ずかしながらココムの存在を知りませんでした。…そんな条約があったんですね… 自分としては組織ぐるみで隠蔽工作を行うような輸出の存在が最後の最後に出てくるだろうと何となく思っていたのでその点では肩透かしでした。最後の落ちも何となくわかりましたし。それでもぐんぐんとひっぱて行かれる物語の筋に圧倒されます。面白かったです。