前川裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2008年、夫の実家に帰省していた夫婦がおびただしい血痕を寝室に残して失踪。夫の兄が殺人で起訴されるも無罪となり、以来未解決のままとなっている通称「川口事件」を調査したフリージャーナリストによるノンフィクション…という体裁のフェイクドキュメンタリー。
気付けば最近小説はフェイクドキュメンタリーばかり読んでいる。
前川裕作品は久々だが、これまで同様、犯人を含めて異様な人間が次々に登場する展開は不気味でありながらどことなく安心感すら覚える。文章もところどころ(特に妙に官能小説めいた性的な箇所)引っかかる部分はあるが相変わらず妙に読みやすく、あっという間にラストまで進んでしまった。
しかし、似た手 -
Posted by ブクログ
前川裕『感情麻痺学院』講談社文庫。
2021年に刊行された『ビザール学園』を改題、加筆修正、文庫化。
一種の学園ミステリーなのだが、今一つ驚愕とか恐怖が足りず、前川裕らしからぬ物足りなさを感じる作品だった。
大手予備校の人気講師の三隅忠志は千葉県の郊外にある進学校の綾清学院に招聘される。毎年多くの東大合格者を輩出する高校の実態は理事長とその愛人の校長が実権を握り、その下僕のような教師や体罰肯定の体育教師が蔓延る前近代的な組織だった。
そんな高校で女子生徒や教師が次々と変死を遂げていく。生徒や教師、職員の誰もが怪しく、三隅が犯人捜しに奔走すると……
本体価格790円
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Posted by ブクログ
ネタバレ2月はこちらの作品から。
著者の前川裕さんは「クリーピー」「イアリー」を読んでいて好きな作家さんの一人です。
「真犯人の貌」はフェイクドキュメントですが、
実際にあった事件のように感じてしまうくらい描写がリアルでした。
起きる事件も凄惨で読みながら気分が悪くなりましたが読む手が止まりませんでした。
八王子市川口町で大量の血痕が残されたまま教師夫婦が失踪する。被害者の兄が逮捕されるも無罪が確定していた。
この川口事件を追うジャーナリストの杉山の目線で物語は進んでいきます。
読みながら読者も真実に近づいていくドキドキ感が良かった。でも少しモヤモヤが残る部分や展開が少し強引な感じが少しした。
関係 -
Posted by ブクログ
小学4年の男児が、自宅を出たまま姿を消す。
この男児と言葉を交わした母子家庭の母、響子が15年後、再婚相手の夫の殺害容疑で逮捕されるが証拠がない。
保険金目当てに夫を殺害し、火災を発生させたにしては、不明な骨片と灰。
男児不明の件と前後して、中学女子の失踪事件も浮かび上がり…。
これはどう関係するのか、と。
何が真実で、何が嘘なのか、全くわからなくなってくる。
年数が経てば経つほど不透明なまま終わってしまっている。
響子のやったことは、どれだけなのか?
完黙すれば、お手上げなのか…。
実在の未解決事件をベースにした小説であるだけに、読んでいても心情が掴めずとても難しいと感じた。