前川裕のレビュー一覧
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干物と蒲鉾の定番 男は馬耳東風という感じで とうつう疼痛 一九世紀の中葉に書かれたポーの小説『赤子病の仮面』 無意識のエロスの滲出 蝦蟇がまがえる 三和土たたき いえども雖も 伏魔殿 曙光しょこう 潤ったところで 罷り間違えば ノーブル(高貴)で端正な顔立ちは相変わらずだ 何処か深い愁いを感じさせる少女なのだ さっこう索溝が水平に走っている 並外れた滑稽さが笑いをまったく封じ込め 恐怖に加えて複雑で重い寂寥感が永本を襲った おおよその状況が脳裏で収斂するのを感じた かんせい陥穽 愁いに満ちた顔を思い浮かべた 内奥を紐解いていく しゅっしょく出色 作者が挑んだ趣向について更に深く味わえることを付
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前川裕『クリーピー ゲイズ』光文社文庫。
『クリーピー』シリーズの第5作。シリーズの原点回帰作品であるようだ。
率直に言えば、期待外れだった。確かにシリーズ第1作の事件をスパイスに新たな事件が描かれており、まあまあの不気味さを感じるものの、犯人の目的や事件の全容がぼやけているのだ。事件の異様さを演出しようとあちこちに枝葉を伸ばし過ぎたのが失敗の原因だろう。
相変わらずへそ出しTシャツのショートパンツの若い女性が登場するのには失笑するしかない。
犯罪心理学者・高倉孝一は夏目鈴を助手に『高倉犯罪相談所』を開設し、依頼者が持ち込む奇妙な事件を分析し、アドバイスするなどしていた。
ある日、高 -
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ネタバレ帯には女性刑事の桔梗さんと「歩く殺人百科」と呼ばれる平瀬のバディものと書かれていたが、この二人の不協和音は結局整いそうで整わないという状況。
主人公の桔梗さんに感情移入して読むため、彼女が平瀬に心を許さないと、読み手側も彼を受け入れられない。
寧ろ、彼女と一緒に不快感を募らせるばかり。
「歩く殺人百科」の異名に違わぬ活躍をしてくれればまだよかったのだが、語る割には役に立っていないという。
彼よりも桔梗さんの恩師の方が捜査の上では役に立っていた。
彼は彼で問題ある人ではあったが。
平瀬の絶頂期は登場時だった気がする。
そして、ラスト。
最後の最後で、とんでもない爆弾を落としてくれる。
お陰で、警 -
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隣家の門灯の薄明かりがぼうっと浮かんでる ペドフィリア(小児性愛的性向) 前言を翻し 私は言葉の接ぎ穂を失って 言下に否定するのは危険だった 馬脚を露わすとはこのことだね 離婚話は沙汰止みになった 風聞以上のことを知っていたわけではない 芝居の台詞を棒読みするように言った 私は彼女の直感力は病的だと感じていた。少なくともそれは普通の人間の想像力の範囲を逸脱している。 薄闇がゆっくりと忍び寄っていた 腎臓の腫瘤 ぎけい義兄 次第に遠景に退き 赤い百日紅さるすべり 静謐にも似た諦念か滲み出ているように見えた 近隣で有名な吝嗇家として知られていた その語尾を補った 太股が僅かに覗いていた かんざんじ
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前川裕『文豪芥川教授の殺人講座』実業之日本社文庫。
変わった趣向のミステリー短編であるが、『クリーピー』シリーズのような切れ味は無い。しかし、身近で起きるリアリティのある事件に怖さを感じた。
名前が文豪に似ているので、学生に『文豪』とあだ名される無双大学文学部の教授で、ミステリー作家でもある『二足の草鞋先生』芥川竜介を主人公にした連作文学講座&ミステリー。5つの講座と主人公の身近に起きた5つのミステリーを収録。
『第1講座 天才と変態の芸術概論』。大学の15階の女子トイレで起きた盗聴事件に端を発した恐ろしい事件の全貌は……
『第2講座 心中の現象学―純愛か殺人か―』。主人公の芥