あらすじ
新宿の男装ホストクラブで働く百合には、声優になる夢があった。だが現実は、池袋の狭いアパートで、不幸の典型のような共同生活。同居人の真優はソープ嬢、累はホスト狂い。百合自身にも暗黒の過去があった――。知らない男からの宅配便、心臓を鷲づかみにされる恐怖、ルームメイトとの不協和音、そして惨劇。とめどなく涙流れる結末が恐怖を超える余韻を残す傑作。『愛しのシャロン』改題。(解説・長江俊和)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ドキドキしながら一気に読み進めました。
久しぶりに本を読みたくなって読んだのがこれでしたが、ぐっと物語引き込まれていきました。
描写かつ伏線がとてもよく、状況が想像しやすい感じがまたよかったです。
Posted by ブクログ
前川裕『号泣』新潮文庫。
『愛しのシャロン』の改題作。
主人公の吉井百合が体験する過酷な事件の一部始終を描いたホラーミステリー小説。
これまでの前川裕の作品とは少しテイストが異なる作品だったが、猟奇色を前面に出しながら、ミステリー色も濃く、なかなか面白かった。
またまたホットパンツ姿の女性が登場するのは前川裕の趣味なのか。
声優になる夢を抱きながら新宿の男装ホストクラブで働く吉井百合には、幼い頃、警察官の谷藤力という男に5年間も監禁されていた暗黒の過去があった。
百合は二人の女性、ソープ嬢の真優、ホスト狂いで芦川真優の幼なじみの館林塁と共同生活を送っていた。ある日、百合の元に知らない男から首を千切られたテディベアが届く。それは、かつて百合を監禁していた谷藤が百合に与えた物だった。
あの谷藤が仮釈放されていたのだ。以来、百合の周囲で不穏な事件が相次ぎ、やがて恐ろしい猟奇的な殺人事件へと繋がっていく。
そして、タイトルの『号泣』の意味は、最後の最後に知ることになる。
本体価格710円
★★★★★
Posted by ブクログ
【2024年129冊目】
幼少期に事件に遭い、トラウマを抱えたまま生きる百合は、声優を目指しながら男装バーで働いている。同居人である真優と累も夜の世界に身をやつし、互いに深く干渉し合うことはない日々。ある日、訪ねてきた警察官に「あの男」が仮釈放されると告げられる百合。悪夢のような五年間の要因。そして手紙と共にテディベアが届けられて――。
ミステリーと分類するかホラーと分類するか難しいお話。登場人物全員怪しく思える、思想が怖い、誰が味方で敵なのかも判断できないままに進んでいく物語。
途中に挟まれるモノローグの異常性も怖いし、真相が明らかになった時の驚愕もすごいし、ずーっとぞわぞわしながら読みました。
けど、やっぱり動機だけが納得いかなかった、そういう読者さん多いんじゃないでしょうか。理解できない人間はいるといってしまえばそれまでかもしれませんが、ちょっと放り出されたような感じで。
途中までは★5か〜?!と思ってましたが、上記の理由でギリギリ★4にしました。正確には★3.8くらいかな。
でも怖かった〜。
Posted by ブクログ
実際に会った、女児誘拐監禁事件をモデルにしているように思う。
人、それぞれ色んな人生がある。 出会ってしまった、事件や事故もそのカードの1つ。 それから、どう料理するかは自分次第。 ただ、理不尽にも命を奪う奴が出てくるのは、小説ならでは。
不幸な人を更に不幸に追いやる、その心理は壮絶な劣等感。
Posted by ブクログ
続きが気になってサクサク読んだけど、犯人の動機が理不尽すぎて謎解きって感じじゃなかった。
ただ最後の方に薄気味悪さの凝縮と、後味悪さを楽しめるって感じ。
(追記・ちょっとネタバレ含むので注意してください!)
読んだ後いろいろ考えるとなんか複雑な気持ちになってきた…
百合のコスプレ趣味の発端はどこだったのかとか、犯罪を一度犯した人間はどうあっても、罪を償って出てきたとしても被害者には決して許されることはないことであったり、世間からも一生罪人のレッテルを貼られること、等々、モヤモヤと考えさせられたなぁ。
作り込みというか、繊細な描写が積み重ねられて物語の世界が出来ていて余韻がすごい。
ほんのり良かった…感がありつつ、でも割ときちっと(?)後味は悪い仕上がり(笑)
Posted by ブクログ
常に何か良くないことが起きそうな予感がある生活はとても辛いだろうなと思った。
監禁犯の方の動機はなるほどと納得できたけど、殺人犯の動機はなんかがっかりしてしまった。
がっかりするような動機で人を殺すってなかなかの狂気ではあるかもしれない。
Posted by ブクログ
軽く読み始めたが、、予想つかずかなり面白いミステリーだった。途中まではかなり胸糞でイヤミスか?と思ったが、割と正統派なミステリーに落ち着いた。過去の悲惨な犯罪被害者の周りで起こる殺人。動機面では少し弱いとも思ったが、上手くまとまっている。もう少し長く詳細に人物背景書けたらもっと良かった。
Posted by ブクログ
なんとなく展開が読めたのが残念だけど、全体的に薄気味悪くておもしろかった。
過去のトラウマから立ち直る間もなく、また恐怖に襲われるって考えただけで酷い。。
Posted by ブクログ
あんまりミステリー慣れしてないから予想も当たらんかったけど一気読みした、素直に面白かったし
動機が弱い(というかはっきりしてない、ただのヤバい奴っていうオチ?)っていうのが個人的にあんまりやったがハラハラな展開で良かったし最後ちゃんと泣いてしまった
Posted by ブクログ
感想
動悸の狂気と理不尽さはまさにホラーだった。
最初は怪しすぎた新川をいつの間にか違うだろうと除外していた。
百合の一人称だったから百合の心情に寄り添うようにいつの間にか警戒心を緩めていた。
怯えていたものとは全く別方向から理不尽が襲ってくる感じとても良かった。
累も真優もいい人じゃなかったし幸せでもなかったけど悪い人じゃないし不幸でもなかった。
読み終わったら累と真優を思うと泣けてきた。
読んでる最中はイライラしてたけど全部終わると凄い悲しい。
Posted by ブクログ
前半はゾワゾワしながら読んでたけど、後半はかなり失速。
半分くらいで犯人もわかり、動機も「こうだったら嫌だなあ」がそのまんま。胸糞なのにものすごくさっぱりしていて、不思議な読後でした。
前タイトルの『愛しのシャロン』はシャロン・テートのことかな?と思ってたけど、まあ、ですよね(苦笑)という感じ。
真優と累の手紙はちょっとグッときた。
Posted by ブクログ
オビが気になったので、購入。
ヒトコワ系サスペンスホラーでした。
確かに予想できる展開だが、楽しめました。
どんでん返しを狙いすぎて、動機がちょっと弱いかなあ。。
最後のマユからの手紙はグッときました。
Posted by ブクログ
犯人、たぶんこの人だよな〜
がそのまま当たってなんとなく終わっちゃった。
過去の事件パートが理不尽で気持ち悪くてよかった。
最後ちょっと切ない。
Posted by ブクログ
気持ち悪いし恐怖なんだけど、今一つハマれなかった。
登場人物に共感しづらい。
どこかあやふやな感じ。
あと今どきの本にありがちなんだけど、読点多くないですか!
読んでてブツ切れで疲れる。
Posted by ブクログ
『クリーピー』以来、久々に気味悪さと異常性に彩られた先の見えない着地点に震える前川節炸裂!!
加害者の仮釈放を機に、知らない男からの宅配便や無言電話、同居人の失踪…と誘拐監禁事件の被害者だった百合の周囲で不穏な出来事が続発。黒幕は谷藤なのか、谷藤と繋がっているのは誰か…ある意味百合の人間関係みな信用できない疑わしい人ばかりでそのスリルに一気読み。
ラストは裏切られるショックに加えて、こういう理解不能な独善的な考えを秘めている人間って割といそうな不安が追い討ちをかける。
真摯に寄り添おうとする春日の存在が救い。