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教師夫婦が謎の失踪を遂げた「川口事件」。現場には大量の血痕が残されていたが死体は発見されていない。逮捕された被害者の実兄は容疑を否認、事件の翌年に無罪が確定する。疑念を抱いたジャーナリストの杉山康平は、人権派弁護士の妨害に悩まされながら取材を続けるが、関係者の多くが重要な部分で口を閉ざしてしまう。一体彼らは、何を隠しているのか? 後味の悪さがクセになる著者の真骨頂、フェイク・ドキュメントの傑作!
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Posted by ブクログ
前川裕『真犯人の貌』光文社文庫。 実話のような未解決事件の真相を追うミステリー小説。よくぞここまでリアリティを感じさせるフェイク・フィクションを描いたものだと感心する。こういう作品は嫌いではない。寧ろ好物かも知れない。 人間の歪んだ欲望と醜い本心とが創り出した凄惨な未解決事件。伝播していく歪んだ...続きを読む欲望と醜い心…… 相変わらず前川裕らしい嫌な気持ちにさせられる奇怪なミステリーである。事件の展開も結末も非常にリアリティがあり、読み切ったという達成感は無く、暗澹たる気分だけが持続する。 『川口事件』。夫の実家に泊まっていた教師夫婦が深夜に大量の血痕を残して疾走した未解決事件。大量の血痕は夫の戸田勇人もので、妻の碧は瀕死の勇人と共に連れ去られたと見られた。 この事件は当初から被害者の兄の達也の関与が疑われていたが、翌年、無罪が確定する。 月刊誌『黎明』は『川口事件』の特集を組み、この凄惨な事件の真相に迫ろうとするが、特集は突如として打ち切られる。事件を取材し、記事を執筆していたジャーナリストの杉山康平は判決に疑問を抱き、さらに取材を進めるが、関係者は皆、肝心なところで口を閉ざす。 次々と変死を遂げる関係者。この事件の裏には一体何があったのか…… 本体価格720円 ★★★★★
2008年、夫の実家に帰省していた夫婦がおびただしい血痕を寝室に残して失踪。夫の兄が殺人で起訴されるも無罪となり、以来未解決のままとなっている通称「川口事件」を調査したフリージャーナリストによるノンフィクション…という体裁のフェイクドキュメンタリー。 気付けば最近小説はフェイクドキュメンタリーばか...続きを読むり読んでいる。 前川裕作品は久々だが、これまで同様、犯人を含めて異様な人間が次々に登場する展開は不気味でありながらどことなく安心感すら覚える。文章もところどころ(特に妙に官能小説めいた性的な箇所)引っかかる部分はあるが相変わらず妙に読みやすく、あっという間にラストまで進んでしまった。 しかし、似た手法で書かれた同作者の『死屍累々の夜』と比較すると、事件自体や真犯人とされる人物に魅力が乏しく、オチが煮え切らないこともあってあまり好きにはなれなかった。
「川口事件」を取材するジャーナリスト杉山。犯人と思われた男(被害者の兄)は無罪となるが、真相が全く掴めず独自の調査をしていく… フェイクドキュメンタリーと分かっていても、実際にそういう事件があったような気がするし、周りの人々の対応とかがリアル。 結局のところ全くすっきりはしないエンドだけど、それも...続きを読む実際の事件みたいで、面白かった、、
私のある小説のコメントに対して「いいね」してくれたフォロワーさんが高評価していたので手にした作品です。この方の作品は初めて読むと思っていましたが、もしかしたら、クリーピーは話題になっていたので、当時読んだかもと今は思っていますが、ハッキリとは覚えてません。 さて、そういう感じで読み始めましたが、非...続きを読む常に面白い。警察が判断を誤ってしまった殺人事件を追うジャーナリストの目線という珍しい目線で描かれています。 警察ではないし、そもそも、ほぼ自分一人で追っている訳で捜査の力はかなり限定される。ただ、警察ではない分、遠慮なく突っ込んでいける部分もあったり、それが逆に警察の逆鱗に触れたり。また、周りからも妨害されるし、やっかみも言われるし。中には好意的な人もいるけど、裏切られることもあるし。 そんな中でたどり着いたほぼゴール。ただ、結局、全容解明とはいかないという意味の「ほぼ」ゴール。個人的には終わり方にもう少し何かが欲しかったという思いがあります。全容解明はしなくてもいいのですが、大きな障害だった弁護士、裏切られた編集担当との決着もモヤっとしているのが、もう少し何かスパイスがあると良かったという思いです。 でも、この方の作品をもう一冊、まずは読んでみようかと思いました。
2月はこちらの作品から。 著者の前川裕さんは「クリーピー」「イアリー」を読んでいて好きな作家さんの一人です。 「真犯人の貌」はフェイクドキュメントですが、 実際にあった事件のように感じてしまうくらい描写がリアルでした。 起きる事件も凄惨で読みながら気分が悪くなりましたが読む手が止まりませんでした。 ...続きを読む 八王子市川口町で大量の血痕が残されたまま教師夫婦が失踪する。被害者の兄が逮捕されるも無罪が確定していた。 この川口事件を追うジャーナリストの杉山の目線で物語は進んでいきます。 読みながら読者も真実に近づいていくドキドキ感が良かった。でも少しモヤモヤが残る部分や展開が少し強引な感じが少しした。 関係者たちが次々と死んでいく(他殺、自殺、病死)ので「また死んでしまった…」となるのと ジャーナリストが犯人と思っている人物にあと一歩で手が届かない歯痒さがあり「こいつが犯人!」というはっきりした結末ではないので 自分の中で整理しないといけない。 「真犯人の貌」というタイトルの意味がうまく自分の中で消化できなかった。 でもぐいぐい読み進められて面白かった。 いい読書でした!
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真犯人の貌(かお)
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前川裕
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