小池昌代のレビュー一覧
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詩というものは、一言でくくるなら
「意想外の結合」と云えるんじゃないかと思う。
言葉は、思いもよらない言葉と手を結んだとき、
詩として昇華するのだろう。
本書は、現代をときめく詩人による6つの幻想譚。
でも、「ことば汁」という作品はない…それにしても、
この言葉から感じられる、おどろどどろしくも
なまめかしい感触は、新鮮で魅惑的だ。
言葉は、記憶を装い、身体に憑依する。
行儀よく、不規則にならんだ歯の隙間から、
よだれがだらぁんと、流れ出るような…官能。
そんな作品群…すごいっ!
さすが! 小池昌代さんだなぁ!
著者の詩集は大好きで、繰り返し読んでいるけど、
こうした短編も味わい深いです -
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日常の中のちょっとしたズレを描いた6つの短編です。
なにげないふりをして、読む者の胸にいきなりサクッと刃を突き刺すような小説でした。
〝女房〟という短編以外は、いずれも主人公は、けしてもう若いとはいえない年頃の女性たちです。老い、孤独、欲望・・・・著者の筆によって、主人公たちはふと踏み込んだ非日常の世界で、心の襞を露わにされてしまいます。けれど不快な読後感はありません。それどころか、読み始めたらついつい惹き込まれてしまいます。
「ことば汁」という書名は、鍋の中の言葉のごった煮というイメージだそうです。思えば人生なんて矛盾だらけ、人の胸の中もコトコト煮込んだごった煮のようなものですネ。 -
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ネタバレ40を超えて独り身のわか子は、定職につけず、唯一の肉親である兄も風呂で溺死をし、死ぬ所から物語ははじまる。兄の孤独を心配しているくだりがあるが、自分も、知人と呼べる人しかおらず、昔付き合っていた人も死に、ポツリポツリと亡くなっていく。和歌が好きという古風な趣味をもつ彼女だが、雇空き家管理のバイトに趣味の欄に書いた事がきっかけで、和歌に理解がある雇い主で、何とか受かり、空き家を掃除管理するのだが、ハエやドブネズミなどあまりの家の酷さに辞めたくなる。度々和歌が登場する。そんな中の雇用主のイケメンの甥だったか大学院生の子がその空き家を使いたいと訪れてから、わか子に芽生えた恋愛感情に、胸が痛くなった。
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純文学作家の発想
ひとつづつ評していく。
川上弘美。未来SF。
発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
妙にSFが現実路線のわりには -
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普段、ほとんど読むことのない現代の日本人作家のアンソロジー。
興味深く読んだ。
もとは、深堀骨 の作品を読んでみたかったから手に取ったが、どれもなかなか良かった。ありそうでない話というファンタジーというか、不気味な話が多い。恋愛要素はどれも少なく見えるが、一応恋愛ものという括りらしい。
一作だけ、多和田葉子の漢字の話はすでに読んでいた。
特に印象的だったのは、
本谷由希子、迫力とリアリティと奇想天外で面白かった。
村田沙耶香、細かく書き連ねて積み上げるのがうまい。
吉田知子、多分この中で一番好きなタイプの作家。
小池昌代、切れ味がよい。
星野智幸、描写がうまい。
というかんじ。
編者は岸 -
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ネタバレ古事記 712年 天武天皇の命により 池澤夏樹
神様の血縁関係
歴史 神話 伝説 系譜 歌謡
なる=勝手に生まれてきたもの
ヤマトタケル 弱いものへの共感
日本霊異記 平安初期 日本最古の仏教説話集 伊藤比呂美
ブロークンな漢文
性を書く博愛主義
くながひ=杭を交える、つっかえる(婚、愛婚) とつぐ=戸を継ぐ(交通)
竹取物語 平安前期 森見登美彦
かぐや姫が地球に来た理由は不明
帝さえも拒否し、世の中のルールをすべて拒否して帰っていく
宇治拾遺物語 鎌倉初期 町田康
原曲を再現するのではなくカバー曲、メロディーもムードも変えない
原文から聞こえてくる音 -
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神は絶対助けてくれないとちゃんと言ったのは曽野綾子だけらしい。
率直でものごとを誤魔化さない曽野綾子、小池女史も一度会ったことがあり、さらに好きになったらしい。
私は具体的な策で助ける気は無いあげくに、祈るしか無いとか、祈りますね、なんて善人ヅラするクリスチャンが苦手である。
様々な次元は混ぜないに限る。
万事尽くして、天命を待つ。
人間のスタンスは常にここにある。
いわゆる名作とされている著名な一編を、
本当かなぁ、そうかなぁ、と疑問を投げかける小谷野氏。
名作なんだから!と頑張って良さを探求するも良し、
こんなののどこが良いんだよ!と投げ捨てるも良し。
一つの文学との関わり方の本。 -
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恋のさまざま――はしがきにかえて
I
一目惚れ――ヴィスワヴァ・シンボルスカ 沼野充義 訳
報告――宮澤賢治
はい は楽しい いなかです――E・E・カミングズ 藤富保男 訳
初恋★――吉原幸子
「ニ」(あかしあは尽きないのに)――岸田衿子
井戸のまわりで ヤニス・リッツォス――中井久夫 訳
時こそ今は……――中原中也
橋★――まど・みちお
樹下の二人――高村光太郎
わかれのかた★――江代 充
ねむりねこと★――松井啓子
夜の脣――大手拓次
伝説★――会田綱雄
II
強い腕に抱かる――萩原朔太郎
なめる/蛇★/未来★――谷川俊太郎
プレゼント★――三角みづ紀
とてもたのしいこと――伊藤比呂美