小池昌代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
突然元カレから生まれたばかりの赤ちゃんを預かるところから物語が始まるのですが、すごく心に響いて共感してしまった。
生まれたばかりの赤ちゃんを死なせてしまう事件とか最近のニュースで見ると本当に心が痛んでいたのですが
もっといろんな世代のいろんな大人が、それこそ「たまもの」として小さな命を守っていけたらいいなと思うのです。
母親になるという事、それは「産むこと」とイコールではないんですね。
子どもと暮らしていると、その時々でハッとさせられることがあります。子どもを育てるというより「育てさせてもらっている」という感覚が、まさに、その通り!と思えてこの若い(少なくとも私より)母親を応援したくなりま -
Posted by ブクログ
四十歳になる私の前にある日突然、幼なじみであり元恋人でもある男が現れて一歳にも満たない自分の息子とまとまったお金を私に預けて消息を絶つ。そこから物語は始まる。
「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかもねむ」
柿本人麻呂が詠んだとされる一首。山鳥の夫婦は昼間はいっしょに過ごすのに、夜になると別々に寝るという。私も山鳥のようにこの長い夜をひとりで寝るのだろうか、という歌意だそうだ。
幼なじみの男はこの歌が好きだそうで、息子の名前を「山尾」と付けた。山鳥のようにひとりでいることに違和感を感じさせない雰囲気の山尾は手のかからない男の子に成長していく。一方、未婚かつ出産未経験で母親 -
Posted by ブクログ
詩というものは、一言でくくるなら
「意想外の結合」と云えるんじゃないかと思う。
言葉は、思いもよらない言葉と手を結んだとき、
詩として昇華するのだろう。
本書は、現代をときめく詩人による6つの幻想譚。
でも、「ことば汁」という作品はない…それにしても、
この言葉から感じられる、おどろどどろしくも
なまめかしい感触は、新鮮で魅惑的だ。
言葉は、記憶を装い、身体に憑依する。
行儀よく、不規則にならんだ歯の隙間から、
よだれがだらぁんと、流れ出るような…官能。
そんな作品群…すごいっ!
さすが! 小池昌代さんだなぁ!
著者の詩集は大好きで、繰り返し読んでいるけど、
こうした短編も味わい深いです -
Posted by ブクログ
日常の中のちょっとしたズレを描いた6つの短編です。
なにげないふりをして、読む者の胸にいきなりサクッと刃を突き刺すような小説でした。
〝女房〟という短編以外は、いずれも主人公は、けしてもう若いとはいえない年頃の女性たちです。老い、孤独、欲望・・・・著者の筆によって、主人公たちはふと踏み込んだ非日常の世界で、心の襞を露わにされてしまいます。けれど不快な読後感はありません。それどころか、読み始めたらついつい惹き込まれてしまいます。
「ことば汁」という書名は、鍋の中の言葉のごった煮というイメージだそうです。思えば人生なんて矛盾だらけ、人の胸の中もコトコト煮込んだごった煮のようなものですネ。 -
Posted by ブクログ
主人公の「わたし」(「こいけさん」と呼ばれる)と、非日常的な人々との関係について描く短編集。著者曰く、「こいけさん」は「わたしであってわたしでな」く、他の登場人物も「この本のなかで、こいけさんが、初めてわたしの前に連れてきてくれた人々」だそうだ(p.224「陽だまり――文庫版あとがきにかえて」)。
まず、最初に浮かんだ感想は、「難儀な人やなあ」「難儀な話やなあ」だった。一番難儀な一編は「クラスメイト」。覚えているのも、忘れているのも、思い出すのも、難儀な話。
ついで、「さびしさ」と「恋」の話だと思った。直接的に「恋」を描く話は少ないが(「蜂蜜びんの重み」と「ミミとわたし」くらいか)、傍目に -
Posted by ブクログ
森見登美彦さんが竹取物語、宇治拾遺物語を町田康さんが担当しているのがキャラクターを表していて面白い。そして作家さんが各々「俺が書きそう」「編集部から割り当てられただけだけどお笑い担当なんだな」と言っているのが笑えた。
今の若い人の言葉と昔のかしこまった言葉の混ざり具合がおもしろかったです。
→言葉は純粋にやっていくと滅びるんですよね。やっぱり混ぜていかんとね。ただ、混ぜるのもコツがありますね。バンドをやってるとき、よくあったんですよ。各パートでレコーディングした音を最終的にミックスダウンで一つに混ぜるわけですけど、みんな目立ちたいから自分の音量を上げたがる。それでムチャクチャになって全体の -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ40を超えて独り身のわか子は、定職につけず、唯一の肉親である兄も風呂で溺死をし、死ぬ所から物語ははじまる。兄の孤独を心配しているくだりがあるが、自分も、知人と呼べる人しかおらず、昔付き合っていた人も死に、ポツリポツリと亡くなっていく。和歌が好きという古風な趣味をもつ彼女だが、雇空き家管理のバイトに趣味の欄に書いた事がきっかけで、和歌に理解がある雇い主で、何とか受かり、空き家を掃除管理するのだが、ハエやドブネズミなどあまりの家の酷さに辞めたくなる。度々和歌が登場する。そんな中の雇用主のイケメンの甥だったか大学院生の子がその空き家を使いたいと訪れてから、わか子に芽生えた恋愛感情に、胸が痛くなった。
-
Posted by ブクログ
純文学作家の発想
ひとつづつ評していく。
川上弘美。未来SF。
発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
妙にSFが現実路線のわりには -
-
-
Posted by ブクログ
普段、ほとんど読むことのない現代の日本人作家のアンソロジー。
興味深く読んだ。
もとは、深堀骨 の作品を読んでみたかったから手に取ったが、どれもなかなか良かった。ありそうでない話というファンタジーというか、不気味な話が多い。恋愛要素はどれも少なく見えるが、一応恋愛ものという括りらしい。
一作だけ、多和田葉子の漢字の話はすでに読んでいた。
特に印象的だったのは、
本谷由希子、迫力とリアリティと奇想天外で面白かった。
村田沙耶香、細かく書き連ねて積み上げるのがうまい。
吉田知子、多分この中で一番好きなタイプの作家。
小池昌代、切れ味がよい。
星野智幸、描写がうまい。
というかんじ。
編者は岸