小池昌代のレビュー一覧

  • 吉野弘詩集
    見返しにある代表作3篇のうち、「祝婚歌」、「I was born」は別格として、「夕焼け」に、じんときた。
    娘への「奈々子に」がすごくよかった。


    奈々子に

    赤い林檎の頬をして
    眠っている 奈々子。

    お前のお母さんはの頬の赤さは
    そっくり
    奈々子の頬にいってしまって
    ひところの愛するお母さんの...続きを読む
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首
    学生のときに古文をかじっていたから楽しく読めた。勉強していて良かった。
    古文を古文のままで理解できない自分としては、現代語訳に頼ったり自分なりに訳したりしながら読むわけだけれど、どうしても型にはまった蓄語訳は分かるのやら分からないやらはっきりとしないと言うことが起こる。そこが楽しむことを目的として古...続きを読む
  • 変愛小説集 日本作家編
    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。
  • 変愛小説集 日本作家編
    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「...続きを読む
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
    いずれの作品は情緒がある。季節の折々と恋の和歌が良かった。『新々百人一首』は訳がないこともあり、読み進めるのが正直につらかった。
  • 変愛小説集 日本作家編
    いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行...続きを読む
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首
    眠くなってきたので手短に。
    去年、池澤夏樹さん個人編集の「日本文学全集08」を読みました。
    ほかでもない、十数年追いかけている作家、町田康さんの「宇治拾遺物語」が読みたかったから。
    いや、爆笑しました。
    古典を読んでこんなに笑ったのは初めて。
    中学、高校時代に出合っていたら、古典が好きになっていたに...続きを読む
  • たまもの
    10歳の男の子を育てている女性の話。文学的な表現が多い。私も10年後、この話の女性みたいに感じたり思ったりしてそうな気がする。
  • ことば汁
     普通の日常からいつの間にか別世界へと迷いこんでしまう短編集。妖しくて生々しくて、静かに怖い、大人の童話のようだった。嫉妬や欲望が人をけものにする過程が、爆発的ではなくじわりじわりとしていて、気がつけば後には戻れない場所まで辿り着いてしまっている状態がすごく怖かった。それと同時に、老いてもなお女は女...続きを読む
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
    ・池澤夏樹=個人編集「日本文学全集 02」(河出書房新社)は 池澤が「初学者に向けた和歌入門のつもりで編集した。」(池澤夏樹「解説」419頁)書である。折口信夫「口訳万葉集」、小池昌代訳「百人一首」、丸谷才 一「新々百人一首」の三作を収める。和歌入門といふだけあつて万葉集から勅撰集までといふ、正に和...続きを読む
  • たまもの
    突然元カレから生まれたばかりの赤ちゃんを預かるところから物語が始まるのですが、すごく心に響いて共感してしまった。

    生まれたばかりの赤ちゃんを死なせてしまう事件とか最近のニュースで見ると本当に心が痛んでいたのですが
    もっといろんな世代のいろんな大人が、それこそ「たまもの」として小さな命を守っていけた...続きを読む
  • 悪事
    日常に潜む怖さ
    そんな物語がいくつか詰まってます。普通の感じだから、ジワジワと怖さが盛り上ってきます。
  • たまもの
    四十歳になる私の前にある日突然、幼なじみであり元恋人でもある男が現れて一歳にも満たない自分の息子とまとまったお金を私に預けて消息を絶つ。そこから物語は始まる。

    「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかもねむ」

    柿本人麻呂が詠んだとされる一首。山鳥の夫婦は昼間はいっしょに過ごすのに、...続きを読む
  • ことば汁
    詩というものは、一言でくくるなら
    「意想外の結合」と云えるんじゃないかと思う。
    言葉は、思いもよらない言葉と手を結んだとき、
    詩として昇華するのだろう。

    本書は、現代をときめく詩人による6つの幻想譚。
    でも、「ことば汁」という作品はない…それにしても、
    この言葉から感じられる、おどろどどろしくも
    ...続きを読む
  • ことば汁
    はじめて読んだ本のジャンルだなぁとしみじみしてる。
    冒頭は、言葉の選びがとても綺麗でしっかりしてると思ったけど、
    つので完全に持って行かれた。
    耽美な文章が織り成す世界は、ほとんど中毒に近い。
  • ことば汁
    日常の中のちょっとしたズレを描いた6つの短編です。
    なにげないふりをして、読む者の胸にいきなりサクッと刃を突き刺すような小説でした。
    〝女房〟という短編以外は、いずれも主人公は、けしてもう若いとはいえない年頃の女性たちです。老い、孤独、欲望・・・・著者の筆によって、主人公たちはふと踏み込んだ非日常の...続きを読む
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首
    百人一首について語った小池昌代さんの解説が、僕の感性ととても一致しており、自分の感じたことを解析もしてくれた。
  • この名作がわからない
    ざっと読みのつもりが、案外面白くて一気読み。
    1章が一番面白かった。
    小池さんのおかげで、小谷野さんのうんちく語りも鼻につかずに読める。
    しかし対談が文字になると自分とは違う倫理や嗜好を面白がる人か、そもそも許容するキャパがない人か、という差がはっきり読み取れて興味深い。
    小池さんの深沢七郎愛がとて...続きを読む
  • 変愛小説集 日本作家編
    普段、ほとんど読むことのない現代の日本人作家のアンソロジー。
    興味深く読んだ。
    もとは、深堀骨 の作品を読んでみたかったから手に取ったが、どれもなかなか良かった。ありそうでない話というファンタジーというか、不気味な話が多い。恋愛要素はどれも少なく見えるが、一応恋愛ものという括りらしい。

    一作だけ、...続きを読む
  • 感光生活
    感想
    他者との境界。超えたと思っても実際には何も変わっていない。何を考えているかわからない。それなら外面に表れた行動を基に判断するしかない。