小池昌代のレビュー一覧

  • たまもの

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    読みやすくて新鮮な感覚だった。
    日常の解像度が少し上がって俯瞰的に見るようになる本。
    定期的に読みたくなりそうな文面が、心地よく感じた。

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    2025年01月13日
  • 吉野弘詩集

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    まとまった詩集を最後まで読むのはおそらく初めて。言葉の純度が高い。心に刺さる詩、共感する詩、内に灯が灯る詩。言葉はこんなにも豊かに様々な心情を、情景を伝えられるのだな。

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    2024年09月17日
  • 百人一首

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    百人一首を小池昌代という詩人が、現代詩に翻案し、さらに詩人らしい深い読みを示して私たちの鑑賞を助けてくれるという贅沢な本。
    個人的には、小野小町の「花の色は移りにけりな」の読みに唸らされました。

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    2024年05月30日
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首

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    『口訳万葉集』:万葉集の現代語訳を手掛けた折口信夫の著書より抜粋。折口信夫を知る上ではちょうど良い分量と難易度。

    『百人一首』:現代の詩人である小池昌代による分かりやすい現代訳で,他2作に比べると浮いて見えるが,『竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)』に近いテイスト。

    『新々百人一首』:丸谷才一が自ら百人一首を手掛けたテキストより抜粋。和歌研究の深層に踏み込んだ内容を含む。

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    2024年03月17日
  • たまもの

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    ネタバレ

    40歳の時、幼なじみで昔の恋人だった男から赤ん坊を預かる主人公。
    彼の妻は出産時に亡くなり、男手一つで育てることができないため、と、800万円と赤ん坊を渡される。
    それからの10年間の話。

    「迎えに来る」といった男は連絡が取れなくなって久しい。
    不規則な編集の仕事では赤ん坊を育てられないので、せんべい工場で働くことにした。
    赤ん坊だった山尾が小学校に入る年になった時、初めて役場に相談するが、そのまま彼女のもとで山尾は育つ。

    特に山場も修羅場もないストーリーだけを追ってもこの本の面白さは伝わらないだろう。

    私は子ども好きなので、子育てのあれこれの部分に多く付箋をつけてしまったけれど、この作

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    2022年06月23日
  • ときめき百人一首

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    やっと平仮名を読めるようになった6歳から、祖父が遊んで下さった、懐かしいもの。百人一首。書店で見つけると、つい買ってしまう。これは詩人小池昌代による解説ですが、白洲正子の解説には及ばない。

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    2022年02月22日
  • この名作がわからない

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    世に名作と言われている作品を、権威に負けずに、面白くないものは面白くない、わからないものはわからないと語る。

    基本的に主観丸出しの、言いたい放題の対談。
    でも、文学を鑑賞することって、主観で、自分の捉え方を楽しむってことだから、これで良いのでは。と思う。

    対談している2人が実際に小説や詩を創作している、作り手であること、あまたの文学作品を読んでいることから、語っていることも説得力があり、楽しく読める。

    対談形式としたのが功をそうしてる。
    一人だけで語っていると偏って思えるけど、どちらかが合いの手をいれたり、私は別にそうおもわないけどと流したりすることで、極論に見えることが、色々あるうちの

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    2020年07月03日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    さまざまな形の「愛」が収められたアンソロジー。どれも一般の恋愛観からは少し外れた愛で、しかしそんな奇妙な愛こそが恋愛であるような気がする。どこか変でなきゃ恋愛なんてできないな、と感じた。

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    2019年09月14日
  • 吉野弘詩集

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    めっちゃよかった。私は意味のある言葉の羅列、散文寄りの現代詩が好きなのかもしれない。吉野弘の詩は茨木のり子に似たところがあると思う。
    彼の日常の中での素朴で壮大な感動とか、生命に対する畏敬の念とか、とても共感できる。彼を貫いた感動が、詩を通して私をも貫いた。

    お気に入りは以下
    ・ヒューマン・スペース論
    ・I was born
    ・離婚式に出会うー中国空想旅行記
    ・伝道
    ・眼・空・恋
    ・種子について
    ・夕陽を見つめながら
    ・動詞「ぶつかる」

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    2019年03月18日
  • 恋愛詩集

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    ネタバレ

    『通勤電車で読む詩集』の続編です。
    編者の小池さんは、「はしがきにかえて」で、
    「恋するひとは狂気のひとだ。彼らの目は中心を失い虹色になって輝いている。うらやましいがおそろしい。それはもはや、尋常な状態ではないのだから。恋は事件でなく、事故なのだと思う。そんな彼らに恋歌のアンソロジーを薦めてみたところで、読んでいる場合じゃないかもしれない。では恋歌を読むのは誰か。今日も明日も、一見恋とは程遠い現実のなかで、汚れにまみれながら生きている、わたしたちではなかろうか。(中略)
    これって恋愛詩?と思われるような作品も、ここにはさりげなく、混ぜてある。でもそれが、わたしの願う恋の姿だ。恋うとは遠いものに

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    2019年03月18日
  • たまもの

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    昔の男から突然、男の赤ちゃんを預かった40歳の「わたし」。
    以来10余年「山尾」という名の血の繋がらない子を
    「わたし」は育ててきた。
    そんなシングルマザーの話。

    著者の小池昌代さんは母であるが
    「狭い血のつながりで
     親子のことを書きたくなかったから」
    この作品を書いたのだと言う。

    脚本家の岡田惠和さんも
    他人の集まりである「家族」をよく描くが
    血縁ではないだけに
    より深い理解や愛情で結ばれることがある。

    「家族の絆」こそがすべて、と群れたがる人も多いが
    私はそのベタついた感じが苦手で
    小池さんが言うように
    血のつながりなんぞちっちゃいものだ、と思う。

    親と子であればもっと深く大きな

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    2016年07月11日
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首

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    かるたとりの趣味もなく、普段和歌に触れることなく数十年生きてきたが、本書で、大げさかもしれないが歌に少しばかり親しみを持てたような気がする。
    それにしても折口信夫は天才だ。「死者の書」でも度胆を抜かれたが、この作品も口述筆記で作られたとか。どのような頭の構造をしたいたのだろうか。古代人の生まれかわりではないかと真面目に思ったりする。

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    2016年04月26日
  • たまもの

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    小池昌代の小説らしい小説よりは、散文的な文章が好きな自分にとって「たまもの」は、久しぶりに小池昌代の詩人としての力に魅了された作品だ。

    最近の小池昌代の小説は詩的な趣が後退して、こんな事を言うのもおこがましい話ではあるけれど、小説家の描く小説のようになってきたなと思うことが多い。それは筋立てだとか仕掛けだとかという面もあるにはあるが、むしろ言葉の使われ方の違いじゃないかと思う。

    登場人物が日記について触れる印象的な場面がある。曰く、私の日記は単語ばかりだと。それがあたかも詩人その人の日記の様式であるように聞こえ、何か重さのあるものを受け止めた感覚が残る。言葉には様々な意味を指し示す矢印が

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    2014年10月15日
  • ことば汁

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    「人間は、うんざりするほど他人を誤解し、自分も誤解され、死んでいく。誤解と思ってもそこにはひとかけらの真実があるのかもしれないし、やっぱりすべては誤解であるのかもしれない。」

    短篇の名手が誘う六つの幻想譚。と裏表紙にあります。この方はもともと詩人なので言葉の使い方がとても巧妙です。
    幻想というけど人の内面はそもそも幻想でできているように思うので心象風景としてはリアルかも。
    決してわかりやすくはない作風である意味ドロドロとしていますが、はまります。

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    2014年03月24日
  • ことば汁

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    文章が瑞々しく豊かでありながら、官能的な雰囲気を纏う小説。
    一つ一つが、昔話のような、どこか遠い異界の物語のように錯覚する。
    短篇のほとんどが共通するのは、人間の「嫉妬」を盛り込んだ作品。

    私は短篇の中で「つの」がお気に入りです。

    読み応えがあり、世界観にどっぷりと浸かることが出来ました。

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    2013年05月24日
  • ことば汁

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    ネタバレ

    ”飾り気がないといえば、わたしほど、心に装飾がない女は少ないと思う。それなりに化粧はする。おしゃれもする。けれど心は、いつも裸だ。裸の心は、傷だらけだが強い。傷つけばさらに強くなっていく。
    だけどそれは、何度も言うように、どこかケモノめいた心なのだ。まだかすかに残っている人間の心が、わたしにサビシイという言葉をはかせる。わたしはさびしい。わたしはむなしい。”(P71)

    ”わたしが眠っているあいだに、深い鍋の中で、この世の現実は、とろとろと煮込まれていく。夢など見ない。わたしが夢そのものだから。”(P240)

    粟立つような女性の薄暗い部分から
    あっち側との境目をゆらゆらするようなお話ばかり6

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    2013年04月02日
  • ことば汁

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    読んでから知ったのだが、筆者は詩人だった。
    どの話も、静かに進んでいるようで、扱われている感情は非常に濃い。あっさりしているようでいて、皮膚に直接迫ってくるような力があった。小説を読んでいるんだけど、自分の夢の中にいるような気分にさせられる。久しぶりに好みの作家に出会った。

    「女房」「つの」「花火」が特に良かった。

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    2012年05月04日
  • ことば汁

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    女の人がたくましく生きていく為には、妄想が必要なのだ。みじめな自分に、妄想というアートで、言い訳を与えてあげるのだ。

    そんな美しい言い訳が、6つも読めるなんて。

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    2012年03月02日
  • 感光生活

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     自分と他者との関係を、感覚的に詩的に捉えた表現が卓越している。それでいて哲学的といってよいほど深く突きつめられてもいる。

     例えば、『石を愛でる人』の一節。手のひらの中で石ころをころがす場面。
     「石とわたしは、どこまでも混ざりあわない。あくまでも石は石。わたしはわたしである。石の中へわたしは入れず、石もわたしに、侵入してこない。その無機質で冷たい関係が、かえってわたしに、不思議な安らぎをあたえてくれる」
     
     ここに収められた15本の短編小説は、15通りの「人との関わり」を描いている。
     主人公は全て「こいけさん」だが、不躾に入り込もうとして「こいけさん」に拒絶される迷惑な隣人

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    2011年02月27日
  • 感光生活

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     そのももの本質にまっすぐ根ざした、適切な重み。
     そのときわたしは、日常のなかで、わたしたちの生にに、
     気づかないほど微量に付加されている、
     さまざまなものの、
     さまざまな重みのことを思っていた。
              (「蜂蜜びんの重み」より)





     小池さんの目ににじむ光は、
     やわらかい、のか、あいまい、なのか。
     遮蔽物と投影面が近ければ近いほど鋭敏さを持つ光と影のコントラスト。
     すべての作品において、人と人との関係や、感情、そして虚構性までもが、その境界線をゆらめかせている。

     小池さんのファインダーは気まぐれか、確信的か。

     物語の襞の中

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    2009年10月04日