住野よるのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレまず、カヤとチカ、異世界の2人の対話自体が面白く、とても読みやすかった。
お互いの世界でした行動が互いの世界で影響しあうというファンタジーも好き。
現実世界に対してつまらないと思い続けるカヤが、異世界のチカに対して恋をし、つまらないと思っていたものに対する捉え方の変化の考えに、少し共感するところがあった。
特別に思いすぎた故に、チカを傷つけてしまい、もう会えなくなってしまったカヤは、それが人生のピーク、突風であるとして、余生を過ごすという考えで生きていた。そんななか、同級生の斎藤との再会し、その後の関係決裂の際に、自分がチカに対する気持ちを忘れ、事実だけに固執していることに気が付く。
「忘れてもいい」
「今自分の心と大切なものに恥じない自分でいて、悩んで苦しんで今を積み上げてその末に、気持ちを忘れた過去は間違ってなかったという今が出来上がる。」
斎藤の言葉がすごく自分にも沁みた。
人生の特別は、"今"を積み重ねることによって自分で探し続けることしかできないのだと、その努力を怠り、過去にしがみつくことは、その過去を蔑ろにしていることに他ならないのだと、気づかされた。
最後に、現実世界での"チカ"に出会い、あのチカが言っていた「私たちは出会い方を知っている」という言葉をカヤが思い起こし、現実世界の"チカ"に、「お互い、幸せでいられるように、願っています」とだけ伝えた部分が、なんともいえない切なさとカヤのカッコよさを感じた。 -
Posted by ブクログ
かしこくて周りから浮いている小学生の小柳なのか。
放課後はなのかの友達であるおとなのアバズレさんとおばあちゃん、高校生の南さんと過ごす。
母親とケンカした後、南さんから仲直りするよう言われる。その後、南さんとは会えなくなる(確か)
一時不登校気味になった気の弱い桐生くんを登校させることに成功した後、アバズレさんとも会えなくなる。
南さん、アバズレさん、おばあちゃんからは色々な人生アドバイスを受ける。
これらは大人になったなのかの夢だった。
なのかは高校生の時に南さんと同じようにリストカットをしたのかな?アバズレさんと同じように売春していたのかな?
でも今は恋人の桐生くんと幸せに暮らしている。
最後はどんな感じで終わるのか気になって一気に読んだ。夢だったのか!タイトルが夢だもんなー!
なぜ南という名前だったんだ? -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人に買ってもらった本
忘れられない、忘れたくない記憶が
私自身にもあって忘れないよに
あえて辛い思いをしてまで残そうとしていて
だんだん覚えていられなくなって
憎いとか嫌いとかそういう感情が薄れて
トラウマだけが残ってる感覚
カヤもそれと同じなのかなあと思って
その時の喜怒哀楽とか雰囲気とか
体が覚えていることはあっても
ハッキリとは思い出せずに怖くなる
消えるような簡単な思いじゃないのに
題名のこの気持ちもいつか忘れるの
言葉の意味を小説にした感じがして
私が言い表せなかった心の中とか
カヤとチカからの響く言葉だったり
読んでいて心が軽くなる瞬間もあった
素敵な本に出会えたな(* 'ᵕ' )☆
「考えることは無駄になるまで無駄じゃないから」 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。
ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。
ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。
僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
*****
6人の著者による、「行きたくない」をテーマにした短篇集。「とりあえず気楽に暇つぶし程度に読めそうだな」と手にとったのだけれど、そんな安易な気持ちはいい意味で裏切られた。
●加藤シゲアキ「ポケット」
アイドル・グループ「NEWS」のメンバー。2020年と2023年に直木賞候補となる作品を発表している。本書「行きたくない」は2019年の出版なので、直木賞候補になる直前の短編。だからかどうか分からないけれど「これから本領を発揮していくのかな」なんてちょっとイジワルな感想を持ってしまったのは、この「ポケット」が今ひとつよくわからなかったから。言いたいことはなんとなくわかるような気もするのだけれど(回りくどい言い方ですが)どうもかゆい所に手が届かない。いや、違う。かゆいという感覚はあるのだけれど、どこをピンポイントでかいていいのかわからないので、とりあえずかゆい感覚がありそうな周辺をボリボリとかきまわっている感じ。決してつまらなくはないので、余計にもどかしい気持ちだけが残ってしまった。それでも矛盾しているようだけれど好感が持てた作品。
●阿川せんり「あなたの好きな/わたしの嫌いなセカイ」
楽しい作品ではないです。読んでいてもちっともハッピーにはなれないのだけれど、目を背けることが出来ないというか、変に共感してしまうような状況。淡々とした文体なのに書かれている内容は登場人物本人にしてみれば、どうしようもないほどに切羽詰まった心境になっていると思う。しかも「わかる!わかる!なんとなくその気持ちわかる!」と思えてしまうのだからたちが悪い。僕にとってはそんな作品。「面白かった」という感想は相応しくなさそうなので「物凄く印象に残った」にしておきます。
●渡辺優「ピンポンツリースポンジ」
これはもしかしたら近未来SFなのかもしれないですね。AIがどんどん進化していった結果、AI自体が「なんとなく行きたくない」という感情を表現するようになるかもしれない。そしてAIを使用している人間を困らせる。この「なんとなく」というのが、白黒はっきりしている感情よりも、より複雑なのかもしれない、という指摘だけでも「おお、そうかも」と思えてしまった。またそんな「なんとなく」という感情を持ったもの同士に仲間意識が生まれるのも、なんとなくわかる気がする。面白かった。
●小嶋陽太郎「シャイセ」
この作品に出てくる「2階の住人が床に物を落として騒音を発したら、その下の1階の住人が天井を突っついて2階の住人にクレームをつけてくる」みたいな状況は、実は僕はリアルで体験している。なので、途中までまるで自分のことのような気持ちで読み進めた。実際にはクレームではなかったのだけれど。恋人との別れ、現実とうまくかみ合えない状況とそれに対する諦念、それでも誰かと結びつきたいという欲求、コンビニや喫煙所での邂逅、DV、そして不器用ながらなんとなく結びついた2人。そんな物語が重くなることもなく、時にはユーモラスで軽快に描かれている。これまた面白かった。
●奥田亜希子「終末のアクアリウム」
これはどうなのだろう。男性である僕が読むのと、女性が読むのとではやはり受け取り方が大きく違ってくるように思う。一組の夫婦が登場するのだけれど、なんとなく不穏な空気を僕は常に感じながら読み進めていた。しかもそんな夫婦にちょっかいを出してくる第三者の存在。そしてバランスが崩れてしまったラスト。「終末のアクアリウム」とはそういうことだったのかと思い知らされる。結末は用意されていない。でも「自分の家に、帰ります」という一言にひとすじの希望が見られたような気もする。物凄く印象に残った。
●住野よる「コンピレーション」
仕事から帰宅すると毎晩知らない友達が待っている。しかも毎晩違う友達で既に400人は超えている。そしてそんな友達と楽しく交流する。主人公の女性はそんな環境に疑問も不安も抱かずに浸っている。次の夜の「初めて出会う友だち」を心待ちにしている。途中でこの環境を「初めてではない、二度目の友達」が打破しようとするのだけれど、結局はうまくいかない。
決して現実味のある設定ではないのだけれど、「二度目の友だち」が打破できずに主人公の女性が、このある意味自堕落でただ流されて生きているだけの状況を受け入れる、という点がすごくリアルに思えた。仮にここで主人公の女性が、「よし、自分を変えてやろう」なんて一発奮起したらかえって嘘っぽくなってしまったように思える。打破できなかった友達が、それでも主人公の女性とふくれっ面のまま食事をしたり、泊まっていったりするあたりも僕にはすごくリアルに思えた。
少し違うかもしれないけれど、映画「トゥルーマン・ショー」みたいな世界観なのかもしれない。タイトルの「コンピレーション」とは「編集、編集物」といった意味で、「なるほど」と思わせてくれる。この異様な状況に関する説明は作品内ではほとんどでてこないのだけれど、それに対しては全く気にならなかった。
作者は「君の膵臓をたべたい」の著者とのこと。僕はこの「君の膵臓を~」を読んでおらず、いままでは食指も動かなかったのだけれど、この「コンピレーション」を読んでみて、機会があったら読んでみようと思った。この「コンピレーション」、本書の中では一番面白かった。 -
Posted by ブクログ
はじめは想像できなくて途中離脱した
映画が出たから映画見た。二つ照らし合わせて感想書きます
人の心が記号や矢印で見える物語
心の中が読めたら楽なんやろうなとずっと思ってたから、作中で主人公たちが「人間関係は心のバーをみれば簡単」とか「私の見てる矢印がみんなも見えてれば、この世界はうまく行く」っていうセリフがああわかるって思った。でも見えたところで、その人の感情に自分が振り回されて、自分が何なのかわからなくなるっていうパラのセリフは、この作品の中でいちばんの共感ポイントだったような気がする。
結局、人の気持ちがわかったほうが衝突は起きないけど、人の気持ちがわからないほうが自分らしく生きていけるような気がする。2025年上半期までの自分は結構前者派で、その時その場にいるみんなの気持ちのほうが自分の想いよりも大切で、そこを大切にすることが、自分らしさなんだと思ってた。でも、一人暮らしを始めて色々悩んで、自分らしくいることも人間関係を上手に築いていく重要なことなんだって気づいた。これは正解だったんだなぁと思った。特に心に残ったのはパラのシーンかなあ。劇中アドリブで「自分の弱さを認めてあげられない、そんな悲しいことがあるでしょうか」って言ったところ、私の中での露完璧主義なところも、そうじゃなくていいのかもって思えたシーンだったな。恋愛物語のようで、人生の考え方を考えさせられるいい作品でした。
やっぱり住野よるさんの作品好きです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ住野よるさんは学校を舞台にした世界を描くのが上手い!と思った。
クラスの人気者笠井が、好意に思っている子に意地悪をしたことから、クラスの皆から「いじめ」を受けている矢野さんと、昼はクラスの空気を読んで「間違わない行動」をとり、よるはバケモノの姿になってしまう主人公僕が、「よるやすみ」に学校で矢野さんと話す。
いじめられているときにニンマリしている矢野さん、それがいじめに拍車をかけるけど、矢野さんは「にんまり」は「怖いとき」にしてしまうもので、また、自分を犠牲にしてまでいじめのターゲットが他の人にいかないようにという正義感のようなものを持ち合わせている。
矢野さんと僕、そしてクラスメイトとの交錯で、僕の心境が変化し、成長する点にグッと来た。