あらすじ
「愛されたい」という感情に強く囚われている茜寧は、友人に囲まれ充実した高校生活を送っているが、誰にも本心を明かすことができない。人に好かれるよう振る舞い神経をすり減らす中、一冊の小説だけを心の支えにしていた。ある日茜寧は、その小説に登場する〈あい〉にそっくりな人物と街ですれ違う。声をかけるとその人物の名前もまた〈あい〉だと言う。友達になった二人の身の回りに、本に記された内容と同じような出来事が起き始めて……。人生と物語が交差する、極上の青春群像劇。
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Posted by ブクログ
捻くれてるな、と思った。
主人公なんて居ない、小説なんて所詮、という作家。常に日常を愛されたいに支配され、他者の正解を演じ愛を求めて過ごしてきた女子高生。表と裏を承知で貫こうとしたアイドル。自分の意思を伝えることが大切と考え、好きな服も音楽も楽しめる、程々な悪い大人の女装男性。リアルで晴らせない憂さを、粗探しをしたりネットで誹謗中傷したり外部に怒りを向けることを正当化しつつ自分を保とうとする憐れな男子高校生。
でも世の中はこれくらい平気で捻くれていて、斜に構えて世界を見渡してもまだ身に余るだけの残酷さがある。人間の醜さが全開だと思った。でも結局、小説よろしく、物語よろしく綺麗に収められてしまうのだな、とも。だからって望んだラストがあった訳でもないけれど。
腹の内を明かしたら、結局は血が出る。自身がしんどい思いをする。それでも人は、腹の中を明かしてなお、受け入れてくれる人を心のどこかでいつも探している。矛盾に溢れた生き物だなと思う。
楽になる
人間関係とか現実の世界に嫌気がさした時に読み返したいと思える1冊でした。好きな人嫌いな人いるけどみんな腹を割ったら血が出るだけさ
Posted by ブクログ
作中で出てくる「少女のマーチ」という小説の中で起こることに沿った(ような?)話。
作中の作者である小楠なのかが作品について語るところから始まり、語るところで終わる。
少し不思議な感じ。
少女のマーチという小説を読んでいた高校生の糸林茜寧は渋谷の街中で自分が読んで思い描いていた小説の中の登場人物である「アイ」にそっくりな人を見かけて思わず声をかけて話しをする仲になる。
声をかけられた方の宇川逢はそもそも女の人のような風貌をした男で、2人の関わりがかなり特殊な感じで物語がスタートする。
小説の中の出来事を現実で再現したり自分に投影したりする茜寧だけどそこには他にも色々な人物が絡んできて物語が進んでいく。詳しくはうまくまとまらないのでこの辺にしておきますが、色々な世界線が絡み合ってる感が、いつも読んでるような小説には無い展開で面白いです。
Posted by ブクログ
住野よる作品は二つ目。やっぱりこれも、『青くて痛くて脆い』と思った。それから、とっくにそんな時期を過ぎてるいい大人の私にも残ってる青臭い部分を意識させられるなぁ、とも。ちょっと自傷行為的な痛みを感じてしまうけど、案外みんな同じような感覚を持って生きてるのかもしれない。
何度も読み返せるかわからないけど、一気に読めた時点で、多分好きな本。
Posted by ブクログ
最初は少し読みにくさやストーリーに入り込みにくく感じたけれど、読んでいるうちに続きが気になるように。変わりたい気持ち、それを誰かに委ねたくなる気持ちに共感しつつ、それを委ねられた相手からしてみたら自分誰かの人生を思い通りに変えてあげられる人間ではない..と思うのも当然だと感じた。だけどみんな二面性はあるもの。その二面性と上手に付き合いながら過ごしていけたらと思う。
Posted by ブクログ
腹を割って話せますか?
高校生の茜寧はココロにあるものを
小説「少女のマーチ」を準えるように行動する
アイドル「インパチェンス」のメンバー
中でも樹里亜の葛藤も同時進行で物語を繋ぐ
小説家「小楠なのか」がファンから受けた一言が物語を締め尽くす
Posted by ブクログ
気持ちが入り込むのに、少し時間がかかったものの、半分を過ぎたあたりから、読むスピードが上がったのを感じた。みんな不器用ながらも、悩みを抱えながらも、自分に妥協して生きているのかなとか、自分のことを振り返りながら読んでしまった。そうすると、たまにぐさっと刺さる言葉も出てきて、気持ちが弱っているひとは要注意かもしれない。
読みながら、なんとなくあの映画を思い出した。「心が叫びたがってるんだ」。
最後に。住野よるさんの作品は、読み終わると、なんとなくタイトルの意味に戻ってくるような気がして、いつも表紙を眺めてしまう。
Posted by ブクログ
何度も「難しいな」と感じた。物語そのものが理解しにくいというよりも、登場人物たちの心の揺れや沈黙の意味を、言葉の隙間から掬い取る作業に、読者として試されているような感覚があったからだ。
誰かの“腹の中”には、単純な答えも、綺麗にまとまった真実もない。ただ弱さや痛みが入り混じり、本人ですら扱いかねる感情が渦巻いている。その複雑さをそのまま描こうとする本作は、読み手にも同じように自分の中の曖昧さや矛盾を直視させる。その経験は決してわかりやすくはないし、時にはページをめくる手が止まるほど重たく響く。
それでも、難しさの中には確かな誠実さがあった。登場人物たちが完璧ではないまま、誰かと向き合おうとする姿に、自分自身の不器用さを重ねてしまう場面もあった。
読み終えて、「難しかった」という感想は消えなかったが、その難しさこそが作品の真価であり、心に長く残る余韻となっている。
けどやっぱり住野よるさんは
みんな読んでるけど私は苦手ダナ〜
Posted by ブクログ
偽りや悪意の裏にも苦しみがある。
みんなそれぞれ自分のキャラクターを演じて生きている。
本当の自分なんて存在するのかな?
本当とは?
演じることは悪いことじゃない。
けれど、そこに苦しさがあると辛い。
なりたい自分を演じて自身のキャラクターを作り上げていくが理想かなと思った。
それぞれの解釈があり、正解はない。
小説の面白さ、奥深さを感じた。
Posted by ブクログ
愛されたい感情に縛られ自分を偽り続ける少女や、作られたアイドル像を演じ自らストーリーを作っていく少女。その他様々な心情のキャラクターが交錯していく物語。
人の気持ちを表現する文章力が凄くて住野さんならではだなと思いました。腹を割って語ろうとは言うものの、結局のところ人の奥底にある本音本心ってなかなか分からないものですよねー。
Posted by ブクログ
敢えて正直な感想を書かせてもらうと、
筆者の言葉選びが合わない部分もあり
読み切るのに少し時間がかかった印象。
周囲に合わせている自分、
思ったことを正直に言える自分、
どれが本当の自分なのかを模索するストーリー。
強いて言うなら、
生まれてすぐの赤ちゃんは「愛される」ことでしか生きていけないことを知っているので、
周りを意識して生きるのは自然なことだと思う。
素直な自分をすべて曝け出しても、
やめておけばよかったと素直に後悔することもあるし。次のとき、そうならないように自制してるのであれば、それはやっぱり素直な自分と言ってもいいんじゃないかな。
本の感想とは関係なくなってきたので、
この辺でやめておきます。