【感想・ネタバレ】腹を割ったら血が出るだけさのレビュー

あらすじ

「愛されたい」という感情に強く囚われている茜寧は、友人に囲まれ充実した高校生活を送っているが、誰にも本心を明かすことができない。人に好かれるよう振る舞い神経をすり減らす中、一冊の小説だけを心の支えにしていた。ある日茜寧は、その小説に登場する〈あい〉にそっくりな人物と街ですれ違う。声をかけるとその人物の名前もまた〈あい〉だと言う。友達になった二人の身の回りに、本に記された内容と同じような出来事が起き始めて……。人生と物語が交差する、極上の青春群像劇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

捻くれてるな、と思った。
主人公なんて居ない、小説なんて所詮、という作家。常に日常を愛されたいに支配され、他者の正解を演じ愛を求めて過ごしてきた女子高生。表と裏を承知で貫こうとしたアイドル。自分の意思を伝えることが大切と考え、好きな服も音楽も楽しめる、程々な悪い大人の女装男性。リアルで晴らせない憂さを、粗探しをしたりネットで誹謗中傷したり外部に怒りを向けることを正当化しつつ自分を保とうとする憐れな男子高校生。
でも世の中はこれくらい平気で捻くれていて、斜に構えて世界を見渡してもまだ身に余るだけの残酷さがある。人間の醜さが全開だと思った。でも結局、小説よろしく、物語よろしく綺麗に収められてしまうのだな、とも。だからって望んだラストがあった訳でもないけれど。
腹の内を明かしたら、結局は血が出る。自身がしんどい思いをする。それでも人は、腹の中を明かしてなお、受け入れてくれる人を心のどこかでいつも探している。矛盾に溢れた生き物だなと思う。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

気持ちが入り込むのに、少し時間がかかったものの、半分を過ぎたあたりから、読むスピードが上がったのを感じた。みんな不器用ながらも、悩みを抱えながらも、自分に妥協して生きているのかなとか、自分のことを振り返りながら読んでしまった。そうすると、たまにぐさっと刺さる言葉も出てきて、気持ちが弱っているひとは要注意かもしれない。

読みながら、なんとなくあの映画を思い出した。「心が叫びたがってるんだ」。

最後に。住野よるさんの作品は、読み終わると、なんとなくタイトルの意味に戻ってくるような気がして、いつも表紙を眺めてしまう。

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2025年08月21日

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