伊藤亜紗のレビュー一覧
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利他に関する論考集。
第一章の伊藤亜紗氏は、合理的利他主義や効果的利他主義といった利他についてのトレンドを概観し、その根底には利他の効果の数値化があること、数値化により漏れてしまったり失われてしまったりすることがあると説く。利他の効果を数値化することは、自らの利他的行為が相手に与える影響を規定することに繋がり、押しつけや他者の支配に繋がる。そうではなく、予測不可能性を受け入れること。予想外の他者の反応によって、自らの方が変わること。これを「うつわ的利他」と表現しているが、相手を享けることのできる利他が、良き利他ではないかと述べている。
第二章では、中島岳志氏が、贈与論から利他を考察している。 -
Posted by ブクログ
自分と違う他者、特に目の見えない人の存在や感じ方、世界の見え方を、「実感」として感じたい
この本書の目論見が興味深く感じた。
他書でも同様の視点があるとは思うが、身体性に根差した「実感」したいというところが、ストーリーやエピソード中心で内容が進む本書の特徴に感じて、楽しく読めた。
私はこれまで他書で、人権概念に根差す、社会モデル、インクルーシブといった理想/概念を触れてきたたが、本書でユーモアとして描かれる、健常者向けにデザインされた社会を障害を前提に、面白がるという視点は、所謂の理想とは違うアプローチで「痛快」に感じた。そして、それは「痛」くて「快」いというのは、言いえて妙。
また、い -
Posted by ブクログ
遊びと利他を読んで、利他を、もう少し知りたくて。
後半になるにつれて、どう利他に関係するんだろうとかわかりづらくて飛ばし飛ばし読んでしまった。
数値的利他は、違和感を感じた
数値ですぐに結果がでない社会課題への支援や関心を廃れさせてしまうのかなぁと。、
利他というと何か押しつけがましく、意識高い系に思ってしまっているけど、
うつわ的利他、、、
自分のやったことをいいでしょ、ではなくて、
その結果自分に戻ってまた変化の可能性がある余白があるものとして捉えた方がよいのでは
ということかなぁと。この考えはしっくり来るし、自分のボランティアのスタンスと同じだなぁと思った。 -
Posted by ブクログ
「利他」について様々な分野の方が論じた本。
ちょっと「利他」との結びつきがよく分からないとか取って付けたようとか思うところもあったが、それが利他という概念の広さや説明の難しさということか。
結論としては、利他とは「うつわ」とか「余白」であるということのようだ。
中動態についての話の中で「人間的因果性(=そ人が加害者として行う行為)」と「神的因果性(=運命の被害者としての行為)」は混じり合うが混同されない、というヴェルナンの定式が紹介されている。どういうことかというと、「人は加害者であり被害者であるという二律背反が肯定されている」ということ。被害者性をとらえることで、加害者性もとらえられるよう